今回は、人気急上昇中!Linux コンピュータメーカーの System76 が開発するフリーの Linux ディストリビューション Pop!_OS を紹介します!
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Pop!_OS はココ最近とても注目されており、人気も高まってきている Linux ディストリビューションです。
Linux 関連ではトップクラスの情報量を誇る DistroWatch.com のアクセスランキングで2020年11月現在、本家の Ubuntu を抑え4位にまで浮上しています。
今回はそんな Pop!_OS を紹介していきます。
Pop!_OS とは?
Pop!_OS は米国の Linux コンピュータメーカー System76 によって開発されている Ubuntu をベースとした Linux ディストリビューションです。
ちなみに表記する際には Pop の後の ! (エクスクラメーションマーク) と _ (アンダーバー) アンダーバーを入れる必要があるようです。
デスクトップ環境にはカスタマイズされた GNOME が採用されており、主に System76 によって構築されたコンピュータにバンドルされています。
Linux はコミュニティベースで開発されるものが多い中、メーカーが OS を開発するというのは最近では珍しいですね。
ハードウェアもソフトウェアも開発するというところは、ちょっと Apple をイメージさせますが、 Pop!_OS は Linux ベースと言うこともあってか無償で配布されています。
(ん?macOS ももとをたどると BSD だった気が…)
System76 の公式サイトから Pop!_OS をダウンロードすることもできるので、System76 のコンピュータでなくとも Pop!_OS を使うことができます。
今回はコチラからダウンロードして使います。
ダウンロード。
Pop!_OS のダウンロードは、サイトの画面右上に表示されている「ダウンロード」ボタンをクリックすると、ダウンロードのウィンドウが表示されます。
If you have NVIDIA graphics, download the ISO with the proprietary NVIDIA driver preinstalled.
「NVIDIAグラフィックスをお持ちの場合は、専用のNVIDIAドライバーがプリインストールされたISOをダウンロードしてください」
と表示されていますが、このとき自動的にグラフィックボードが認識され Intel / AMD のグラフィックボードを積んでいるマシンであれば「無印」が、NVIDIA のグラフィックボードを積んでいるマシンであれば「NVIDIA」がアクティブになっています。
ただしインストールするマシンが違う場合は、インストール先のマシンのグラフィックボードに合わせてダウンロードしましょう。
ですが、例えば無印をインストールしたマシンでも、後から構成を変えて NVIDIA のグラフィックボードを積んだときとかには、もちろん後からドライバを追加することができます。
Pop!_OS のインストールの仕方を紹介するページの最後の方に、コマンドが紹介されていました。
sudo apt install system76-driver-nvidia
違うバージョンをインストールしたり、後から構成を変える場合にはコチラを実行してみてください。
ちなみに、 Pop!_OS をインストールするのに必要なマシンスペックも表示されており
- CPU: 64bit プロセッサ
- RAM: 2GB
- Storage: 16 GB
ISO ファイルのサイズは
- 無印 … 2.25GB
- NVIDIA … 2.57GB
さらに Ubuntu ベースということもあり、現在では 20.10 と 20.04 LTS がダウンロードできます。
今回は 20.10 をダウンロードしてみますが、ここらへんはお好みでダウンロードしてください。
インストール。
今回 Pop!_OS をインストールするマシンは、以前 Amazon のセールで買った中華製 PC Jumper Ezbook X3 にインストールしてみます。
Jumper Ezbook X3
- CPU: Celeron Apollo Lake N3350 1.1GHz (2.4GHz)
- RAM: DDR3L 6GB
- Storage: eMMC 64GB
