スペインで開発されている Ubuntu ベースの Linux ディストリビューションである Trisquel GNU/Linux の最新版となる 9.0 Alpha が、2019年12月27日より利用可能になったので試してみた。
Trisquel GNU/Linux とはどんな OS ?
Trisquel GNU/Linux は Ubuntu から派生したディストリビューションだけれども、プロプライエタリソフトを一切使用せず全てをフリーソフトウェアのみで構成している。
プロジェクトの主な目的は、ホームユーザーやオフィスユーザー、教育機関、マルチメディアワークステーションなどを含むさまざまなユーザーにオペレーティングシステムを提供することで、このプロジェクトは独立した開発者によって管理され、寄付によって部分的に資金提供されている。
▼より詳しい情報は▼
https://trisquel.info/en/wiki/documentation
Trisquel GNU/Linux の概要
- ベース: Ubuntu
- アーキテクチャ: i868, x86_64
- デスクトップ環境: KDE Plasma, (LXDE, MATE)
- パッケージ管理: APT (dpkg)
- カーネル: 4.15.0-74
Trisquel GNU/Linux をインストールするのに必要なスペックは?(GNOME)
- CPU: AMD Athlon 64 3000+ (1.8 GHz), Intel Celeron (1.8 GHz) 以上のプロセッサ
- RAM: 32-bit 256 MB 以上, 64-bit 512 MB 以上
- Storage: 5 GB 以上
- モニタ: 32 MB 以上のビデオメモリ (3D グラフィックスには 128 MB を推奨)
- 3D サポートには、Intel グラフィックチップ (910 GL 以上) を推奨
▼より詳しい情報は▼
https://trisquel.info/en/wiki/system-requirements
主なアプリケーション
- ブラウザ: Abrowser 59.0.2
- メーラー: Icedove 52.7.0
- オフィス: LibreOffice 5.1.6.2
- グラフィックス: GIMP 2.8.16
- マルチメディア: VLC メディアプレイヤー 2.2.2
▼より詳しい情報は▼
https://trisquel.info/en/wiki/home-and-office
個人的な意見ですが、
今回の Trisquel GNU/Linux 9.0 Alpha は、文字通り Alpha 版のため、言語も英語とスペイン語のみに限られており、そもそもの ISO ファイルネームも「trisquel」ではなく「triskel」となっている。またデスクトップ環境も 8.0 では標準で MATE 、Mini では LXDE を採用していたが、9.0 Alpha では KDE Plasma となっていた。
アプリケーション
ブラウザとメーラーは独自のものになっているが、ブラウザは Firefox 派生、メーラーは Thunderbird 派生となっている。少々変化球ではあるものの、基本的には定番のデスクトップアプリケーションがプリインストールされている。
日本語環境
現時点でライブ環境では英語またはスペイン語のみの表示となるが、インストールの際には日本語も選択できる。また日本語でインストールすると日本語入力環境も設定されるので、インストール直後から日本語入力もできるというのは日本人としてありがたい。
ちなみに Fcitx-Mozc が日本語入力環境となる。
Trisquel GNU/Linux とほかの Ubuntu 系との比較
前述した通り Trisquel GNU/Linux は全てのソフトウェアをフリーウェアで構成している。
使いやすさを重視している Ubuntu 系の多くは「使いやすければプロプライエタリ(フリーではない)ソフトの使用もいとわない」というスタンスのものが多い中では異質に感じる。
Trisquel は「使いやすさ」よりも「自由」を尊重している様で、プロジェクトサイトでは繰り返し「free(自由)」の文字がみられる。
自由も良いのだけれども、デバイスドライバなどではプロプライエタリソフトに頼ることもあるため、場合によっては不具合が出ることも予想される。
Trisquel GNU/Linux の良かった点・悪かった点
良い
- KDE Plasma だけれどもサクッと動いてくれる。
- インストール後は日本表示だけでなく、日本語入力も出来る。
- Alpha 版だけれども完成度は高い。
悪い
- 軽くて良いが、もう 32-bit 版はない。
- 言っても Alpha 版なのでインストール前の表示言語は英語とスペイン語のみ。
- インストールしても翻訳が不十分。
Trisquel GNU/Linux のおすすめ度(5段階評価)
初心者向け度… ★★★☆☆
Linux 初心者でも迷わず使えるかどうか。★が多いほどデスクトップ指向。
基本的にはよくできた Linux ディストリビューションなので問題なく使えると思うが、デバイスドライバなどまでが完全フリーで構成されているので、主に Wi-Fi などのデバイスでの不具合が心配。
日本語の環境… ★★★★☆
日本語表示および日本語入力ができるかどうか。★が多いほど設定も簡単。
Alpha 版なのでインストール前のライブ環境では、英語とスペイン語のみの表示となるが、インストールは日本語で行うことができる。インストール後は翻訳に不十分なところがあるが、日本語表示と入力ができる様になっている。
システム要件… ★★★★☆
古いマシンでも快適に使うことができるかどうか。★が多いほど古いマシンでも使える。
現状ではデスクトップ環境として KDE Plasma が採用されているが、コレがけっこう軽い。もう KDE が重いという時代ではなくなったかな?
総おすすめ度… ★★★★☆
全体的なおすすめ度。★が多いほどアナタに使ってみて欲しい Linux。
GNU ファウンダーのリチャード・ストールマンも使っているくらい、完璧にフリーな GNU/Linux ディストリビューション。
Trisquel GNU/Linux に興味を持ったアナタは、下の URL を今すぐクリック!
▼安定版をダウンロードする▼
https://trisquel.info/en/download
▼9.0 Alpha はこちらから▼
http://jenkins.trisquel.info/makeiso-etiona/iso/