今回は Celeron で十分というあなた向けです。
必要なだけの性能があれば良いという人に向けた内容になるので、もっと性能の高いパソコンが欲しい方には、今回は参考になりません。
悪しからず。
Celeron に人権はない?
Celeron という名前にネガティブな印象を持つユーザーも少なくないのも事実で、以前こんな記事をアップしました。
ざっくり言えば、古いハイエンドより、新しいローエンドの方が高機能というような内容です。
Celeron も悪いところばかりではありません。
低価格はもちろんのこと、低電力で必要な性能があるとしたら、それで十分と考える人も少なくないはずです。
ハイオクをガンガンに燃やすハイパワーの車と、低燃費で長距離を走れるハイブリットカーとの関係に似てますね。
ここまで見てくださっているあなたであればご理解いただけているかと思います。
そこで今回紹介するのは、KUU A8S Pro Celeron J4125 を搭載した 15.6 inch IPS モニターの低価格オフィス向けノートパソコンです。
メーカーよりサンプル品をご提供いただきました。
KUU というブランドはコチラで初めて知ったのですが、個人的に好印象をもっているブランドです。
KUU Tech は 2019 年に誕生したばかりの若いメーカーです。
完全なサプライチェーン、独立したR&Dチーム、独立した工場、包括的な販売チームを持っているとのこと。
R&D = Research and Development
研究開発。新製品をつくるための基礎研究とその応用研究。
最近のベンチャーとかでは、こういった体系をよく見かける気がします。
以前紹介した際には、まだ製品が少なかったのですが、最近では高性能なハイエンドモデルからお手頃な値段のローエンドまで幅広くラインナップされて来ました。
コダシマは基本、拡張性が高いデスクトップパソコンのほうが好きですが、拡張性云々の前に、デスクトップパソコンはモニターを接続したり、キーボードやマウスを接続したりする必要があるため、それを煩わしく思う人も少なくありません。
基本的にはノートパソコン=モバイルデバイスですが、デスクトップパソコンと同等な使い方、つまりほとんど持ち運びせず、置きっぱなしで使っている方もいるかと思います。
実際に、スペースの都合だったり、設置の手間だったりを考慮してノートパソコンをメインに使っているオフィスとか、けっこう見かけます。
まぁ、15.6 inch とかの大きなモニターだとノートパソコンではありますが、モバイルパソコンと呼ぶには少々大きいですね。
ノート型デスクトップパソコンとも言い換えられるのではないでしょうか。
ノートパソコンって、言われてみればオールインワンなので、イロイロと手間が省けてメリットも多いですね。
そのせいあってか、コダシマの周りにもそんな感じでノートパソコンしか選ばない人が何人かいます。
そんな方々は、パソコンを主に仕事のみに使うので、書類作成や調べ物といった用途がメイン。
ときどき資料動画を見ることくらいはしますが、ゲームなんかしませんよ、という人ばかりですね。
世間ではそんな人たちを「Celeron で十分おじさん」と呼ぶようです。
Celeron でググると、サジェストに出てくるんですね(笑
最近知りました。
でもまぁ、コダシマも片足突っ込んでる感じなので、とても理解できます。
高負荷をかけるような使い方をしないのに、派手な性能でべらぼうに高価なパソコンなんていりません。
必要なことができる、必要なスペックを、可能な限り手軽なお値段で!というのが、コダシマ世代の考え方ではないでしょうか(偏見)
15.6 inch モニターのノートパソコン。
今の時代、スマホやタブレットも高機能化して、それだけで書類作成とかができるようになりました。
持ち歩く道具であればコンパクトな方が、軽くて取り回ししやすかったりするのですが、持ち歩く頻度が限られているのなら話は変わってきます。
例えば小さい画面より、大きい画面の方が見やすいですよね。
A8S Pro のように 15.6 インチのモニターを持つノートパソコンは、大きく広い画面なので視認性が高く、けっこう需要があるため特に法人モデルを中心に様々なメーカーが扱っており、製品のラインナップも多いです。
しかも Full-HD 1920×1080 ドットの解像度であれば、少し小さめのデスクトップパソコンのモニターくらいの広さと解像度なので、いろいろ資料を開きながら文書作成をしたりするのには使い勝手が良いです。
さらに画面サイズに合わせて、キーボードのサイズも大きくなるため、ほぼフルサイズのキーボードを搭載することができます。
なんならテンキーもつけちゃうよ。
小さいキーボードってミスタイプが多くなるので、できる限り大き目なキーボードの方がよいです。
特にコダシマは手袋も L サイズ以上とちょっと手が大きめなので、余計に小さなキーボードが使いづらいと感じます。
ちょっと前置きが長くなりましたが、KUU A8S Pro を見ていきましょう。
KUU A8 Pro
本体は一見すると金属っぽいですが、シルバーに塗装された樹脂製のボディです。
これが全部金属だったら、けっこう重いでしょうね。
樹脂製のため重量が軽減されています。
そういえば、このサイズのマシンで金属製ボディって Macbook とか Dell の XPS みたいなハイエンドくらいじゃないですかね?
