Linux の巨人である Debian プロジェクトは、最新の安定版 Debian 10 (コードネーム: Buster) を2019年7月6日にリリースした。
Debian とは?
Linux の名前を知っているアナタに “Debian” は説明不要かもしれないけれども、ご存知ない方のためにザックリ説明すると Debian Project は、フリーなオペレーティングシステムを作成するために連携した個人の集団で、その集団が作ったオペレーティングシステムが Debian と呼ばれている。
1993年から始まった、世界最大の Linux ディストリビューションである。
今回のリリースでは?
Linuxカーネルは4.9系を採用している。
ディスプレイサーバーは Xorg に代わって Wayland がデフォルトになった。
Wayland は、ディスプレイサーバプロトコルの1つで、コンポジット型ウィンドウマネージャが、アプリケーションやグラフィクスハードウェアと直接通信できるようにするための方法を提供する。
シンプルかつモダンな設計であり、セキュリティ面でのメリットがあるとしている。
Xorgも継続してデフォルトで提供されるので、好きな方をデフォルトのディスプレイサーバーとして選択できる。
Debian では「Reproducible Builds」として異なる環境でも同じバイナリを再生成できる仕組みの構築を進めており、Debian 10の91%のソースパッケージがこれに対応できているとのこと。
これによって、コンパイラに細工をするような悪意ある攻撃に対応できるとしている。
アクセス制御フレームワークの AppArmour がデフォルトで有効となった。
また、APT では「seccomp-BPF」によるサンドボックスをオプションで使用できるようになるなど、セキュリティ面の強化が進んでいる。
このほか、
- ネットワークフィルタリングはデフォルトでは nftables になった
- Debian 7 で最初に導入した UEFI のサポート強化。
- ドライバレス印刷のための cups と cups-filters がデフォルトでインストールされる。
などなど。
Live 版は以下のディスクトップ環境のものが用意されている。
手持ちのマシンのスペックに合わせて使ってみると良いだろう。
- Cinnamon
- GNOME
- KDE
- LXDE
- LXQt
- MATE
- Xfce
より詳しい情報は
▶ https://www.debian.org/releases/stable/arm64/release-notes/index.ja.html
Debian の概要
- ベース: 独立
- アーキテクチャ: aarch64, armel, armhf, i686, mips, mipsel, ppc64el, s390x, x86_64
- デスクトップ環境: AfterStep, Awesome, Blackbox, Cinnamon, Fluxbox, flwm, FVWM, GNOME, i3, IceWM, ion, JWM, KDE, LXDE, MATE, Openbox, pekwm, Ratpoison, LXQt, WMaker, XBMC, Xfce
- パッケージ管理: dpkg (APT)
Debian をインストールするのに必要なスペックは?(推奨)
デスクトップなし
- CPU: AMD64, Intel 64
- RAM: 256 MB (512 MB 以上)
- DISK: 2 GB 以上
デスクトップあり
- CPU: AMD64, Intel 64
- RAM: 512 MB (2 GB 以上)
- DISK: 10 GB 以上
より詳しい情報は
▶ https://www.debian.org/releases/stable/amd64/ch03s04.ja.html
主なアプリケーション
オープンソースのソフトウェアならなんでもあります。
なので今回は割愛。
個人的な意見ですが、
Linux の巨人 Debian もついに 10 まできた。
初めて Debian がリリースされたのは1993年8月16日のこと。
もう26年も経つ。(2019年時点)
Debian は巨大になりすぎた故、Linux 初心者には少々ハードルがたくなっているかもしれない。
なんでもあるし、なんでもできるから、逆に何をしていいのかわからなくなってしまうね。
コードネームの由来
色々なものにコードネーム(開発コード)があり、Linux でももちろんある。
Debian でのコードネームはどんな由来があるのか気になった。
なぜなら今回のコードネームである “Buster” と聞くと、僕は「破壊する人」と訳してしまうけれども、調べてみると「でかいモノ」とかいう意味もあるらしい。
