お盆休みの合間や、夏休みの自由研究に 32bit OS に触れてみると言うのはいかがでしょうか?

今回はすでに、骨董品になりつつある 32bit パソコンと、その 32bit パソコンを再生する 32bit OS を紹介いたします。

ぜひ最後までお付き合いください。

それではいってみましょう!

32bit プロセッサ

【2022年版】まだ使う!32-bit パソコン!まだ使える!32-bit Linux 32選!

32bit プロセッサは、1985年に登場した Intel 80386、通称 i386 からその歴史は始まりました。

今ではほとんどの PC に 64bit プロセッサが搭載されていますが、その 64bit プロセッサは 32bit プロセッサ登場から約18年後の 2003 年頃からパソコンに搭載されはじめました。

そして一般的に 32bit プロセッサと 64bit プロセッサの普及の境目は Intel 社が開発した Core i シリーズの販売がはじまった 2008 年頃とされています。

また、それらのパソコンを利用するために必要な OS も、そのプロセッサに合わせて同じように開発され 32bit プロセッサに適した 32bit OS と 64bit OS があります。

それぞれに特徴がありますが、中でも 32bit OS は「メモリ 4GB の壁」と呼ばれるものがあり、これは 4GB 以上のメモリを積んでいたとしても 4GB 以下しかメモリを使うことができないというものです。

【2022年版】まだ使う!32-bit パソコン!まだ使える!32-bit Linux 32選!

今となってはデメリットにしか思えない部分ですが、以前は特にビジネスモデルの PC を中心に、メモリやストレージなどのリソースの限られる 64bit PC を快適に使う目的で、あえて 32bit OS を 64bit PC にインストールするということもありました。

だいぶ前に書いたブログ記事のなかで、ちょっと踏み込んで紹介しているので参考にしていただければ幸いです。

そんな 32bit OS 、Microsoft でも Windows 10 までは 32bit 版が提供されいましたが、Windows 11 ではよりハードウェア要件が厳しくなり、64bit プロセッサでも使用できない PC が出て来ました。

Linux でも 32bit 版の開発や提供を終了しているプロジェクトも少なくありません。

その理由の一つとして考えられる資料があります。

2017年度の資料になりますが、家電製品の買い替えについて内閣府がまとめた資料

内閣府「消費動向調査」データによる家電製品使用年数調査報告書(2017年度版)
https://www.aeha.or.jp/about/pdf/naikakucyousa_1809.pdf

によるとパソコンの買い替えは5年もしくは10年と言う回答が多く出ています。

中には15年、20年と大切に使い続ける方もいるようですが、大半が 5~10年で買い換えられるということを意味しています。

この資料を見ると 32bit パソコンの多くは、すでに買い替えられてしまっていると言うことでしょう。

世の中は 64-bit パソコン、64bit OS が一般的ということです。

大手の企業でも 32bit OS の開発をやめてしまう中にあって、企業よりも開発環境や資金面などのリソースが少ないコミュニティ主体のプロジェクトで開発が打ち切られても仕方ありませんね。

32bit パソコンの生き残り

【2022年版】まだ使う!32-bit パソコン!まだ使える!32-bit Linux 32選!

32bit プロセッサを搭載したマシンはもはや骨董品と言ってもよいレベルになりました。

ですが無くなるとなると、妙に価値を感じてしまうのはボクだけでしょうか?

というか、実際にはまだ現役で稼働できる(もしくは、している)32bit パソコンも存在しています。

そんな 32bit マシンにこだわるユーザーや、そのユーザーをターゲットとした酔狂なプロジェクトも数は少なくなりましたが現存しています。

そこで、まだ手に入る 32bit Linux を、 32bit にちなんで 32 種類集めてみました。

条件として

  • プロジェクトが活動中であること
  • サポートされているバージョンであること

で調べてみました。

DistriVersionLiveBased onDesktop
Absolute Linux15.0SlackwareIceWM
Alpine Linux3.16.1IndependentCLI
antiX Linux21DebianFluxbox, IceWM, JWM
Bodhi Linux5.1.0DebianMoksha (Enlightenment)
BunsenLabs Linux3 LithiumDebianOpenbox
Debian GNU/Linux11 bullseyeIndependentAll
Devuan GNU+LinuxChimaera 4.0DebianCinnamon, KDE Plasma, LXQt, MATE, Xfce
Elive3.8.30 BetaDebianEnlightenment
EmmabuntüsDebian Edition 5DebianLXQt, Xfce
Exe GNU/Linux20220306DevuanTrinity
Gentoo Linux20220801IndependentCLI
Kali Linux2022.2DebianGNOME, KDE Plasma, Xfce
KNOPPIX9.1DebianGNOME, KDE, LXDE, Openbox
LMDE5DebianCinnamon
Mageia8IndependentXfce
MX Linux21.1antiXXfce
NixOS22.05IndependentCLI
openSUSE TumbleweedSnapshot 20220802IndependentGNOME, KDE Plasma, Xfce, IceWM
PeppermintOS11DebianXfce
Porteusv5.0SlackwareCinnamon, GNOME, KDE Plasma, LXDE, LXQt, MATE, Openbox, Xfce
Puppy LinuxBionicPup 8.0IndependentJWM, Openbox
Q4OS4.10 GeminiDebianTrinity
Salix15.0 betaSlackwareXfce
Slackware15IndependentCLI
Slaxv11.4.0DebianFluxbox
SliTaz GNU/Linux5IndependentCLI, (Openbox)
Sparky Linuxstable edition 6.3DebianLXQt, Openbox
Tiny Core Linux13.1IndependentFLWM, JWM, IceWM, Fluxbox, Hackedbox, Openbox
Ufficio Zero Linux4.1LMDECinnamon
Void Linux20210930IndependentXfce
Voyager Live11 Debian BullseyeDebianXfce
Zorin OS Lite15.3UbuntuXfce

※ CLI の表示があるディストリビューションは、基本的に GUI 環境を含みません。

Linux のほかに、BSD でも特に GUI 環境があるディストリビューションとして

があります。

CLI 環境であればもう少しあります。

さらに、Windos NT のバイナリー互換を目指すオープンソースプロジェクト

かつて存在したマルチメディア OS の BeOS に触発されたオープンソースプロジェクト

など、一言でもの好きと片付けてしまえない、ロマンあふれるプロジェクトが存在しています。

32bit Linux のまとめ。

【2022年版】まだ使う!32-bit パソコン!まだ使える!32-bit Linux 32選!

今回は 32bit パソコンで使える 32bit Linux を集めてみました。

32bit パソコンよりも、現在流通しているローエンドモデルの PC の方がだいぶ高性能になってしまった現在、32bit パソコンの出番はかなり少なくなってしまったかもしれませんが、それでも、もう少しだけ 32bit パソコンに活躍してもらいたいと思われる方は、ぜひ参考にしていただけたらと思います。

先人たちの努力が詰まった 32bit パソコンを、もう少し使い込んでみてはいかがでしょうか?

おまけ。

すっかり Raspberry Pi Desktop の存在を忘れていました。

大人気シングルボードコンピュータの Raspberry Pi 向けに開発された Raspberry Pi OS の PC と Mac 向けも 32bit OS です。

こちらもなかなかサクサク動いてくれますよ。

また、学生が中心の日本のコミュニティで開発されている Alter Linux もまた 32bit 版です。

アップストリームの Arch Linux では 32bit 版の提供は終了していますが、Alter Linux では、まだ 32bit 版が提供されているのは素晴らしいですね。