Celeron とかの低スペックマシンばっかり使うコダシマを見兼ねたのでしょうか?
KUU Tech の Windows タブレット LeBook を提供いただきました。
耳馴染みのないメーカーですが、それよりこの LeBook は、なんと Intel Core i7 搭載マシンです!
では早速いってみましょう!
まずは結論。
悪くないだろう、だがしかし…。
満足度は高いのですが、残念ながら手放しで満足できるわけではありませんでした。
それなりの金額になるものなので、選ぶ際の参考になれば幸いです。
ぜひ最後までお付き合いください。
はじめに。
別にハイスペックマシンをディスっているわけではありませんが、コダシマが普段 PC で作業する用途、例えばインターネットで調べ物をしたり、ブログ記事を書いたり、動画の台本を書いたりとかって、実際に安価な中華PCとかで充分です。
ただ動画の編集や、そのサムネイルだったりは、それなりにパワーが有るマシンで作成しております。
が、それでも当座のつもりで使っていた Intel(R) Core(TM) i5-9400F が、なかなか快適で未だに使ってます。
うちにあるマシンで Core i7 といったら、職場からくすねてきた HP ProDesk に載せた Core i7-4790 くらいですね。
そんなもんで事足りてたわけです。
ところが先日、新製品のレビュー依頼がきてびっくり。
なんと Core i7 搭載マシンの Windows タブレットですって!
しかも「対 Surface 系」の 2-in-1 タブレット。
「いやいや、コダシマに頼んで大丈夫なの?」とか思いましたが、ハイスペックマシンも久しぶりに使って見たくなり依頼を受けることにしました。
ってか、普通に Core i7 搭載の Windows タブレットって興味がわきますね。
ちなみにこのメーカーは、どのブランドも「性能が大幅に向上した」と宣伝して、毎年のように新しいマシンを販売することに対して疑問を持ち立ち上げたブランドなため、Core i7 といっても世代が少し古いものを採用し価格を抑えているとのこと。
派手なパフォーマンスより、質実剛健といったところでしょうか?
それよりも、Celeron ばっかり使っていた身としては、パフォーマンスもさることながら電力とか、ファンノイズとか、そこらへんがどうなのかってのが気になるところです。
KUU とは?
耳慣れないメーカーだったので、まずは KUU について調べてみました。
KUU Tech は2019年に誕生した、中国深センにあるノートパソコン、ミニコンソール、2-in1 ノートパソコンなどを提供するメーカーです。
なかなか新しいメーカーですね。
でも箱にあるGermany って一体…?
完全なサプライチェーン、独立したR&Dチーム、独立した工場、包括的な販売チームを持っているとのこと。
最近のベンチャーとかでは、こういった体系をよく見かける気がします。
R&D = Research and Development
研究開発。新製品をつくるための基礎研究とその応用研究。
KUU LeBook
今回の LeBook について見ていきましょう。
まずはカタログスペックの確認です。
KUU Lebook 12.6inch 2-in-1 Laptop
CPU | intel Core i7-8550U |
GPU | intel HD Graphics 620 |
RAM | 8G DDR4 |
ストレージ | 512G M.2 SSD |
スクリーン | 12.6inch 2880×1920 (4:3) |
タッチスクリーン | 10ポイントG+FF静電容量式タッチパネル、アクティブ静電容量式ペン対応 |
サイズ | 205mm×288mm×9.5mm (キーボードなしの場合) |
OS | Windows 10 Pro |
カメラ | フロントカメラ200万画素、リアカメラ500万画素 |
バッテリー | 42wh |
電源アダプター | 45W USB Type-C PD 対応 |
Wi-Fi | 2×2 AC + BT combo card, NGFF/ 1×1 AC + BT combo card, NGFF |
Bluetooth | Bluetooth 4.1 |
マイク | 内蔵マイク |
スピーカー | 1W×2 |
加速度センサー | 対応 |
ホールスイッチ | 対応 |
重力センサー | 対応 |
Touch ID | 対応 |
ヘッドフォンジャック | 3.5mm |
標準インターフェイス | USB Type-C×2 |
パッケージリスト | Lebook 2 in 1 ラップトップ×1、デタッチド・キーボード×1、コントロール・ペンシル×1、アダプター×1 |
目立つところをピックアップしていきます。
繰り返しになりますが Core i7 ですが最新ではありません。
Core i7-8550U が搭載されています。
古いといっても1.8GHzのクロックスピードの4コア8スレッドです。
全然現役ですね!
