Ubuntu の最新版となる 19.10 「Eona Ermine (黎明のオコジョ)」が、2019年10月17日にリリースされた。

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Ubuntu とはどんな OS ?

Linux ファンにはもはや説明不要の Linux ディストリビューションだけれども、Linux に興味を持ち始めたユーザーにはざっくりと説明しておこう。

Ubuntu は Debian GNU/Linux をベースとしたオペレーティングシステムで、英国のカノニカルから支援を受けて開発されている。

開発目標は「誰にでも使いやすい、最新かつ安定した OS を提供する」こと。

その開発目標の通り、デスクトップ OS として使われることの多い Linux ディストリビューション。

今回の変更点は?

今回リリースされた Ubuntu 19.10 Eona Ermine は、次期 LTS (長期サポート版)の準備バージョンとして位置付けられており、サポート期間は9ヶ月の通常リリースとなる。

よってサポート期間は2020年7月まで。

ちなみに現行の LTS 版である Ubuntu 18.04 LTS Bionic Beaver のサポート期間は2028年4月まで。

今回はデザインの全体的な更新が行われ、「Yaru Light」と「Yaru Dark」の2系統からテーマを選択できるようになった他、様々なデザインが更新された。

でもコレ、GNOME Tweaks が必要になるので、別途 GNOME Tweaks をインストールしなきゃないのは面倒。

Ubuntu 19.10 Eona Ermine がリリースされたので試してみた。
何故かデフォルトでインストールされない GNOME Tweaks 。

左から、デフォルトの Yaru、Yaru-Light、Yaru-Dark (クリックすると大きな画像で見られます)。

ライトモードとダークモードは、もはや必要な機能ですね。

また、接続された USB デバイス(特に USB メモリとかストレージ系)が Dock に表示され、しかもそこからアクセスできるようになった。

Ubuntu 19.10 Eona Ermine がリリースされたので試してみた。
右クリックでイジェクトも選択できる。

システム面では、Linux カーネル 5.3 で追加された AMD Navi GPU や ARM Soc 、 Komeda ディスプレイなどのハードウェアが使えるようになった。

また開発のためのツールチェーンのほとんどがアップグレードされている。

さらにルートファイルシステムを ZFS ベースにすることができるようになった。

ZFS は Debian を始め CentOS, Fedora などでも採用されている。

ZFS とは?

128ビット・アドレッシングを特徴とするファイルシステム。
・チェックサムが64ビット化された
・コピーオンライトの実装
・ボリュームマネージャが必要なく、ボリュームの構成が容易にできるようになった
・ディスクの違い(容量、種類)を吸収する仮想ボリューム(ストレージプールと呼称)をサポート
・ストレージプールの作成・フォーマット・マウントがコマンド一行ですむ
・ファイルシステム自身がRAID機能を持つ
などの特徴を持っている。

NVIDIA 製プロプライエタリドライバもインストールイメージに標準で同梱されるようになり、レンダリングやフレームレートの多くが改善された。

Raspberry Pi 向けでは、今回 Raspberry pi 4 に対応したので、現行の Raspberry Pi すべてで Ubuntu 使えるようになった。

より詳しい情報は
https://wiki.ubuntu.com/EoanErmine/ReleaseNotes?_ga=2.146481202.780590102.1571738506-326024201.1571738506

Ubuntu の概要

  • ベース: Debian
  • アーキテクチャ: x86_64
  • デスクトップ環境: GNOME 3.34
  • パッケージ管理: dpkg (APT)
  • カーネル: 5.3

Ubuntu をインストールするのに必要なスペックは?

