今回は、ついにリリースされた人気の Linux ディストリビューションの最新版 ZorinOS 16 をサクッと見ていきます。
はじめに。
まずは、
結論:完成度高すぎ。
ベータ版のときから、不具合の気配が見えないクオリティでしたが、より一層その完成度に磨きをかけています。
Pro 売れるねきっと。
※ってか、今回 Zorin OS Pro を購入してのレビューです。
いずれにしろ、人気の高い Linux ディストリビューションの一つでもある Zorin OS の最新版をみていきましょう。
今回のリリース。
まずは、ダウンロードとインストールをしながら、Zorin OS についてと、今回のリリースについてを紹介していきます。
16 のダウンロードは、ブログ記事のいちばん下にあるボタンか、各ページの上部にはダウンロードボタンが用意されているので、そちらからダウンロードできます。
今回は Zorin OS Pro を購入してレビューしていきます。
クレジットカードか PayPal で支払いが出来ます。
支払いが終わると、ダウンロードページに移行しますが、登録したメールアドレスにもダウンロードリンクが届くので、いずれかからイメージデータをダウンロードしましょう。
ちなみにインストールメディアの作成は、ISO モードでも DD モードでも特に問題はないようなので、Rufus などでも大丈夫そうです。
コダシマは Ubuntu の「ブータブル USB」や GNOME の「ディスク」で用意しました。
Zorin OS 16
“Our most advanced version ever.”「これまでで最も高度なバージョン。」
という一文から始まる Zorin Blog の記事からは、今回のリリースに相当な自信が伺えます。
Linux ユーザーで ZorinOS を知らない人はいないと思いますが、サクッと ZorinOS について紹介したいと思います。
ZorinOS は 2009年7月1日に、当時12歳と14際のロシア人の少年 Artyom Zorin と Kyrill Zorin らの手によって産声を上げました。
現在はアイルランドの首都ダブリンに拠点を置き、精力的に開発が続けられています。
Windows や macOS から Linux への移行を簡単にすることを目的とした Linux ディストリビューションで、3つのエディションが用意されています。
- Pro … $39
- Core … Free
- Lite … Free
今回の16のリリースは、これらエディションの中の「Pro (旧 Ultimate)」と「 Core 」です。
…Education が見当たりませんね。
で、今回のリリースの特徴は大きく分けると3つ。
- Ubuntu 20.04 LTS ベース
- ビジュアルの変更
- Flatpak のサポート
です。
そこらへんに注目しながら、今回のリリースを見ていきましょう。
パフォーマンスの向上。
Zorin OS 16では Ubuntu 20.04 LTS への変更とともに、パフォーマンスの向上が図られました。
Zorin OS は起動速度を最重要事項として開発され、デスクトップは新旧を問わず、さまざまなハードウェアで高速に動作するようになりました。
※ちなみに 32bit 版は Zorin OS 15.4 Lite のみで、Zorin OS 16 はありません。
パフォーマンスの最適化は、カーネルからデスクトップ環境まで、オペレーティングシステムのすべてのレベルで行われたとのこと。
アプリの起動が速くなり、アニメーションがスムーズになり、読み込み時間が短縮されるため、生産性を高めるための時間をより多く確保することができます。
新しいツアー。
初回起動時に、
- デスクトップの使用方法とカスタマイズ方法
- オンラインアカウントの接続方法
- Zorin Connect を使用した電話とコンピューターのリンク方法
- 作業に必要なソフトウェアのインストール方法の基本
について説明されます。
多くの Linux で Welcome 画面としてツアーがありますが、Zorin OS にもないわけがない!というところですね。
新しい外観。
パフォーマンスの向上や新しいツアーも良いのですが、なんと言っても Zorin OS 16 の魅力は、その洗練された外観にあります。
新しいデフォルトテーマを導入し、コンピューティング体験を向上させる詳細なタッチと楽しいアニメーションがシステム全体に用意されています。
壁紙やロック画面も刷新されました。
Zorin Appearanceのデザインを一新。
これら外観の多くを設定する Zorin Appearance が、さらに使いやすくなりました。
Zorin Appearance では、
- 異なるデスクトップレイアウトの選択
- アプリとアイコンのテーマの変更
- デスクトップフォントの選択
など、デスクトップの細かな部分から調整して、より自分好みに仕上げることができます。
アプリ自体のレイアウトも刷新されており、カテゴリタブがウィンドウの上部から左側に変わり、カスタマイズオプションをより簡単に見つけられるようにしました。
新しいデスクトップレイアウト
Zorin OS 16 Pro では標準のデスクトップレイアウトに加え、オプションとして
- macOS のようなレイアウト
- Windows クラシックのようなレイアウト
- Ubuntu のようなレイアウト
に加え、
- 新しい Windows 11 のデフォルトインターフェース
に似た、全く新しいデスクトップレイアウトを導入しています。
このデスクトップレイアウトでは Windows 11 の UI と同様に、新しいグリッドメニュー、アクティビティの概要ボタン、タスクバーのアイコンが前面と中央に配置されているので、あらゆるサイズの画面でアクセスしやすく、タッチパッド、マウス、タッチスクリーンを搭載したコンピュータにも対応しています。