んで 8GB RAMは、オフィス用途がメインであれば充分でしょう。
そしてストレージは 512GB と充分な容量です。
事務仕事程度であれば、必要なデータが全部入っていまいそうです。
ディスプレイは12.6インチで解像度が2160×1980、4:3のアスペクト比のもの。
OS は Windows 10 Pro。
もちろん Windows 11 にアップグレードが可能です。
なるほど、ベンチマークを Surface にしているだけあるマシンですね。
追記
重さについて動画でも触れていませんでしたので、改めて重さについて紹介しておきます。
本体のみ 867g(実測)
キーボードのみ 309g(実測)
本体+キーボード 1,175g(実測)
さらに+スタイラスペン 1,191g(実測)
金属製のボディと 12.6インチというサイズなので、やっぱりそれなりの重量感です。
iPad Pro 12.9インチのおよそ2枚分くらいかな?
梱包について。
届いた製品を開封してみると、長い旅路を思わせる外箱でしたが、中身は思った以上に「こざっぱり」しています。
Core i7 搭載マシンという出で立ちですかね。
書類的なものは説明書や保証書の他に、日本語キーボード用のステッカーが入っていました。
コダシマは別に US 配列でも何も問題ありませんが、ささやかながらも、こんな気遣い、嫌いじゃないです。
んで、事前にもらっていたパッケージリストをしっかり確認していなかったので気づいていませんでしたが、スタイラスペンがついています。
見た目、100均とかのやつにも見えますが、充電するタイプのアクティブ静電容量式のしっかりしたスタイラスペンです。
丁寧に包装された本体は、予めキーボードが取り付けられています。
うん。
悪くないだろう。
てか、大きさのためか、やっぱり重量感はありますね。
パッケージ内容は以上。
まぁ、これで充分ですよね。
KUU Lebook の外観。
当たり前ですが、12.6インチはやっぱり10.6インチより明らかに大きく感じます。
本体は金属製です。
アルミとかリチウムとかあったのですが、おそらくアルミですね。
メーカーによると全体的にCNC統合成形プロセスを採用しており、薄く・軽く・より頑丈に、つなぎ目のない外観にすることができたようです。
ちなみにCNCとは、Computer Numerical Control(コンピューター数値制御)の略で、一般的には工作機械の動作をコンピューターによりデジタル制御する意味として使われています。
キーボードはポゴピンで接続されています。
まぁ、ここらへんは定番の作りですね。
右側には USB Type-C が2つ。
どちらもフル機能の Type-C のため映像出力と充電に対応しています。
それとスピーカー。
上部には指紋認証機能のある電源ボタン。
スリットは冷却するやつですかね。
左側には 3.5mm のオーディオジャックと
音量調整ボタン。
それとスピーカーです。
ちなみに、こっちサイドにスタイラスペンがくっつきます。
キーボード。
キーボードはカバー兼用で、素材にはイタリアのアルカンターラを使用しているとのこと。
スエードに近い外観と感触のフェイクレザーです。
これ、Surface Pro のカバーとか Surface Laptop のパームレストとかにも使われている素材です。
ここまで意識してるんだ…。
とりあえず、キーピッチ18mm。
手の大きめなコダシマも満足の広さです。
バックライトも内蔵されており、明るさが3段階で調整できます。
タッチパッド。
なんか反応悪いと思ったら、タッチパッドにも保護フィルムが貼られていました。
大きめで、使い勝手は悪くないです。
ブラケット。
ブラケットは Surface と同様に本体の後ろにあります。
角度は結構、自由自在です。
スタイラスペン。
シンプルな作りのスタイラスペンです。
充電式で端子は USB Micro-B です。
ちなみに本体に磁石でくっつくので、なくさなくて済みますね。
バッテリー。
バッテリー容量 42wh で、オフィスでの日常的な使用であれば約5〜6時間、最長で12時間のバッテリー駆動が可能とのこと。
45W の PD 充電にも対応しているので、対応のアダプタがあれば流用できます。
けっこう長時間の使用にも耐えられそうですね。
KUU Lebook の性能。
んで気になる、Intel Core i7-8550U の実力をいくつかベンチマーク測定ソフトでチェックしてみました。
Cinebench
久しぶりに4桁以上のスコアを見ました(苦笑)
なかなかいい感じですね。
ファンタシースターオンライン2キャラクタークリエイト体験版 EPISODE4
起動からやばかったです。
標準画質でもスコアは伸び悩むので、ゲーム向きでは無いですね。
ドラゴンクエストⅩ ベンチマークソフト
初期設定のまま計測しました。
初期設定の解像度は 1280×720 のためでしょうか?
