日本の高校生が開発した Caramel OS の、初の安定版となる 1.0 が2020年4月14日にリリースされていたので試してみました。
Caramel OS とはどんな OS ?
日本の高校生が開発した Ubuntu 派生の Linux ディストリビューション。開発者は作曲も行っており Caramel OS 公式テーマソングも存在する。
デフォルトでセキュリティ指向の Web ブラウザである Tor が含まれているのも特徴的。また独自ツールである Caramel Launcher では「システムの更新」や「アプリの追加」、「開発者のサイトを見る」、「ときえのきの曲を聞く」、「設定」ができる。
ちなみに Caramel Launcher の「アプリの追加」で追加できるのは以下のアプリ。
- Firefox … Web ブラウザ
- LibreOffice … オフィススイート
- Spotify … 音楽ストリーミングサービスクライアント
- gufw … ファイアウォール
- Java実行環境 (jdk)
今回の変更点は▶https://caramelos.xyz/blog/10/
Caramel OS の概要
- ベース: Ubuntu (Debian)
- アーキテクチャ: X86_64
- デスクトップ環境: Xfce
- パッケージ管理: dpkg (apt)
- パッケージ形式: deb
- カーネル: 5.3.0
Caramel OS をインストールするのに推奨されるスペックは?
- CPU: 64bit の Intel または AMD プロセッサ
- RAM: 2 GB 以上のシステムメモリ
- Storage: 32 GB 以上の空き領域
- Display: 1280×720 (HD 720P) 以上の解像度
主なアプリケーション
- ブラウザ: chromium, Tor Browser, (Firefox)
- オフィス: (LibreOffice 6.0.7.3)
- ミュージック: LMMS 1.2.1, Rhythmbox 3.4.2, (Spotify)
- マルチメディア: VLC メディアプレイヤー 3.0.8
Caramel OS についてのより詳しい情報は▶https://caramelos.xyz/
Caramel OS 個人的な意見ですが、
最近、日本の学生が開発した Linux ディストリビューションをいくつか紹介していた。今回の Caramel OS もそのひとつとなる。若い才能にたくさん出会えるのは嬉しい限り。
特に今回の Caramel OS を開発している「ときえのき」氏は作曲もしており、Caramel OS のテーマ曲を始めとしていくつかの曲が Caramel OS で聞くことができる。またデザインにもこだわっており、「美味しくて可愛い OS 」というキャッチコピーが表すとおり壁紙やアイコンなどは可愛らしいデザインになっている。レイアウトは Xfce デスクトップと Plank の組み合わせらしく macOS っぽいものになっている。
アプリケーション
プリインストールされているアプリケーションは Web ブラウザと、音楽作成できる LMMS と音楽管理の定番 Rhythmbox、VLC メディアプレイヤーという具合に、メディア関連が強化されている。逆に言うと、初期段階では他のアプリケーションはインストールされていない。開発者の趣味が存分に反映されているラインナップと思われる。
Caramel Launcher
Caramel OS 独自のツール Caramel Launcher は、システムの更新やパッケージの追加を行うことができる初期設定に便利なツール。
アップデートは他の作業をしながらでもバックグラウンドで動作する。Caramel Launcher で追加できるパッケージは前述の通り限られているため、それ以外のパッケージは「ソフトウェア」での追加となる。
また作曲活動もしている開発者の曲が最初から入っており、全曲フルで聞ける事に加えて、Linux 界で世界で初めて公式にイメージソングが存在する Linux ディストリビューションになっている。
開発者の Web サイトや Youtube チャンネル、Twitter などへのアクセスもこちらからできるようになっている。
タスクマネージャー?
ドックの真ん中にあるアイコンの色が変わる。
マウスポインタをアイコンに合わせると CPU と RAM の使用率が表示される。CPU の負荷がかかると色が「緑→黄→橙→赤」という具合に変化する。
ウルトラマンのカラータイマーみたいな感じ。ひと目で CPU の使用率がわかるアイディアもとてもおもしろい。
RAM の使用量
今回も RAM の使用量をチェックしてみた。
VirtualBox での環境は以下の通り。
Host
- OS: Windows 10
- CPU: Intel Core i7-4790 (4core)
- RAM: 3936MiB
初期設定を終えた時点でのチェック結果は以下の通り。
- screenfetch: 608MiB
- free: 605MiB
- htop: 618MiB
ちなみにインストール直後は以下の通り。
- screenfetch: 410MiB
- free: 407MiB
- htop: 406MiB
プログラムの追加によってタスクが増えたせいか、インストール直後からおよそ 200MiB 程度メモリ使用量が増えた。とはいえ 600MiB 台で動作する Caramel OS は軽量 Linux ディストリビューションと言える。
Caramel OS と他の日本製 Linux ディストリビューション
今回紹介した Caramel OS をはじめとした SereneLinux 、 NNLinux 、Yellowleaf Linux はすべて学生が開発している。いずれもコネクションがあり、情報交換も行われているため、場合によっては似ている部分も見られる。
ベータ版での提供が多いが、ベータ版でも Linux ディストリビューションとしても非常に品質が高い。どこかに潜むバグには注意は必要だけれども、それを踏まえて2番め3番めの OS として使ってみるのも面白い。
特に今回の Caramel OS にはイメージソングまであるという風変わりっぷり。
きっとこういう若者たちが、失われた日本のイノベーションを復活させるに違いない。
Caramel OS の残念な点と良い点
残念な点
- 海外のディストリビューションと比べると起動に少し時間がかかるかな…?
- Caramel Launcher は便利だけどもう少しアプリが増えると嬉しい。GIMP とか Inkscape とか、 Shotcut とかもあると嬉しいかも。
良い点
- いい意味で Linux ディストリビューションらしくないデザインとレイアウト。個人的に好き。
- Caramel Launcher では数クリックで完了する「システムの更新」や「パッケージの追加」は◎。
- オリジナルイメージソングを用意する開発者の熱意に乾杯!
Caramel OS のおすすめ度(5段階評価)
初心者向け度… ★★★★☆
Linux 初心者でも迷わず使えるかどうか。★が多いほどデスクトップ指向。
macOS っぽいレイアウトのため Windows ユーザーは少し戸惑うかも。またプリインストールされているアプリケーションは最低限なため、必要なアプリケーションを追加する必要がある。
日本語の環境… ★★★★★
日本語表示および日本語入力ができるかどうか。★が多いほど設定も簡単。
日本の学生が開発したため、日本語環境はインストール前のライブ環境から OK 。面倒な日本語入力環境の設定がいらないのは◎。
システム要件… ★★★★☆
古いマシンでも快適に使うことができるかどうか。★が多いほど古いマシンでも使える。
Xfce デスクトップを採用しているのでとても軽量な Linux ディストリビューション。64bit プロセッサであれば古い PC でもサクッと動いてくれる。
総おすすめ度… ★★★★★
全体的なおすすめ度。★が多いほどアナタに使ってみて欲しい Linux。
Xubuntu とはまた違った雰囲気を持つとても興味深い Linux ディストリビューション。
Caramel OS に興味を持ったアナタは、下の URL を今すぐクリック!
ダウンロードする▶https://caramelos.xyz/download/