今回は2021年3月30日にリリースされた、 RHEL (=Red Hat Enterprise Linux) の互換 OS である CentOS の代替として注目される AlmaLinux をいじってみました。

結論

AlmaLinux は、何も知らない人がみたらロゴが違うだけの CentOS ですね。

理由としては、GUI 環境ではロゴと言うか壁紙など以外で CentOS との違いを見つけるのが難しいです。

かなり難易度の高い間違い探しですね。

では、AlmaLinux の概要を紹介しながら

  • AlmaLinux 移行ツールの実行
  • ワークステーションとしての AlmaLinux

という点で見ていきます。

まぁ、コダシマはエンジニアではないのでココらへんで精一杯です。

インターネット上では細かくパッケージ単位で比較されている方もいましたが、そこまでしてようやく AlmaLinux と CentOS との違いが見えてくるほどよく似ています。

素人のコダシマにはロゴが違うね!くらいしか見分けが付きません。

が、相当高い次元で互換性を実現しているようです。

AlmaLinux って?

【ポストCentOS】Red Hat Enterprise Linux のバイナリ互換 OS の AlmaLinux をいじってみた。
https://almalinux.org/

AlmaLinux は、RHEL®の 1: 1 バイナリ互換フォークで、つまりは今までの CentOS のポジションを目標として開発されています。

CentOS 安定版リリースの終了によって当初予定されていたサポート期間(CentOS 8 は、2029年5月31日までサポートを予定していましたが…)の、残されたギャップを埋めることを目的としてコードネーム Project Lenix という仮の名称で2020年12月立ち上げられたプロジェクトは、オープンソースのコミュニティ主導の AlmaLinux として正式に発足しました。

AlmaLinux は CloudLinux 社からの支援を受けているのですが、この CloudLinux 社は CentOS をベースとしたシステムを長年開発していたためシステムについては熟知していたことでしょう。

AlmaLinux はプロジェクトの発足以来、最初のベータ版を2021年2月はじめに発表し、2月の下旬には RC 版を発表しました。

そして当初の発表通り4月頃、正確には3月30日に最初の安定版がリリースされました。

予定通りリリースしてくるところは、とても几帳面でビジネスライクなプロジェクトだと感じます。

CentOS の創設者が関わっている Rocky Linux も当初は素早い動きを見せましたが、開発では AlmaLinux に一歩遅れを取ってしまっている状況です。

【ポストCentOS】Red Hat Enterprise Linux のバイナリ互換 OS の AlmaLinux をいじってみた。
https://rockylinux.org/ja/

ちなみに Rocky Linux は2021年4月下旬ころのリリースを予定しているようです。

https://rockylinux.org/ja/

初めてのリリースでいきなり8.3というナンバリングは、何も知らないと「え?」っと思うかもしれませんが(普段から Linux を使っている人は思わないかな?)RHEL 8.3 のバイナリ互換ということを意味していますね。

すっかり CentOS の代替というトコロにばかり目が行ってしまいますが、実際には無料で使える RHEL のバイナリ互換 OS というのが本文です。

ちなみに、その本家 RHEL は 3月31日に 8.4 Beta をリリースしました。

【ポストCentOS】Red Hat Enterprise Linux のバイナリ互換 OS の AlmaLinux をいじってみた。
https://www.redhat.com/en/technologies/linux-platforms/enterprise-linux

ってことは、この調子だとすぐに AlmaLinux 8.4 もリリースされそうな気配ですね。

https://www.redhat.com/en/technologies/linux-platforms/enterprise-linux

AlmaLinux への移行。

【ポストCentOS】Red Hat Enterprise Linux のバイナリ互換 OS の AlmaLinux をいじってみた。
https://mirrors.almalinux.org/isos.html

AlmaLinux は普通にイメージファイルも提供されています。

またインストール方法は CentOS や Fedora と同じやつです。

Debian 系や Ubuntu 系の GUI インストーラーとはちょっと雰囲気は違うため、不慣れな方は少し戸惑うかもしれませんが、使い方の難易度はそれほど高くありません。

また通常のインストールの他に RHEL 互換のディストリビューションを AlmaLinux へ簡単に移行するためのスクリプトが Github にて配布されています。

https://github.com/AlmaLinux/almalinux-deploy

このスクリプトの対象は

  • RHEL 8.3 以降
  • CentOS 8.3 以降
  • Oracle Linux 8.3 以降

をサポートしています。

素人目に見ても、このタイミングで一気にシェアを確保し、しっかりとした基盤を作りたい時期でしょうね。

そのため、本家を含めた互換 OS は網羅しているという感じです。

移行ツールは本当に簡単で、ダウンロードしたスクリプトを実行するだけです。

必要に応じてリポジトリ情報を修正する必要もあるようですが、ほぼ移行ツールに任せっきりでいいっぽいですね。

非エンジニアのコダシマにもできました。

【ポストCentOS】Red Hat Enterprise Linux のバイナリ互換 OS の AlmaLinux をいじってみた。

ということで、今回は普通のダウンロードとインストールではなく、AlmaLinux の移行ツールを使って CentOS を AlmaLinux に移行してみたいと思います。

移行ツールを使ってみる。

【ポストCentOS】Red Hat Enterprise Linux のバイナリ互換 OS の AlmaLinux をいじってみた。

GitHubu の手順に沿って AlmaLinux の移行ツールを使ってみました。

1.準備

使っている OS のバージョンを確認しましょう。

$ cat /etc/redhat-release

サイトでは 8 以降という感じで書かれていましたが、実際にはサポートされるどのディストリビューションも 8.3 以降でないとスクリプトを実行してもエラーが返ってくるようです。

