ガジェット好きの皆さんなら、時々見かける QLED の文字。
これって何かご存知ですかね?
すでにご存知の方であれば今回の記事はスルーして頂いて大丈夫なんですが、コダシマのように理解していない方は、ぜひ参考にしていただければと存じます。
今回は QLED モニターについて解説していきます。
ぜひぜひ最後までお付き合いください。
それではいってみましょう!
QLED とは?
某ガジェット系 YouTuber が、とにかく「キレイ」で「明るい」と絶賛していたので気になっていたのが QLED のモバイルモニターです。
QLED というくらいなので、名前から察するに LED (発光ダイオード) を使ったモニターだということはわかるのですが Q がわかりません。
Question ?
調べてみると、QLEDとは、Quantum dot Light Emitting Diode, 直訳すると量子ドット発光ダイオードの略です。
量子ドットとか、響きが強そうですねぇ。
てか、スゴイのは響きだけじゃぁないようです。
ひとまず、LED(発光ダイオード)について簡単に説明しておきます。
LED は、電気を流すと光る素子のことで、その多くは半導体で作られています。
従来の液晶モニターでは、青色発光する LED に黄色の蛍光体を塗って、光の三原色である R/G/B の成分を含む白色の LED に変換したものを使って、その上にサブピクセルとして RGB の波長フィルタをかぶせ、かつ液晶シャッターの開閉によって、RGB それぞれの光を取り出す仕組みです。
言葉にすると、ちょっとややこしいですが、この仕組みだと、例えば緑色を取り出す緑色のフィルタの働きは、緑色以外の光成分を吸収するということになり、光のロスが発生します。
もちろん赤色も青色のときも同じです。
つまり、この仕組みを使うと何かしらを表示する際に、バックライトから発せられた光の大半がフィルターで吸収され無駄になります。
より鮮やかな色彩を実現しようとすればするほど、フィルターを透過させる RGB 各色を純粋にする必要があるため、ロスする光がさらに多くなってしまいます。
そう聞くと、めちゃくちゃ効率が悪いですね。
これに対して量子ドット素材を使った液晶モニターは、いくつか構造的な種類がありますが代表的なものとして、モニターのバックライトと液晶パネルのあいだに、波長フィルタの代わりに量子ドットを使うというものがあります。
- 価格.comマガジン – 解説! 液晶テレビの注目技術「QLED/量子ドットテレビ」とは?
- wikipedia – Quantum dot display
- wikipedia – 量子ドット
- オーシャンフォトニクス – 量子ドットのしくみ
- Merck – 量子ドットとは
量子ドットのシートに青色 LED バックライトを入射させると、ナノメートルサイズの粒子に光の粒子 (Photon) が吸収され、再結合することで新しい光の粒子を生み出すという仕組みのようです。
目に見える色は光の波長(長さ)によって変わります。
量子ドット技術は「粒子の直径」によって、光の波長を精密にコントロール(波長変換)して、色を表現します。
量子ドットの場合、フォトルミネセンス(物質が光(フォトン)を吸収した後、光を再放出する過程(反射とは異なる))によって発生する光の波長は単一になるため、色がよりシャープなディスプレイを作ることができます。
…ということですが、
んー、なんだか難しい。
そもそも「フォトルミネセンス」がよくわかりませんよね。
もう少し調べてみました。
蛍光発行
フォトルミネセンスのイメージしやすい例として「蛍光発光」があります。
蛍光物質や蓄光物質に紫外線など高いエネルギーを持つ光を照射すると、それらの物質は光を吸収し、励起状態(れいき‐じょうたい)と呼ばれるざっくりいうと不安定な状態になります。
その状態から基底状態(きていじょうたい)という、こんどは安定した状態に戻ろうとする時に放出する光(可視光など)および現象をフォトルミネセンスというようです。
んーなんか、わかったようなわからないような感じですが、蛍光色にブラックライトを当てたときに光るやつがフォトルミネセンスらしいです。
いずれにせよ、この現象をうまいこと利用し、量子ドットのサイズで色を調整し、RGB の色を単色化することができるというのが量子ドット発光ダイオードとのことです。
この仕組みだと、従来のものよりも光のロスが少なく効率よく発色させることができるというのはコダシマにもわかりました。
加えて、構造的には一般的な液晶ディスプレイとほぼ同じため、有機 EL よりも安価に作ることができるのも特徴です。
つまり、QELD は比較的「安価」で「きれい」に「明るい」が実現できるというわけです。
ちなみに、Nintendo Switch にも搭載され話題になった有機 EL を利用したディスプレイは OLED と呼ばれていますね。
OLED は Organic Light Emitting Diode の略で、有機発光ダイオードと呼ばれます。
ということで、長くなりましたが実際に QLDE モニターを見てみたいと思います。
Intehill 15.6インチ QLED モバイルモニター (P15NF)
某ガジェット系 Youtuber が、とにかく「きれい」で「明るい」量子ドット LED モバイルモニターと絶賛していた Intehill 15.6 インチ QLED モバイルモニターです。
これまた耳馴染みのないブランド名ですが、主にパソコン用液晶、携帯用ディスプレイ、産業用液晶ディスプレイ、広告機用液晶ディスプレイの研究開発、製造、販売を行っている液晶モニターを専門としたブランドのようです。
- Intehill – https://www.intehill.com/
Hanshi Jingxian Innovation Technology (Huizhou) Co. Ltd.
