トルコで開発されている Debian 系ディストリビューション Pardus は、2019年8月3日に最新版となる 19.0 をリリースした。

Pardus 19.0 とは?

https://www.pardus.org.tr/

Pardus は、トルコ科学技術研究評議会(TÜBİTAK)と全米学術情報ネットワーク(ULAKBİM)が共同で開発した GNU / Linux ディストリビューション。19.0 は Debian 10 をベースに開発された。

軽量で初心者向けの Linux ディストリビューションを探しているときに、この Pardus を知った。「トルコで開発されている」という情報があったけれども、その時は正直ピンとこなかった。今思えば失礼な話だがトルコが Linux を開発しているというイメージが湧かなかったからだ。

しかし調べていくと、上記でも紹介したようにトルコ科学技術研究評議会(TÜBİTAK)と全米学術情報ネットワーク(ULAKBİM)が共同で開発しているということもあり、中身は非常にしっかりしている。

▼以前に Pardus を紹介した記事▼

トルコ生まれの Debian 系 Pardus 17.5 がリリースされたので、
▶︎ https://pc-freedom.net/today_pc_story/pardus-17-5-release/

トルコ生まれの Debian 系 Pardus をインストールしてみた&日本語化
▶︎ https://pc-freedom.net/basic/pardus-install-and-japanese/

Pardus は初心者でも使える?

Pardus に限ったことではないけれども、ベースになっている Debian 自体はあまりにも大きく複雑になりすぎて、なんでもできるけれども初心者にはハードルが高くなってきているかもしれない。その中で Pardus をはじめとした Debian をベースとした Linux ディストリビューションは、それぞれの特徴を出しながら必要な機能を絞っているため、本家よりも使いやすいと感じる場合が多いだろう。

この Pardus もその一つで、Pardus 固有の機能やデザインなどが施されている。

より詳しい情報は
https://www.pardus.org.tr/

Pardus の概要

  • ベース: Debian
  • アーキテクチャ: x86_64
  • デスクトップ環境: GNOME, Xfce
  • パッケージ管理: dpkg (APT)

Pardus をインストールするのに必要なスペックは?(推奨)

  • CPU: 1.0 GHz 以上の 64-bit プロセッサ
  • RAM: 512 MB (2 GB 以上)
  • DISK: 8 GB (20 GB 以上)
  • モニタ: 640×480 以上 (256 MB のビデオカード)

より詳しい情報は
https://www.pardus.org.tr

主なアプリケーション

  • ブラウザ: Firefox
  • メール: Thunderbird
  • オフィス: LibreOffice
  • グラフィック: GIMP
  • マルチメディア: VLC media player

個人的な意見ですが、

Pardus とほかの Debian 系の違い

いちばんの特徴はベースである Debian と Pardus 独自のリポジトリを使いパッケージ管理をする Pardus Store だろう。表示が大きく動作もアニメーションするため、見た目は非常にインパクトがある。が、シンプルなものが好きな人であればちょっと邪魔になるかもしれないほど派手だ。また Pardus Store は通常のソフトウェアだけしか配布されていないため、入力メソッドのようなシステムに関わるパッケージは対象外になる。必要なパッケージが Pardus Store で見つからない場合には、Debian 系の定番である Synaptic パッケージマネージャを使うとよい。

Pardus 19.0 がリリースされたのでインストールと日本語入力環境の設定をしてみた。
Pardus Store

また日本語でインストールしても Pardus では表示のみしか日本語にならない。他の Debian 系ではかろうじてインプットメソッド(ibus または fcitx )程度がインストールされることもあるが、Pardus では一切インストールされないので、日本語入力環境はイチから設定しなければいけない。Linux 初心者には少々ハードルが高いかもしれないが、スキルアップの一環としてチャレンジしてみると良いかもしれない。

Pardus の良い点

デザインやレイアウトにこだわりを感じる。新しくなったスプラッシュ画面や壁紙のデザインは好みもあるだろうが、個人的には好きだ。

デフォルトのデスクトップ環境である Xfce は、トラディショナルな使い心地で安定の使いやすさ。19 から採用された GNOME については、良い悪いを別にして Windows と macOS のレイアウトやデザインをゴチャ混ぜにした印象を受け、使い勝手などは純粋な GNOME とは少々感覚が異なる。ここは好みが分かれるところだろう。

Pardus の悪い点

繰り返しになるが、日本語入力環境の設定については他の Linux ディストリビューションより遅れている印象を受ける。東アジア圏の言語が特殊なのも要因なのだろうが、世界中にコミュニティのある Debian 系であればもう少し頑張ってほしいと思うのは欲張りだろうか。

Pardus のおすすめ度(5段階評価)

初心者向け度… ★★★☆☆
基本的な使い勝手は一般的な Debian + GNOME とあまり変わらない。

日本語の環境… ★★★☆☆
日本語でインストールすると入力メソッドとして iBus がインストールされているけれども、日本語入力システムがインストールされていないので、Anthy や Mozc などを追加する必要がある。

システム要件… ★★★☆☆
Xfce 版は軽量だけれども、GNOME 版は Linux としては高めのスペックが必要になる。

総おすすめ度… ★★★★☆
こまかく作り込まれた印象を受ける Linux なので、個人的に好き。おすすめには必ずリストアップする Linux ディストリビューション。

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ダウンロードする
https://www.pardus.org.tr/surumler/