どちらにしろ、言葉としては強い言葉に思える。
だけどもコードネームの由来は意外なところにあった。
なんとピクサーの「トイストーリー」のキャラクターから取られたのだ。
なので Debian 1.1 のコードネームは “Buzz” だった。
最近のバージョンのコードネーム
- wheezy(Debian 7)は赤い蝶ネクタイをしたゴムのおもちゃのペンギン。
- jessie(Debian 8)はyodelingのカウガール。
- stretch(Debian 9)は、彼女の8本の長い腕に吸盤が付いたゴム製のおもちゃのタコ。
- buster(Debian 10)はAndyの愛犬。
参考:https://www.debian.org/doc/manuals/debian-faq/ch-ftparchives#s-sourceforcodenames
へー。
インストールしてみた
肝心の使い勝手について、今回は Live 版の GNOME を VirtualBox にインストールしてみた。
インストーラーに Calamares が採用されたので初心者でも指示通りに作業を進めれば問題なくインストールできる。
見た目もスッキリしているし、手順も簡単な Calamares は本当に好きです。
GNOME だけれども、インストール後もめちゃくちゃサクサク動いてくれた。
なんか別の OS みたいだ。
日本語環境
インプットメソッドとして Fcitx 、入力システムとして Mozc がインストールされる。
だがしかし、Live 版の GNOME をインストールしたのだけれども、なぜだかインプットメソッドが動いてくれない。
なぜだ???
Live 版だからダメなのか? VirtualBox だからダメなのか?理由がよくわからない。
なので、改めて通常版をインストールし直してみたけれど、やっぱりうまくいかない。
(そもそもインストールの時に DVD 2 とか入れ替えてなかったからなぁ)
あとでもう少し詳しく設定をみてみよう。
まとめ
いろいろ新しくなった Debian 10 Buster 。
25ヶ月の開発工期をかけたもので、サポート期間は5年。
Linuxカーネルは4.9系を採用している。
Linux の巨人に、できないことはない!(たぶん)
Debian に興味を持ったアナタは、下の URL を今すぐクリック!
Debian をダウンロードする
▶ https://www.debian.org/distrib/
コメント
トイ・ストーリーから来ていたとは知りませんでした。Debianは僕にはちょっと難しいところがありますね。
カゲズナ さん
コメントありがとうございます!
実はコードネームについては、僕も最近知りました。
プロジェクトサイトに書かれていることは、よく読むべきですね。
Debian は確かに難しいかもしれませんね。
大きくなりすぎて、複雑になってしまってますからね。
でも、これぞ Linux !というディストリビューションなので、たまに触ってみるのもいいかもしれません。
一昨日インストールしてみましたが、同様にfcitxがアウトです。
fcitx-mozcとfcitx-toolsのインストールとim-configも正常に終わりますが、fcitx設定にmozcが設定できません。
stretch(Debian9)までの設定に加え、環境変数の設定(~/.xprofileと~/.xinitrc)、~/.bashrcにも記述して試しましたが動いてくれません。
何かが変わったのかな~?
HARUMADO さん
コメントありがとうございます!
やっぱりそうですよね。
僕も同じように環境変数の設定も試みましたが、ダメでした。
まだ日本語化の情報が乏しいので他にできることを模索中です。
何かご存知でしたら教えていただけませんか?
私はDebian sidを使っていますが,日本語入力はiBusを通じて行なっています。
結構安定してるのでおすすめです。Mozcも使えますし。
Linuxの日本語入力環境は未だ鬼門ですね……。
とくめーきぼーさん
コメントありがとうございます!
Debian の場合、もしかしたら iBus のほうが相性が良いのかもしれません。
Fcitx も使いやすいのですが、iBus でないと動いてくれないディストロもありますからね。
ちなみに日本語だけじゃなく CJKV といわれる中国語・日本語・朝鮮語・ベトナム語(いわゆる東アジア圏の言語ですね)については、どこも同じように大変そうです。
最近メールやコメントで中国語圏の方などからも情報をいただくのですが、日本語化と同様な作業が東アジア圏の言語には必要になるようです。
ガラパゴスとまではいいませんが、東アジア圏の言語は他言語よりも特殊なのは事実ですね。