ダウンロードページにもあったようにセキュアブートを無効化させて、インストールメディアからき起動せます。
このマシンで BIOS に入るには、起動の途中で DEL キーを押すと入れます。
起動させると名前の通り POP な雰囲気の壁紙やデザインでまとめられています。
以前は Ubuntu と同じインストーラーが使われていましたが、現在では elementary OS とのパートナーシップで構成された独自のインストーラーに変わっています。
また、多くの Ubuntu 系ディストリビューションで見られるお試しのライブ環境が省略されています。
全く試すことが出来ないわけではありませんが、ちゃんと用意されているお試し環境に比べより制限された環境でのみのお試しになります。
さらに Ubuntu や派生のディストリビューションでは、ほとんどがユーザー設定などをしてしまいますが、Pop!_OS のインストールの際には表示言語とキーボード設定、暗号化ぐらいの設定のみで、インストール後にプライバシーとして位置情報の設定、タイムゾーンやオンラインアカウントへの接続設定、ユーザー情報の設定を行うようになっています。
ココらへんは他の Ubuntu 系のディストリビューションとは結構違いますね。
ここは慣れや好みによって意見が分かれるところだと思いますが、設定がスムーズにできればどちらでも良い気がします。
Pop!_OS を使ってみる。
初期設定をして使い始めます。
デスクトップは GNOME 3.38.1 と最新のものが採用されています。
このバージョンは、パフォーマンスやセキュリティが大幅に強化されているほか、UX (user experience = ユーザー体験) も大きく変更されています。
モバイル OS のようにドラッグしてアプリを並べ替えたり、フォルダーにまとめたりすることが出来るようになったのがいちばんの特徴でしょう。
これは Ubuntu 20.10 や Fedora 33 などでも同様ですね。
日本語環境。
Ubuntu ベースということもあり、インストールの際に使用する言語を日本語にすると、日本語環境はある程度整っています。
が、今回インストールしたマシンは US 配列のキーボードなので、日本語入力についてはちょっとクセがあります。
日本語の入力モードを「ひらがな」にして、英語と日本語を切り替える感じで使います。
ココらへんはさらに設定に手を加える必要がありますね。
設定項目。
で、ちょっと気になった点がったので設定画面を表示してみました。
というのも、以前にインストールしてみた際にそこまで気にしていませんでしたが、改めて見てみると Ubuntu や Fedora, openSUSE の GNOME より、設定項目が多くなっています。
ここらへんがカスタマイズされた GNOME ということなのかな?と思います。
スタッキング機能
さらにカスタマイズといえば、ちょっとおもしろいのがスタッキング機能。
この話をする前に、簡単にウィンドウマネージャの話をしておきます。
OS が GUI (グラフィカルユーザーインターフェース) 環境を実現する際には、
- コンポジット型
- スタック型
- タイル型
の3つの種類があります。
コンポジット型ウィンドウマネージャ
GNOME のウィンドウマネージャは Mutter というコンポジット型のウィンドウマネージャを使用しています。
ちなみに Vista 以降の Windows や macOS もコンポジット型のウィンドウマネージャです。
スタック型ウィンドウマネージャ
スタック型ウィンドウマネージャは Fluxbox, Openbox, IceWM, JWM など、超軽量な Linux ディストリビューションで使われているものです。
ちょっと派手目な Enlightenment もスタック型ですね。
ちなみに XP 以前の Windows や Classic Mac OS も、このスタック型のウィンドウマネージャでした。
タイル型ウィンドウマネージャ
で、タイル型ですが Awesome, dwm, i3 といったエンジニアには人気の高いウィンドウマネージャで、コンポジット型やスタック型と異なりウィンドウをオーバーラップ、つまり重ねないで表示するのが特徴です。
Pop!_OS は GNOME デスクトップでありながら、デフォルトでタイル表示させる機能が含まれています。
イロイロとキーボードショートカットを覚える必要がありますが、覚えてしまうとマウス操作より相当速く操作ができるようになります。
エンジニアを目指す人は試してみてはいかがでしょうか?