いや、たしかに知らない人が見たら、まんま Windows 11 ですね。
※知っている人が見ても、まんま Windows 11 ですね。
ゼリーモード
開発者が「これまでに搭載した中で最も画期的で革新的な機能である Jelly Mode は、あなたのコンピュータの使い方を根本的に変えるでしょう😁。」
として紹介されているのが、ウィンドウなどがプルンプルンする機能「ゼリーモード」です。
ゼリーモードを有効にすると、ウィンドウをデスクトップ上で移動させるときにゆらゆらと揺れ、最小化するとアプリアイコンの中に収まります。
Zorin Appearance の Interface タブから Jelly Mode を有効にすることで、デスクトップをより流動的で遊び心のあるものにすることができます。
Window System が X11 なので、Compiz ウィンドウマネージャの一部を追加したものだと思われます。
Compiz
カスタマイズ可能なタスクバー。
起動中のアプリケーションの状態を、よりわかりやすく一目で確認できるようになりました。
タスクバーには、未読メッセージの数を示すバッジや、アプリの進行度合いを知らせるプログレスバーが表示されるようになりました。
Zorin OS 16 のデスクトップは、タスクバーとパネルの新しい設定により、これまで以上にカスタマイズ可能になりました。
タスクバーを右クリックすると、「タスクバーの設定」が表示され、様々なことができます。
- パネルを上下だけでなく、左右にも移動させたい
- パネルの透明度やサイズの設定
- マルチモニターでのパネル表示
- パネルのボタンやインジケータの表示/非表示、移動
- 現在のワークスペースまたはモニタ上で動作しているアプリのタスクバーアイコンのみを表示するかどうかの選択
- タスクバーのアプリのアイコンをクリックまたはスクロールしたときの動作を変更する
- タスクバーのアプリアイコンにカーソルを置いたときのウィンドウプレビューとツールチップの表示/非表示の切り替え
- インテリジェントなパネルの自動表示/非表示
デフォルトでも十分なのですが、かゆいところにまで手が届くような設定項目があるのは嬉しいですね。
タッチパッドジェスチャ。
マルチタッチ・タッチパッドジェスチャが導入されており、ラップトップPCで使用することが出来ます。
Linux の世界でもタッチパッドジェスチャがトレンドになってますね。
ハードウェアの精度も関わってくるので一概に良し悪しが言えないところもありますが、使いやすくなる事に対しては問題はありません。
ただ、やっぱりハードウェアとの相性もあるようなので今回インストールしたマシン (Jumper Ezbook X3) でもうまく動作してくれませんでした。
んー。ちょっと残念ですが、コダシマ的には些細なことです。
パッケージ管理。
Flathub リポジトリのサポートが追加されました。
Flathub は Flatpak パッケージを入手するためのデファクトスタンダードリポジトリです。
コレに伴って Zorin OS ではこれまでの .deb パッケージや AppImage などを提供していた Ubuntu & Zorin OS APT リポジトリに加え、Snap Store と今回追加された Flathub 、必要に応じて WINE を使って Windows のアプリケーションもサポートすることができるので、世界中に存在するほぼすべてのパッケージが対象となったようなボリュームです。
これだけのライブラリを効果的に使うため、組み込みのソフトウェアストアは、さまざまなソースからのアプリの検索とインストールを簡単にするために、多くの内部的な最適化とユーザーインターフェイスの改善がされました。
例えばアプリが Flathub や Snap ストアなど複数のリポジトリから入手できる場合は、インストール元のリポジトリを選択することが出来ます。
このように Zorin OS のソフトウェアストアでは、使用するソースやパッケージの形式を考えることなく、ワンクリックで最新バージョンのアプリを見つけてインストールできるよう設計されています。
Windowsソフトウェアをサイドロード
アプリやゲームをサイドローディングする場合、Zorin OS 16 は最も互換性のある安全な方法で、欲しいソフトウェアをさらに簡単にインストールすることができます。
Zorin OSには、一般的な Windows のインストーラーファイルを検出するデータベースが内蔵されており、システムがインストールプロセスをガイドしてくれます。
例えばダブルクリックした「.exe」または「.msi」ファイルをシステムが認識した場合、Software store のネイティブパッケージや Linux 用のオープンソースゲームプラットフォームの Lutris、もはや定番のゲームプラットフォーム Steam の Linux 用に最適化されたインストーラーなど、推奨されるソースからアプリやゲームまたはそれに最も近い代替品をインストールするよう自動的に提案してくれます。
Linux 用のオープンソースゲームプラットフォーム Lutris
また、アプリやゲーム のWindows 版を実行したい場合には、Windows App Support をインストールするための簡単なオプションも提供されます。
この機能により、新しいユーザーがお気に入りのソフトウェアを Zorin OS で使い始め、Linux アプリのエコシステムの幅広さや利点をより簡単に知ることができると思われます。
※全てのアプリが正しく動作するわけではありません。
サイドローディング?
