JingOS は2021年1月に、初のリリースとなる v0.6 を公開し、さらに2021年3月にテスト版の v0.8 を公開しました。

今回触ってみたのは、そのテスト版である v0.8 です。

ただのモバイル向け Linux ベース OS ではないみたいですよ。

結論:ちゃんと使いたいなら、もうちょっと待って。

やっぱりまだベータ版なんだよね…。

1.0 未満のバージョンナンバーが示すとおり、まだ正式リリースではありません。

そのため、不具合と思われる部分が多々あります。

ちゃんと使うためにはもう少し待つ必要があります。

ですが、世界初 Linux ベースのモバイル OS という、とても興味深いディストリビューションなので

どんなものか見ていきたいと思います。

JingOS とは?

JingOS は、中国とカリフォルニアに拠点を置く Jingling Tech 社が開発する Linux ベースのモバイル OS です。

ちなみに Jingling Tech 社の Jing は中国語でクジラを意味し、Ling はウグイを意味します。

この2匹の魚が一緒になったロゴは、小さな生態系を意味している、というものだそうです。

【世界初!】コンバージェンスLinuxベースオープンソースOSのJingOSを試してみた。

小さな物から、大きな物まで… ってこと?

とにかく Jingling Tech は Lenovo, Alibaba, Samsung, Canonical (Ubuntu), 旧 Trolltech (トロールテック:現 Qt Development Frameworks) といった有名 IT 企業で働いていた経験豊富な Linux の専門家によって構成されている企業のようです。

高い技術を持った企業と言えるでしょう。

なにはともあれ、早速いじって見たいと思います。

JingOS のダウンロード。

冒頭でもお伝えしたとおり、まだ正式リリースではないため不具合は覚悟の上です。

ダウンロードは JingOS の Web サイトからなのですが、メーリングリストへの登録が必須となります。

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最近はだいぶ少なくなった方式なのですが、「開発を支援したい!」という意識高い人でないと

ちょっと抵抗があるかと思います。

で、最低限名前と Email アドレスを入力して[ Get Download Link ]のボタンをクリックすると登録した Email アドレス宛にダウンロードリンクが記載されたメールが届きます。

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届いたメールに記載されているリンク(またはボタン)をクリックすると Torrent ファイルのダウンロードが始まります。

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iso ファイルを直接ダウンロードするんじゃないのね。

それより、リンク先が Elive みたいに「寄付しないとダウンロードできない」とかいう強制じゃない?とか、ちょっとハラハラしたけれども大丈夫でした。

手持ちの BitTorent クライアントでダウンロードしましょう。

インストールメディアの作成。

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今回もインストールメディアは、Ubuntu のディスクを使って用意します。

USB メモリは SanDisk のスキなやつです。

インストールメディアが出来上がると「Ubuntu focal …」の文字。

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Ubuntu ベースとは聞いていたけれども、名前がそのまま Ubuntu だとは思っていませんでした。

まだ、ベータ版だからそのままなのかな?

ちなみに「ブータブル USB の作成」でも同じでした。

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…そりゃそうだ。

で、今回テストに使うパソコンはタブレット OS ということで、ウチで唯一タッチパネルを搭載した

NEC VersaPro VK22TN-N (PC-VK22TNVDN) です。

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ジャンクで手に入れた、いかにもジャンクっぽい見た目のモバイルノートパソコンです。

USB メモリから起動できるようにして JingOS を起動させます。

JingOS を起動させてみた。

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最近の Ubuntu 系は、インストールメディアの起動の際にチェックが行われます。

結構時間がかかりますが、スキップしたい場合[ Ctrl ]+[ C ] でスキップできます。

…が、なんか86%くらいまで行ってようやく反応しました。

で、起動したわけですが早速どうしたらよいかわかりません。

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手元のタッチパッドは反応しません。

でも、相手はモバイル向け OS 。

画面をよく見ると、下の方に「^」が見えます。

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スワイプしろってことかな?

で、これが正解でした。

なるほどね。

ってか、Enter PIN って???

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サイトにはログインのための PIN とかなかったし、フォーラムにもそれらしいスレッドが見当たりませんでした…。(見逃したのかな?)

