Linux って何ができるの?まず言われますよね。Linux という OS では、一体何ができるのでしょう?
多様な OS の魅力
わたくしコダシマの場合、Windows も macOS も Linux も、節操なく浅く広く手を出してしまうので用途によって OS を選ぶ…みたいなところはあります。まあ、「マイノリティー」がカッコいい!みたいに感じる病を患っていた時もあったかもしれませんが、例えば、今ではだいぶ差がなくなったように感じる、特にデザイン・印刷界隈では、以前は圧倒的に macOS の環境のほうが優れていました。そして、別段優れているというわけではなかったのですが、互換性というか安定性というか、ベンダーの力も強かった面もふくめて事務系だったら Windows …みたいなイメージは、いまだにあります。
そこに来て Linux は?というところです。
学生や研究者なら Linux ってのが、コダシマの勝手なイメージです。そもそもコダシマは、知識としてけっこう早い段階から Linux の存在は知っていたのですが、使い始めたきっかけは、25年以上前のこと。当時、明日の1,000円にも困る極貧生活の中で、OS なしの中古パソコンが手に入ったのがきっかけです。当初は、無料で使えるOSとして、やむを得ず使い始めたというところです。
しかしながら、使ってみると興味が刺激され続けます。無料で使えるオープンソースの OS なので、貧相な作りなのかと思いきや、まぁ当時は少々野暮ったいインターフェースながらも、ちゃんとデスクトップ OS としても使えましたし、サーバーとかも構築できると知るとめり込んでいったわけです。
お金はかからないし、OS 自体が研究材料みたいなのに加え、ソフトウェアの開発環境がとても充実しています。また、今では画像編集ソフトや動画編集ソフトだけでなく、幅広いカテゴリのソフトウェアも豊富で、それらソフトウェアも無料と言われたら、使わないわけがないです。
好きです!Linux
いずれにせよ、それぞれの OS には得手不得手があり、それを理解した上で使うのが望ましいと考えています。そして、ココ何回かの動画では、パソコンはだいぶ OS に依存しなくて良い環境になってきているというお話をしています。その肝になるのが WEB ブラウザです。Windows や macOS に限らず、もちろん Linux でも WEB ブラウザは使えるわけですが…
はい、ところで皆さんは、WEB ブラウザ、何を使ってますか?
大人気 Google Chrome
今回の PC は「Package Compatibility」の PC 。
パッケージの互換性についての PC です。
ってことで、繰り返しになりますが、最近では ブラウザアプリを使うことで、OS に依存せずに出来ることが増えました。Linux でも WEB ブラウザを使えば Windows とかに、よく似た環境を再現できる!ってもんです。なので、Linux で WEB ブラウザを使ってみましょう!ということなんですが、Linux で使える WEB ブラウザ、一体何があるのでしょう?
Linux で使える WEB ブラウザを紹介する前に、まず WEB ブラウザの現状を確認しておきましょう。ウェブ上の統計調査を主な業務とする米国の企業 StatCounter (スタットカウンター)の調査による、世界中で使われている WEB ブラウザのシェアランキングトップ5がこちら…
第1位 | Chrome | 65.32% |
第2位 | Edge | 12.81% |
第3位 | Safari | 8.7% |
第4位 | Firefox | 7.25% |
第5位 | Opera | 3.04% |
Desktop Browser Market Share Worldwide | Statcounter Global Stats
このランキングを見るとデスクトップで最も使われている WEB ブラウザは Chrome ということです。だいぶ開きはあるものの Edge が2番目に使われているというのが個人的に気になりました。なぜに気になったかというと、パソコン界隈に詳しい方ならご存知かと思うのですが、Chrome にしろ Edge にしろベースとなる WEB ブラウザがあります。それは Chromium 。Chromium は Google Chrome のベースとなった WEB ブラウザというか、ざっくりいうと Google Chrome のオープンソース版です。
