今回は感覚的にですが今まででいちばん快適かもしれません。
SparkyLinux MinimalGUI エディションを 32bit パソコンにインストールしてみました。
SparkyLinux の概要。
今回紹介する SparkyLinux はポーランドで開発されている Debian をベースとして、デスクトップに LXQt や Xfce などを採用した軽量 Linux ディストリビューションです。
何度か紹介していましたが、現在でも 32bit 版のエディションが開発されているので、改めて紹介して見ることにしました。
SparkyLinux の最小システム要件
- CPU: Intel Pentium 4 または AMD Athlon 以上のプロセッサ
- RAM: CLI Edition 128MB / LXQt, Openbox 256MB / Xfce 512MB
- SWAP: 512MB 以上
- Storage: CLI Edition 2GB / Home Edition 10GB / GameOver, Multimedia 20GB
インストールにはグラフィカルユーザーインターフェイスでインストールできる Calamares が用意されていますが、Calamares を使ってインストールする場合には 1GB 以上の RAM が搭載されている必要があります。
そうでない場合は Text モードでのインストールになります。
今回の Qosmio は 1GB 以上の RAM が搭載されているので、Calarares を使ってインストールできます。
ちなみにテキストモードはこんな感じです。
SparkyLinuxをダウンロードする。
SparkyLinux は、安定版とセミ・ローリングリリース版の2系統で開発されています。
安定版では、今回紹介する 32bit と 64bit 版の他に ARM 版もあります。つまりは Raspberry Pi とかのやつですね。
ARM 版はまた別の機会に紹介したいやつなので、今回は紹介を省きます。
デスクトップには LXQt と Xfce, MinimalGUI (これはウィンドウマネージャの Openbox のバージョン) そしてデスクトップ環境を持たない MinmalCLI がそれぞれ用意されています。
また 32bit 版は、ダウンロードページにも表示されている通り non-pae 、つまり PAE 非対応プロセッサでも動作してくれます。
ちなみにセミローリングリリース版は、64bit 版のみに対応しており、デスクトップには
- LXQt
- MATE
- Xfce
- MinumalGUI (Openbox)
- MinimalCLI (デスクトップ環境なし)
が用意されています。
さらに Special Editions として、ゲーム関連のアプリケーションを充実させた GameOver と、メディア関連のアプリケーションを充実させた Multimedia が用意されています。
おまけに Special Editions には Rescue というエディションも 32bit 版と 64bit 版が用意されています。
ダウンロードは SourceForge や OSDN から直接イメージデータをダウンロードしたり、Bittorrent ファイルなどを使ってダウンロードしたりすることができます。
ここらへんはご自身の環境に合わせてダウンロードしてください。
今回はデスクトップ環境を持つ SparkyLinux のいちばん軽量とされる MinimalGUI をインストールしてみます。
イメージデータのダウンロードが終わったら、早速インストールメディアを作りましょう。
インストールメディアの作成。
今回も Plop Boot Manager のチカラを借りて、USB メモリからインストールしようと思います。
インストールメディアの作成には、Windows の軽量ライティングソフト Rufus を使ってインストールメディアを作りたいと思います。
ちょっと余談ですが、 Rufus を使った Windows 10 のダンロードを紹介しました。
選択ボタンの脇にある▼でダウンロードを選択するというものでしたが、この▼が表示されないというコメントをいくつかいただきました。
Youtube のコメント欄で教えていただきましたが、設定項目のアップデートの確認が「いいえ」になっていると選択できないようです。
あと、確認してみたところ、インターネット接続していない場合にも、▼が表示されません。
インターネットに接続した状態で、アップデートの確認を「いいえ」以外のいずれかに設定してから起動し直すと、▼が表示されダウンロードが選択できるようになります。
Rufus で Windows がダウンロードできる条件。
- 設定項目の「アップデート」が「いいえ」以外に設定されている。
- インターネット接続されている。
また、古いバージョンでは rufus.ini が同じフォルダ内に作成されることがあると思います。
初期設定ファイルだと思われますが、このファイルがあると設定でアップデートの確認を変更しても反映されない場合があるようです。
その時は、この rufus.ini を削除して改めて起動すると、初期化された状態になり初回起動設定が必要になるので、その時にはアップデートの確認を「いいえ」以外に設定すると▼が表示され、Windows 10 がダウンロードできるようになります。
教えてくださった方ありがとうございます!