いろいろ試してみたところ「123456」でログインできました。

うん、とりあえずセットアップっぽいですね。

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ちなみにコダシマは 6,395番目のユーザーのようです。

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ではまずライブ環境をちょっとさわってみます。

てか、画面が 16:9 じゃないので切り替えようと思ったのですがここには設定がないようです。

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セッティングらしいセッティングができませんね。

基本操作は見た目同様 iOS 寄りの操作感です。

Android 臭さはあんまりありません。

用意したパソコンもパソコンなので、パソコンが悪いのか OS が悪いのか定かではありませんが、タッチで動くところと動かないところがあります。

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現状はマウスで操作したほうが無難ですね。

コントロールセンター的なのも呼び出すことが出来ました。

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見た目は iOS に似ていますが、まだまだコレから感はあります。

あ、左側には通知センターっぽいのがあるのね。

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ってか、電源関連のボタンなくね?

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確かにモバイルデバイスだと、電源関連は物理ボタンに集約されれますからね。

そういうことかな?

まぁ、それはそれでも今のところはいいのかな?

それではそろそろインストールしてみましょう。

JingOS のインストール。

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インストールはアイコンがあるのでそこから始めます。

インストーラーは Linux では度々見たことがあるものです。

レイアウト的に Manjaro とかで使われている Calamares っぽいですね。

日本語ももちろんあります。

タイムゾーン、地図ちっちゃ!

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でもちゃんとクリックできます。

キーボードは、ちゃんと反映されません。

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いくらやっても US 配列の入力しかできません。

インストール後に修正できるのかな?

とりあえず、これで先に進めます。

パーティションは、何が起こるかわからないベータ版なので無難にクリーンインストールします。

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この内容で、インストール開始です。

インストールはおよそ7分程度で終わりました。

思ったよりも早かったです。

インストールメディアを取り外して JingOS を起動させます。

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さっきの感じでログインするとパスワードの設定が求められます。

パスワードと言うか、画面を見ると PIN の再設定ですよね。

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でも、あとから分かるのですが現状ではやっぱり PIN = パスワードの扱いのようです。

ワイヤレスネットワークの選択ですが、インストール前のライブ環境の設定が反映されているようです。

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これはありがたい。

表示言語は日本語になってます。

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で、入力メソッドとか、Fcitx とか Mozc のアイコンまである。

なるほど、日本語環境は Fcitx-Mozc なんですね。

お?Fcitx 自動で起動してないんか?

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ちょっとわからなくてイロイロいじっていましたが、実は Fcitx のアイコンをクリックさせて起動させるようでした。

※ターミナルで Fcitx を起動させるのもありです。

中国で開発されているので、ココらへんはもう少し丁寧に作られているかと思っていました。

ま、ベータ版だし、これからに期待ですね。

Fcitx が起動すると、設定の変更は KDE システム設定で行うようです。

【世界初!】コンバージェンスLinuxベースオープンソースOSのJingOSを試してみた。

設定に統合されても、どうしてもアイコンが出てくる仕様なのかな?

とにかく、キーボードレイアウトの設定をしておきます。

US 配列を戻して、日本語配列を追加しておきます。

で、入力確認してみます。

オフィススイートは WPS Office です。

【世界初!】コンバージェンスLinuxベースオープンソースOSのJingOSを試してみた。

さすが中国で開発されているだけありますね。

入力切り替えについての表示がどこにもないため、インプットメソッドが動いているかどうかは入力するまで一切わからないのが辛いところです。

日本語化はできるものの、入力切替も微妙。

しかも WPS Office は、相変わらずインライン入力が出来ません。

まぁ、使いづらいですね。

ここまでさわってみた感じは、見た目を iOS にした Kubuntu ですねコレ。

【世界初!】コンバージェンスLinuxベースオープンソースOSのJingOSを試してみた。

設定などで、いろいろと手直ししなければいけないところも多々ありますがリポジトリも Ubuntu ということもあって、基本的には一般的なデスクトップ指向のディストリビューションと同等に使えそうな気配です。

ただ正直なところ、まだまだデスクトップ OS (というか Kubuntu ) の延長線上にある OS で、モバイル OS とは少し違うかな?という感想です。

まとめ。

【世界初!】コンバージェンスLinuxベースオープンソースOSのJingOSを試してみた。

ということで今回は世界初 Linux ベースのモバイル OS である JingOS を紹介しました。

まだベータ版というところで、現時点では実用性に欠ける部分は多いです。

それでも意欲的でなかなか魅力的なディストリビューションなので、今後のアップデートに期待です。

それと JingOS の Web サイトは「タブレットやモバイル機器向けの Linux ベース”コンバージェンス”オープンソース・モバイル OS 」という言葉から始まっています。

コンバージェンス?