思いの外、良いスコアが出ました。
FINAL FANTASY XV WINDOWS EDITION ベンチマーク
FF も初期設定でテストしたのですが、コチラは解像度が 1920×1080 だったためか評価は「動作困難」。
計測もなかなかスタートせず、初っ端から音ズレがあったりと、なかなか厳しかったです。
結果を見るとGPU が足を引っ張ってた感じかもしれませんね。
グラフィックボードが最低限のモバイルマシンなので、やむを得ない感じがします。
3D ゲームには向いていないのが証明されてしまいました。
CrystalDiskMark
ストレージ速度もチェック。
んー、インターフェイスが M.2 と聞いていましたが、速度的には普通に SATA くらいですね。
温度も計測してみた。
ベンチマークソフトで負荷がかかっている状態で本体の温度を計測してみました。
普通に起動している状態で31度程度。
熱くなっているところを見つけて計測してみたとろこ 35°くらいと、それほど熱くなっていませんでした。
思ったほど温度は上がっていなかったのは、やっぱり金属製の本体が冷却に一役買っていたからでしょうか?
今回のチェックでは起動時間が短かったのもあるかもしれませんが、いずれにしろ冷却能力は高そうです。
KUU Lebook のまとめ。
という感じで、製品が到着してから時間をかけて KUU LeBook をガッツリ使い込んでみました。
んで、コダシマの結論は
悪くもないが、良くもない。
です。
まとめとして、悪くもないが、良くもないという点をいくつかピックアップしていきたいと思います。
悪くもない点。
○パフォーマンス高い!
少し古くても Core i7 のパフォーマンスは高いですね。
この価格帯でこれだけのスコアがあれば十分じゃないですかね?
グラフィックボードの性能で引っかかりはしたものの、Adobe 系のソフトウェアまで使うことができます。
コダシマは普段なら Celeron とかで間に合っているのでCPUの性能は充分。
○思いの外しっかりした作りの本体。
エッジのあるデザインが基本的に好きなので、デザインについて異論はありません。
しっかりした剛性もあり、安心して使える感じです。
○広いディスプレイ。
ベゼルもじゃまにならない広さで画面が広く感じられます。
iPad や Surface などで4:3 くらいのアスペクト比が増えましたが、解像度が高くこの比率だと文書作成とかでは重宝しますね。
発色もきれいで満足度は高いです。
○ステレオスピーカー。
搭載されるスピーカーのサイズが小さいのは仕方ないので、出力できる音量や音質にも限界があります。
それでもトップメーカーはいい音出してます。
LeBook も同等とまでは行かなくても、ちゃんとステレオで出力されています。
まぁ、悪くないです。
○キーボードとスタイラスペンが付属。
フルセットになっているのがありがたいです。
後から追加するのってかったるいですからね。
んで、いずれもマグネットで本体に取り付けることができるので、迷子になる心配も少ないです。
まぁ、磁気カードとかは注意しなければいけませんけれどね。
んで、キーボードにはバックライトがあるため暗いところでの入力もラクラクです。
切り替えも3段階あるので、お好みで変更できるのもいいですね。
○指紋認証って便利だね。
顔認証はカメラが対応していないためだめですが、そのかわり、電源ボタンに指紋認証機能が追加されています。
スマホみたいですね。
実は指紋認証機能のあるPCを使うのは相当久しぶりなのですが、今の指紋認証って、ほんとラクですね。
以前のはスライドさせる感じのものが主流だったと思ってましたが、今はぽんと触れるだけでいいわけです。
ラクですね。
良くもない点。
んでここからは KUU のより良い製品開発のために、あえて厳しくチェックしていきます。
×技適問題。
2021年10月現在、技適マークの表示がありません。
これは日本のマーケットではマイナスポイントです。
日本での販売数を伸ばすのであれば、技適適合証明は必要不可欠です。
早急な対応が望まれますね。
×ファンの音が気になる。
コダシマは基本 Celeron 搭載機とかタブレットとか、ファンレスのものばかり使っているので小さなファンの音だとしても気になります。
スマホのアプリで簡易的にチェックしてみましたが、実際には静かな方だと思われます。
しかし、相手が悪かったですね。
×ボディに傷が…。
おそらく冷却性能も期待しての金属製ボディだと思います。
基本的に金属製のボディってかっこいいと思うのですが、加工の方法がちょっと気になります。
速攻傷をつけてしまいました。
サンドブラスト見たいな加工がなされていれば、少々の傷は気にならないかと思います。
また、ブラケットも金属なのは悪くないと思うのですが、やっぱりこの加工のままだと逆に安っぽく感じてしまいます。
音が軽いので余計に残念な感じがします。
いっそのことブラケットだけABS樹脂とかの方が良かったかもしれません。
それか、別付けとか。
ここは改善に期待したいところです。
×ペコペコするキーボード。
打鍵感やキーピッチ、質感などは決して悪くないキーボードですが構造的に中途半端で、キーボードが妙な感じで浮かんでいるためタイピングしているとペコペコします。
意外と気になるので、すごくもったいない気がします。
×スタイラスペンの USB Micro-B…。
んでスタイラスペン。
軽くてコンパクトで使いやすいのですが、充電するための端子が USB Micro B …。
Type-C にできなかったものでしょうか?
