以前 Ubuntu のフレーバーにて Linux のデスクトップ環境について紹介しましたが、今回はコミュニティエディションだけれどもデスクトップ環境だけでなくウィンドウマネージャのエディションも存在する Manjaro で比較してみました。

Manjaro Linux

【Linux入門】重たいデスクトップランキング: Manjaro エディションで見るデスクトップ環境
もっともスタンダードな Xfce エディション。

Manjaro のエディションには「公式」と「コミュニティ」があり、特に「コミュニティ」では Ubuntu フレーバーでは見られない高機能ウィンドウマネージャを採用したものがリリースされているので、今回も重たいデスクトップのランキングをやってみようと思う。

デスクトップ環境とは。

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もっとも歴史あるデスクトップ GNOME の重みはメモリにも表れている?

デスクトップ環境とは WIMP (Window, Icon, Menu, Pointer) をはじめとして、ツールバー、フォルダ、背景画像、デスクトップウィジェット (時計やカレンダーなどの小規模なアクセサリーソフト) などから成り立ったインターフェイスのセットをこう呼びます。

ウィンドウマネージャは、GUI (グラフィカル・ユーザー・インターフェイス) のウィンドウの配置や外観を管理するプログラムのことを指します。もちろんデスクトップ環境の中にウィンドウマネージャも含まれています。Linux では機能を充実させたウィンドウマネージャだけをインターフェイスとして採用するディストリビューションのたくさん存在します。

Manjaroのエディション。

Manjaro では以下のエディションが公開されている。

公式エディション

  • Xfce
  • GNOME
  • KDE Plasma

コミュニティエディション

  • Awesome
  • Bspwm
  • Budgie
  • Cinnamon
  • i3
  • LXDE
  • LXQt
  • MATE
  • Openbox

今回は実機でのライブ環境でのチェックと、ボクの勝手な都合で VirtualBox のライブ環境とでチェック。

ただし可能な限り条件を近づけて設定し、Xfce, GNOME, KDE エディションでは実機と VM 環境の差を比較してみました。結果は、その差が誤差の範疇と考えられる数値だったためランキングする数値として採用しました。

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前回と同様の LIFEBOOK A550/B を使用してチェック。

用意した実機

  • 使用したマシン: Fujitsu LIFEBOOK A550/B
  • CPU: Intel Core i5-M560 (2core) 2.66GHz
  • RAM: DDR3 SDRAM (PC3-8500) 4GB

ライブなのでストレージは割愛します。

LIFEBOOK A550/B の詳しい仕様は
https://www.fmworld.net/biz/fmv/lifebook/1101/a550b/

VirtualBox の設定

  • Host マシン: HP ProDesk 600 G1 SFF
  • CPU: Intel Core i5-4790 (4core) 3.59GHz
  • RAM: DDR3 SDRAM (PC3-12800) 4GB

ランキング。

今回のランキングは、実際の動作時のメモリ使用量を確認できる htop をベースとし、参考値として screenfetch および free コマンドでのチェックを行った。

それでは重たいデスクトップランキング。

DEscreenfetchfreehtopJapanese
Budgie12686301024
Cinnamon1232619969
GNOME1208591958
KDE Plasma1178525953
Xfce1134613953
MATE1189562916
i3883288624
LXDE838384589
Awesome904455567
LXQt766362523
Openbox710299461
Bspwm? *258391
単位=MiB

以上が今回チェックしてみた結果です。

* =リポジトリのエラーのため screenfetch がインストールできませんでした。

まとめ。

今回は Htop での結果を基準に並べ直してみたが、Ubuntu フレーバーほどの大きな差は見られない。今回もやはり GNOME 系のデスクトップ環境はメモリを多く消費するが、基本的なシステムの違いのためか Ubuntu フレーバーのそれよりも少ない。

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今回もいちばんメモリを使った Budgie エディション。

他の数値を基準にすると若干の変化はあるが、デスクトップ環境としては LXDE, LXQt 以外は 900MiB 台で動作する。LXDE, LXQt エディションはアイドル時 500MiB 台で動作し、ウィンドウマネージャのエディションにも匹敵する軽さなのには驚く。

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画面は LXQt エディション。Qt 系のデスクトップはメモリ消費が少なく済むのかな?

逆にタイル型ウィンドウマネージャ「 i3 」が、カスタマイズされているためか思ったほど軽くなかったのも意外だった。ただし free コマンドでチェックするとやっぱり抜群にメモリ消費量は少ない。

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タイル型ウィンドウマネージャ「i3」のデスクトップ。

また、日本語の対応についても同時にチェックしてみたが、日本語が文字化けして表示できなかったのは以下のエディション。

  • Bspwm
  • LXDE
  • LXQt
  • Openbox

それ以外は、日本語表示に対応していた。日本語表示されなかったエディションもフォントさえインストールすれば日本語表示される。

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Openbox エディションをはじめいくつかのエディションで日本語が文字化けする。

ただし、どのエディションについても日本語入力については、インストール後に設定する必要がある。

環境やチェック方法によって若干の違いは出るものの、今回の結果もエディション選びの参考程度にはなると思います。

おまけ。

ちなみにテストしたマシンの LIFEBOOK には Windows10 をインストールしてあるのだけれど、比較としてシステムモニタを覗いてみた。

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Windows 10 のタスクマネージャ。

ほとんど素の状態ではあるが、すでに 2.0GB 使われている。

根本的なシステムが違うため一概に比較することはできないけれども、Linux が Windows よりも軽いと言われる材料のひとつにはなるかも。