最近、スマートフォンやタブレットが主流になり、古い 32 ビット PC のほとんどはお役御免です。

実際にコチラのネットブック Aspire One は、かつては人気のあった機種ではあるものの、今のスマートフォンやタブレットよりも、サイズは大きいのに性能はだいぶ低いです。

しかし、思い入れもあったりして捨てるには惜しい 32 ビット PC であれば、それを再利用したいという方もおられるはず。

そんな 32 ビット PC に、新たな息吹を吹き込む方法があります。

前回はレトロゲーム機としての活用方法でしたが、今回は日常的な作業が行える PC の OS を紹介します。

それが、今なお開発が続けられている 32 ビット Linux をインストールして使う方法です。

開発が続けられている 32 ビット Linux の数もだいぶ減りましたが、2023 年現在でも開発が続けられているものがあります。

一般的に Linux というか OS のインストールは、内蔵ストレージに行いますが、今回はもとの環境にすぐ戻せるように、インストールされている OS を残したままで Linux を利用する方法を紹介します。

32 ビット PC でなくても応用できる方法なので、Linux を試してみたい方にもおすすめです。

ですが実は今回、ちょっと失敗してました。

注意しなければいけないところもあるので、ぜひ最後までお付き合いいただければと存じます。

それでは行ってみましょう!

Q4OS とは?

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!
https://q4os.org/index.html

今回、数ある Linux の中から紹介するのは Q4OS です。

まずは Q4OS をご存知ない方のために、Q4OS を簡単に紹介しておきます。

Q4OS は、ドイツの Q4OS チームが開発しており「Trinity Desktop Environment (TDE)」というデスクトップ環境によって Windows XP に似たインターフェースが再現されています。

今や入手困難な大人気の SBC Raspberry Pi でも使うことができる、とても軽快な OS です。

軽快な動作も期待大ですが、それより何より見た目とかも Windows XP 世代の 32 ビット PC には最適ではないでしょうか?

Q4OS のダウンロード

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!
https://sourceforge.net/projects/q4os/

それでは、インストールまでの手順を紹介していきます。

まずは、Q4OS の公式ウェブサイト(https://q4os.org/downloads1.html)から、32 ビット版の ISO ファイルをダウンロードしましょう。

寄付を募っていますが「Not now, take me to the download」をクリックすると SourceForge (https://sourceforge.net/projects/q4os/) のダウンロードページに飛び、ダウンロードが始まります。

セットアップについては、コチラ (英語) も参考にしてみてください。

USB メモリや DVD に書き込む

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

ダウンロードした ISO ファイルを、USB メモリや DVD に書き込みます。

今回の Aspire One は USB デバイスから起動できるパソコンなので USB メモリに書き込みます。

コダシマのおすすめ書き込みソフトは「Raspberry Pi Imager (https://www.raspberrypi.com/software/)」です。

もともとは Raspberry Pi 用の OS の書き込み専用ソフトでしたが、SD カードの他 USB メモリのフォーマットや、ダウンロードしている ISO ファイルの書き込みにも使えます。

直感的に使えるシンプルなインターフェースと、マルチプラットフォームなのでどんな OS でも使い方が同じなのがおすすめの理由です。

また、Windows の場合は、「Rufus (https://rufus.ie/)」というソフトウェアもおすすめです。

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

とても高速で書き込める上、書き込みの際には「ISO モード」と「dd モード」があるのは、ほかの書き込みソフトでは見られない特徴です。

Linux に慣れている方であれば、「dd」コマンドで書き込んでみるのも良いでしょう。

ブートメディアから PC を起動する

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

書き込んだ USB メモリを PC に接続し、BIOS 設定でブート順序を変更して、USB メモリから起動します。

※DVD の場合は DVD 用の設定にしてください。

BIOS の設定については PC によって異なるので確認しておきましょう。

ちなみに Aspire one では、ロゴが表示されているタイミングで「F12」を押すと、ブート順序だけを変更することができます。

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

んで、今回は元の環境を残すために、外付けでストレージを接続し、そちらに OS をインストールいたします。

今回は 32 ビット PC を使っていますが、この方法はどの PC でも応用できる方法なので、様々な Linxu を試してみたい方にもおすすめです。

で、OS のインストール先となる外付けのストレージは USB メモリとかでも良いのですが、その仕組み的に OS には向いていません。

もちろん内蔵型に比べれば速度は落ちますが、やっぱり HDD や SSD がおすすめです。

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

今では手軽に HDD や SSD を使えるいろいろな周辺機器もあるのでちょっと紹介しておきます。

BENFEI SATA USB変換アダプター

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手持ちパーツを活用する方法の一つとしても、最も手軽に HDD や SSD を外付けストレージとして使える方法では無いでしょうか?お値段もお手頃です。