この Chromium という WEB ブラウザは、 Google のオープンソースプロジェクトの1つで、この Chromium をベースに、さまざまな Google のライセンスを盛り込んだ WEB ブラウザが Google Chrome となります。つまりは Chrome と Edge は同じ源流をもつ WEB ブラウザということです。その証拠と言ってはなんですが、Edge でも Google Chrome に搭載されている多くの機能が引き継がれており、中でも Chrome ウェブストアの拡張機能がそのまま使えるというのが特徴です。
なので、コダシマ的には見た目は違っても、中身は同じ WEB ブラウザだと思ってしまうわけです。ランキングには入ってませんが、vivalde や Brave といった、時々 WEB 広告で見かけるブラウザも Chromium をベースに開発されているので、まぁ、いずれにせよ Chromium 系ブラウザのシェアが圧倒的なのは変わらない結果です。
で、何が言いたかったかというと、Linux 使える WEB ブラウザを紹介するとは言ったものの、本当に伝えたかったのは、皆さんが使っている Google Chrome が Linux でも使えるということをお伝えしたかったわけです。
そんなわけで、早速ダウンロードしてみましょう。
Google Chrome のダウンロードページに進み、ページ内に表示されている「ダウンロード」をクリックすると使っている OS に応じたポップアップ画面が表示されます。
自動的に OS を判別して、適切なパッケージのインストールがアナウンスされるわけですが、Linux の場合には何やら選択させられます。
- .deb(Debian/Ubuntu 用)
- .rpm(Fedora/openSUSE 用)
はい、このようにあります。
これって Linux の代表的なパッケージ形式なのですが、Linux の使用経験が少ない人にとっては「?」ですよね。
ってことで、ここでちょっと Linux のパッケージ形式について説明しましょう。
Linux のパッケージ形式
そもそも Linux は、本来オペレーティングシステム(OS)の中心にある「カーネル」というプログラムを指します。ただし、一般的に使われる「Linux」は、Linux カーネルを使用して構築されたシステム全体を指すことが多いです。単独の Linux カーネルだけでは、コンピューターは動作してくれません。コンピューターを動かすためには、サーバー向けだったりパソコン向けだったりなどの、目的に応じた追加機能が必要になります。
そこで、Linux カーネルにこれらの機能(ライブラリやアプリケーションソフトウェアなど)を組み合わせてパッケージ化したものを「Linux ディストリビューション」と呼びます。Linux ディストリビューションは、バリエーションとも言い換えられ、実に多種多様なものがあります。その選択肢の広がりが、初心者にはやや難しく感じられるかもしれません。
なので、Linux ディストリビューションについても知っておきましょう。
Linux ディストリビューションとは?
「Linux ディストリビューション」は、Linux の基本的なシステムに、様々なソフトウェアやツールを追加し、特定の目的やユーザビリティに合わせて開発者がカスタマイズしたものを指します。Linux の柔軟性により、教育、サーバー、デスクトップ利用、エンタープライズ、特定のタスクに特化したシステムなど、さまざまな用途に合わせてカスタマイズすることが可能です。
なので、多様な開発コミュニティや企業が、独自のニーズに合わせたディストリビューションを開発しています。
このように、ディストリビューションを「Linux のフレーバー」や「バリエーション」とみなすことができます。それぞれのディストリビューションは、異なるユーザーインターフェース、予めインストールされたソフトウェア、セキュリティの設定などを提供し、それぞれ特有のユーザーや使用目的に最適化されています。
1つ例え話で説明してみます。Linux カーネルを「小麦」に例えます。
開発コミュニティや企業が、その小麦を使う料理人だとして、小麦を使ってパンを作るのか、パスタを作るのか、それとも天ぷら?いずれにせよ、同じ原料(カーネル)を使っても、見た目も食感も全く異なるベース食材が出来上がります。これが例えば Debian や Fedora、Arch Linux といった、いわゆる源流やベースと言われるディストリビューションになります。
そして、さらにこれらベース食材を使って、様々な料理、例えばバン生地でパンをアンパンにしたり、パスタを使ってミートソースにしたり、はたまたかき揚げ天ぷらなどなどをつくりますよね。これらが、Linux Mint や Zorin OS、Manjaro あたりのディストリビューションとなります。
っと、このように、それぞれの料理人(企業やコミュニティ)が、同じ材料(Linux のコア)を使って、さまざまなメニュー(ディストリビューション)を作るわけです。当然、料理の方法や味付け、提供の仕方によってだいぶ異なります。
