ギリシャで開発されている Debian ベースの軽量 Linux ディストリビューション antiX の最新版 antiX-19 Marielle Franco が、2019年10月17日に正式リリースされた。
antiX とはどんな OS ?
antiX-19 の日本語入力設定についてはコチラ
▶︎ https://pc-freedom.net/basic/antix-19-japanese/
過去の記事▶ https://pc-freedom.net/linux/antix-が抗っている-x-とは何だ?/

antiX の目標は「Linux の初心者と経験豊富なユーザーの両方に、軽量でありながら完全に機能する柔軟な無料オペレーティングシステムを提供すること」。
初心者には少しばかり難しいことがあるが、Linux を使う上では覚えておきたいところが多い。
フルスタック(全部入り)なデスクトップ環境をもたず、ウィンドウマネージャの IceWM を標準で使っているので非常に軽快。また好みにより Fluxbox や JWM 、herbstluftwm への変更もできる。
ウィンドウマネージャとは言っても組み込みのタスクバーがあり、メニューやタスク表示、いくつかのテーマまで存在し、それなりのルック&フィールもあるので、軽量をウリにしている Linux ディストリビューションで時々見かける。
今回の変更点は?
antiX-19 は、これまで通り32ビット版と64ビット版の両方をリリースしており、Debian 10 をベースに開発されているけれども systemd を使っていない。
また、多くのソフトウェアがアップデートされている。
より詳しい情報は▶ https://antixlinux.com/antix-19-isos-available/
antiX-19 の概要
- ベース: Debian Stable
- アーキテクチャ: i686, x86_64
- デスクトップ環境: IceWM (Fluxbox, JWM, Xfce)
- パッケージ管理: dpkg (APT)
- カーネル: 4.9.193 (4.19.73, 5.2.15)
antiX-19 をインストールするのに必要なスペックは?
antiX-base の最小スペック(カッコ内は antiX-full の推奨スペック)
- CPU: Pentium II (Pentium III 以上)
- RAM: 192 MB (256 MB 以上)
- DISK: 3 GB (5 GB 以上)
ちなみに GUI 環境を持たない antiX-core の場合にはさらにスペックが低く
- CPU: Pentium II
- RAM: 128 MB + swap
- DISK: 1GB
という Windows XP レベルのスペックで動作する。
主なアプリケーション
- ブラウザ: Firefox ESR 60.9.0esr-1
- メール: Claws Mail
- オフィス: LibreOffice 6.1.5-3 (full バージョンのみ)
- グラフィック: mtPaint
- マルチメディア: GNOME MPV, MPS-Youtube, SMTube
antiX-19 についてのより詳しい情報は▶ http://download.tuxfamily.org/antix/docs-antiX-19/FAQ/index.html
個人的な意見ですが、
今回の変更点でも登場してきた systemd という単語。
Linux を使っていると時々耳にするけれども、初心者だとなかなか分かりづらいので、いろいろと調べてみた。
systemd とは?
systemd とはシステム管理デーモン、ライブラリおよびユーティリティの一式であり、管理および設定における中心的プラットフォームとしてLinuxコンピュータオペレーティングシステム用に設計されている。
しかしその設計について、systemdのアーキテクチャはUNIX哲学に反しており最終的に相互依存でがんじがらめの塊を作ってしまうとして批判する人達もいる。
かなりザックリいうと systemd は様々なデーモン(メインメモリ上に常駐して特定の機能を提供するプログラム)などを管理し Linux を使いやすくするソフトウェアの一式。
引用:Wikipedia
なんだか良さそうにも感じるが、「systemd は設定をシンプルにしているのではなく「複雑さのたらい回し」をしている」、「セキュリティに問題が多い」などいろいろと論争になっている。
詳しくは Wikipedia で https://ja.wikipedia.org/wiki/Systemd
論争についてはコチラの記事も参照するとわかるかも
技術者、開発者とかでないと、なかなかこの違いはわからない。
Linux をデスクトップ OS として使っているボク程度のスキルでは、なんのことだかサッパリだ。
個人的には、いずれにせよデスクトップ OS として使いやすければいいと思う。
antiX-19 とほかの Debian 系との比較
antiX のイチバンの特徴は、冒頭でも紹介したとおりデスクトップ環境を持たず、高機能なウィンドウマネージャを使っているところ。
便宜上プロジェクトサイトなどではデスクトップ環境と読んでいるけれども、実際には定義が微妙に違う。
コンピュータの世界では、しばしば「GUI 操作できる環境=デスクトップ環境」とされることがある。
なので、この antiX の場合にも同様に「 GUI 環境=デスクトップ環境」とされている。
まぁ、余計な部分を排除しているからこそ軽量になるという、具体的な例だと思う。
コレに似ているのが、ポーランドで開発されている SparkyLinux の MinimalGUI 版。
SparkyLinux 自体、デスクトップ環境で LXQt や Xfce と言った基本的に軽量なものを採用しているけれども、MinimalGUI は Openbox だけを使っている。
Wikipedia: Openbox
使ってみた感想で言えば、個人的に SparkyLinux のほうが日本語環境の設定などの面において簡単だと思う。
antiX-19 の日本語入力設定についてはコチラ
▶︎ https://pc-freedom.net/basic/antix-19-japanese/
コレは多分 Openbox のシステムによるところが大きいと思う。
あと antiX で気になったのは、マルチメディア関連のソフトウェアが充実している。
特に Youtube の視聴ができるモノが2つも入っている。
MPS-Youtube は、使い方がサッパリわからなかったけれども、 SMTube は快適に Youtube 動画を視聴することができる。
普通にブラウザを起動して Youtube を視聴すると、パフォーマンスが低下するため、これらのソフトウェアで補う感じなのだろう。
実際にブラウザを起動すると RAM の使用量は 750~800 MB くらいだけれども、SMTube だと 500MB 以下で動作する。

環境により異なるけれども、720p以上の解像度だとカクついてくる。
SMTube での視聴はある程度快適だったが、ただし(というか、やっぱり)Google アカウトとの紐付けはできないので、「後で見る」とかライブラリなどの機能は使えない。
antiX-19 の良かった点・悪かった点
良い
- 見た目がずいぶん洗練された感じになった。
- 相変わらず軽量さはピカイチ!とにかくサクサク動く。
- なんだかんだで Debian 系だからソフトウェアは充実。
悪い
- 「初心者から~」とは言うものの、ホントに初めての人には難易度が高い。
- 日本語入力環境の設定は手間がかかる。
antiX-19 のおすすめ度(5段階評価)
初心者向け度… ★★☆☆☆
デスクトップ指向は高めだけれども、いろいろと手間がかかる。初心者には少し難易度が高めかな?
日本語の環境… ★★☆☆☆
日本語入力環境の設定にはパッケージインストーラーがあんまり意味ない。たくさんパッケージを追加しないとまともに動かない。
システム要件… ★★★★★
antiX が動かない PC は、ただのゴミでしょう。と言えるくらい軽量な Linux ディストリビューション。
総おすすめ度… ★★★☆☆
個人的にはアナタにも使って欲しい Linux ディストリビューション。その軽快さを知ればきっと病みつきになるでしょう。
antiX-19 に興味を持ったアナタは、下の URL を今すぐクリック!
ダウンロードする▶ https://antixlinux.com/download/