となったので、ちょっと調べてみました。

まず、コンバージェンスのことを簡単に説明します。

コンバージェンスとは「収束」、「収斂(しゅうれん)」、「集中」といった意味を持つ英単語で、複数のものがひとつに集まることを表しています。

IT の世界では、今まではお互いに接点のない複数のメディアやサービス、さまざまな業界などがデジタル技術によって統合されていく様子を「デジタルコンバージェンス」や「メディアコンバージェンス」と呼んでいます。

また調べてみたところ、金融や会計などの世界においても、ある国の会計基準を国際財務報告基準に合わせて改定し、共通化することをコンバージェンスと呼ぶようです。

んで、JingOS の言うコンバージェンスには何を指すのかで「?」になったわけです。

JingOS の Web サイトにある FAQ には「ミッション」として次のような内容が記されていいました。

モバイルデバイスが台頭してきたこの10年間(2010年から2020年まで)で、モバイル体験とデスクトップ体験を完璧に融合できる製品は見当たりませんでした。

Apple が MacOS と iPadOS を統合し、統一された体験を提供していることはご存知かと思います。

しかし、Apple 社の取り組みは非常に遅く、エコシステムもオープンではありません。
また、Windows や Android もこの分野ではまだ成果を上げていないようです。

JingOS のミッションは、グローバルユーザーのために、「モビリティ」「プロダクティビティ」「エンターテイメント」の統一された体験を提供する、未来のオープンな OS を作ることです。

つまり、デスクトップ OS やモバイル OS などイロイロあるけれども、それらを効果的かつオープンに統一している OS がないため JingOS は世界で初めてそれらを実現するというのが目的であり使命としているようです。

Apple とかには任せておけないって感じの言葉ですね。

なるほど。

そういった意味の「コンバージェンス」ということだったのですね。

ということは JingOS を語るにはコンバージェンスという冠は外せないですね。

https://en.jingos.com/faq/

正式リリースまでのロードマップとして2021年の6月に v1.0 をリリースし、それ以降毎月アップデートをリリースする予定になっています。

【世界初!】コンバージェンスLinuxベースオープンソースOSのJingOSを試してみた。

2021年1月31日にリリースされた v0.6 では、Surface Pro 6, Huawei Matebook 14 で動作テストされたものがリリースされており

v0.8 では、これらの他にいくつかのデバイスがテストされているとのことです。

で、現状では x86_64 アーキテクチャのものしかリリースされていませんが JingPad A1 という ARM プロセッサを搭載したデバイスのリリースも予定しているため JingOS の ARM 版も開発が進められているようです。

現時点では情報が少なく、ARM 版が JingPad A1 だけのものになるのか、それとも他のタブレットにもインストールできるようになるのかは不明です。

が、「オープンな OS を作ること」と謳っているので、さまざまな ARM デバイスへの対応を期待するところではあります。

でも ARM ってイロイロと問題が多そう…

なにはともあれ、今まだ使い物になるとは言い難いですが、とても興味深いディストリビューションです。

今後の開発予定は Web サイトのロードマップに記載されています。

JingOS の今後に注目してみたいと思います。

https://forum.jingos.com/t/jingos-roadmap-v1-0-published-on-jan-2021/218

おまけ

【世界初!】コンバージェンスLinuxベースオープンソースOSのJingOSを試してみた。

JingPad A1 は、まだまだ未定の部分が多いです。

日本で販売されるかも不明です。

参考までに Linux が動く ARM デバイスとして知られる Pine Phone や Pinebook を見てみると、残念ながら未だ日本で販売されていないません。

なので現時点では、 JingPad の日本での販売は難しそうな気がします。

いや、でも中国の会社だし、日本のマーケットは視野に入ってると思いますよ。

どうなるか OS の開発状況を含め6月が楽しみです。