マシンスペックに抗う、非常に軽量で古いマシンでも動作する antiX の次期リリースの最初のベータ版となる 19 b1 が、2019年6月13日にリリースされた。
antiX とは?
antiX は一般的なフルスタック(全部入り)なデスクトップ環境をもたず、ウィンドウマネージャの IceWM を使っているので非常に軽快。ウィンドウマネージャとは言っても組み込みのタスクバーがあり、メニューやタスク表示、いくつかのテーマまで存在し、それなりのルック&フィールもあるので軽量を売りにしているディストロでは、しばしばデスクトップ環境として採用される。もちろんこの anti X も、超軽量で古いコンピュータでも動作させることができる。
今回の変更点は?
2019年7月6日に正式リリースを予定している Debian の次期バージョン「 Debian 10 Buster 」をベースとし、systemd を含まない、次期リリース antiX 19 の最初のベータ版。
より詳しい情報
▶ https://antixlinux.com/antix-19-b1-full-64-and-32-bit-available/
antiX の概要
- ベース: Debian Stable
- アーキテクチャ: i686, x86_64
- デスクトップ環境: IceWM (Fluxbox, JWM, Xfce)
- パッケージ管理: dpkg (APT)
antiX をインストールするのに必要なスペックは?
いちばん贅沢なパッケージの antiX-full が動作する推奨のシステム要件は以下の通り。
- CPU: Pentium 3 以上
- RAM: 256 MB
- DISK: 3.8 GB
ちなみに最小パッケージの antiX-core だと以下の通り。
- CPU: Pentium 2 以上
- RAM: 128 MB
- DISK: 1 GB
Windows XP レベルのスペックで動作するくらい軽い。
主なアプリケーション
- ブラウザ: Firefox ESR
- メール: Claw Mail
- オフィス: LibreOffice
- グラフィック: mtPaint Graphic Editor
- マルチメディア: GNOME MPV, MPV Media Player
より詳しい情報
▶ http://download.tuxfamily.org/antix/docs-antiX-17/FAQ/index.html#_system_requirements
個人的な意見ですが、
systemd フリーを謳う理由
systemd とは、システム管理をするデーモンやライブラリおよびユーティリティの一式であり、管理や設定の中心的プラットフォームとして Linux 用に設計されている。
簡単にいうと、Linuxの起動は以下の4段階となる。
- 電源投入によりBIOSが起動する
- BIOSからブートローダーが呼び出される
- ブートローダーがLinuxカーネルを起動する
- Linuxカーネルがinitプロセス(PID 1)を起動する
SystemdはこうしたLinuxの起動処理やシステム管理を行うもので、非常に高速なシステム起動・終了や、さまざまなシステム管理機能を備えている。
便利な一方で、フリーソフトウェアにおける論争の元にもなった。その理由は systemd のアーキテクチャは最終的に相互依存でがんじがらめの塊を作ってしまい、複雑さが増しソフトウェアが肥大化するため UNIX 哲学に反しているというもの。
「systemd フリー」という言葉は開発者の信念がうかがえるものだけれども、ぶっちゃけそこまで理解できるユーザーは一部だと思う。
Linux ライブ CD ディストリビューション
「antiX Magic」として新旧のコンピュータでも使えるオペレーティングシステムを謳っている。僕自身は検証できていないけれども、スワップがあらかじめ設定されている Pentium III のマシンであれば RAM が 256MB で動作するらしい。また antiX 自体のサイズも非常にコンパクトで、一般的なバージョンの Base であれば 680 MB の空き領域があればいい。(ちなみに Full バージョンは 1 GB )これくらいのサイズなので、レスキュー CD や USB としても十分使える。
日本語環境
今回リリースされた 19 は、まだベータ版のためいろいろなところで不完全のようだ。
現在最新の安定版である 17.4.1 であれば、起動時に「日本語」を選択すると表示は日本語になり(19 b1 もここは同じ)インストーラーも日本語で表示されるため、英語な苦手なユーザーでも安心してインストールすることができる。正式リリースまでには改善されると思うけれども現在の 19 b1 の段階では、起動時に日本語を選んでもインストーラーは翻訳されておらず英語のまま。基本的な内容は変わっていないので、インストール自体は以前の記事を参考にしても大丈夫だろう。
ただし問題は、日本語入力環境のほう。
以前の手順を参考に設定してみたものの、今の段階で日本語入力環境を設定できていない。
インプットメソッドや入力システムは、インストールされるもののうまく動作しない。profile などもいじってみたが、まだうまく行っていない。コチラはもう少し勉強が必要のようだ。
まとめ
ベータ版なのでまだまだな部分もあるけれど、やっぱり軽い antiX 。
antiX に興味を持ったアナタは、下の URL を今すぐクリック!antiX をダウンロードする▶ https://antixlinux.com/download/