アイルランドで開発されている独立系ディストロ Solus の最新版となる 4.1 が、2020年1月25日にリリースされた。
Solus とは?
Solus は最近数少ない、最初から独自に構築された Linux ディストリビューション。
独自系ではあるけれども、コミュニティもわりとしっかりしており、業界の注目度も高い。
パッケージ管理も独特で、 PiSi パッケージマネージャーから派生した eopkg という独自のパッケージ管理を有する。
デスクトップ環境は GNOME 2 から派生し、独自に開発された Budgie がデフォルトのほか、本家 GNOME と、低スペックマシンでも使えるローエンド用として MATE 版が用意されている。
▼より詳しい情報は▼
https://getsol.us/2020/01/25/solus-4-1-released/
Solus の概要
- ベース: 独自
- アーキテクチャ: x86_64 (AMD64)
- デスクトップ環境: Budgie, GNOME, MATE
- パッケージ管理: eopkg
Solus をインストールするのに推奨のスペックは?
- CPU: x86_64 以上のプロセッサ
- RAM: 2 GB 以上
- Storage: 10 GB 以上
- ブロードバンドインターネット接続
▼より詳しい情報は▼
https://getsol.us/download/
主なソフトウェア
- ブラウザ: Firefox 72.0.2
- メール: Thunderbird 68.4.1
- オフィス: LibreOffice 6.3.4.2.0+
- マルチメディア: GNOME MPV 0.16
- ミュージック: Rhythmbox 3.4.4
個人的な意見ですが、
今年の Linux 界隈を賑わせるディストリビューションだと思うのがこの Solus 。Linux としては重量級だけれども、その分完成度の高い Linux ディストリビューション。
マイナーアップデート
正直、今年 Solus 5 がリリースされるのではないかと期待していた。
が、リリースされたのは 4.1 。
3 から 4 がリリースされた時は、マイナーアップデートで刻んでいなかった様に記憶しているが、今回は 4.1 と刻んできた。
Ubuntu の様に厳格なリリーススケジュールがあるわけではないので、ぼんやりとした(だいたいこの時期くらい)リリースのタイミングでしかわからないが、今年もまだ始まったばかりなので、もしかしたら年末までに Solus 5 がリリースされるのではないかと期待している。
何せ、いつもお世話になっている DistroWatch.com のページヒットランキングで、常にトプ 10 にいる Solus なので、ボクの様に期待しているユーザーも多いと思われる。
2020年の8〜9月頃までに 5 とかがリリースされるのであれば、DistroWatch.com のランキングを塗り替えるかも!?
パッケージ管理の基本
独自系の Linux で戸惑うのは、そのパッケージ管理について。
たくさんの派生を持つ Linux ディストリビューションであれば、情報もたくさんあるので、パッケージ管理なのどの情報もすぐに手に入る。
また GUI のフロントエンドなどもたくさん存在しているので、コマンドを覚え切らなくても使う事ができる。
一方の、独自系の Linux ディストリビューションは、情報が乏しいために、経験の浅いボクの様なユーザーにはハードルが高くなってしまいがち。
しかし Solus では、GUI のフロントエンドが用意されている他に、丁寧にパッケージ管理の基本について紹介されている。
ここで、いくつか紹介しておこう。
ソフトウェアのインストール
$ sudo eopkg install 「パッケージ名」
ソフトウェアの再インストール
$ sudo eopkg install –reinstall 「パッケージ名」
ソフトウェアの削除
$ sudo eopkeg remove 「パッケージ名」
など。
▼より詳しい情報は以下のページを参照▼
https://getsol.us/articles/package-management/basics/en/
アプリケーションソフトウェア
以前よりもプリインストールされているアプリケーションの数は減っているものの、ボクが思いつく限りのアプリケーション(例えば GIMP や Inkscape、Scribus や Shotcut、Ardour や LMMS などなど)が用意されている。
プログラミング言語などの開発環境も充実しているので、元々のターゲットとしてはエンジニア向けだったのかもしれない。
またサードパーティとして Google Chrome や Spotify などのプロプライエタリ(フリーではない)のアプリケーションも多数用意されている。
Solus とほかの独自系
最近は、何かしらの Linux ディストリビューションをベースに開発されているものが多く、独自に開発されているものはだいぶ少ない。
ベースを持たない Linux として上げられるのは
- Arch Linux
- Debian
- Fedora
- openSUSE
- Slackware
- Void
だろう。
特に Arch や Debian はその背景から人気が高く、たくさんの派生を生み出している。また派生が増えるにつれその情報も多くなり、ユーザーのハードルも下がってくる。するとまたユーザーが増えて…と言う様に、好循環が生まれる。
それらと比べると、Solus はずいぶん大人しく感じる。
しかし、登場からずっと DistroWatch.com では上位にランクインされている Linux ディストリビューションディストリビューション。単一のディストリビューションで見てみると Arch Linux や Fedora、 openSUSE よりもランキングは上位につけている。
Solus 自体よりも Solus のために開発されたデスクトップ環境の Budgie の方が人気が高く、 Ubuntu をはじめとして多くの Linux ディストリビューションで採用される様になった。シンプルでクールな見た目のデスクトップ環境は人気が出るよね!
Solus の良かった点・悪かった点
良い
- 壁紙もオシャレなのが多く、全体的にシンプルなデザインがかっこいい!
- 公式サイトは見やすい上に、丁寧に情報が提供されている。
- Steam や Retro Arch のほか有名オンランゲーム関連もちゃんとリポジトリに用意されている。
悪い
- Linux としては重量級なので、あまり古いマシンには向かない。
- 日本語入力については Anthy 一択。他の入力システムは基本的に使えない。
- 情報が少ない。公式サイトの情報が命。
Solus のおすすめ度(5段階評価)
初心者向け度… ★★★☆☆
Linux 初心者でも迷わず使えるかどうか。★が多いほどデスクトップ指向。
今回紹介した Budgie の場合は、基本的なレイアウトが Windows に似ているため、ある程度は直感的に使えると思われる。ただし多少の Linux 経験がないと各種設定画面へのアクセスに戸惑うかもしれない。
日本語の環境… ★★★☆☆
日本語表示および日本語入力ができるかどうか。★が多いほど設定も簡単。
インストールの際には「Japanese」が選択できるけれども、表示は英語のまま。英語が苦手な方には大変かもしれないが、設定内容は定番の項目だけなので、なんとなく理解できるはず。また日本語入力設定については、 GUI 操作だけで設定が完結してしまう。
システム要件… ★★☆☆☆
古いマシンでも快適に使うことができるかどうか。★が多いほど古いマシンでも使える。
Solus では標準の Budgie をはじめとして、GNOME 、Plasma といった重量級のデスクトップ環境ばかりのラインナップ。(MATE を除いては)また 64-bit 版のみの開発のため基本的に、古いマシンにはあまり向いていない。
総おすすめ度… ★★★★☆
全体的なおすすめ度。★が多いほどアナタに使ってみて欲しい Linux。
4.1 になり、デスクトップ環境の効率化も図られた様で、以前よりもサクサク動いてくれている様な体感がある。見た目的にも個人的には好きなので、けっこうオススメな Linux ディストリビューションの一つ。
Solus に興味を持ったアナタは、下の URL を今すぐクリック!
▼ダウンロードする▼
https://getsol.us/download/