スペックを見るとたしかにスゴイモニターです。
タイプ | QLED |
画面サイズ | 15.6 inch |
解像度 | 1920*1080 (141ppi) |
アスペクト比 | 16:9 |
輝度 | 500nit |
コントラスト比 | 1300:1 |
リフレッシュレート | 60Hz |
色域 | DCI-P3 100% |
色深度 | 10bit (8bit+afrc) |
HDR | HDR 600 |
視野角 | 178° |
インターフェース | Mini HDMI, USB Type-C*2, 3.5mm Audio Jack |
電源 | 10-15W |
素材 | アルミニウム合金 |
外寸 | 355*216*5*10mm |
重さ | 675g |
同梱品 | Smart Case*1, USB Type-C Thunderbolt cable for Data&Power*1, USB Type-C cable for Power*1, HDMI Cable*1, User Manual*1 |
まず気になったのが、その明るさ。
一般的に流通している液晶モニターの輝度は大体が基準値 250-300nit です。
屋内で使う分には、このくらいの明るさで十分で、むしろ 300nit くらいだと明るすぎるかも知れません。
それを踏まえて、Intehill の QLDE モニターの明るさを見てみると、なんと最大 500nit (=500cd/m²) と非常に明るいです。
ちなみに参考として、今コダシマがメインで使っているスマホ、Pixel 6 の最大輝度を調べてみたところ 800nit (=800cd/㎡) とのことなので、いかに明るいモニターなのかがわかります。
屋内仕様のモニターですが、屋外で使う場合でも耐えられそうな明るさですね。
しかもコントラスト比が 1300:1 と言うことなので、表現力の高い、美しい画質が期待できます。
また、表現できる色域は、アメリカの映画製作業界団体 DCI がデジタルシネマ向けに定めた DCI-P3 規格 100% です。
Apple が策定した Display P3 は DCI-P3 とほぼ同等の色域をもつ規格なので、Apple 製品をお持ちの方であれば、その画質のクオリティがイメージできることでしょう。
まぁ、スペックを見る限り絶賛するのもわかる気がします。
外観チェック
開封すると、すでにケースが取り付けられている状態でした。
他のモバイルモニターにもありましたが、基盤やコントローラーなどの配置のため段差のある筐体です。
が、それをうまいこと利用したケースになっています。
ただ、ケースの使い方にちょっと迷いました。
デザインは好みが分かれるかも知れませんが、個人的には嫌いじゃないです。
インターフェースは、文字やイラストが書かれているため初見でも迷うことはありません。
本体下部にはゴム足とスピーカーの穴があります。
素材はアルミニウム合金とガラスでできているので、わりと高級感があります。
品質としては悪くないですね。
とりあえず使ってみましょう。
QLED モニターの使用感
このモニターは「Type-C to Type-Cケーブルでモニターへ映像・音声・給電を1本で同時に実現できます」とのことだったので、Type-C 3.1 以上に対応しているということでしょう。
なので、ウチの Type-C 3.1 対応マシン代表の Chromebook (Asus C101P)で試してみます。
同梱されていた、映像出力対応の USB ケーブルで Chromebook に接続。
実際に電源の供給も、モニターの設定についても必要なく、接続はとても簡単です。
やっぱり、古い時代を知っているコダシマにとって、こんなに手軽に接続できるのは、毎度感激しますね。
もちろん Chromebook でなくても USB Type-C 3.1 以上に対応していれば、同じように使うことができます。
で、試しに Youtube で動画視聴をしてみました。
音声は、良くも悪くもない感じですが、思っていた以上にハッキリ出力され、大きい音が出ていた感じを受けます。
※あくまでも個人的な印象です。
しかしながら、Chromebook の画面と見比べて見ると、対して明るさは代わり映えしないように思います。
確かに発色は良くキレイっちゃぁ、キレイですがなんか言うほど明るくないです。
騙された?とも一瞬思いましたが、その前に「調整でしょうね」ってことで設定を見ることにしました。
設定をみたら驚きです!