20万円以上とかするやつ。
本体左側には USB 3.0 のポートと、電源ポート、Mini HDMI ポートが一つずつ。
本体右側には TF カードスロットと 3.5mm オーディオジャック、USB 3.0 のポートと Ethernet ポート。
インターフェースはこれくらいです。
底面には小窓があります。
ツメで抑えられているため、開けてみるにはちょっと苦労します。
窓を開けると中には普通に SATA 接続の SSD が入っています。
自力で大容量の SSD に取り替えることが出来ますね。
てか、技適マークがどこにも見当たらないです。
「サンプル品だから?」とも思ったのですが、技適サイトで検索してみても、該当するものを見つけられませんでした。
Wi-Fi や Bluetooth が内蔵されているので、コレはちょっと良くないかもしれません。
すでに技適証明を受けた組み込みモジュールを内蔵する場合だと、技適証明が免除される場合もあるみたいですが、技適証明を受けたモジュールが使われているかどうかは不明です。
なので、場合によっては違法になる恐れがあるため、ここはメーカーにちゃんと対応していただきたいところです。
で、ついでに一度分解してみようと思いましたが、ヒンジ部を止めているツメがどうしても外すことが出来ず今回は諦めました。
今のコダシマの感じだと、無理したら確実に破壊してしまいます。
ってことで、ほかを見てみましょう。
まずモニタを開いてみるとこんな感じです。
最近は 10 インチとか 11 インチとかの小さなモデルばかり使っていたので、なかなか迫力があります。
キーボードも、キーピッチが 18.3 mm とフルサイズにきわめて近いサイズで、しかもテンキーも用意されています。
タッチパッドも大きいですね。
とても広いのでジェスチャー操作とか楽そうです。
サクッと初回起動設定やアップデートを行いっていきます。
OS は汎用性が高い Windows 10 Pro 64-bit 版です。
またこのマシンは Windows 11 に対応しています。
ベンチマークのテストは Cinebench と Geekbench 5 で行いました。
プロセッサは Celeron J4125 2.0GHz (2.7GHz) なので、高いスコアは望めません。
何度も繰り返しますが、文書作成や動画視聴などで使えればよい程度のスペックです。
Cinebench
Geekbench
にしても低いかな?
思いのほか Cinebench で時間がかかってしまったので、FF やドラクエのベンチは今回割愛しました。
カメラの SD カードが切れて肝心なところが撮影できませんでしたが、興味本位でインストールしてみた動画編集ソフトの DaVinci Resolve を起動させることができました。
DaVinci Resolve ってインテル UHD Graphics 600 くらいでも動くんですね。
とか言いながら、さっさと Linux をインストールしてしまいました。
これくらいのスペックのマシンは Linux 環境の方が快適なので、今回は A8S の雰囲気に合わせて Zorin OS 16 Pro をインストールしました。
Pro つながりで。
が、この後やらかしてしまいます。
KUU A8 Pro の使用感。
かるく設定などを眺めていて、いくつか気になった点を紹介します。
モニター
モニターのリフレッシュレートが 144Hz !!!