充電の頻度は少ないかもしれませんが、余計にケーブルを抱えなければいけないのはデメリットだと思います。
軽くてちょうどよい長さ、しかも使い勝手がよいスタイラスペンなのに、これだけで残念な気分になるのがもったいないです。
気になるお値段は?
良くもない所として気になるところもあれこれ上げましたが、それでも実際に使ってみると、性能自体には問題を感じません。
ってか、普段 Celeron ばかり使ってる身としてはメチャクチャ快適です!
さすが Surface Pro や Dell Inspiron 当たりのユーザーをターゲットにしているだけあります。
んで、気になるお値段の話ですが、まずベンチマークにしている Surface シリーズは
10万円以上の価格です。
- Surface Pro 7 … ¥93,280~
- Surface Pro X … ¥142,780~
おっと、Surface Pro 7 が10万円以下ですね。
でも「から」というのがミソです。
Surface Pro 7 のベースのプロセッサは Core i3-1005G1 です。
Passmark でチェックするとスコアは「5253」。
KUU Lebook が搭載している Core i7-8550U の「5918」よりも低いスコアです。
だからといってSurface のベースプロセッサを Core i5へ変更すると、すぐに10万円を超えます。
また Dell Inspiron も、いちばん安価な Core i3-1125G4 を搭載したモデルがクーポン割引を使って97,380円。
ちなみに Core i3-1125G4 のPassmark スコアは「10,057」とめちゃくちゃ高いですけどね。
KUU LeBook よりもストレージ容量が少なかったり、ディスプレイの解像度が低かったりします。
そもそも2-in-1といってもタブレットじゃないですしね。
んで本題の LeBook は、実売価格$789 日本円でおよそ89,000円程度。
※レートにより変動します。
旧世代のプロセッサを搭載して価格を抑え、RAM やストレージなど必要な部分を充実させるというメーカーのコンセプトによって、高いコストパフォーマンスが実現されています。
モバイルマシンとしては十分すぎる性能だと思います。
正直なところ、どうしても Surface の劣化版といったイメージは拭いきれませんが、実際に使ってみれば、充分な性能と納得の品質です。
それなりのお値段がする製品なので、購入するにはちょっと勇気がいるのは正直なところかもしれませんが、新しい1台を購入する際に是非検討して欲しいと思える良いマシンです。
今回は特に人柱的な感じで使ってみましたが、いかがでしたでしょうか?
KUU LeBook に興味を持たれた方、Amazon リンクを張っておきますので、ぜひぜひチェックしてみてください!
おまけ。
社名にもなっている KUU とは、フィンランド語で「月」を意味言葉のようです。
KUU Tech では最も高度で強力なラップトップを製造したことはありませんが、一般消費者にとって最も適したラップトップの開発に注力しているとのこと。
KUU Tech が目指すのは「太陽のように眩しいものではなく、ちょうど夜空に浮かぶ月のように人々に光をもたらすもの」。
すべてのユーザーのオフィスや書斎に、静かに奉仕する製品の開発を目標とする KUU Tech の今後がとても楽しみです。
応援したいブランドがまたひとつ増えました。