NNLinux とはどんな OS ?

NNLinux Beta7: 日本の学生が開発した超軽量国産Linuxを試してみた。
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日本の高校生(2020年3月卒業)が開発したデスクトップ指向の超軽量 Linux ディストリビューション。2019年4月29日の Beta1 からほぼ毎月リリースされており、最新の Beta8 は 64bit に対応し2019年12月29日にリリースされている。

今回は YouTube の 32-bit パソコンにインストールする企画のため 32-bit 版である Beta7 を試してみた。

NNLinux の概要

  • ベース: Debian 10 buster
  • アーキテクチャ: i686
  • デスクトップ環境: Xfce 4.12
  • パッケージ管理: dpkg (APT)
  • カーネル:4.18.0-15

NNLinux をインストールするのに必要なスペックは?

  • CPU: 1.6 GHz 以上のプロセッサ
  • RAM: 512 MB 以上
  • Storage: 10 GB 以上の空き領域

主なアプリケーション

  • ブラウザ: Chromium 78.0.3904.108
  • メール: thunderbird 68.3.0
  • オフィス: LibreOffice 6.1.5.2
  • グラフィック: GIMP 2.10.8
  • マルチメディア: parole メディアプレイヤー 1.0.1, VLC メディアプレイヤー 3.0.8

▼より詳しい情報は▼
https://ja.wikipedia.org/wiki/NNLinux

NNLinux 個人的な意見ですが、

NNLinux Beta7: 日本の学生が開発した超軽量国産Linuxを試してみた。

最初に特筆すべきは、日本の学生が開発していること。

海外で学生が Linux ディストリビューションを開発するのは、それほど珍しく無くなっている。特に有名なのが Zorin OS ではないだろうか。1.0 のリリース当時、12歳と14歳の少年が中心となって開発が始まった。

しかし日本でも実は知られていないだけで、さまざまな Linux ディストリビューションが開発されているに違いない。その中の一つが、この NNLinux 。初めは気がつかなかったが Twitter で交流していた学生が、実は NNLinux の開発者だった。そこでこのディストリビューションの存在を知ることになるのだけれども、紹介がずいぶん遅れてしまった。

個人で開発されているため、大きなプロジェクトと同様なさまざまなサポートは期待することができないが、家庭でのデスクトップ OS として利用するには充分すぎるほど軽量で高機能な Linux ディストリビューションと言える。

NNLinux の名前の由来

それよりも気になった名前の由来。

名前にある NN とは野々村の略だというのだが「どの野々村さん?」と思い、開発者に直接聞いてみると、あの世間を賑わせた野々村元議員とのこと。当初あの報道をネタにしたデスクトップや起動音を使った、ネタディストリビューションにする予定だったとのことだが、出来上がってみると、普通に軽量 Linux が出来上がり、名前 (NN) だけが残ったということらしい。

日本語対応

日本人が開発しているだけあって、日本語環境は完璧。

NNLinux Beta7: 日本の学生が開発した超軽量国産Linuxを試してみた。
インストール前から Fcitx-Mozc が使える。

何よりもインストール前から日本語入力ができるのはありがたい。作業内容を保存することはできないが単純にライブ OS として使うことも可能。かなり軽量な Linux ディストリビューションなので、ライブ環境でもストレスなく動作してくれる。

軽量へのこだわり

開発者のツイートを見る限り、普段は Windows XP や Me 、Vista など、ハードウェア要件の低い OS と戯れている様子がうかがえる。ボク個人としてはそんな様子から「 32-bit の限られた条件下での開発」が面白かったに違いないと思うけれども、実際にはどうだろう?