なるほど。
Windows の初期設定をしている際に「なんか違う?」という、言葉にできない違和感があったのですが、その正体は「ぬるぬる画面」でした。
たしかに意識して見てみると、とても滑らかに動いています。
また色の滲みやバックライトのムラもない、全体的にきれいな発色のモニターはとても好印象です。
非光沢というのも、余計な映り込みがなく良いですね。
なかなか良いモニターです。
個人的な意見として、ここら辺のスペックだと、無理にタッチディスプレイじゃなくて良いと思ってます。
機能があれば使うかもしれませんが、なくても困らないですね。
キーボード
キーボードは US 配列です。
大きくてよいのですが、打鍵感が個人的にはイマイチです。
感触は少し硬めで、ストロークも深く、通常のノートパソコンのつもりでタイピングすると抜けが出てしまいます。
ちゃんとしっかり押し込まなければいけないうえ、素材のためかタイピングするとガタガタいう感じ。
なんだか玩具っぽいです。
Teclast や BMAX、Jumper などといった中国メーカーのノートパソコンのキーボードによく見られる感じのものです。
この価格帯だと仕方がないかもしれませんが、このキーボードのせいでほかが良くても全体的に安っぽい印象を受けてしまいます。
それと、レイアウトのために「右シフトキー」が微妙に短く、ちょっと使いにくかったです。
慣れれば問題ないかもしれませんが、うっかり「↑」キーをタイプしがちでした。
それとテンキー。
テンキーは事務処理中心の作業には必需品ですね。
ただ、文字キーとテンキーとの間が狭いので、ミスタイプに注意しなければいけませんね。
テストで使ってみたときに、何度となく無駄に Enter キーをタイプしてしまいました…。
ちょっと意識して使えば、そこまで使いにくいというわけではありませんが、キーボードは少し残念かな…。
ちなみに入力切り替えは [alt]+[~] です。
タッチパッド
タッチパッドも、ちょっと微妙な印象です。
大きいタッチパッドというのは良いのですが、反応が「余計に一枚フィルターがあるの?」という感じの、ちょっともやもやする使い勝手です。
使えないわけではないですが、繊細なコントロールには向かないかな?
でも、大きくて広いためジェスチャー操作がやりやすいです。
ここら辺も事務仕事向きですかね。
ゲームは出来る?
A8S Pro はプロセッサが Celeron J4125 を搭載し、 RAM は上限の 8GB 。
普段ならこれでゲームをしてみようとは思わないのですが、最近は古い世代のパソコンや Raspberry Pi などで Steam ゲームをプレイしてみたりしていたので、期待は出来ませんが興味本位でやってみました。
Steam はインストールできましたが、Street Fighter V はプレイできませんでした。
やっぱり無理だったかー。
スペック的に GeForce NOW は大丈夫そうですが、忙しいふりをして今回は割愛してしまいました。
まぁ、このくらいのスペックであればレトロゲームくらいがちょうどよいでしょう。
D.I.Y.
- D=だいたい
- I=一度は
- Y=やらかす
今回もやらかしたみたいです。
アレコレいじってみて、一旦 Windows 10 を再インストールしました。
ちょっと前に Windows 10 21H2 のインストールメディアを作っていたので、それでインストールしたのですが、スピーカーのマークに赤い「✕」が…。
デバイスドライバーを開いてみると、なんか三角がいっぱいついてる。
そうなんですよね。
ノートパソコンって何かしらのデバイスで、別にドライバのインストールが必要なのって結構あるんですよね。
どうも、この KUU A8S Pro もそうだったみたいです。
この KUU A8S Pro の場合はサウンド関連のデバイスドライバのインストールが必要だったようです。
サポートページを確認してみましたが、ちょっとよくわからなかったので、メーカーに確認してみたところ、ドライバがダウンロードできる URL を教えてもらいました。
サポートページもそうでしたが、Google ドライブからダウンロードします。
ここらへんは新興メーカーっぽいです。
Lenovo とか大きいメーカーのサイトみたいに、わかりやすくなってるわけじゃないので苦労します。
てか Linux で動かしていたとき、音出して見なかったからわからなかったなー。
ってことで、改めてライブで動かして見たところ、たしかにダミー出力になってました。
メーカーで提供しているドライバにはソースってあるけど、Linux で使うときこれでなんとかなるんですかね?
