今回は久しぶりに Linux ネタに戻ってきました!
紹介するのは Ubuntu 22.10 から公式フレーバーに追加された Ubuntu Unity です。
Unity といえば、かつて Ubuntu のデフォルトインターフェイスだった時期もある UI です。
GNOME に取って代わられた Unity が、なぜ公式フレーバーに追加されたのか?放棄された Unity のその後と復活の経緯について紹介していきます。
ぜひ最後までお付き合いください。
それでは行ってみましょう!
Unity インターフェイス
Unity インターフェイスは、2011年に初めて Ubuntu 11.04 でデフォルトインターフェイスとして登場しましたが、バージョン8は未完成のまま放棄されました。
当時は Unity に否定的なユーザーも少なくなかったと言われており、事実 Ubuntu 17.10 から、インターフェイスに GNOME がデフォルトとなります。
逆に Unity インターフェイスを支持するユーザーも当然一定数おり、その筆頭 Ubuntu Touch を開発している UBports が携帯電話向けのインターフェースとして Unity 8 を引き継ぎました。
現在 Unity は Lomiri (ロミリ) と改名し開発が続けられています。
ちなみに改名の理由は、まず Unity という名称が Unity ゲームエンジンと衝突し、例えば会話の中で Unity がデスクトップを指しているのか、それともゲームエンジンを指しているのかが分かりづらいことが挙げられます。
また、Ubuntu から離れたのにも関わらず、パッケージには ubuntu の名称が含まれているパッケージが残っていることもあり、法的な問題などがあったわけではありませんが、これらの不便を考慮した上で UBports が主体的に名称を変更したということです。
そして、Unity インターフェイスを支持していたのは UBports だけではありません。
Linux Foundation 認定の開発者である Rudra B. Saraswat さんが、バックエンドに Unity 7 を使用し、最小限の変更で Ubuntu Unity を立ち上げました。
彼はこれまでに Ubuntu Web や Krob Linux などのディストリビューションを作成しており、その中で Ubuntu Unity の開発を始めた動機について、 一言でいうと「Unity 7 への愛着」ということです。
彼が8歳のときに使用していた Ubuntu 17.04 の Unity7 がとても好きだったそうです。
Saraswat さんは、2020年に若干10歳にして Ubuntu Unity をリリースし、公式の Ubuntu フレーバーとして認められることを目指します。
そして、その情熱が実を結び、Ubuntu Unity は、22.10リリースから公式フレーバーに追加されました。
Ubuntu Web の紹介をした際にも思いましたが、すごい人ですね!
FOSS の Youtube チャンネルで Rudhra Saraswat さんが取り上げられた際の動画です。
Ubuntu Unity
ディストリビューションの概要は、基本的に無印 Ubuntu と大差ありません。
ハードウェア要件についての明記はありませんが、推奨システムは無印 Ubuntu と同じと思われます。
というか無印 Ubuntu の推奨システムであれば、大体の Linux が快適に使えると思います。
推奨システム
- 2 GHzデュアルコアプロセッサ以上
- 4 GBシステムメモリ
- 25 GBのハードドライブ空き容量
- DVDドライブまたはUSBポート(インストールメディアとして使用)
- インターネットアクセス(推奨)
デスクトップ環境とデザイン
Ubuntu Unity は Unity 7 をベースに、それまで使われていた Ambiance テーマを、最新の Yaru テーマと Papirus アイコンテーマに置き換えられています。
ただし、以前の Ambiance テーマへ切り替えることもできるので、昔の雰囲気を味わいたい方はお試しください。
ベースが Ubuntu なので、幅広いハードウェアに対応しています。
Ubuntu で使えるハードウェアは使えます。
デザインでは、特に設定画面が特徴的でしょう。
現行の Cinnamon デスクトップや Xfce などで見られるレイアウトによく似ています。
改めて GNOME じゃないんだなぁと思うところです。
Flatpak 対応
なんと Ubuntu Unity では Flatpak がデフォルトで対応しています。
無印 Ubuntu は、頑なに Snap のみですが、ココらへんは公式フレーバーとは言え、開発コミュニティが異なるために生まれた違いでしょう。
よく「Firefox は Snap 版よりも Flatpak 版のほうが起動が速い」と耳にします。
コダシマも厳密に起動速度を計測したわけではありませんが、それでも体感で起動の速度の違いがわかるほどです。(もちろん Flatpak のほうが速い)
日本語対応
Ubuntu ベースのディストリビューションでは、もはや当たり前になった多言語対応です。
もちろん日本語もインストール直後から入力することができます。
でも一応「言語サポート」で、不足しているパッケージのインストールをすることをおすすめします。
Ubuntu Unity のまとめと評価
人によっては「古き良き Ubuntu が帰ってきた」という方もおられるようです。
コダシマ的にはそこまで Unity に思い入れがあるわけではありませんが、実はこの間まで努めていた会社のシステムの一部で Ubuntu 16.04 が稼働しており、日常的に Unity のシステムを使っていたので、そこまで違和感はありませんでした。
が、ウチに帰ると GNOME の Ubuntu だったりしてたので、アプリケーションのボタンが上と下と真逆なレイアウトだと少々とまどってしまっていました。
古い Linux のデスクトップ環境の多くは GNOME にしろ KDE にしろ、Xfce にしろ、アプリケーションボタンに該当する機能は左上にあったと記憶しています。
これは全くの個人的見解なのですが、PC が一人に付き複数台と普及している今の世の中で、9割を超えるシェアの Windows の影響は、左上にあったボタンを左下にまで変えてしまい、伝統的なレイアウトと言われるまでになったと思ってます。
Windows 11 でそれを変えようとしているようですが…。
ある種の原点回帰では無いかな?と思わせるディストリビューションです。
何よりも、この開発を始めたのがまだ10代の学生というのが恐ろしいですね。
Saraswat さんは、精力的に活動しており今後の活躍も楽しみです。
Ubuntu Web は 20.04 以降、更新が止まっているようですが、Ubuntu の公式フレーバーとなった Unity の開発で忙しいのでしょう。
関連サイト
- Website – https://unity.ubuntuunity.org/
- Twitter – https://twitter.com/ubuntu_unity
- Wikipedia – https://ja.wikipedia.org/wiki/Unity_(%E3%83%A6%E3%83%BC%E3%82%B6%E3%82%A4%E3%83%B3%E3%82%BF%E3%83%95%E3%82%A7%E3%83%BC%E3%82%B9)
- Wikipedia (en) – https://en.wikipedia.org/wiki/Ubuntu_Unity
- Unity desktop – https://unityd.org/
- Yaru – https://github.com/ubuntu/yaru
- Papirus – https://github.com/PapirusDevelopmentTeam/papirus-icon-theme
- Ubuntu Web – https://ubuntu-web.org/