末恐ろしいです。
今回は学生が開発した Linux を紹介したいと思うのですが、開発者はなんと中学3年生です。
EtupOS
今回紹介する Linux ディストリビューションは EtupOS という軽量 Linux ディストリビューションです。
EtupOS の開発者は、正式リリースされた2022年5月現在、中学3年生の「ペンギ NN」さん(読み方はどちらでも良いということでしたので「ぺんぎん」さんに統一します)です。
この Linux ディストリビューションは Ubuntu Minimal から構築された Basix (http://simosnet.com/livecd/basix/) を使いカスタマイズされた、いわゆる Ubuntu 系のディストリビューションとなります。
Linux はオープンソースのソフトウェアなので、自分が使いやすいように組み立てることができます。
ですが、中学3年生で OS を作ろうって、中3当時のコダシマには想像できなかったですね。
EtupOS という名前は、開発コンセプトである「自分 (ペンギ NN) が使いやすいと思う OS を目指す = Easy to use for penguiNN OS 」からきているとのことです。
コダシマも、ディストリビューションの開発に携わるようになって知ったのですが、カスタムビルドだけでも結構な作業です。
ベースの OS にデスクトップ環境やアプリケーションを組み込む作業、デバイスドライバの組み込みやカーネルのカスタマイズなどなど…。
実に大変です!
が、一方で今まで知らなかった仕組みを知ることができるので、より詳しく OS の仕組みを知りたい人なんかは楽しくて仕方ないことでしょう。
ってか、コダシマが中3のときコンピュータに興味はあったものの、毎日ファミコンってか発売された間もない PC エンジンにどっぷりハマってました。あとラジコンとかサバゲーも外せませんね。
とにかく遊び呆けてましたよ。
EtupOS のシステム要件
話を戻しましょう。
まずは EtupOS のシステム要件を確認しておきます。
最小動作要件
- CPU: 1GHz x86_64 以上
- RAM: 1GB 以上
- Storage: 5GB HDD or SSD 以上
推奨動作要件
- CPU: 1.5GHz x86_64 dual core 以上
- RAM: 4GB 以上
- Strage: 32GB HDD or SSD 以上
いかにも軽量 Linux といった内容ですね。
推奨動作要件をみても、最近の PC でこれ以下のスペックを探すのが逆に難しいくらいでは無いでしょうか?
Core 2 Duo 世代のマシンでも十分に使える構成です。
サブ機とかにインストールしてみるのが良さそうですね。
EtupOS の動作確認。
今回は動作確認で Virtualbox を利用しました。
実機にインストールする場合には USB メモリへの書き込みに BalenaEtcher (https://www.balena.io/etcher/) を推奨しています。
今回は試していませんが Rufus (https://rufus.ie/ja/) や Ubuntu とかのディスクなど、いわゆる DD モードでの書き込みができるソフトウェアであれば大丈夫だと思われます。
んで、Live 環境が起動してちょっと驚きました!
というのも他の Linux ディストリビューションの場合、Virtualbox で起動させると大体が 800×600 (4:3) SVGA (Super VGA) で表示されます。
GNOME や Xfce とかの場合は、ちょっと面倒ですがディスプレイの解像度とかで変更することができます。
ちなみに、KDE Plasma の場合には初期状態のままでは変更出来ません。
画面が狭くて使いづらいですよね。
が、EtupOS の場合は、解像度の初期値が 1440×900 (16:10) WXGA+ (Wide XGA+) と呼ばれる解像度になっています!
広くて良いです!
コダシマにはなかなかありがたい機能だと思います。
さらに、日本語入力もインストール前からすでに出来ます。
日本語入力環境の実装は、もう学生でも当たり前になってますね。
実に素晴らしい!
インストール
では EtupOS をインストールしてみましょう。
EtupOS にはインストーラーが2つ存在します。
Ubuntu 系の定番インストーラー Ubiquity と、人気の高いインストーラー Calamares です。
見え方は若干異なりますが、設定する内容は一緒です。
インストールの時間も大差ありません。
環境によって異なるかと思いますが、コダシマの環境で7〜8分程度でインストールが完了しました。
んで、自動ログインの設定をどちらでもやってみましたが、どちらも出来ませんでした。
仕方ないでしょう。
今後の課題ですね。
ただ、一個気になったのは、Ubiquity でインストールした際に Calamares が残ってしまうこと。
これについては、対策を検討中とのことです。
Calamares でインストールした際には、どちらのインストーラーもきれいに無くなっていました。
インストールする場合は、現時点で Calamares のほうが良いかもしれませんね。
オリジナルコマンド。
インストールが終わって、ちょっといじってみました。
まず試してみたかったのが、オリジナルコマンド。
apt update と apt upgrade を一度に実行できるオリジナルコマンドが実装されています!
コマンドまで作ってしまうのはスゴイですね!
構成内容のチェック。
neofetch をインストールして構成内容をチェックしてみました。
- 対応アーキテクチャ:x86_64
- デスクトップ環境:Xfce4
- ログイン画面:LightDM
- テーマ:Fluent-light
- アイコン:Tela-circle-blue
- シェル:zsh(デザインをカスタマイズ)
動作チェック。
つぎは、動作について簡単にチェックしてみました。
Virtualbox の設定は推奨動作要件に似せて、プロセッサ数を2、RAM 4GB (4096MB) に設定しました。
この環境で、アイドル時の RAM 使用量はおよそ15%前後、600〜700MB くらいで動作していました。
ブラウザを起動させ、Youtube を視聴したところで、CPU 使用率が100%となり、RAM 使用量も32%まで上昇しました。
ココでようやく 1GB 以上の RAM を使っています。
CPU の処理性能による部分もありますが、推奨動作要件を満たしていればなかなか快適に使えそうです。
間違いなく軽量 Linux と呼べる内容ですね。
主なアプリケーション。
プリインストールされている主なアプリケーションソフトも簡単にですが紹介しておきます。
- インターネット: Firefox, Thunderbird
- オフィス: LibreOffice
- グラフィックス: GIMP, Inkscape
- マルチメディア: Shotcut, VLC メディアプレイヤー, Xfburn
定番のアプリケーションは押さえていますね。
普段遣いには不足はないでしょう。
追加したいアプリケーションがある場合には、もちろんソフトウェア(ストアみたいなやつですね)も Debian 系の定番パッケージマネージャー Synaptic もあるので問題ありません。
EtupOS のまとめ。
ということで、今回は中学3年生が開発した EtupOS を紹介いたしました!
荒削りな部分も当然ながらありますが、非常に軽量で古いマシンでも軽快に動作してくれます。
また、更に軽量な LXDE のバージョンを夏休みくらいに計画しているとのことで、今後の活動もとても楽しみです。
とても精力的に開発していますね。
これからもどんどん完成度を高めていくことでしょう。
さらに、ペンギ NN さんにはありがたいことに、コダシマが主宰する open.Yello.os の開発にも合流して頂いております。
お互い、切磋琢磨していきましょう!
参考サイト
- EtupOS の紹介 – https://penginn.com/?p=42
- EtupOS 正式リリース – https://penginn.com/?p=83
- OSDN – https://osdn.net/projects/etupos/
- ライブCDの部屋 – http://simosnet.com/livecdroom/
- BalenaEther – https://www.balena.io/etcher/
- Rufus – https://rufus.ie/ja/