あのリチャード・ストールマンも認める最も自由な Linux の 32bit 版を 32bit マシンにインストールしてみます。
エンジニアを目指すあなた!テックキャンプ無料カウンセリングはコチラからその前に、リチャード・ストールマンって誰よ?という人のためにざっくり紹介すると、フルネームをリチャード・マシュー・ストールマン (Richard Matthew Stallman) といい
- 伝説のプログラマ
- フリーソフトウェア活動家
- GNUプロジェクトの創始者
という、つまりはフリーソフトウェアの権化みたいな人。
そんな人が選ぶ Linux というわけなので、どれだけ自由なのかが伺え知れると思います。
で、今回紹介するきっかけになったのは、古い富士通のノート PC で音がでない Linux が多いため、当初は「古い富士通のノート PC で、音が出る Linux 」として調べ始めたのがきっかけ。
調べているタイミングで、最新版となる 9.0 がリリースされたので、だいぶ数少なくなってきた 32bit Linux の最新版の紹介を兼ねて今回取り上げて見ようと思いました。
そんな Trisqel GNU/Linux をダウンロードやインストールをしながら紹介していきます。
Trisquel GNU/Linux とは?
Trisquel GNU/Linux は、Ubuntu をベースとした Linux-libre カーネルを備えた GNU オペレーティングシステムのディストリビューションで、 GNU FSDG (= GNU Free System Distribution Guidelines) に完璧に適合する OS です。
Ubuntu ベースではあるものの、 Ubuntu のカーネルからバイナリ・ブロブを排除したエディションをベースにして、ファームウェアのレベルまでプロプライエタリソフトを含まないディストリビューションになっています。
エディション。
Trisquel はいくつかのエディションがあります。
Trisquel (MATEデスクトップ)
人気の高かった GNOME パネル、つまり GNOME 2.x からのフォークをベースとした MATE デスクトップ環境のエディション。
カスタムされた MATE デスクトップを採用したこのエディションは、以前からの Trisquel と変わらない環境を提供しています。
Trisquel Mini
古いマシンやネットブック向けの軽量バージョン。
LXDE デスクトップに、選びぬかれたリソース節約アプリケーションを採用し、ハードウェアに新しい命を吹き込むためのバージョンになっています。
Triskel (KDEだからqでなくてkなのかな?)
KDEデスクトップ環境のエディションです。
KDE Plasma を知っている方には説明不要かもしれませんが、デザインやレイアウトを自由にカスタマイズできます。
自分好みにしたい方はこのエディションがおすすめ。
Trisquel NetInstall
デスクトップ環境はなく、コマンドラインをつかってインターネット経由でインストールする上級ユーザー向けのエディション。
Suger TOAST
さらに子供のインタラクティブ・ラーニングのためのデスクトップ環境 Suger が用意されています。
ときどき見かけるデスクトップ環境ですが、ボクはちょっと苦手ですね。
なんかこう、スマートフォンのらくらくフォンみたいというか、使い方を簡単にしているんだろうけど、むしろそれが使いづらいみたいな感覚になります。
さて、アナタの好きなエディションはどれでしょう?