さらに、食材に合った料理法だったりが、パッケージ管理だとイメージしてみましょう。パンを作るときと、パスタを作るときって、料理の仕方が違いますよね。パンは焼いて作ります。パスタは茹でます。天ぷらは揚げます。そんな感じで、小麦から出来た食材を料理するように、それぞれの Linux ディストリビューションに合ったソフトウェアのインストールの仕方があります。
Linux では、いろいろなプログラムを格納するためのディレクトリ(Windows 的に言えばフォルダ)に基本的なルールがありますが、開発者の目的によってディレクトリも拡張され、搭載されるソフトウェアも変わります。その違いから、ソフトウェアをインストールする仕組みや管理方法が異なります。それが、パッケージ形式やパッケージ管理システムというところです。
例えば、食パンを Debian 、Ubuntu が菓子パンとすると、調理方法(パッケージ形式)はオーブンで焼く(.deb 形式)というもの。
もう一つ例えてみましょう。
スパゲティを Fedora として、マカロニを AlmaLinux とすると、調理方法(パッケージ形式)は茹でる(.rpm 形式)というものです。
だから時々、パンを茹でたりする変わり種があったりするわけです。
…かなり乱暴な例えなので、逆にわかりにくいとか言われそうですが、コダシマ的にはこんな感じでイメージしています。まぁ、そんなこんなで、Linux の代表的なパッケージ形式が、Google Chrome のダウンロード画面で出てきた「.deb」や「.rpm」というわけです。
代表的な Linux ディストリビューション
何気に、パッケージ形式で .deb 形式とか .rpm 形式とか言いましたが、ディストリビューションの系統によって、パッケージ形式はある程度決まっています。先ほどもチラッと名前を出しましたが、世界中にはたくさんのディストリビューションがあり、パッケージ形式は、その代表的ディストリビューションから引き継がれるものがほとんどです。
ということで、代表的なディストリビューションをいくつか紹介いたします。
Debian: deb 形式
最も影響力のある Linux ディストリビューションの一つで、安定性とセキュリティに重点を置いており、サーバー用途によく使用されますが、デスクトップ用途にも適しています。
Ubuntu:deb 形式
Debian から派生した初心者にも使いやすいと評判のディストリビューションです。洗練されたデスクトップ環境と広範なソフトウェアサポートが特徴です。
Fedora: rpm 形式
Red Hat 社がスポンサーとなって、世界中のコミュニティによって開発されています。最新の技術を積極的に取り入れているため、開発者や技術愛好家に人気があります。
openSUSE: rpm 形式
強力で安定した Linux ディストリビューションの一つです。幅広いハードウェアのサポートや使いやすい設定ツール、豊富なソフトウェアリポジトリが特徴です。
Arch Linux: pkg.tar.zst 形式
カスタマイズ性が非常に高く、ユーザーが最初から自分の好みに合わせてシステムを構築できるため、初心者よりも経験豊富なユーザーに適しています。
以上が、最も代表的な Linux ディストリビューションです。
これらから更に派生していくわけですが、それぞれのパッケージ形式によって、パッケージ管理システムも異なるわけです。
んで、興味がある人であれば、これが楽しくて仕方ないのですが、そうでない人にとっては、いくつもパッケージ形式があるとか、パッケージ管理システムが違うとかって煩わしいだけでしょう。実は、Linux にはこれを軽減してくれる仕組みもあり、それが以前、紹介した flatpak です。
Flatpak で扱っているソフトウェアは、Windows でも使えるフリーソフトも多いので、Windows で使い慣れているものであれば Linux への乗り換えも十分対応できます。Flatpak に対応しているソフトウェアは Flathub で確認できます。
Google Chrome はもちろん Microsoft Edge、VLC や Spotify、Discord や Teams なんて名前も確認することができます。ってなことで、今では Linux でも Google Chrome も Microsoft Edge も使えるわけです。ただ、Google Chrome の場合にはほぼほぼ差はありませんが、Microsoft Edge の場合、微妙にインターフェースのレイアウトが違うので、ほんのちょっと気をつけてください。(同じくなる可能性高)
Linux で Microsoft