NNLinux Beta7: 日本の学生が開発した超軽量国産Linuxを試してみた。
Xfce デスクトップながら LXDE 並に軽量。

現状は軽量なデスクトップ指向の OS として開発されているため、余計なタスクなどを可能な限り削減している。そのため初期状態ではサーバーの構築やプログラムの開発環境には向かない。その代わり、デスクトップ OS として必要なアプリケーションはもちろん、何気に使い勝手の良い「付箋」や「天気」などの気の利いたアクセサリがあるのが嬉しい。

Beta7 は 32-bit 版で、最新の Beta8 は 64-bit 版になっているが、アイドル時のメモリ消費量はほぼ変わらない。デスクトップ環境の高機能化により、肥大化するメモリ消費をここまで抑えているのは素晴らしい。無駄を削ぎ落としつつ、パフォーマンスを最大限に引き出す様子は、ボクサーとか F1 カーを連想する。実際に Xfce デスクトップにも関わらず、メモリの消費量などは LXDE (LXQt) と同等。NNLinux Lite もあり、そちらが LXDE デスクトップ環境を採用しているのだけれども、きっと単体の Openbox (LXDE のウィンドウマネージャも Openbox) そのままのメモリ消費量とあまり変わらないのだろう。こちらはあとで検証してみたい。

もしかしたら、これから Zorin OS のように化ける Linux ディストリビューションかもしれない NNLinux 。開発者は高校卒業後、就職するとのことらしいのだけれども、是非ともこの NNLinux の開発を続けていって欲しいと思う。

NNLinux と Xubuntu との比較

Debian + Xfce という組み合わせなら Xubuntu かな?ということで、比較してみた。

一般的な Linux ディストリビューションは「なんでもあり」な感じで開発される場合が多く、デスクトップ OS として使われるブラウザやオフィスの他、サーバー構築用のパッケージやプログラミングのパッケージなど様々なものが含まれることが多い。

Ubuntu フレーバーは、比較的必要最低限のパッケージだけにとどまっているけれども、採用されているデスクトップ環境の初期設定がほぼそのまま反映されている。そのため場合によっては、同じデスクトップ環境をもつ Linux ディストリビューションと比較しても重たく感じる場合が多い。とはいえ、軽量で高速な Xfce を採用している Xubuntu は古いマシンでも、充分軽快に動作してくれる。

NNLinux は、そんな Xubuntu よりも軽快に動作する。実際にメモリの消費量などを比較してみたところ、NNLinux は Xubuntu よりも Lubuntu に近い結果となった。つまり軽さでいうと Xfce よりもさらに軽い LXDE (LXQt) 並ということになる。

参考の記事▶LXLE 18.04.3: USA発Lubuntuベースの軽量Linuxを試してみた。

NNLinux の良かった点・悪かった点

悪い

  • いつ開発が終了してしまうかわからない不安は残る…。頑張れ!
  • オートログインの設定をしても、オートログインできず…。
  • Beta7 は CD/DVD からの起動ができないので、USB デバイスから起動できない古いマシンでは要注意。

良い

  • とにかく軽い!めちゃくちゃ軽い!
  • さすが日本人!インストール前から日本語入力できるのは最高!
  • Debianベースでパッケージも情報も豊富!

NNLinux のおすすめ度(5段階評価)

初心者向け度… ★★★★☆

Linux 初心者でも迷わず使えるかどうか。★が多いほどデスクトップ指向。

可能な限り Windows からストレスなく移行できるよう設計されているので、Linux 初心者でも安心して使える。

日本語の環境… ★★★★★

日本語表示および日本語入力ができるかどうか。★が多いほど設定も簡単。

日本人による日本語対応の Linux ディストリビューションだけあって日本語環境は完璧。インストール前のライブ環境でも日本語入力ができるのは◎。

システム要件… ★★★★★

古いマシンでも快適に使うことができるかどうか。★が多いほど古いマシンでも使える。

Xfce でありながら LXDE なみにメモリ消費量が少ない。プロセッサの要件が 1.6GHz 以上とのことだが、実際には Windows Vista 世代のマシンでも動作する。

総おすすめ度… ★★★★☆

全体的なおすすめ度。★が多いほどアナタに使ってみて欲しい Linux。

応援しているけれども、いつ開発が終了してしまうかわからない不安があるため☆-1。大きなプロジェクトで開発された Linux にも負けないくらい高機能で軽量。しかも日本語環境が完璧となると、日本人なら一度はつかって見たほうがよい。

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