フランスで開発されている、OpenMandriva (OMLx とも呼ばれる)の最新版となる Lx 4.1 が、2020年2月2日に正式にリリースされた。
<!--TOC-->
OpenMandriva Lx とは?

OpenMandriva Lx は KDE Plasma を採用したデスクトップ指向の Linux ディストリビューション。
名前の中にある Mandriva は、ヨーロッパで根強い人気を持つかつて存在していた Linux ディストリビューション。
もともとはフランスの Mandriva 社 (旧 MandrakeSoft ) が開発していた Mandrakelinux が起源となる。同社は紆余曲折あり、最終的に2015年5月に倒産し、開発も事実上終了した。
OMLx は OpenMandriva Association が主催するフル機能の Linux で、 Mandriva Linux から派生した、忘れ形見ともいうべき Linux ディストリビューション。さらにさかのぼると、源流は Red Hat Linux となり、パッケージ管理が RPM というのはその名残といえよう。
ちなみに Mageia と PCLinuxOS 、さらにロシアで開発されている商用の ROSA はルーツを同じくする兄弟派生ディストリビューション。
今回の変更点は?
新しいリリースでは、Linuxカーネル5.5、Plasma 5.17.5、およびLibreOffice 6.4.0をはじめ、多くの更新と改善が行われている。
Linuxカーネル5.5、Qtフレームワーク5.14.1、KDEプラズマデスクトップ5.17.5、KDEフレームワーク5.66.0、KDEアプリケーション19.12.1、LLVM、clang 9.0.1、systemd 244、Java 13、Calamares 3.2.17、LibreOffice 6.4.0 …. などなど。
▼詳しくは▼
https://forum.openmandriva.org/t/and-openmandriva-did-better-omlx-4-1-final-release-is-out/3317
OpenMandriva Lx の概要
- ベース: 独立
- アーキテクチャ: i686, x86_64
- デスクトップ環境: KDE
- パッケージ形式: RPM
- カーネル: 5.5
OpenMandriva をインストールするのに必要なスペックは?
- CPU: x86_64
- RAM: 1GB (2GB以上推奨) ※ライブモードを起動する場合 1.5 GB 以上
- Storage: 10 GB 以上
主なアプリケーション
- ブラウザ: Falkon 3.1.0
- メール: KMail 5.13.1
- オフィス: LibreOffice 6.4.0.3
- グラフィック: Krita 4.2.8
- ミュージック: Elisa 19.12.1
- マルチメディア: SMPlayer 19.10.2, VLC media player 3.0.8
より詳しい情報は
▶ https://openmandriva.org/en/documentation/openmandriva-lx/article/quick-start
個人的な意見ですが、
OpenMandriva Lx については以前にも何度か紹介している。
▶https://pc-freedom.net/today_pc_story/openmandriva-lx-4-0-beta-release/
その際に「決して悪いディストロというわけではないけれども、”なんでもあり”な”可もなく不可もない”がゆえ、代替えされやすいのかもしれない」と紹介した。
今もその印象はそれほど変わらず、やはりヨーロッパ向けの仕様のように感じられる。

たとえば日本語において、表示言語は対応していたとしても入力関連の設定については未だ手直しが必要になる。 Ubuntu 系や OpenMandriva の源流とも言える RPM 系の Fedora はインストール直後から入力環境も整っており設定する必要がない。同じ Mandriva からのフォークだと、 Magia の方がよりローカライズされているので使いやすいかもしれない。
ヨーロッパでは未だ根強い人気の Mandriva

Linux 開発の盛んなヨーロッパでは、たくさんの Linux ディストリビューションが存在するけれども、それぞれに根強いファンが存在する。この OpenMandriva もそのひとつ。元々は商用 Linux がベースとなっていたため見た目や操作性、安定性といったところが重視されていたが、最近のリリースでは最新カーネルを採用したり、LibreOffice も最新版を採用したりと革新性が優先されている。
ROSA Linux との関係性
ロシアで開発されている ROSA Linux もまた、同系列の Linux である。詳しい内容は異なるが、イメージとしては Red Hat Enterprise Linux と CentOS (Fedora かな?) に似た関係性。そのため、アプリケーションの中には “ROSA” の名前がついたものがいくつか存在する。ちなみに ROSA もまた東アジア人向けではないように感じることを付け加えておく。
それでも開発が続けられている理由
これは僕の憶測になるけれども、Mandriva という名前をどうしても残したい熱心な開発者が OMLx 開発を続けているのだろう。同じフランスで開発されている Magia も Mandriva のフォークではあるものの、すでに名前も中身も別物になっている。その他にもフランスには大小 20 以上の Linux 開発コミュニティが存在する。それでも OpenMandriva の開発が続けられる理由とすれば「名前を残したいから」ではないかと考えてしまう。
OpenMandriva Lx の良かった点・悪かった点

良い
- 今の KDE Plasma はずいぶん軽量になった。
- よりプロセッサの才能を引き出すためのエディションが用意されている。
- ダウンロードは必要だが、自分の好きなテーマやレイアウトへ自由に変更できる。
悪い
- 軽くなったとはいえ、やっぱり KDE なので、あまり低スペックだといろいろ不具合が出る。
- 難易度はそれほど高くないけれども、インストール後に日本語環境を整えなければいけない。
- 日本ではあまり馴染みのない Linux がベースとなっているので、いろいろと情報不足。
OpenMandriva Lx のおすすめ度(5段階評価)
初心者向け度… ★★★★☆
Linux 初心者でも迷わず使えるかどうか。★が多いほどデスクトップ指向。
デスクトップ OS としては必要なソフトウェアがプリインストールされているので、十分な機能を持っている。初期設定では Windows 寄りのレイアウトなので、Linux 初心者でも安心。
日本語の環境… ★★★☆☆
日本語表示および日本語入力ができるかどうか。★が多いほど設定も簡単。
基本的な KDE Plasma なので、日本語入力設定も規定どおりに設定すれば問題ない。けれども、インストール後に設定しなければいけないのは少々面倒くさい。
システム要件… ★★★☆☆
古いマシンでも快適に使うことができるかどうか。★が多いほど古いマシンでも使える。
最近の KDE Plasma は本当に軽量になってきている。またブラウザも Firefox よりも少ない RAM で動作する Falkon が採用されているので、KDE デスクトップ環境ではあるものの軽量化が進んでいる。とはいえそもそもが KDE なので、あまり低スペックなマシンだとちょこちょこ不具合を起こす。
総おすすめ度… ★★★☆☆
全体的なおすすめ度。★が多いほどアナタに使ってみて欲しい Linux。
目立った特徴がないように感じる Linux ディストリビューション。ただし、KDE の高機能さと、思った以上の軽量さは魅力的。見た目重視のカスタマイズが好きなら選択肢の一つになると思われる。
東アジア人にはそれほどメリットの大きい Linux ディストリビューションではないけれども、熱い情熱を持ったスタッフが開発を続けている発展、平等、協力、開放性、自由、集団的達成、独立性、そして連帯の Linux が OpenMandriva である。
OpenMandriva に興味を持ったアナタは、下の URL を今すぐクリック!
OpenMandriva をダウンロードする
▶ https://openmandriva.org/en/documentation/openmandriva-lx/download