と言うことで SparkyLinux のインストールメディアができました。
SparkyLinux をインストールする。
この Qosmio では USB メモリから起動させる場合に Plop Boot Manager の起動オプションである [Shift] + [U] が必要です。
起動メニューでは言語を選択することができます。
この画面では英語しか見当たりませんが、メニューのいちばん下にある「More Language…」を選択すると、さまざまな言語が表示され、その中には Japanese (日本語) もあります。
Japanese を選択して起動しました。
どのエディションもライブ環境があるのでインストール前にテストしてみることができます。
ただし、今回のボクの環境では起動までに10分近くかかりました。
きっといろいろな条件が重なったものかと思いますが…。
なので、今回の USB メモリは、ずいぶん前に買ったアクセスランプ付きの TOSHIBA USB 2.0 対応の USB メモリです。
先程 SparkyLinux のシステム要件についてのところでもお話したように、Calamares を使って GUI でインストールするためには、最低限システムメモリは 1GB 以上搭載している必要があります。
この Qosmio には 1GB 以上の RAM が積んであるので、Calamares でインストールできます。
ちなみに Text モードでのインストールは Advanced Installer というものを使うようです。
Advanced Installer は [メニュー]⇒[システム]⇒[Sparky(Advanced)Installer] で起動させることができます。
詳しい設定方法については SparkyLinux の Wiki で解説されているので、もしもテキストモードでのインストールをする場合にはそちらを参考にすると良いと思います。興味のある方はそちらから確認してみてください。
Calamares でインストールする場合には、指示通りに設定していけば問題ないと思います。
Calamares での注意点があるとすれば、2点。
- インターネットへの接続
- パスワードの設定
です。
インターネット接続されていない場合には、インストールを先にすすめることができません。
この Qosmio は Wi-Fi アダプタも認識されていたので問題なくインターネット接続ができましたが、もしも Wi-Fi アダプタが認識されなかった場合には有線接続でも大丈夫なので、インターネットへの接続をしてください。
次にパスワードの設定についてですが、単純すぎるパスワードは弾かれてしまいます。
例えばアルファベットだけとか、数字だけとかは弾かれる対象になります。
少なくともアルファベットと数字を混ぜ合わせたパスワードの設定が必要になります。
インストールには環境によって異なりますが、およそ15分から30分程度でインストールできます。
インストールが終わって再起動してみました。
動作確認。
Wi-Fi アダプタもインストール前の設定が生きているみたいです。
画面左下にメニューボタンのようなものがあるのですが、クリックしてみると、メニューと言うよりはランチャーのようです。んで、このランチャーはクリックする度に新しいものが表示されるので、連打しないように気をつけましょう。
あと Openbox なのでメニュー表示は、デスクトップ上であればマウスの右クリックでどこにでもメニューが表示されます。
プリインストールされているアプリケーション
openbox のエディション MinimalGUI というくらいで、インストールされているのは、ほぼシステムツールだけです。
アプリケーションらしいものは Webブラウザくらいですね。
Web ブラウザは Otter という Opera ブラウザの流れを組むブラウザで、Qt WebEngineで動作する世界初のブラウザということらしいです。
そこらへんは、ちょっとよくわからないです。
初期起動時の設定について。
Xfce と LXQt のデスクトップでは、インストール後の初回起動時に不足しているパッケージのインストールが促されますが、MinimalGUI エディションではそのまま使い始めることができます。
ですが、Xfce と LXQt エディションの場合、不足パッケージの追加のあとに、不足している言語パッケージのインストールまで行われます。
ですが初回起動設定のない MinimalGUI では、日本語入力の設定は改めて行う必要があります。
独自の APT フロントエンドツール
ここで今回使うのが、SparkyLinux のいちばんの特徴だと思う、パッケージ管理ツールのエーピーティーアス?アプトゥス?読み方はよくわかりませんが、いずれ表記は「APTus」です。
このツールは apt-get, dpkg のフロントエンドで、Ubuntu とかのソフトウェアセンターとかとは違って、めちゃめちゃシンプルで、処理も非常に高速です。
この左側にカテゴリが表示されています。
言語パッケージの追加はシステムの項目にある「言語パッケージの追加」をダブルクリックすると、不足している言語パッケージの追加が始まります。
言語選択のためのウィンドウが開きますので、この言語一覧の中から Japanese を選択して「OK」ボタンをクリックしてください。
言語の確認がありますが、問題なければ「OK」ボタンをクリックしてください。
インストールが終わったあとに再起動すると、日本語入力ができるようになっています。
処理ごとというか apt コマンドのオプションごとにアイコンが用意されているので、このツールを使っていると apt コマンドをなんとなく覚えていけるように思います。
SparkyLinux の特徴。
neofetch の実行。
まずは定例の nofetch のインストールと実行です。
メモリ使用量が 234MiB とめちゃめちゃ少ないです。
別のタイミングで計測した際には 200MiB 切ってました。
ウィンドウマネージャだけのエディションが非常に軽量だということがわかりますね。
チャレンジ Youtube & Google Docs
コチラは動画で確認していただいたほうがよりわかりやすかと思います。
