ポーランドで開発されている SparkyLinux は、(セミ)ローリングリリースエディションの最新のスナップショットとなる 2019.08 「Po Tolo」を、2019年8月2日にリリースし、スペシャルエディション(GameOver・Multimedia・Rescue)も2019年8月8日にリリースされた。
SparkyLinux とは?

SparkyLinux との出会い
SparkyLinux を知ったのは、ポーランド独立100周年記念エディションを発表した4.9のとき。聞きなれない名前だったけれども Debian 系というコトもあり早速試してみたのがはじまり。
▶︎ SparkyLinux 4.9 がリリースされたので、
情報を集めてみるとこのディストリビューションは軽量で、安定版とローリングリリース版(Web サイトでは Semiを強調している。あくまでもテストブランチでの半ローリングリリース版だということを強調したいのだと思われる。以降、ローリング版)があり、ローリングリリース版はナンバリングが一つ上(例えば安定版が5.xのときローリング版は6.x)になっている。
また合わせてリリースされたスペシャルエディションでは、ゲーム関連のアプリケーションを多数用意している GameOver と、マルチメディア関連のアプリケーションを多数用意している Multimedi 、データ復旧などに使われる Rescue が用意されている。
SparkyLinux は初心者でも使える?
Linux 初心者のいちばんのハードルになるのは日本語化(特に日本語入力環境の設定)だろう。僕もそうだった。Linux で日本語(日本語に限らず東アジア圏の言語全般。つまり全角文字)入力を扱うには入力メソッドと入力エンジンが必要になる。入力メソッドはキーの組み合わせで文字を入力するためのもので、入力エンジンは入力された文字を漢字などへ変換するための。これらがないと Linux では日本語を入力できない。

Ubuntu や Fedora 、openSUSE など大手の Linux ディストリビューションでは、インストール直後から日本語入力までできるものも増えてきてはいるけれども、まだまだ日本語入力環境の設定を必要とする Linux ディストリビューションも少なくない。
今回紹介している SparkyLinux も Debian 系で、日本語入力環境の設定が必要かと思われた。

が、実際にインストールしてみると独自のシステムで、インストール直後にいくつかの確認のあと、自動で日本語入力環境の設定が行われる。ずいぶん機械的な見た目ではあるけれども、Linux 初心者には非常にありがたい存在に思える。
軽量化に力を入れている Linux ディストリビューションなので、ところどころ見た目が「?」となるところもあるが、全体的には Linux 初心者でも使いやすいと思われる。
SparkyLinux を実際に使ってみてどう?
インストールしてみるとローリングリリース版は6とされていた。そういえば先日リリースされた安定板が 5.8 なので、ナンバリングのルールでいえばそうなのだろう。
先ほども少し触れたが、特徴的なのは日本語入力の設定について。Linux 自体のインストールとは別に、再起動後に必要なパッケージをインストールするためのソフトウェアが起動する。

見た目がちょっとアレだが、指示に従って操作すれば自動的に日本語入力環境の設定が終了する。Debian 系は、日本語入力設定について意外に整備されていないものが多いため、自動的に設定してくれるのは非常にありがたい。
また高速&軽量なシステムを目指して開発されているだけあり、どのバージョンも非常に軽量で古いマシンでもサクサク動いてくれる。また何度も繰り返しているが Debian 系の Linux ディストリビューションなので、やりたいことは一通りできるだけのソフトウェアが揃っている。なかなか使い勝手の良い Linux ディストリビューションのひとつだ。
より詳しい情報は
SparkyLinux 2019.08 について
▶︎ https://sparkylinux.org/sparky-2019-08/
SparkyLinux 2019.08 Special Editions について
▶ https://sparkylinux.org/sparky-2019-08-special-editions/
SparkyLinux の概要
- ベース: Debian
- アーキテクチャ: x86_64
- デスクトップ環境: LXQt, Xfce, Openbox
- パッケージ管理: dpkg (APT)
SparkyLinux をインストールするのに必要なスペックは?
- CPU: amd64 (x86_64)
- RAM: 256 MB (LXQt, Openbox), 512 MB (Xfce), 1.0 GB (推奨)
- DISK: 512 MB SWAP + 10 GB (Home), 20 GB (GameOver, Multimedia)
主なアプリケーション
- ブラウザ: Firefox
- メール: Thunderbird
- オフィス: LibreOffice
- マルチメディア: VLC media player
より詳しい情報は
▶https://sparkylinux.org/wiki/doku.php/minimum_system_requirements
個人的な意見ですが、
他の Debian 系との違い
Debian 系には軽量なものが多いけれども、SparkyLinux はその中でもさらに軽量なものになる。
ローリングリリース版にはデスクトップ環境ごとに
- LXQt
- Xfce
- MinimalGUI(デスクトップ環境というかウィンドウマネージャの Openbox )
- MinimalCLI(デスクトップ環境なし)
以上の4つが用意されている。
いずれも非常に軽量。全て 64bit 版のみとなっているが、2008年以降に発売された PC であれば問題はないのであろう。
またスペシャルエディションの GameOver 、Multimedi 、 Rescue は Openbox を採用しているので、RAM の多くをアプリに使うことができる。

ただ個人的に残念だったのが、たくさんのレトロゲームが楽しめる RetroPie はサポートされていないのでインストールできなかった。残念。
SparkyLinux のよかった点
高速・軽量の Debian 系というだけでも十分魅力的に感じるけれども、いちばん特徴的だったのが、やっぱり日本語入力環境の設定。Debian 系はまだまだ日本語入力環境の設定を手動でしなければいけないものが多い中、SparkyLinux はある程度自動でやってくれるの非常にありがたい。
SparkyLinux のおすすめ度(5段階評価)
初心者向け度… ★★★★☆
シンプルで全体的に使いやすい。ただしデスクトップ環境によっては操作性が独特なので注意。
日本語の環境… ★★★★☆
独自のシステムによって、インストール後に自動で設定してくれるのが嬉しい。
システム要件… ★★★★★
選べるデスクトップ環境は Xfce, LXQt, Openbox といずれも軽量揃い。64bit プロセッサなら古いマシンでも十分に動作してくれる。
総おすすめ度… ★★★★★☆
軽量な Linux をお探しであれば、ぜひお試しアレ。
SparkyLinux に興味を持ったアナタは、下の URL を今すぐクリック!
ダウンロードする▶ https://sparkylinux.org/download/rolling/
SparkyLinux の過去記事
SparkyLinux 4.9 がリリースされたので、
▶︎ https://pc-freedom.net/today_pc_story/sparkylinux-4-9-%e3%81%8c%e3%83%aa%e3%83%aa%e3%83%bc%e3%82%b9%e3%81%95%e3%82%8c%e3%81%9f%e3%81%ae%e3%81%a7%e3%80%81/
ポーランド生まれの軽量ディストロ SparkyLinux 5.7 がリリースされたので、
▶︎ https://pc-freedom.net/today_pc_story/sparkylinux-5-7-release/
ポーランド生まれの軽量ディストロ SparkyLinux をインストールしてみた。
▶︎ https://pc-freedom.net/basic/sparkylinux-5-7-install-and-japanese/
SparkyLinux 5.8 がリリースされたので使ってみた
▶︎ https://pc-freedom.net/today_pc_story/sparkylinux-5-8-release/