elementary OS は最新版となる 5.1 Hera を、2019年12月3日にリリースしていたのでさっそく試してみた。

elementary OS とはどんな OS ?

elementary OS 5.1: USA発macOSみたいな見た目のLinuxがリリースされたので試してみた。
https://elementary.io/ja/

elementary OS は、Ubuntu をベースに、独自のデスクトップ環境 Pantheon を提供している Linux ディストリビューション。

「高速でオープン、かつプライバシーを尊重する、Windows や macOS の代わりになる OS」として提供されており、ほかのプロジェクトよりも積極的に寄付を募っている。

elementary OS は、おもに Pantheon デスクトップ環境の開発のために進化した Linux とも言えるが、その設計理念は一言でいえば「ユーザー体験の向上」というところ。

開発者が自身に定めていた3つの中核となる規則は、「簡潔さ」、「設定不要」、「文書説明の最小化」であった。

多くの GNU/Linux ディストリビューションで使われるデスクトップ環境の自由な設定やカスタマイズ性からはかけ離れているが、初心者でも直感的に使えることに焦点を当てている結果といえる。

またその見た目や操作感から、登場時から macOS とよく似ているとして賛否があることでも知られている。

今回の変更点は?より詳しい情報はコチラ
https://blog.elementary.io/introducing-elementary-os-5-1-hera/

elementary OS 5.1 の概要

  • ベース: Ubuntu (Debian)
  • アーキテクチャ: x86_64
  • デスクトップ環境: Pantheon
  • パッケージ管理: dpkg (APT)
  • カーネル: 5.0.0-37

elementary OS 5.1 をインストールするのに推奨されるスペックは?

  • CPU: 最近の Intel Core i3 またはそれと同等のデュアルコア 64bit プロセッサー
  • RAM: 4 GB 以上
  • DISK: 15 GB 以上のディスクスペースのある SSD
  • モニタ: 1024×768 (XGA) ディスプレイ
  • インターネットアクセス

主なアプリケーション

  • ブラウザ: Epiphany
  • メール: メール
  • ミュージック: ミュージック
  • マルチメディア: ビデオ

elementary OS 5.1 についてのより詳しい情報は
https://elementary.io/ja/support

個人的な意見ですが、

デスクトップ環境について

elementary OS 5.1: USA発macOSみたいな見た目のLinuxがリリースされたので試してみた。
Pantheon デスクトップ環境

elementary OS といえば macOS に似ているといわれる Pantheon デスクトップ環境が何よりの特徴だろ。

elementary OS が macOS を意識しているのは間違いないだろうが macOS も使うボクからすれば、Pantheon は Pantheon だ。

確かに似ている部分があるが、共通点を言い出したら他の Linux も、なんなら Windows だってたくさんの共通点がある。

だから「別の OS 」として elementary OS は elementary OS として認識するのが正解だろう。

本題の Pantheon だが、以前よりもより無駄が削ぎ落とされた印象をうける。

また使い心地も、アプリやファイルにアクセスしたときなどの安定感は、以前よりも増した。

安心して使える感じがする。

日本語入力環境について

elementary OS 5.1: USA発macOSみたいな見た目のLinuxがリリースされたので試してみた。
実は ibus-mozc がインストールされている。

実はインストール直後から ibus-mozc がインストールされている。

screenfetch でシステム内容を表示したときにわかったことだけれども、デスクトップ環境の Pantheon は GNOME として認識される。

どうやら Pantheon は GNOME の派生(フォーク)のようだ。

GNOME をデスクトップ環境とする多くの Linux ディストリビューションでは、インプットメソッドとして iBus が使われている。(というか GNOME の標準なのかな?)

そして以前の Ubuntu 系のように、インストール後に不足している言語パッケージをインストールする用になっている。

ちなみに、アイコンも表示される設定にはなっているが、コチラは残念ながら表示されない。

アイコンが表示されないのは 5.0 Juno からだが、たぶん Pantheon のせいだと推測される。

この件については、プロジェクト内やユーザーの中に騒ぎ立てる人がいないためか改善される気配が感じられない。

まぁ、たしかに入力設定を改めてしなければなかったりしなければならないが、難易度は低い。

またアイコンがなくて「入力の切り替えがわからない」「今どっち?」という不便さはあるものの、使えないわけでもない。

むしろアイコンについては気にならなくなってスッキリした人もいるかも知れない。

Youtube でボクのボヤキを参照する。

っとまぁ、標準で iBus が使えるようだけれども、それはそれとして今回も Fcitx をインストールして日本語入力環境を設定してみた。

$ sudo apt-get install fcitx fcitx-mozc

再起動したあとは、問題なく日本語入力ができるようになった。

…相変わらずアイコンは表示されないまま。

パッケージ管理は?

elementary OS 5.1: USA発macOSみたいな見た目のLinuxがリリースされたので試してみた。
パッケージの追加は「AppCenter」から。