デフォルトの Web ブラウザ Otter で Youtube を視聴してみようと思ったのですが、どうやら Youtube 動画の再生に対応していないようなので確認できませんでした。
仕方ないので Firefox をインストールして確認してみることにしました。
ちなみに Google Chrome のアイコンも見えますが、32bit には対応していないため今回は使えません。
広告がフリーズ気味だったので先が思いやられましたが、なんとか本編が再生はじまりました。
若干カクツキが見られる感じです。
再生解像度は Auto の 360p で、再生されています。
メモリ使用量は MAX で 690 MiB までいきましたが、この解像度であれば 700MiB を超えることは一度もありませんでした。
ここらへんがブラウザを使ったこのマシンの動画再生の限界かもしれませんね。
次に Google Docs です。
場合によってはコチラのほうがメモリを消費して使えなかったりしますが、どうでしょう。
メモリ消費自体は Youtube のときとほぼ変わりありません。
使用感についてなんですけれども、使い始めこそ不具合とか重たさを感じましたが、安定し始めたらいままでのテストではいちばんではないでしょうか。
サクサク入力できるようになりました。
そこまで騙し騙しという感じでもないのですが、ちゃんとインライン入力ができるようになりました。
PAE 非対応の 32bit マシンでは、まだ5種類しかディストリビューションをテストしていませんが、間違いなくその中でいちばんよく動いています。
なんか、すごいですね。
SparkyLinux の他のエディションについて。
今回はインストールまではしませんでしたが、ほかのデスクトップについても少し紹介しておきます。
LXQt
まず LXQt です。
SparkyLinux のデフォルトデスクトップになります。
プリインストールされているアプリケーションはわりと豊富です。
- インターネット:Firefox ESR, HexChat, Pidgin Internet Messenger, Thunderbird, qBittorrent
- オフィス:LibreOffice
- サウンド&ビデオ:Cheese, Qmmp, Sparky Tube, VLC madia player, Xfburn, vokoscreen
システムツールにも Gparted や Live USB Creator などが追加され、よりデスクトップ OS としての機能が強化されています。
メモリ消費はライブで 487MiB でした。
Xfce
次に Xfce です。
SparkyLinux のなかではいちばんリッチなデスクトップになります。
Xfce がいちばんリッチって、Linux を知っている方だとわかると思いますが、どんだけ軽いんでしょうかね。
アプリケーションのラインナップは LXQt によく似ていますが、一部のアプリケーションに変更があります。
例えば qBittorrent が Transmission になってたりですね。
また全体的に LXQt をより強化した印象です。
メモリ消費は 489MiB と LXQt とほぼ変わりありませんでした。
もしかしたらインストールしたら変わるのかもしれません。
初回起動設定。
先程も少し触れましたが LXQt と Xfce 共通でインストール後、起動すると Sparky 初回起動というプログラムが起動します。
これはシステムのアップグレードと不足している言語パッケージのインストールを行うものです。
特に何かしらの意図がなければ、「OK」ボタンをクリックしてシステムのアップグレードと、言語パッケージのインストールを行ってください。
まずはターミナルが立ち上がり、パッケージのアップグレードが自動的に始まります。
少し待つと「今すぐシステムを更新しますか?」と聞かれるので「OK」ボタンをクリックして進めてください。
環境によって多少異なりますがアップグレードには10分くらいかかります。
これでまずは、システムアップグレードが終了しました。
「OK」ボタンをクリックして進めると、次に不足している言語パッケージのインストールが始まります。
言語一覧からJapanese を見つけ出して「OK」ボタンをクリックします。
言語の確認ウィンドウが開きますので、間違いなければ「OK」ボタンをクリックしてください。
自動的に必要なパッケージがインストールされていきます。
SparkyLinux の日本語入力環境は MinimalGUI のときもそうでしたが fcitx-mozc のようですね。
ほんの少し手をかける必要がありますが、SparkyLinux は簡単に日本語環境を整えることができます。
SparkyLinux のまとめ
今回は、ポーランドで開発されている軽量 Linux ディストリビューション、SparkyLinux の MinimalGUI エディションを PAE 非対応の 32bit パソコンにインストールしてみました。
必要最低限のパッケージしかインストールされていないウィンドウマネージャだけのエディションだったためか、思った以上に動いてくれました。
また、今回は実機にこそインストールしませんでしたが LXQt と Xfce も試してみました。
コチラもデスクトップ OS として充分な機能を持ちながら、非常に軽量な Linux だと言えます。
パッケージ管理もユニークなツールが用意されていて、使い勝手もよく、個人的に好きなツールです。
さらに言えば、SparkyLinux のウェブサイトにある Wiki は、とても丁寧に解説されているので、使い方に迷ったらまずのぞいてみるといいかと思います。
今回の SparkyLinux MinimalGUI のおすすめ度は…
★★★★つです!
(★5つが最高評価です)
ちょっと Linux 経験のある人であれば問題なく使い始めることができるかもしれませんが、パソコン初心者には「なにこれ?」と思うところがありますね。
ですが軽さについては今までで、いちばんストレスがありません。
軽さだけなら今のところ No.1 ですね。
そんな SparkyLinux に興味を持った方は、是非試してみてはいかがでしょうか。
SparkyLinux のダウンロードはコチラ▶https://wiki.sparkylinux.org/doku.php