メキシコで開発されている Nitrux の最新版である 1.2.4 が、2020年1月15日にリリースされたので試してみた。
Nitrux とはどんな OS ?
Nitrux はメキシコで開発されている Ubuntu LTS ベースの Linux ディストリビューション。
Calamares インストーラーを使用し、KDE Plasma 5 デスクトップ環境と KDE アプリケーションの上に NX デスクトップと NX ファイアウォールが含まれている。
Nitrux は、Debian パッケージマネージャーとそのツール APT (Advanced Packaging Tool) の拡張セットを使用して、オペレーティングシステムとソフトウェアを管理する。
Nitrux は、64-bit のみの提供。
▼より詳しい情報は▼
https://nxos.org/
NX デスクトップとは?
ざっくり言えば Plasma をより見やすくカスタマイズしたデスクトップ環境。
NX Desktop は、Plasma 5 Desktop に適用されたカスタマイズセットで、新しいプラスモイドやウィジェットと、新しい壁紙、Plasma テーマ、Konsole テーマとプロファイル、Aurorae テーマ、SDDM テーマ、カーソル、カラースキームなどのルックアンドフィールパッケージが含まれている。
▼より詳しい情報は▼
https://nx-desktop.org/
Nitrux の概要
- ベース: Ubuntu LTS
- アーキテクチャ: x86_64
- デスクトップ環境: Nomad (KDE Plasma)
- パッケージ管理: APT (dpkg)
- カーネル: 5.4.13
Nitrux をインストールするのに必要なスペックは?(推奨)
現在のサイトではシステム要件に関する記載がなかったが、基本的なシステム要件の変更はないと思われるので以前記載されていたスペックを紹介する。
- CPU: 2.5 GHz デュアルコア 64-bit (2.66 GHz クアッドコア 64-bit)
- RAM: 2 GB (4 GB 以上)
- DISK: 5 GB 以上の空き領域
- モニタ: 32MB VRAM OpenGL 2.1のサポート (256MB VRAM OpenGL 3.0のサポート)
主なアプリケーション
- ブラウザ: Firefox 72.0.1
- オフィス: LibreOffice 6.0.7.3
- グラフィック: GIMP 2.8.22, Inkscape 0.92
- ミュージック: LMMS 1.2.1
- マルチメディア: mpv Media Player
個人的な意見ですが、
Nitrux はもともと見た目にこだわっていた Linux ディストリビューションだと思っていたが、1.2.4 になり、さらに磨きがかかったと思う。KDE Plasma を採用している Linux ディストリビューションはだいたいそうだけれども、 Nitrux のデスクトップは正確に言うと KDE Plasma 5 をさらにカスタマイズさせた NX デスクトップが採用されており、より自由にカスタマイズできる様になっている。
また KDE デスクトップは、メモリをたくさん使う重たいデスクトップ環境だと思っていたが、思いの外メモリ消費量が少なく、サクサク動いてくれるのは意外だった。
アプリケーション
基本的には KDE または Qt アプリケーションが中心の構成だけれども、もちろん Firefox や LibreOffice といった非 KDE のアプリケーションも用意されている。しかしながら GUI 操作できるパッケージ管理ソフトが見つけられない。パッケージの追加はターミナルでの操作が基本になる。GUI のフロントエンドが必要な場合には、まずターミナルでインストールしなければいけない。
日本語環境
Nitrux のインストーラーは、もはや GUI インストーラーの定番ともいえる Calamares インストーラーが使われており、日本語でのインストールもできる。日本語でインストールすれば、起動時には日本語表示される様になるが、日本語入力については別途設定が必要になる。
日本語入力の設定は以下のコマンドで完了する。
$ sudo apt-get update $ sudo apt-get install fcitx-mozc
が、コレだけではインライン入力ができない。
さらに調整が必要と思われるが今回は、ここまでの紹介とさせていただく。
VMetal
あと気になったのが VMetal 。
以下は公式サイトからの引用(Google 翻訳 )。
VMetalとは何ですか?
