今回はヨーロッパで人気の高い openSUSE が、2020年7月2日に最新版となる Leap 15.2 がリリースされたので試してみました。
Leap 15.2 ではセキュリティやバグ修正に加えて、コンテナや仮想マシン技術のサポート強化、AI 技術や機械学習に関するパッケージの追加などが行われました。
ということですが、そもそも openSUSE をご存じない方のためにざっくり紹介していきます。
openSUSE とは?
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openSUSE はドイツを拠点としたオープンソースソフトウェア企業である SUSE およびプラチナムスポンサーの AMD、シルバースポンサーの B1 Systems を始めとしたスポンサー企業や個人の支援によって運営されている「openSUSE プロジェクト」によって開発されているオープンソースの Linux ディストリビューション。
もともとは SUSE が開発した SUSE Linux がベースとなり、紆余曲折を経て現在のコミュニティーベースの開発体制になりました。
ちなみに Geeko(ギーコ)と呼ばれるカメレオンがマスコット。
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2019年3月20日 SUSE,ふたたび独立企業になる
https://gihyo.jp/admin/clip/01/linux_dt/201903/20再び独立企業となったSUSEは「エンタープライズOSS企業」目指す
https://ascii.jp/elem/000/001/842/1842238/
openSUSE は、安定版の Leap とローリングリリースモデルを採用した Tumbleweed (タンブルウィード)が用意されており、有償版の SUSE Linux Enterprise のベースにもなっている。
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今回紹介するのは、安定版の Leap となります。
推奨システム要件
- CPU: 64bit 2GHz デュアルコア以上
- RAM: 2GB 以上
- Storage: 40GB 以上
openSUSE の特徴
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openSUSE いちばんの特徴は YaST と呼ばれる総合的な管理・設定ツール。
ソフトウェアをインストールしたり、ハードウェアやネットワーク、サーバーセキュリティなどに関するシステム設定を GUI 環境で行うことができるもの。
openSUSE で使われるパッケージは rpm 形式で、GUI 環境ではなくコマンドラインでパッケージ管理する場合には Zypper が使われる。
デスクトップOSとしても充分なパッケージが用意されており、ローカライズも完璧なので日本語でもバッチリ。
日本ではそこまで知名度が高いわけでは無いけれども、拠点のあるヨーロッパでは特にサーバー環境において有償版の SUSE Linux Enterprise Sever のシェアが高い。
で、今回のリリースで注目されているのが AI 技術や機械学習に関するパッケージの充実です。
正直なところボクにはよくわからないところもあるのですが、リリースの内容を確認してみると
深層学習向けのフレームワーク「Tensorflow (テンソルフロー)」や Python 用の機械学習ライブラリ「PyTorch (パイトーチ?)」
機械学習や人工知能のモデルを表現するオープンなフォーマット「ONNX」といった業界標準のパッケージが標準で搭載されるほか
Grafana (グラファナ)、Prometheus (プロメテウス) という専門家向けのデータ解析ツールも提供されています。
コレ以外にも、サーバー向け技術も大幅に機能強化されておりコンテナ管理基盤の「Kubernetes (クーベネティス?)」と、Kubernetes 向けのパッケージマネージャ「Helm」が公式パッケージに追加されました。
コレによって openSUSE がコンテナを利用する大規模アプリケーションの実行基盤として、飛躍的に使いやすくなったことになります。
興味のある方は確認してみてください。
Kubernetes についての詳しい動画⇒ https://youtu.be/zGXYRQ-8pU0
コンテナ?
おぃおぃ、コンテナってなんだよって方もいると思うので、ここでコンテナについても少し紹介しておきます。
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コンテナと聞いてイメージするのは、こんな貿易港とかで見る大きな箱ではないでしょうか?
ボクが思うに、基本イメージは同じではないかと思います。
どういうことかと言うと、貿易港とかにあるコンテナはサイズなど国際的に規格が決まっており一定のルールに基づいて運用されています。
IT業界で言うところのコンテナも、必要なものをひとまとまりにして一定のルールに基づいて運用されます。
そこが似てるんじゃないかな?と思います。
コンテナは仮想化技術の発展型で、通常の仮想化は、物理サーバーにインストールされているOSとは別に、仮想マシン上にも個別にOSをインストールする必要があるため、仮想マシンの起動には物理サーバーと同じようにOSを起動させる必要があります。
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これに対してコンテナでは、起動しているOSのカーネルを共有してアプリケーションの実行基盤を準備するため、従来のように仮想マシンでOSの起動をさせるという工程が必要なくなります。
いろいろな知識やスキルが必要になるため難易度は高いですが、起動や動作が軽快で機材の有効活用ができるうえ、多数のサーバーを同時に管理する手間が削減できたり、 Web アプリの開発から本番環境への移行がしやすいなどのメリットも多いです。
なので、コンテナと聞くとボク個人としては Web サイトのシステム開発などに使われているイメージが強いです。
デスクトップ関連の改善
話しを openSUSE に戻します。
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今回のリリースでデスクトップ関連では YaST の改善があり、複数のデバイスにまたがった btrfs (B-tree file system) の作成や管理ができるようになったほか、より高度な暗号化技術がサポートされ安全性が高められるようになりました。
また Windows の WSL (Windows Subsystem for Linux) との互換性も改善され、YaST Firstboot を使うことで WSL での実行に必要な初期設定も簡単に行えるようになりました。
っと、サーバー関連の技術は大幅なアップデートになりましたが、デスクトップ関連ではあまり見た目でわかるところがない感じですね。
個人的なメリット・デメリット
個人的な感想としてのメリット・デメリットに感じたことです。