奥さん!明るさの初期設定値5ですって!
100段階あるので5%と言っても良いでしょう。
つまり、わずか5%の出力で、他のモニターと同等の明るさがあるわけです。
5%ですよ!たった5%!
スゴっ…。
ただ、Youtube 用の動画編集している際に思ったのですが、映像だと明るさの比較がそこまで出来ていない感じです。
実際には50%まで明るさを上げた段階で、相当明るく眩しいくらいでした。
映像では、Chromebook のモニターとの比較のために明るさを50%まで上げましたが、屋内で普段遣いするのであれば25%くらいがイイところじゃないですかね?
それでも、人によっては眩しく感じるくらいの明るさだと思います。
また、画面を明るくして気が付きましたが、発色の良さがより際立ちます。
特に黒がちゃんと黒くて引き締まってる上、白がキレイに白いです。
メリハリもあって…、なるほどあの人が絶賛するだけありますわ。
本当であれば、ここでキチンとモニターのキャリブレーションまでできればなお良かったのですが、あいにく機材を持ち合わせていないため、どこまでできるのかという本当の実力を正確に知ることが出来ないのが悔やまれます。
もしも、そこら辺りのテストをされた方がいらっしゃったらコメント欄に補足していただければ幸いです。
ちゃんと機材を揃えよう。
でも、素人目でもハッキリと違いがわかるくらい、キレイで明るいモニターなのは間違いありません。
こりゃイイ!
QLED モニターのまとめ。
今回は、巷で話題(?)の「量子ドット LED = QLED 」について紹介しました。
有機 EL に迫る画質でありながら、有機 EL よりも安価で手に入るのは魅力的です。
グラフィックデザイナーや写真家、映像クリエイターなど、画質に拘るユーザーであればなおのことでしょう。
今回は QLED モニターの代表として Intehill 15.6インチ QLED モバイルモニターを紹介しました。
設定項目などはすっかり端折ってしまいましたが、一般的なモニターで設定できる内容は一通り設定できるので、あえて説明するまでもないかな?というところです。
しかしながら、たしかにキレイで明るいモニターでした。
しかも接続も簡単。
とても素晴らしいです!
ただし、良いところばかりではありません。
現状では有機 EL よりも安価と言え、通常の液晶モニターよりは高額になるため、一般的なユーザーであれば「明るく」て「キレイ」というだけでは選びにくいかも知れません。
今回の Intehill のモニターは、公式サイトで $239.00、現在のレート (2022年10月現在) で換算すると日本円でおよそ 35,000円程度になります。
同価格帯では、4K 解像度のものや、タッチ機能がついているものなど様々な製品が並んでいます。
その中で、タッチ機能がない明るくてキレイなモニターがどれだけ優位に立てるのかはわかりません。
また、今回の Intehill のモニターの場合、 VESA マウンタに非対応のため使い道が限られてしまいます。
ココらへんは人によって、割高に感じるかも知れませんね。
そういったところを見ると QLED モニターは今のところ、一般ユーザーよりは専門職のユーザーに向けた製品かな?と思われます。
ただ、素人目に見ても確実に「明るく」て「キレイ」なのは間違いありません。
さらにその明るさは、屋外の明るさにも耐えられそうなので、アウトドアでモバイルモニターを使ってみたいユーザーにも良いかも知れません。
いずれにしろ、量子ドット LED のモニターは明るくてキレイです!
4K もいいですが QLED も捨てがたいです!
画質に拘るユーザーには間違いなくおすすめです!