8.3 以前の場合にはアップデートが必要です。

アップデートする場合にはコチラのコマンドを実行してください。

$ sudo dnf distro-sync -y

また、移行前にはシステムのバックアップもお忘れなく。

2.セキュアブートの無効化。

AlmaLinux はまだセキュアブートをサポートしていないため、実行する場合にはセキュアブートを無効にする必要があります。

まぁ、結構まだセキュアブートをサポートしていない OS は多いですからね。

USB メモリからブートできるようになっていれば、ここはスキップできます。

3.移行ツールのダウンロード。

AlmaLinux 移行ツールのスクリプトをダウンロードします。

もちろん GitHub から GUI 操作でダウンロードとかでも OK ですが、せっかくコマンドが記載されているのでコピペして実行しててみます。

$ curl -O https://raw.githubusercontent.com/AlmaLinux/almalinux-deploy/master/almalinux-deploy.sh

4.移行ツールの実行。

スクリプトを実行し、その出力にエラーがないか確認します。

$ sudo bash almalinux-deploy.sh

環境によっても処理時間は異なりますが、そこそこ時間がかかります。

今回の環境では1時間程度かかりました。

じっと眺めていると移行ツールがやっていることは、ディストリビューション固有パッケージと AlmaLinux 固有のパッケージとの差し替えです。

もう少し具体的に言うと、

  1. 元のディストリビューションのチェック。
  2. パッケージの比較。
  3. ディストリビューション固有のパッケージを削除。
  4. AlmaLinux 固有のパッケージのインストール。
  5. インストール済みパッケージの置き換え。
  6. システムのチェック。

という感じで処理が行われていきます。

【ポストCentOS】Red Hat Enterprise Linux のバイナリ互換 OS の AlmaLinux をいじってみた。

システムが正常に変換されたことを確認します。

$ cat /etc/redhat-release

コマンドを実行すると…

AlmaLinux release 8.3(Purple Manul)

無事に AlmaLinux に移行されたようです。

次に、システムがデフォルトで AlmaLinux カーネルを起動することを確認します。

$ sudo grubby --info DEFAULT | grep AlmaLinux

コマンドを実行すると…

title = " AlmaLinux(4.18.0-240.el8.x86_64)8 "

カーネルも AlmaLinux のものになったようです。

素人考えだと、システムの移行には再起動が何度か必要だと思いこんでいますが、このツールは一切再起動しませんでした。

にも関わらず、ちゃんと CentOS から AlmaLinux に移行することが出来ました。

確かにサイトにも「スイッチングのダウンタイムがゼロで~」

【ポストCentOS】Red Hat Enterprise Linux のバイナリ互換 OS の AlmaLinux をいじってみた。

という一文がありましたが、こういうことだったんですかね?

なんかイロイロすごいですね。

ワークステーションとしての AlmaLinux 。

【ポストCentOS】Red Hat Enterprise Linux のバイナリ互換 OS の AlmaLinux をいじってみた。

ということで CentOS を AlmaLinux に移行しましたが、コダシマ的にはサーバーを構築するわけでもないのでワークステーションというかデスクトップ OS として使えるかを注目します。

CentOS もワークステーションとしての使用も考慮した OS となっていてので、当然 AlmaLinux も同じくワークステーションとして使うことができます。

ただし CentOS のときもそうでしたがリポジトリに含まれるアプリケーションは、フリーソフトの大定番程度しか用意されていません。

【ポストCentOS】Red Hat Enterprise Linux のバイナリ互換 OS の AlmaLinux をいじってみた。

Ubuntu や Fedora 、openSUSE とかのように山のようなアプリケーションは期待できませんが、画像編集や書類の作成などは十分です。

必要とあれば Flatpak とかもあるので、よほど特殊な使い方でなければ問題ないでしょう。

最悪、ソースコードからビルドですね。

そこらあたりは、潔く割り切った考え方だと思います。

デスクトップ OS としてはあれこれアプリケーションをインストールせず、シンプルに使いたい人向けでしょう。

そもそもサーバー指向が強いディストリビューションですからね。

コレはコレでありだと思います。

まとめ。

ということで今回は RHEL の互換 OS で、CentOS と同じ位置づけの AlmaLinux を紹介しました。

2021年3月30日に安定版を正式リリースした AlmaLinux は、永遠に無料で使用制限のないオープンソースであり、2029年まで CloudLinux がサポートを継続し、コミュニティ主導で開発することが約束されています。

また GitHub にて公開されている AlmaLinux への移行ツールは、とても簡単に本家の RHEL を含めた互換 OS を AlmaLinux へと移行させることが出来ます。

素人のコダシマにも出来たので、皆さんにもできることでしょう。

他のプロジェクトよりも早い段階で、RHEL 8.3 をベースとした安定版をリリースした AlmaLinux ですが、CentOS の代替としての地位を確立できるかが興味深いところです。

まぁ、ぶっちゃけ個人ユーザーであれば CentOS Stream でも問題はないんでしょうけれどね…。

とにかく、エンタープライズクラスの完成度を誇る AlmaLinux 興味のある方は是非試してみてはいかがでしょう。

https://repo.almalinux.org/almalinux/8/isos/x86_64/

参考サイト

https://almalinux.org/blog/almalinux-os-stable-release-is-live/
https://gihyo.jp/admin/clip/01/linux_dt/202104/08
https://japan.zdnet.com/article/35168619/
https://techtarget.itmedia.co.jp/tt/news/2103/01/news02.html
https://blog.centos.org/2020/12/future-is-centos-stream/