参考程度に聞き流してください。
デメリットに思ったこと。
- 個人的にはパッケージ管理の zypper に馴染みが無いので、使うたびに戸惑う。
- サポート期間はメジャーリリース36ヶ月、マイナーリリース(ポイントリリース)18ヶ月と短め
⇒https://ja.opensuse.org/ライフタイム
メリットに思ったこと
- 日本語での表示や入力も問題なくできる。日本語のポータルサイトがある。
⇒https://ja.opensuse.org/ - 使い方に慣れが必要だけれども必要な情報はだいたい Wiki に書かれていいる。
- デスクトップOSとしての機能も充分で安定性も高い。
- YaST で総合的にソフトウェアからハードウェアまで管理できる。
他のディストリビューションとの比較
支援企業 | サポート期間 | パッケージ形式 | |
openSUSE | SUSE, AMD, B1 Systems など | メジャーリリース36ヶ月 マイナーリリース18ヶ月 | RPM形式 |
Ubuntu | Canonical | 通常版9ヶ月 長期サポート版60ヶ月 | DEB形式 |
Fedora | Red Hat | およそ13ヶ月 | RPM形式 |
Slackware 派生のディストリビューションとして開発が始まり、現在でもその流れの中にはあるらしいですが、rpm形式をパッケージに採用したりリポジトリやシステムのほとんどが openSUSE 独自のものになっているので、もうあんまり Slackware っぽくはないですね。
openSUSE に関する他の情報
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openSUSE はカンファレンスなども活発に行われています。
詳しくはプロジェクトサイトから確認できるので興味のある方がチェックしてみてください。
▶ https://events.opensuse.org/
インストールしてみた。
では実際に openSUSE を動かしてみます。
ダウンロードやインストールメディアの作成については別動画を参考にしてみてください。
- RufusでLinuxのインストールメディアを作る。
- インストールメディアの作成(Ubuntu ではじめる Linux 生活)
用意したマシンは FMV A8280で
- Intel Core 2 Duo T9550 2.66GHz
- 4GB RAM
HDD を SSD に換装したマシンです。
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USB デバイスから起動できるように設定してから起動させます。
openSUSE は残念ながらライブで起動させることができませんので、実機や VirtualBox などの仮想マシンにインストールする必要があります。
openSUSE ではライブで起動させる場合には、ライブ専用のイメージデータがあります。
![](https://i0.wp.com/pc-freedom.net/wp-content/uploads/2020/07/Screenshot-from-2020-07-14-19-24-58.png?resize=800%2C450&ssl=1)
openSUSE の雰囲気を試すには、まずコチラを使ってみてからが良いでしょう。
openSUSE を起動させると表示言語を選ぶ事ができます。
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時々見かけますがホントありがたいです。
インストーラーは設定の順序や見た目の雰囲気など Red Hat 系のものよりかは Debian 系のものに似た印象を受けます。
進捗状況の詳細が表示されるのでボク的にはいま何が起こってるのかを知ることができるためより安心感があります。
openSUSE のデスクトップ環境はインストールの途中で選択するタイプです。
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KDE Plasma と GNOME 、汎用デスクトップ (IceWM) が用意されています。
以前だとこのほかに Cinnamon や MATE、 Xfce や LXDE といったデスクトップも選択できましたが、今はこれだけのようです。
Linux の中だと重たいデスクトップですが、今のマシンだとへっちゃらなのでプロジェクトも見切りをつけたのかもしれません。
先にも少し触れたとおり、ローカライズが完璧なので、インストール直後から日本語化されており、もちろん日本語入力もできます。
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ここらへんが Linux 初心者でも安心して使い始められるところだと思います。
プリインストールされているアプリケーションも日本語化されています。
パッケージの追加
時間の都合上ほとんど深堀りできませんでしたが、リポジトリ以外に配布されている rpm パッケージのインストールについては確認していました。
今回も選んだのは Google Chrome です。
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Google Chrome の Linux 版は deb 形式と rpm 形式が配布されており、openSUSE は rpm 形式です。
今回は一旦、パッケージをダウンロードしてからインストールします。
インストールには YaST を使ってみました。
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途中何かエラーが出ましたが、無視することができるようなので無視してみました。
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最悪起動しないだろうと思っていましたが、すんなり起動してしまいちょっと拍子抜けしました。
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…でも、どこかで不具合を起こすんだろうな。
まとめ
今回の openSUSE のリリースでは主にAI 技術や機械学習に関するパッケージの充実、サーバー関連の機能強化が目立ちました。
デスクトップ関連では目立つところがあまり、ありませんでしたが Slackware をベースとして開発が始まった、難しそうなディストリビューションだった openSUSE は、高い安定性とたくさんのデスクトップアプリケーションやローカライズの充実で、実はだいぶ初心者向けのディストリビューションになっているということでした。
Ubuntu や Fedora 同様に openSUSE も企業から支援を受けているディストリビューションとなるので、品質はとても高いのは納得です。
今回のアップデートでサーバー業界での覇権争いが強くなる。(かも)
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ダウンロードする▶︎https://www.opensuse.org/