右クリックのメニュー。
ちょっと残念だったのは、Pop!_OS は基本的にアメリカのディストリビューションのため、日本語にも対応しているとはいえ全てが翻訳されているわけではないという事。
例えば右クリックのメニューなんかは全て英語です。
それほど難易度の高い英語ではありませんが、機能を知らないと全くわけがわかりませんよね。
ココらへんは Ubuntu の日本語リミックスとかのほうが良いですね。
Pop!_shop
アプリケーションの追加や削除に使う Pop!_shop は、Ubuntu のストアよりも反応が速いです。
これは Pop!_OS のワークフローに合わせて最適化し、マシンの速度を低下させる大きめなパッケージをデフォルトで提供することを避けていることにあるようです。
ですが、それでも Steam や Spotify などのような名前の通ったアプリケーションはデフォルトでも用意されています。
Pop!_shop にお目当てのアプリがなかったとしても、そもそも Debian 系の Ubuntu をベースとしていて、リポジトリも Ubuntu のものを使っているので Synaptic パッケージマネージャや Flatpak などを使って追加することも出来ます。
パッケージについては問題ないですね。
デバイスのトラブル。
今回インストールしたマシンは、非力な部類のものになるかと思いますが、Youtube などの動画視聴や Web サービスの利用についてそれほどストレスを感じませんでした。
しかし、残念ながらサウンドデバイスが認識されず「ダミー出力」となってしまいました。
Pop!_shop にて realtek を検索したときにヒットしたパッケージをインストールすると音声が出るようになったので安心しました。
Linux 初心者だと結構びっくりしてしまいますよね。
他にも動画ファイルの再生などにも必要なパッケージが不足したりしているようなので、用途によってはさまざまな手直しが必要になりそうです。
まとめ。
という感じで Pop!_OS についてまとめていきたいと思います。
今まではブログでも「見た目が違う Ubuntu 」として紹介していました。
Ubuntu のリポジトリが使えるため、パッケージの多くは同じものなので違いがわかっていませんでした。
ですが、Pop!_OS は他の Ubuntu 系には見られない特徴がいくつかありました。
2つのバージョン。
Pop!_OS には搭載されているグラフィックボードに対応する Intel / AMD と NVIDIA のバージョンがあります。
後から NVIDIA のドライバを追加することもできますが、どちらか迷う場合には NVIDIA を選ぶと良いかと思います。
インストーラー。
独自のインストーラーはとてもシンプルで、ユーザー設定などはインストールの後に行うようになっています。
プライバシー。
これもインストールのときに設定できます。
デフォルトで暗号化が有効になっていますので、お好みで設定してみてください。
スタッキング機能。
コンポジット型の GNOME でありながら、タイル型のデスクトップにすることも出来る。
他にも、今回は紹介しませんでしたが、通知をオフにするサイレントモードやゲーム関連の機能、独自で用意しているドライバなどなど他にもたくさんの魅力があります。
ただし、デフォルトでは素体のような状態なので、自分のやりたいことやマシンのデバイスによって調整が必要なところは、初心者には少しハードルが高く感じるかもしれません。
ですがコレを機会にチャレンジしてみるのも面白そうですよね。
なにより、コミュニティベースでの開発がほとんどな Linux の中で、メーカーとしてディストリビューションを開発しつつ、
ユーザーからのフィードバックも反映させるという、他では見ることが出来ない開発スタイルも注目に値します。
それでも「 Ubuntu の焼き増しに過ぎない」という意見もあります。
というか実際に以前のボク自身もそう思っていました。
しかし今年は、 Ubuntu の LTS の Beta リリースから Ubuntu と GNOME を使う機会が増えたため、より違いをはっきりと知ることができたと思います。
今回改めて Pop!_OS をしっかりと触ってみて Pop!_OS は素晴らしいという意見に賛同できるようになり、
Ubuntu よりも注目されている理由が少し理解できた気がします。
この動画を見て Pop!_OS に興味を持った方は、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?
Pop!_OS に興味を持ったアナタは、下の URL を今すぐクリック!
▼ダウンロードする▼
https://pop.system76.com/