そんな感じで Linux でも Microsoft のソフトウェアが使えるわけなのですが、一昔前まで Microsoft は Linux に対して、Linux も(というかオープンソース界隈が)Microsoft に対してバチバチだったので、今の状況は到底考えられませんでしたね。
いずれにせよ、Flatpak で扱っている Edge や Skype、Teams などのソフトウェアに加え、今の WEB ブラウザ版 Microsoft 365(まぁ、office ですね)は、フォントやマクロといった面で幾つかの制限はあれど、もうほぼパッケージ版と差がありません。というか Outlook も Teams も、最新版はほぼ WEB ブラウザアプリなので、最近の Microsoft は、だいぶ WEB アプリにシフトしているように思います。普通に使う分には、なんら問題ありません。
ってか、方向性として、近い将来フォントやマクロ周りも何らかのカタチでカバーしそうな勢いですよね。いずれにせよ、Excel も Word も PowerPoint もちゃんと使えます。というか、むしろ複数で共同作業する場合はオンライン版のほうが便利です。クラウド経由で1つのデータを共有できるので、例えば一昔前のように、メールにデータを添付してやり取りして、そのうちどれが最新なのかわからなくなるとかを防げます。
それと、書類作成のおまけと言ってはなんですが、簡単なデザインも WEB ブラウザで出来てしまいます。オフィスのオートシェイプも機能として追加されたのに加え、デザイン向けの WEB サービスも充実しました。こちらも別で紹介していますが、Canva というサービスを利用することで、グラフィックデザインや、簡単なショート動画の編集まで出来てしまいます。また、クリエイティブソフトウェア大手の Adobe でも、Canva と同様のサービス Adobe Express が提供されています。いずれも機能制限はあるものの無料で使い始めることが出来ます。
このように、他のプラットフォームと同じ WEB ブラウザが使えることで、Linux OS であっても Windows の環境と同じようなことが出来てしまうわけです。これくらい出来ることがある Linux が「使えない」なんてことは無いですよね?
今回のまとめ
今回は Linux で出来ることとして、WEB ブラウザについて紹介しました。これでほぼ完結なのでは?と、個人的には思うほど、最近の WEB ブラウザでは、できる事が増えましたよね。んで、実はコダシマ、WEB ブラウザの事でもう1つ注目してることがあります。それは、パソコンのスペックについてです。
WEB サービスによっては、ある程度の高いスペックが必要とされますが、基本的には WEB ブラウザ自体が動作するスペックで、高速なインターネット環境があれば、その多くがカバーされます。WEB ブラウザの機能が賄う処理もあるため一定のスペックを必要とはしますが、回線の向う側にある強力なサーバーが負荷のかかる処理を引き受けてくれます。そのため、安く手に入れた中古パソコンとかでも、最新環境に極めて近い環境を再現することができます。
っとまあ、WEB ブラウザさえ使えれば、なんとかなる世の中になったと言うことで、この動画を締めたいと思います。ただ、Linux で出来ることがコレだけってことはないので、Linux をデスクトップ OS として使うときに、出来ることをまた紹介したいと思っております。
PC-FREEDOM のコダシマでした!
参考サイト
- https://www.chromium.org/chromium-projects
- https://www.google.com/chrome
- https://www.microsoft.com/ja-jp/edge
- https://vivaldi.com/ja
- https://brave.com/ja
- https://www.debian.org
- https://www.debian.or.jp
- https://jp.ubuntu.com
- https://www.ubuntulinux.jp
- https://fedoraproject.org/ja
- https://www.opensuse.org
- https://ja.opensuse.org/%E3%83%A1%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%83%9A%E3%83%BC%E3%82%B8
- https://archlinux.org
- http://www.archlinux.jp/
- https://flatpak.org
- https://flathub.org