基本的なパッケージ管理は「AppCenter」で行う。

文字通りアプリしか管理されないので、それ以外のパッケージは検索しても出てこない。

例えば、日本語入力設定のときに「Fcitx」は検索でヒットするが「Mozc」はヒットしない。(Mozc は単体で動作するアプリではないため)

また Ubuntu (Debian) 系ではあるものの、Synaptic パッケージマネージャーがプリインストールされていないので、コチラも必要に応じて別途インストールする必要がある。

さらに言えば deb 形式のパッケージをインストールするための専用とも言える GDebi パッケージインストーラーもないため、コチラも使うのであれば別途インストールしなければいけない。

全くの初心者であればシンプルな使い心地で良いかもしれないが、ある程度の経験を積んだユーザーであればここらへんが少々不便というか気になる点かもしれない。

ホントの推奨システム要件?

elementary OS 5.1: USA発macOSみたいな見た目のLinuxがリリースされたので試してみた。
Celeron でも大丈夫!ちゃんと動きますよ。

elementary OS の推奨システム要件は、他の Linux ディストリビューションに比べ高めになっているが、プロジェクトサイトでも「ただし、これらの要件は必須ではなく、満たしていなくても動作します。」とされている。

実際に Celeron N3150 2GB RAM のマシンで試してみたところ、多少のモッサリ感はあるもののちゃんと動作してくれた。

ただし SSD は必須だろう。

軽量 Linux とされるディストリビューションでは、システムを RAM に書き込み、ストレージへのアクセスを減らして高速化させる技術が用いられている場合がある。

今回は elementary OS を HDD 環境で試してはいないが、推測すると elementary OS ではそのような気配がないため、ストレージは高速な方が快適に動作すると見ている。

なので、実質の推奨システム要件は

  • CPU: 2 GHz 程度の 64bit プロセッサー
  • RAM: 2 GB 以上
  • DISK: 15 GB 以上のディスクスペースのある SSD
  • モニタ: 1024×768 (XGA) ディスプレイ
  • インターネットアクセス

という、ストレージが SSD という条件を除けば Ubuntu の推奨システム要件そのままではないだろうか?

なので、低スペックマシンでも恐れずに使ってみてはどうだろう。

elementary OS 5.1 とほかの Ubuntu 系との比較

前述の通り、ほかの Ubuntu 系とは見た目から使い勝手まで違う部分が多々ある。

「Linux 初心者向け」といえばそうかも知れないが、それ以前の「PC 初心者向け」とも言える使い勝手に思える。

「Linux 初心者向け」で真っ先に思いつくのが Ubuntu や Linux Mint 。

特に Linux Mint は、本家の Ubuntu よりもユーザー数が多く、入門向けとして人気が高い。

が、elementary OS のそれとは違う。

Linux Mint の場合は、さまざまな Linux の基本が詰まっていて、開発のための環境やサーバー構築のための環境も自由に作ることができる。

一方の elementary OS は Linux Mint の真逆で、開発やサーバー構築などには向かない。

初期段階ではむしろ他の Linux に比べ、できることの範囲が非常に狭い。

ただ別な言い方をすれば、PC の操作に不慣れなユーザーが迷わず使えるようにするため、余計なものはすべて取り除いた OS といえる。

この環境を確保するため、推奨のシステム要件も高めに設定されているのだろう。

elementary OS 5.1 の良かった点・悪かった点

良い

  • 見た目がとにかくエレガント。良い意味で Linux らしくない。
  • 実は意外と軽量だった。
  • 余計なアプリがなくてスッキリ。

悪い

  • Ubuntu 系なのに日本語入力設定が必要。
  • 初期段階で Synaptic がないのは不便かも。
  • オリジナルの Plank よりパネルの設定が限られている。

elementary OS 5.1 のおすすめ度(5段階評価)

初心者向け度… ★★★★☆

Linux 初心者でも迷わず使えるかどうか。★が多いほどデスクトップ指向。

Linux 初心者向けというか PC 初心者向けの OS だと思う。

日本語の環境… ★★★☆☆

日本語表示および日本語入力ができるかどうか。★が多いほど設定も簡単。

できればインストール直後からなんの設定もなく日本語入力ができればよかったのに…。日本語入力設定の難易度はそれほど高くないのは救い。

システム要件… ★★★☆☆

古いマシンでも快適に使うことができるかどうか。★が多いほど古いマシンでも使える。

実は古いマシンでもソコソコ快適に使える疑惑あり。でも SSD 化はお忘れなく。

総おすすめ度… ★★★★☆

全体的なおすすめ度。★が多いほどアナタに使ってみて欲しい Linux。

Ubuntu 系の Linux ディストリビューションだけれども、少し毛色の違う OS 。デスクトップ OS としては優秀だと思う。

elementary OS 5.1 に興味を持ったアナタは、下の URL を今すぐクリック!

ダウンロードする
https://elementary.io/ja/docs/installation#download-elementary-os