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MiliPow USB Type-C M.2 SSDケース

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

M.2 タイプの SSD を外付けストレージとして活用するアダプターも、様々ありますが、なかでも特徴的な「むき出しタイプ」のケース?です。これも「ケース」って呼ぶんですかね?

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M.2 NVME-USBアダプター

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

むき出しならコチラも負けてませんね。ただしコチラは USB ポートに直挿しタイプなので、ちょっと邪魔になりそうです。加えて、マザーボードに取り付けるのと同じように、ちゃんとビス止めしないといけないので、SSD を差し替える際にちょっと面倒に感じるかもしれません。

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エレコム 外付けSSD ポータブル

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

最近ではこんなのもあります。一見すると USB メモリですがちゃんと SSD です。こちらは容量の差し替えが効きません。また、他の製品では取り付けた SSD の性能によって転送速度が左右されますが、この製品はそれも叶いません。転送速度はそこまで速くないため、手軽ではあるもののそういった面でも好みが分かれるかもしれません。

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という感じに、見た目はもちろん、使い方やお値段もバラバラなので、ご自身の使い方やご予算に応じて選んでみてください。

今回はこの中から、むき出しなのに商品名に「ケース」という文字が見られるコチラを使ってみます。

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

お値段はちょっと高めでしたが、むき出しなのに心奪われました。

むき出しのアダプターはご紹介した通り他にもあるのですが、単純に差し替えるだけの手軽さでコチラを選びました。

ファミコンっぽいかも。

インストーラーに従って Q4OS をインストールする

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

では続けましょう。

PC が起動したら、インストーラーの指示に従って Q4OS をインストールしましょう。

基本的にはデフォルトの設定で問題ありませんが、必要に応じてパーティションや言語設定を変更できます。

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

んで、今回は元の環境を残すために、インストール先には、先程用意した SSD を選びます。

が、今回は大失敗。

32 ビット版と 64 ビット版のインストーラーが違うにも関わらず、何も考えないでポチポチインストールをしてしまったため、ブートローダーが内蔵ストレージにインストールされてしまいました。

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

※ちなみに 64 ビット版は、ライブ環境から Clamares というインストーラーを使ってインストールするのですが、コチラの場合、ブートローダーのインストール先の指定は簡単にできます。

念のため、ブートローダーの説明をしておくと、ブートローダーとは、コンピューターが起動時に実行する最初のプログラムで、オペレーティングシステム(OS)をメモリに読み込んで実行を開始する役割を持ちます。

複数の OS を扱う場合、ブートローダーはそれらの OS の中から1つを選択して起動させます。

インストールが進んで、ブートローダーが内蔵ストレージにインストールされてるのを見てはじめて気がついた次第です…。

やっちまった…。

これの何がまずいのかは、後ほどご説明します。

とりあえずインストールしてしまいましょう。

インストールが完了したら再起動する

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

インストールが完了したら、PC を再起動して Q4OS を使い始めましょう。

本来であれば BIOS の設定で、外付けストレージから起動させるようになっていると再起動後に Q4OS が立ち上がるはずです。

しかし今回は、OS を起動させるときに最初に起動するブートローダーが内蔵ストレージにインストールされてしまったので、内蔵ストレージから起動するように指定しなければいけません。

さらに、起動にはおよそ3~5分程度かかります。

これはメモリの速度も遅く、そのうえ容量も少ないためかと思われます。

気長に待ちましょう。

初回起動時には、いくつかの設定が求められますが、画面の指示に従って進めてれば問題ありません。

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

ただ、予め言っておくことがあるとすれば、デスクトッププロファイルに「Full」なんちゃら、と「Basic」なんちゃら、「Ultimately」なんちゃらの3つが並んでいますが、「Full」はとにかく時間がかかります。

