あのエドワード・スノーデン氏も使っていたという”超”匿名 OS 。
…という冠がつくと何というかこう、ドラマや映画なんかで出てくる、スパイ的で得体の知れないイメージを勝手に抱いてしまう。
だから Tails っていう OS も Linux と言えど、もっと専門的で、もっと特殊で、しかもなにやらドラマティックなものだと勝手に思っていた。
しかし結論から言うと、Debian だ。
Debian GNU/Linux
どこにでもある Linux なのだ。
ただし決定的な特徴がある。
それは徹底的なプライバシー保護。
つまり Tails は徹底的な匿名性を守ることを目的とした Linux なのだ。
インターネット上に足跡を残さない OS
現在、パソコンだけでなく多くのデバイスがインターネット接続が余儀なくされている。
そしてインターネットに接続するとデジタルフットプリントやデジタルシャドーと呼ばれる、いわゆる足跡が残される。
この足跡から追跡され、様々な危険に及ぶことがある。
それは一個人に限ったことではなく、その周囲にまで影響がおよぶ。
ターゲットはあなたではなく、あなたの家族や恋人といった大切な人に向けられているかも知れないのだ。
とは言え足跡は多くの場合、意図せず残してしまう。
Tails はそれを回避してくれるというのだ。
Tails のサイトには以下のような開発者の言葉があります。
Tails is a live system that aims to preserve your privacy and anonymity. It helps you to use the Internet anonymously and circumvent censorship almost anywhere you go and on any computer but leaving no trace unless you ask it to explicitly.
テールはあなたのプライバシーと匿名性を保つことを目指すライブシステムです。インターネットを匿名で使用したり、どこにいてもどこのコンピュータでも検閲を迂回することができますが、明示的に要求しない限り、トレースを残すことはありません。
なんだかよく分からないが、スゴそうなのは伝わってくる。
Tails の機能
Tails は Tor ( The Onion Route の略で”トーア”とか”トール”とか読まれる)で接続経路を匿名化するソフトを使い匿名化し、PGP ( Pretty Good Privacy )という暗号化のソフトウェアを使い、メールや文章を暗号化し、さらにパスワード管理システムの KeePassX とチャット暗号化用プラグインの Off-the-Record ( OTR )を使い、ガチガチにセキュリティを固めている。
通常の Linux 同様に、ブラウザやオフィススイート、画像編集ソフトなど必要なソフトウェアもひと通り入っている。
で、ここまででもスゴイが、これだけであのスノーデンは納得しない。
Tails を接続したコンピュータ側にも、決してその証拠が残らないよう入念に設計されている。
サイトには以下のように書かれている。
Tails is configured with special care to not use the computer’s hard-disks, even if there is some swap space on them. The only storage space used by Tails is in RAM, which is automatically erased when the computer shuts down. So you won’t leave any trace on the computer either of the Tails system itself or what you used it for. That’s why we call Tails “amnesic”.
テールは、スワップスペースがある場合でも、コンピュータのハードディスクを使用しないように特別な注意を払って構成されています。Tailsによって使用される唯一のストレージスペースはRAMにあり、コンピュータがシャットダウンすると自動的に消去されます。だから、あなたはTailsシステムそのもののためにそれを使ったのか、それともそれを使ったのかをコンピュータ上に残すことはありません。そういうわけで、私たちはテールを「健忘症」と呼びます。
このおかげ(?)で、どんなコンピュータでも機密文書が扱うことができ、またシャットダウン後にデータを復旧させることもできなくなります。
いくつかの注意(サイトでは警告としてますが)があり、完璧ではない事も理解しなければいけません。
例えば、ハードウェアからの侵入から保護できないとか、BIOSやファームウェアから攻撃された場合には保護できないとか。
何よりも Tails は開発中だからとのこと。
システム要件
Tails は USBメモリにインストールし LiveUSB のように使う。
HDDにインストールすることはない。
USBメモリに収まる Tails は、64bit版しかないものの2008年以降に発売されたほとんどのパソコンで使うことができる。
以下が最低限必要なシステム要件。
- x86-64互換プロセッサ
- 2GB システムメモリ
- 8GB 以上の USBメモリ
ちなみに PowerPC や ARM では使えないため、Intel プロセッサを積む前の Mac やタブレット・スマートフォンなどのデバイスでは Tails を使うことはできない。
インストール
USB メモリにインストールするのだが、他のディストロに比べ少し手間がかかるため、インストールは次回紹介したいと思う。