古い32ビットパソコンを蘇らせる方法にはいくつかの方法があります。

先日、32ビットパソコンの活用方法の一つとして、Recalbox でレトロゲーム機にする方法を紹介しました。

ものと環境を壊さずに、軽量なオペレーティングシステムの導入する方法も紹介しました。

ではその、軽量なオペレーティングシステムはどれだけあるのでしょうか?

今回は 32bit についての概要と、32bit PC を再生する 32bit Linux を集めました。

ぜひ最後までお付き合いください。

それではいってみましょう!

32bit プロセッサ

【2023年版】まだ使う!32-bit パソコン!まだ使える!32-bit Linux!

32bit プロセッサは、1985年に登場した Intel 80386、通称 i386 からその歴史は始まりました。

今ではほとんどの PC に 64bit プロセッサが搭載されていますが、その 64bit プロセッサは 32bit プロセッサ登場から約18年後の 2003 年頃からパソコンに搭載されはじめました。

そして一般的に 32bit プロセッサと 64bit プロセッサの普及の境目は Intel 社が開発した Core i シリーズの販売がはじまった 2008 年頃とされています。

また、それらのパソコンを利用するために必要な OS も、そのプロセッサに合わせて同じように開発され 32bit プロセッサに適した 32bit OS と 64bit OS があります。

それぞれに特徴がありますが、中でも 32bit OS は「メモリ 4GB の壁」と呼ばれるものがあり、これは 4GB 以上のメモリを積んでいたとしても 4GB 以下しかメモリを使うことができないというものです。

32bit と64bit の違いは、OS とメモリの管理方法にも影響します。

32bit のプロセッサが一度にアクセスできるメモリアドレスが2^32(42,94,967,296)個だけに対して、64bit の OS は、2^64(18,446,744,073,709,600,000)個というとてつもなく大量のメモリを利用できます。

これにより、64bit OS は 32bit OS に比べて大規模なデータ処理や複雑なソフトウェアを高速に実行することができます。

さらに、32bit と 64bit の違いは、アプリケーションの互換性にも影響します。

一般的に、32bit アプリケーションは 64bit の OS でも動作することが多いですが、64bit アプリケーションを 32bit の OS で実行することはできません。

今となってはデメリットにしか思えない部分ですが、以前は特にビジネスモデルの PC を中心に、メモリやストレージなどのリソースの限られる 64bit PC を快適に使う目的で、あえて 32bit OS を 64bit PC にインストールするということもありました。

32bit パソコンの活用

【2023年版】まだ使う!32-bit パソコン!まだ使える!32-bit Linux!

そんな 32bit OS 、Microsoft でも Windows 10 までは 32bit 版が提供されいましたが、Windows 11 ではよりハードウェア要件が厳しくなり、64bit プロセッサでも使用できない PC が出て来ました。

Linux でも 32bit 版の開発や提供を終了しているプロジェクトも少なくありません。

その理由の一つとして考えられる資料があります。

2017年度の資料になりますが、家電製品の買い替えについて内閣府がまとめた資料によるとパソコンの買い替えは5年もしくは10年と言う回答が多く出ています。

内閣府「消費動向調査」データによる家電製品使用年数調査報告書(2017年度版)
https://www.aeha.or.jp/about/pdf/naikakucyousa_1809.pdf

中には15年、20年と大切に使い続ける方もいるようですが、大半が 5~10年で買い換えられるということを意味しています。

この資料を見ると 32bit パソコンの多くは、すでに買い替えられてしまっていると言うことでしょう。

世の中は 64-bit パソコン、64bit OS が一般的ということです。

大手の企業でも 32bit OS の開発をやめてしまう中にあって、企業よりも開発環境や資金面などのリソースが少ないコミュニティ主体のプロジェクトで開発が打ち切られてもやむを得ないということを意味しています。

32bit Linux 集めました

【2023年版】まだ使う!32-bit パソコン!まだ使える!32-bit Linux!

それでも世の中には酔狂な開発者もいるため、未だ開発が続けられている 32bit OS がいくつか残っています。

そこで、まだ手に入る 32bit Linux を集めてみました。

条件として、プロジェクトが活動中で、リリースされているバージョンがサポートされているものに限ります。

NameLive更新日VersionBase onDesktop
Android-x86x862022/03/149.0-rc2AndroidAndroid
antiXi3682022/10/1922DebianIceWM, JWM, Fluxbox
BunsenLabs Linuxi3862022/12/19Beryllium 1DebianOpenbox
CrunchBang++ (#!++)i6862021/09/2311.1DebianOpenbox
Debiani3862022/12/1711.6.0
Devuan GNU + Linuxi3862022/09/10Chimaera 4.0.2Debian
Emabuntüsi6862022/07/18DE5 AlphaDebianXfce
Kali Linuxi3862023/03/132023.1Debia nXfce
Linux Minti6862022/03/20LMDE5DebianCinnamon
Mageiai5862023/02/249 Alpha
MX Linuxi3862023/01/1521.03DebianXfce
openSUSE×i6862023/04/03Tumbleweed
Peppermint OSi3862022/11/0720221107Debian, DevuanXfce
Porteusi5862022/07/05v5.0Slackware
Q4OS×i3862022/12/234.11DebianKDE, trinity
Raspberry Pi Desktopi3862022/07/0111 (bullesye)DebianLXDE
Slackeli6862023/03/257.6SlacwareOpenbox
SparkyLinuxi6862023/02/056.6DebianLXQt
Stari6862022/07/114.0.0DevuanFluxbox, i3, JWM, Openbox, Xfce
Voyager Livei3862021/08/2411 DebianDebianGNOME, Xfce
※の付いているものは複数のデスクトップ環境が用意されているディストリビューションです。

GUI 環境にこだわらず CLI 環境の Linux も含めるともう少しありますが、コダシマには使いこなせないので GUI 環境があるディストリビューションのみです。

また Linux のほかに、BSD でも特に GUI 環境があるディストリビューションとして

があります。

さらに、Windos NT のバイナリー互換を目指すオープンソースプロジェクト

かつて存在したマルチメディア OS の BeOS に触発されたオープンソースプロジェクト

など、一言でもの好きと片付けてしまえない、ロマンあふれるプロジェクトが存在しています。

今回のまとめ

【2023年版】まだ使う!32-bit パソコン!まだ使える!32-bit Linux!

今回は 32bit PC で使える 32bit Linux を集めてみました。

現在では、32bit  PC よりもスマートフォンやタブレット、現在流通しているローエンドモデルの PC の方がだいぶ高性能になってしまいました。

32bit PC の出番はかなり少なくなってしまったかもしれませんが、それでも、もう少しだけ 32bit  PC に活躍してもらいたいと思われる方は、ぜひ参考にしていただけたらと思います。

先人たちの努力が詰まった 32bit PC、もう少し使い込んでみてはいかがでしょうか?