新しいサウンドレコーダーアプリ。
新しい「Sound Recorder」アプリは、自分用のボイスメモを作成するときも、ポッドキャストを制作するときも、Sound Recorder アプリはワークフローに適応し、オーディオの録音を簡単に行うことができます。
…そしてもっとたくさん。
その他にもたくさんの機能が追加・更新されました。
詳しくは、実際に Zorin OS のリリースノートを確認してみるのも良いかと思います。
- 高解像度ディスプレイのためのフラクショナル・スケーリング。
- 最新の NVIDIA ドライバを .iso ファイルで直接使用・インストールすることができます。
- システムインストーラーから Active Directory ドメインに簡単に参加できます。
- ファイルアプリで簡単にアクセスできるスターファイル。
- より簡単なセットアップが可能な、より優れた指紋リーダーのサポート。
- より簡単な写真管理のための新しい「写真」アプリ。
- QR コードを表示して、デバイスをコンピュータの Wi-Fi ホットスポットに簡単に接続できるようになりました。
- 「設定」アプリのカテゴリーレイアウトが刷新され、操作しやすくなりました。
- Touch、macOS 風、Ubuntu 風のデスクトップレイアウトでは、アプリをドラッグしてアプリグリッドにアプリフォルダを簡単に作成することができます。
- プライバシーを尊重する Web ブラウジング体験のために、Firefox の組み込みの追跡とテレメトリをデフォルトで無効にしました。
- サポートされているハードウェア上、ちらつきのない起動エクスペリエンスが実現。
- 暗号化インストール時にリカバリーキーを作成できるようになりました。
- 新しいハードウェアへの対応を強化。
- Ubuntu 20.04.3 LTS をベースにしています。
これら以外にも、今回のリリースでは何百もの新機能や改善が集約されており、Zorin OS が開発当初から掲げている「最もパワフルなデスクトップ技術と、最もユーザーフレンドリーなデザインを組み合わせる」というビジョンを明確に表現したリリースとなっています。
Zorin OS 16 は、ベースが Ubuntu 20.04 LTS なので、2025年4月までソフトウェア・アップデートとセキュリティ・パッチのサポートを受けることができます。
このクオリティなら、企業や学校と言った組織でも導入に値する品質だと思います。
今回のまとめ。
ということで、今回は ZorinOS の最新版となる Zorin OS 16 を紹介してみました。
以前アップしたベータ版の動画の方には、今回紹介しきれなかった Zorin Connect なども紹介しているので、そちらも合わせて見ていただけるとより Zorin OS の魅力がわかるかと思います。
ZorinOS は他の Ubuntu 系のディストリビューションに比べ、よりしっかり作り込まれてからリリースされるため、ちょっとリリースサイクルがのんびりしている感じです。
今回のリリースのデスクトップ環境もベースは GNOME 3.38.4 です。
がコレは、最新の環境よりも安定した安全な環境の提供という、開発者のこだわりではないかと思います。
使い方やデザインなどの徹底的な細部へのこだわりが、ZorinOS の高い人気を支えているのでしょう。
Zorin OS Pro では無料版の Core にはないデスクトップレイアウトや、様々なアプリケーションがプリインストールされています。
ぶっちゃけ Core でも同じような環境を作れますが、アプリケーションはなんとかなってもデスクトップレイアウトを同じくカスタマイズするには、相当手間暇がかかります。
ってか、Zorin OS クオリティを見ての $39 って個人的にはかなりお安いかと思いますが…
いかがでしょう?
Zorin OS は、より洗練されたた見た目と高いパフォーマンス、幅広いパッケージの対応というハイクオリティな Linux ディストリビューションです。
これで人気が出ないわけ無いですよねー。
Zorin OS 16 に興味を持った方は、是非チェックしてみてください!
とっても完成度高いですよ!