Ubuntu, Kubuntu, Ubuntu Budgie, Ubuntu Kylin はコチラが推奨。

  • CPU: 2 GHz 以上のデュアルコアプロセッサ
  • RAM: 4 GB 以上
  • DISK: 25 GB 以上の空き領域

Lubuntu, Ubuntu MATE, Ubuntu Studio, Xubuntu はコチラが推奨。

  • CPU: 1.6 GHz 以上のデュアルコアプロセッサ
  • RAM: 2 GB 以上
  • DISK: 20 GB 以上の空き領域

ちなみに最小のハードウェア要件はコチラ。

  • CPU: Pentium M 1 GHz
  • RAM: 512 GB
  • DISK: 7.5 GB の空き領域

主なアプリケーション (Ubuntu)

  • ブラウザ: Firefox Quantum 69.0.3
  • メール: Thunderbird 68.1.2
  • オフィス: LibreOffice 6.3.2.2
  • ミュージック: Rhythmbox 3.4.3
  • マルチメディア: ビデオ

Ubuntu についてのより詳しい情報は
https://ubuntu.com/download/desktop

個人的な意見ですが、

Disco Dingo のネーミングがボク的にストライクだったので、もう次のリリースかと思ってしまう。

18.04 から10年になった LTS のサポート期間と通常リリースのサポート期間の差が激しすぎる。

とはいえ、次の LTS まで 1 年を切っているのに気づかされたのがこの Eona Ermine のリリース。

Ubuntu とほかの Linux との比較

Ubuntu の最大の特徴は、恐ろしいほど計画的なリリーススケジュールだとボクは感じている。

企業の支援を受けている Linux ディストリビューションは他にもあるけれども、あの Fedora ですら Ubuntu のように定期的にリリースされているわけではない。

言ってしまえば、Windows よりも定期的にリリースされている。

LTS をリリースする間のリリースはすべてテストに使われ、そのテストのバグフィックスのためにポイントリリースがされる。

「ご利用は計画的に」すぎて、ズボラなボクには恐怖すら感じる。

でもそんな計画的なリリースのためか、Ubuntu をベースとした派生 OS が安心して開発できるのだろうとも思う。

Ubuntu 派生の多さの理由でもあるのではないだろうか。

Ubuntu 19.10 の良かった点・悪かった点

良い

  • パフォーマンスの向上した GNOME は気持ちいいい。
  • USB 接続したデバイスが Dock に表示・アクセスできるようになった。なかなか良い。

悪い

  • GNOME の使い勝手は好みが分かれるところ。嫌いな人も少なくないよね。
  • 通常リリースなのでしょうがないけれどもサポート期間が短い。

Ubuntu のおすすめ度(5段階評価)

初心者向け度… ★★★★☆
 さすが Ubuntu といった使いやすさ。ただし GNOME の操作については賛否ありのため星ー1。

日本語の環境… ★★★★★
 Ubuntu のローカライズはさすが。すべてのフレーバーにおいてインストール直後から日本語入力が問題なくできる。

システム要件… ★★★☆☆
 メインの Ubuntu をはじめ Kubuntu, Ubuntu Budgie, Ubuntu Kylin は、それなりのスペックが必要(とは言っても Windows 7 が動いていた PC なら問題なし)。Lubuntu をはじめ Ubuntu MATE, Ubuntu Studio, Xubuntu は古い PC でも快適に使える。

総おすすめ度… ★★★★★
 しっかり管理された開発環境と潤沢な資金が成せる商用 OS にも負けない Linux ディストリビューション。インストールするマシンスペックや好みのデスクトップ環境に応じてフレーバーを選べば、大体の PC で Ubuntu が使える。

Ubuntu に興味を持ったアナタは、下の URL を今すぐクリック!
ダウンロードする▶ https://ubuntu.com/download

おまけ:Ubuntu フレーバー

Kubuntu

Lubuntu

Ubuntu Budgie

Ubuntu 19.10 Eona Ermine がリリースされたので試してみた。
Ubuntu Budgie ▶ https://ubuntubudgie.org/

Ubuntu Kylin

Ubuntu MATE

Ubuntu 19.10 Eona Ermine がリリースされたので試してみた。
Ubuntu MATE ▶ https://ubuntu-mate.org/

Ubuntu Studio

Ubuntu 19.10 Eona Ermine がリリースされたので試してみた。
Ubuntu Studio ▶ https://ubuntustudio.org/

Xubuntu