気が向いたらやってみます。
んー、Linux を使うには手がかかる機種ですね。
大人しく Windows を使っていたほうが面倒がなさそうです。
とりあえず、三角が付いたデバイスのドライバ更新を一個ずつやっていきました。
サウンド関連にはインテルのスマート・サウンド・テクノロジーのものが使われているようです。
クリーンインストールでも自動でドライバがインストールされても良さそうなもんですが、技術的な問題なのか、はたまた、なんか大人の事情的なものとかがあるんですかね?
ドライバがあれば面倒ですが、すぐにインストールできます。
でもやっぱり、リカバリーディスクを作っとけばよかった…。
そんなこんなで、サウンド出力について確認してなかったことに気が付きチェックしてみました。
KUU A8S Pro の音声出力について。
なかなか表現しにくいですが、高音が強く、低音が弱いちょっとキンキンした感じの音です。
エンターテイメントをしっかり楽しむには物足りませんが、資料映像を見たりオンラインミーティングに使う程度であれば全然問題ないですね。
気楽に Youtube とか流し見するのにはちょうど良すぎるくらいです。
気になる KUU A8S Pro のお値段。
気になるお値段ですが、KUU A8S Pro は KUU のオンラインストアで実売価格 $350 で販売されています。
ちなみに Amazon を検索してみると、チェックしたタイミングでは¥39,999 でした。
レートによって少し違いは出ますが、ほぼ差はありません。
このスペックで、この価格は市場の相場的には無難な価格です。
有名なトップメーカーだと、同等のスペックでも更に1〜2万円程度高いですからね。
でも、技適証明がグレーなので手放しでおすすめ出来ないところが残念です。
早急な対応を望むところです。
KUU A8S Pro のまとめ。
ということで、今回は Celeron で十分おじさんに向けた 15.6 inch IPS モニターを搭載した KUU A8S Pro を紹介しました。
Celeron とはいえ、デスクトップ向けの J4125 4コア4スレッド 2.0GHz 、ブースト時には 2.7GHz で動作するため、文書作成や動画視聴をメインとした使い方であれば快適に使うことが出来ます。
技適証明の件と、ガタガタする安っぽいキーボードは少々気になりますが、とはいえ全く使えないわけではないです。
そしてモニターはめちゃくちゃ気に入りました。
普通の IPS 液晶ディスプレイですが、15.6 インチ位になると視認性も高くデスクトップで使うぶんにはちょうどよいですね。
またこのマシンのモニターは発色がとても良く、色のにじみやバックライトのムラなどもありません。
何よりリフレッシュレートが最高 144Hz というのだけでも満足度が高いです。
モニターにはしっかりお金がかかっているように感じます。
これでゲームしたくなるモニターです。
もうちょっとスペックが高ければ…。
ってか、それが KUU の策略か?
他にもっとスペックの高い、それこそゲームが出来るくらいのモデルも販売されています。
この A8S Pro がプレビュー版で、その先のハイエンドマシンへの購入を促してるのかも…。
物欲スイッチが入ります。
システム面では、サウンド関連のデバイスドライバを別途インストールする必要があるため、あまり Linux 向きのマシンではありませんが、黙って Windows を使うだけなら問題ないですね。
でもオープンソースのフリーソフトを使うコダシマ的には、Windows でも問題なく使えるのですが Linux のほうが快適なので少し残念です。
結論として KUU A8S Pro は、例えば、小さな会社とかの事務用パソコンとしてや、サブマシンとした使い方であればとても有能だと思います。
が、技適の件もあるので、決して悪くはない機種ではありますが、ちょっとおすすめしにくいですかね。
メーカーには技適証明の件、ちゃんと対応していただきたいところです。
関連リンク
- KUU Tech … https://www.kuu-tech.com/
- Cinebench … https://www.maxon.net/ja/cinebench
- Geekbench … https://www.geekbench.com/