ブラウザやオフィスソフトなど、推奨するいろいろなソフトウェアも同時にインストールされるせいもあって、相当時間がかかります。

ここまでですでに30分くらいかかっているので、今回はとりあえず「Basic」を選びます。

あとから変更もできるので。※それでも時間がかかりますが…

ちなみにウィンドウ右上のボタンをクリックすると「他のデスクトップも選べるよ」的なウィンドウが開きます。

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

チェックボタンにチェックを入れると、Trinity の他にもデスクトップ環境を選ぶことができます。

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

でも、Trinity が売りな Q4OS なので、そのまま Trinity でインストールします。

後はログイン画面が表示されるのを、ひたすら待つだけです。(今回はここから約12分くらいかかりました)

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

ログインしてからも少し時間がかかりますが、いずれにせよこれで、Q4OS がインストールできました!

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

んで今回やらかした結果なのですが、元の OS (Windows 7) を起動させたい場合でも、Q4OS がインストールされた SSD を繋いでいないとブートローダーが途中で止まってしまいます。

常時、Q4OS をインストールした SSD を接続した状態でなければ、元の環境が動作してくれません。

ストレージを外して起動させると…、この始末。

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

コダシマは Linux のインストールと言っても GUI 環境のインストーラーで楽することしかしてなかったので、インストールのときはブートローダーのインストール先の指定とか全く頭にありませんでした。

ブートローダーの設定ファイルを編集すれば良いらしいのですが、コダシマはそこまでのスキルは持ち合わせていません。

ってことで、結局は元の環境を壊してしまうコダシマでございました。

もしみなさんも、外付けストレージに Linux をインストールする場合には、ブートローダーのインストール先にも十分注意しましょう。

32 ビット PC での Q4OS の活用

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

ほんのちょっとだけ Q4OS の使い方も紹介しておきます。

Q4OS を導入すれば、32 ビット PC でもインターネットサーフィンや文書作成、メールの送受信など、日常的なタスクに十分対応できるパフォーマンスを発揮させることができます。

また、軽量なアプリケーションやゲームも楽しむことができます。

「Full」でインストールすると、Web ブラウザには Firefox、オフィスソフトとして LibreOffice、VLC メディアプレイヤーや、マインスイーパーやソリティアといったゲームまでプリインストールされています。

ソフトウェアのインストール

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

Q4OS には、基本的なアプリケーションがプリインストールされていますが、必要に応じて追加のソフトウェアをインストールすることもできます。

Q4OS には、専用のソフトウェアセンターがあり、主要なソフトウェアは一通り揃っています。

また、基本的に Debian ベースのディストリビューションなので、パッケージを手軽に管理できる「Synaptic Package Manager」が使え、簡単にアプリケーションを検索・インストールすることができます。

必要なソフトウェアがあれば、これらを使って追加しましょう。

インターネットで 32 ビット PC の活用方法検索すると、「動画視聴」や「クラウドコンピューティング」を利用して~、といった内容が出てくることもあるかと思います。

でも、これは信じちゃいけません。

動画視聴については、ダウンロードしたデータなどオフラインで再生するものに限ります。Youtube 動画なども、最低画質にしても視聴は厳しいです。

またクラウドコンピューティングについても、ほぼ無理でしょう。

現在の Web サービスの多くも 64 ビット環境をベースに開発されているため、サービスにアクセスできたとしても、端末としてのパワーが足りず思ったように使うことができません。

32 ビット PC は、オフラインでこそ、そのパフォーマンスを活かすことができます。

まとめ

【32ビット PC 活用計画】Linux で古い PC を軽快な環境に変身させよう!

今回は古い 32 ビット PC のネットブック acer Aspire one に Q4OS をインストールしてみました。

今回は少々やらかしてしまいましたが、古い 32 ビット PC を捨てる前に、ぜひ一度 Linux をインストールしてみてください。

新たな価値を見出せるかもしれません。

いくつか注意しなければいけないところはありますが、インストール自体は簡単なので、Linux 初心者でもすぐに慣れることができます。

また今回の方法のように、外付けストレージに OS をインストールすることで、もともとの環境を残したままで試すことができるので、環境を壊したくない場合にも安心です。

ぜひ、Q4OS に限らず、開発が続けられている 32 ビット Linux を活用して、快適なコンピュータライフを楽しんでみましょう!

参考サイト