Vanilla OS 22.10 Kinetic: 安全性を重視したポップな見た目の Linux ディストリビューション

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Vanilla OS 22.10 Kinetic: 安全性を重視したポップな見た目の Linux ディストリビューション
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 2023年2月23日、Vanilla OS という象徴的な Linux ディストリビューションがリリースされました。Vanilla OS は、Ubuntu ベースのディストリビューションで、とてもポップなインターフェースに仕上がっていますが、その中身はセキュリティを重視し安全性を第一に開発された Linux でした。

安全性重視の OS で簡単に使える Linux

 セキュリティを重視した OS は、複雑に感じるかもしれません。しかし、Vanilla OS の新しいバージョンでは、使いやすさが向上しています。以前のバージョンでは、「Almost」という機能が使われていましたが、今では「ABRoot」に変わっています。

 「Almost」時代には、特定のコマンドを使って読み取り専用モードや読み書きモードを切り替える必要がありました。しかし、それにはいくつかの問題がありました。例えば、読み取り専用モードでもファイルを作成できてしまうことです。

 そこで、「ABRoot」という新しい機能が導入されました。これにより、A と B の二つのルートパーティション間で安全なトランザクションが可能になりました。例えば、新しいアプリをインストールすると、それが成功したら次回起動時に自動的に新しいルートパーティションに切り替わります。もし問題があった場合、システムは通常通り起動し、パーティションは変更されません。

 実際に、「htop」というコマンドを Vanilla OS にインストールして試してみましょう。「apx」という方法でインストールすると、安全なコンテナ内にインストールされます。インストールは以下のコマンドで簡単に行えます。

apx install htop

 もう一つの方法は、「ABRoot」を使ったインストールです。これは少し複雑で、インストール後に再起動が必要です。以下のコマンドでインストールできます。

sudo abroot exec apt install htop

 この方法では、システムを再起動するまで「htop」を使えません。これは、新しいルートパーティションに切り替わっていないためです。

 Vanilla OS では、「Flatpak」や「AppImage」もサポートされています。これらのアプリは、GUI から簡単にインストールできるため、コマンドラインを使わなくてもアプリをインストールできます。

Smart Updates

 Vanilla OS には、「Smart Updates (スマートアップデート)」という便利な機能があります。これを有効にすると、システムが高負荷状態やバッテリー残量が少ないときにアップデートされなくなります。スマートアップデートを利用するには、Vanilla OS の「Control Center (コントロールセンター)」を開き、「Updates (アップデート)」タブをクリックし、SmartUpdate の ON/OFF スライダーをクリックします。

 SmartUpdate の目的は、ユーザーがアップデートの心配を減らすことです。この機能をオンにすると、アップデートは次回の再起動まで適用されず、ABRoot の切り替えを経由します。これにより、アップデートは完全にバックグラウンドで実行され、成功が保証された場合にのみ処理が進みます。

 ただし、このシステムには注意点があります。スケジュール設定に日次のオプションがなく、週次や月次のアップデートのみ可能です。ですが、週に1回アップデートする人にとっては問題ないでしょう。

Sub System

 もう一つの素晴らしい新機能は、開発者向けかもしれませんが、とても魅力的です。Vanilla OS では、「Arch Linux」、「Fedora」、「Alpine Linux」といった異なるコンテナ化システムを起動できます。Vanilla OS のコントロールセンター内で、「Sub System (サブシステム)」タブをクリックし、選択したシステムの「+」ボタンをクリックすると、そのシステムをベースにしたコンテナが起動します。例えば Fedora をクリックすると、ターミナルウィンドウが Fedora のコンテナで開き、まるで本物の Fedora Linux ディストリビューションを操作しているかのようになります。好みのディストリビューションのコンテナを作成できる素晴らしい機能です。

気になるところ

 まずは、仮想環境では 50GB のストレージ領域が必要なのにはちょっと驚きました。なかなかの大食漢ですよね。インストールしてみてわかりました。そもそものシステム自体もセキュリティ強化のシステムだったり、サブシステムがあったりと結構なボリュームなうえ、初回起動時にさまざまなアプリケーションを予め自由に選択できるシステムで提供されるソフトウェアを全てインストールすると、おそら 50GB くらい必要となると思われます。(知らんけど、それくらい多いです)なので、初回起動時はまぁまぁ時間がかかります。

 次は、パッケージ管理です。Ubuntu ベースのディストリビューションですが、apt が使えません。これは、安全性の強化のためシステムのリソースへのアクセスが制限されたコンテナー内にソフトウェアをインストールするためのシステムが構築されているためです。

 個人的なイメージを言うと、Ubuntu ベースでありなが、特にパッケージ管理などは全く別の OS のように感じました。

 つぎは、日本人ユーザーだと気になるのが日本語環境。インストールの際に表示言語やキーボード、タイムゾーンの設定は日本語に出来ましたが、日本語入力環境は…。

初回起動設定が終わった後に、さらに追加で設定が必要です。

 ですがここで問題がありました。パッケージ管理のためか日本語入力が正しく動作しません。Linux 経験のあるユーザーであればコマンド操作で設定し直すところ。

コダシマも APT や DNF といった、大手のパッケージ管理がそのまま使えるのであれば、なんとかなるかと思っていました。しかし、不慣れなパッケージ管理システムでの修正処理は、コダシマのようなエセユーザーはハードルが高いです。正直、現状では日本語環境向けではないかもしれません。

とはいえ…

 Vanilla OS は、信頼性が高く、パフォーマンスも素晴らしいです。安全で信頼性の高い OS を使用し、他のディストリビューションにはない方法でシステムを保護できます。

 日本語環境は、ちょっと「アレ」ですが、システムの保護と適切な動作に役立つ新しい OS を探しているなら、Vanilla OS がおすすめです。

 より詳しい情報をご確認のうえ、ぜひお試しください。

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First stable release of Vanilla OS 22.10 Kinetic is released.
Release 22.10-r2 · Vanilla-OS/os
Note that releases tagged with the -rN suffix are not new releases. They just provide updated packages for a better experience out of the box. Vanilla OS automa...

それでは皆さん、快適な Linux ライフをお過ごしください!

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