ドライバについて。
すべてがフリーソフトウェアとなると、ちょっと心配になるのがドライバやアプリケーション。
Wi-Fi アダプタのドライバの多くはプロプライエタリ・ソフトウェアを必要とするため、Wi-Fi アダプタで不都合が生じる場合が多いのです。
内蔵されている Wi-Fi アダプタも、USB 接続の Wi-Fi アダプタも初期状態ではほとんどが弾かれてしまうかと思います。
実際に今回のマシンには USB 接続の Wi-Fi アダプタを使ってみましたが、一切認識しませんでした。
ですが、逆に有線LAN であれば内蔵されているものも USB 接続のものも概ね認識されます。
現実的なところで言えば、32bit プロセッサを搭載したノートPCを外に持ちだしてまで使うことがほぼないと思われます。
32bit マシンをテザリングまでしてワイヤレスで使う意味も無いと思いますしね。
有線LAN の環境があるところで使えれば問題ないんじゃないかな?と思います。
また、デスクトップOS として普段遣いする程度であれば、その他のデバイスドライバについては、使っていて特に不都合がなかったのでほぼ問題ないと思います。
そもそも、本来の目的であったサウンドデバイスも、他のディストリビューションではダメだったにもかかわらず Trisquel ではちゃんと動作していることから、苦手なのは Wi-Fi くらいじゃないかな?と思います。
アプリケーションについて。
次にアプリケーションについてです。
アプリケーション特徴的なのはデフォルトの Web ブラウザに「Abrowser」を使用していることです。
Abrowser は、Mozilla のブランド化されていないバージョン。
言ってしまえば Mozilla の Trisquel バージョン。
ブラウザの自由とプライバシーを尊重し、優れたブラウジング体験のためにアップストリーム、からの最新のアップデートが提供されるので、安心して使うことができます。
ほかにも家庭やオフィスですぐに使用できるよう、定番の Libre Office や GIMP 、マルチメディアプレイヤーとして VLC がインストールされています。
新しいプログラムは「アプリケーションの追加と削除」や「ソフトウェア」で簡単に見つけてインストールできます。
32bit 版ではインストールできないアプリケーションが増えてしまいましたが、先日 Twitter でつぶやいたとおり 64bit 版であれば Google Chrome をはじめ、主に Flatpak で提供されている Spotify や Skype といったアプリケーションもちゃんとインストール出来ます。
お気に入りの音楽もちゃんと聞けますね。
この辺はさすが Debian 系というか Ubuntu 系ディストリビューションと思います。
Flatpak 自体は 32bit 版でもインストールできましたが、アプリケーションはダメなものが多かったです。
この辺は仕方ないところもありますが、それでもまだ 32bit 版の開発が続いている Trisquel には頭が下がります。
動作について。
デスクトップ環境のRAM使用量については、以前の記事を参考にしてもらえればと思いますが、
MATE エディションと LXDE エディション、KDE エディションのそれぞれアイドル時の RAM 使用量もチェックして見ました。
- MATE … およそ400MB
- LXDE … およそ200MB
- KDE … およそ500MB
と 32bit 版のためかとても軽量でした。
まとめ。
ということで今回は Trisquel GNU/Linux を見てきました。
Trisquel は Ubunt ベースでありながら、すべてフリーソフトウェアで構成した、最も自由なディストリビューションでした。
日本語環境もしっかりとサポートされており、インストール直後から特に設定をしなくとも日本語入力までできていまいます。
Trisquel Mini や Triskel (KDE エディション) のライブ環境では、表示言語を英語かスペイン語しか選ぶことはできませんが、日本語環境のインストールもサポートされているので、英語が苦手でも安心です。
ちょっと心配したドライバについても、Wi-Fi 以外はむしろ他のディストリビューションよりもサポートされているデバイスが多いんじゃないかな?と思うほどです。
またアプリケーションについては 32bit 版だとどうしても制限はありますが、64bit 版だと定番のソフトウェアは問題なく使うことが出来ます。
普段遣いにはもちろん、開発や研究にも使い方は自由。
日本での知名度はあまり高くありませんが、芯のあるしっかりとしたディストリビューションだと感じました。
Ubuntu LTS をベースとしているのでサポート期間も長期です。
興味のある方はぜひ試してみてはいかがでしょうか?
Trsquel GNU/Linux に興味を持ったアナタは、下の URL を今すぐクリック!
▼ダウンロードする▼
https://trisquel.info/en/download
おまけ。
Trisquel のロゴマークはケルト人のトリスケリオンというものらしいです。
もともとは三脚巴紋(さんきゃくともえもん)という伝統的な文様のひとつで、3つの渦巻の組み合わせか、膝を直角に曲げた三本足などで描かれた文様です。
日本でも、神社とか太鼓とかに描かれている巴紋のひとつ、三つ巴もこの文様のひとつとされています。
同じ仲間なんですね。
というか Trisquel って、いろいろとこだわりの強いディストリビューションですね。