VMetalを使用すると、ユーザーはWindowsをNitruxと並行して実行して、ユーザーにWindowsソフトウェアへのアクセスを提供できます。一方、彼らはLinuxデスクトップを同時に使用することができます。VMetalはラッパーでも互換性レイヤーでもありません。つまり、Windowsは利用しているハードウェアに直接アクセスしています。
VMetalは、エンドユーザー向けの他の一般的な仮想化オプションとは異なり、この機能の主な焦点であるゲームに関してはほぼネイティブのパフォーマンスを提供します。ただし、これはゲームに限らず、Linuxをプライマリオペレーティングシステムにしたいが、商用ソフトウェアを使用したコンテンツ作成などの他のタスクを実行しようとしているユーザーは、お気に入りのツールを無料でオープンに愛用して使用するメリットがあります-ソースソフトウェア。
さようならデュアルブート
VMetalは、1台のコンピューターでWindowsをデュアルブートする必要性を排除し、物事をシンプルに保つという哲学を継続しています。Windowsオペレーティングシステムは、他のLinuxディストリビューションがznxがブートするファイルのままであるのとまったく同じ方法で、ユーザーのコンピューターにファイルとして残り、アプリケーションも単一のファイルに含まれるAppImagesに引き続き焦点を当てます。
これまで、LinuxでWindowsソフトウェアを実行することは問題でした。VMetalを使用すると、ボタンをクリックするだけでLinuxにインストールできるようになるまで利用できなかったすべてのソフトウェアをインストールできます。Adobeソフトウェアから最新のAAAタイトルまで、お気に入りのDAWプログラムなどを通過します。
コレだけを見ると Windows の代替えに役立ちそうだけれども、VMetal の使用方法については、また別の機会に紹介したいと思う。
Nitrux とほかの Ubuntu 系との比較
ベースが Ubuntu で、デスクトップ環境が KDE Plasma となると、
が、真っ先に思い出される。
ルックアンドフィールだけで言えば、個人的にはいちばん好みのデスクトップ環境だ。また、さまざまなアイディアが詰め込まれたツールも魅力的。
だが、初期段階での日本語環境が他者よりも見劣りしてしてしまうのが残念。
さらに言えば、「ほぼ、なんでも出来る」ということで、概ね必要と思われるパッケージがインストールされているが、GUI でのパッケージ管理ソフトがないため、お気に入りのアプリケーションがない場合にはコマンドを使ってインストールする必要がある。ここは Linux 初心者にとって、少々ハードルが高く感じるかもしれない。
Nitrux の良かった点・悪かった点
良い
- ルックアンドフィールがとにかくクール!
- KDE Plasma ベースのデスクトップ環境なのにサクサク動く!
悪い
- 日本語環境がなんだかおぼつかない。
- パッケージ管理が GUI でもできればもっとよかったな。
Nitrux のおすすめ度(5段階評価)
初心者向け度… ★★☆☆☆
Linux 初心者でも迷わず使えるかどうか。★が多いほどデスクトップ指向。
おおむねパッケージの追加をしなくても、普段必要と思われるパッケージはプリインストールされているけれども、いざパッケージの追加がしたくなった時はコマンド入力が必要。(もしくはコマンド入力で Synaptic とかインストールする必要あり)
日本語の環境… ★★☆☆☆
日本語表示および日本語入力ができるかどうか。★が多いほど設定も簡単。
簡単なコマンド入力だけで設定ができるのは、さすが Debian 派生のディストリビューションと思うが、初期設定のままだといろいろと不具合が見られるのは残念。
システム要件… ★★★★☆
古いマシンでも快適に使うことができるかどうか。★が多いほど古いマシンでも使える。
KDE Plasma 派生のデスクトップ環境なので重たいかと思えば、意外とサクサク動いてくれるのは驚き。最近の KDE は侮れないね。
総おすすめ度… ★★★☆☆
全体的なおすすめ度。★が多いほどアナタに使ってみて欲しい Linux。
ルックアンドフィールはトップクラスで、面白いアイディアも詰まっているけれども、日本語環境などでもう一歩という感じがする。
Nitrux に興味を持ったアナタは、下の URL を今すぐクリック!
▼ダウンロードする▼
https://nxos.org/