Enlightenment デスクトップをベースとしたプロジェクトである Bodhi は、最新版となる 5.1.0 を2020年3月23日にリリースしたので試してみた。

Bodhi Linux とはどんな OS ?

Bodhi Linux 5.1.0: USA発Ubuntu系の軽量Linuxがリリースされたので試してみた。
https://www.bodhilinux.com/

Bodhi Linux は、高機能ウィンドウマネージャ Enlightenment-17 をベースとした Moksha (モクシャ) を備えた、エレガントで軽量な Linux ディストリビューション。最新版は Ubuntu 18.04 LTS をベースとして開発されている。 

Bodhi には Standard, AppPack, Legacy の3つのリリースがあり、Standard と Legacy にはデフォルトで以下のソフトウェアがプリインストールされている。

  • ePad (テキストエディタ)
  • PCManFM (ファイルマネージャ)
  • ePhoto (イメージビューア)
  • Midori (Web ブラウザ)
  • Terminology (ターミナルエミュレータ)
  • eepDater (システムアップデータ)

コレに対し、AppPack は一般的なデスクトップアプリケーション (以下の主なアプリケーション参照) がプリインストールされている。

またソフトウェアの追加については、Webベースのソフトウェアインストールツールである AppCenter から入手する。

Bodhi Linux についてのより詳しい情報は▶https://www.bodhilinux.com/w/wiki/

Bodhi Linux の概要

  • ベース: Ubuntu (Debian)
  • アーキテクチャ: i386, x86_64
  • デスクトップ環境: Moksha (Enlightenment)
  • パッケージ管理: dpkg (APT)
  • パッケージ形式: deb
  • カーネル: 4.15.0-88

Bodhi Linux をインストールするのに必要なスペックは?(推奨)

  • CPU: 500 MHz (1.0 GHz) 以上のプロセッサ
  • RAM: 256 MB (512 MB) 以上
  • Storage: 5 GB (10 GB) 以上の空き領域, ※ただし AppPack は 16GB 以上の空き領域が必要

こんな注意もあるので確認しておくのが良い。

最小のシステム要件のメモリサイズが 256 MB で推奨が 512 MB だけれども、インストーラーを起動させる場合には「スワップ領域」+「実装 RAM 容量」で 1 GB 以上のメモリが推奨されている。またインストーラーのメモリが、スワップ領域+実装メモリで 2 GB ちかくであれば、最適なパフォーマンスが保証される。

https://www.bodhilinux.com/w/system-requirements/

主なアプリケーション (AppPack のみ)

  • ブラウザ: Firefox 74.0
  • オフィス: LibreOffice 6.0.7.3
  • グラフィック: Blender 2.97b, GIMP 2.8.22, Inkscape 0.92
  • ミュージック: Audacious 3.9
  • マルチメディア: OpensShot Video Editor 2.4.1, VLC media player 3.0.8

Bodhi Linux についてのより詳しい情報は▶https://www.bodhilinux.com/w/wiki/

Bodhi Linux についての個人的な意見ですが、

3種類のリリース。

Bodhi Linux 5.1.0: USA発Ubuntu系の軽量Linuxがリリースされたので試してみた。
デスクトップ OS として使うなら AppPack リリースがオススメ。

まず最初に説明しておきたいのが3種類のリリースについて。

Standard (標準) および Legacy リリースには、余計なものがインストールされていない。先にふれた5つの基本パッケージ程度。デスクトップ OS として使う場合には AppPack を選ばなければいけない。ただし逆に言うと、自分で好きな環境を作るには良いかもしれない。

インストーラ。

Bodhi Linux 5.1.0: USA発Ubuntu系の軽量Linuxがリリースされたので試してみた。
Ubiquity システムインストーラー。

Bodhi は Ubuntu ベースなので、Ubiquity インストーラーを使用している。もちろん日本語にも対応しているので、英語が苦手なユーザーでも安心してインストールすることができる。

Web ブラウザベース。

Bodhi Linux 5.1.0: USA発Ubuntu系の軽量Linuxがリリースされたので試してみた。
初回起動時には Web ブラウザでプロジェクトのドキュメントが表示される。

インストールが完了後に起動させると、Webブラウザでプロジェクトのドキュメントが表示されるのが、ちょっと独特に感じる。この他にもアプリケーションの追加も Web ブラウザからアクセスする。ほかにあまり例を見ない管理方法なので、どうやってインストールするか興味深かったが、ブラウザとパッケージインストーラーがいい感じに連携されており、思った以上にストレスがない。

Bodhi Linux 5.1.0: USA発Ubuntu系の軽量Linuxがリリースされたので試してみた。
Web ブラウザと専用のパッケージインストーラが連携した Bodhi AppCenter は独特な使い心地。

ただし、 Bodhi AppCenter で提供されているパッケージは少ない。Bodhi AppCenter にないパッケージをインストールしたい場合には Synaptic パッケージマネージャや、deb 形式で配布されているパッケージを GDebi パッケージマネージャを使いインストールしなければいけない。

Bodhi Linux とほかの Ubuntu 系との比較

多くの Ubuntu 系ディストリビューションでは GNOME や KDE といったデスクトップ環境を採用しているなかで、Bodhi では Enlitgtenment をベースとした Moksha という高機能ウィンドウマネージャを採用している。

Bodhi Linux 5.1.0: USA発Ubuntu系の軽量Linuxがリリースされたので試してみた。
高機能ウィンドウマネージャの Moksha では左クリックでメニューが表示される。

Debian 系の antiX も、デスクトップに IceWM を使っているが、Ubuntu 系でウィンドウマネージャをデスクトップに採用しているものをボクはまだ知らないので、なかなか特徴的だと思う。デスクトップを高機能ウィンドウマネージャにしているため、メモリ消費量は少なめ。さらに、Legacy リリースは PAE 非対応の 32bit プロセッサにも対応しているので古い PC でも快適に動作してくれる。ただし左クリックでメニューが表示されるなど一般的なデスクトップ環境に比べて使用感が少し独特なため、好みは分かれるところだと思う。

Bodhi Linux の残念な点と良い点

残念な点

  • Moksha の使用感は好みが分かれると思う。

良い点

  • AppPack ならインストール直後から日本語入力までできる。さすがは Ubuntu 系。
  • タダでさえ軽量だが、さらに Legacy なら PAE 非対応プロセッサでも動作する。
  • Bodhi AppCenter は独特な使い心地だが、個人的にはけっこう好き。

Bodhi Linux のおすすめ度(5段階評価)

初心者向け度… ★★★☆☆

Linux 初心者でも迷わず使えるかどうか。★が多いほどデスクトップ指向。

Enlightenment ベースの Moksha は左クリックでさまざまなメニューが表示されるという少し独特の使用感なので、ちょっと戸惑うところがあるかもしれない。

日本語の環境… ★★★★☆

日本語表示および日本語入力ができるかどうか。★が多いほど設定も簡単。

AppPack ならインストール直後から日本語入力までできるのは◎。ただしメニューの多くは英語のままなので★-1。

システム要件… ★★★★★

古いマシンでも快適に使うことができるかどうか。★が多いほど古いマシンでも使える。

PAE 非対応の PC でも動作してくれるほど軽量。64bit 版でもアイドル時は 600MiB 以下で動作する。

総おすすめ度… ★★★★☆

全体的なおすすめ度。★が多いほどアナタに使ってみて欲しい Linux。

ちょっと独特な雰囲気を持つ Linux ディストリビューションだけれども、Ubuntu 譲りの使いやすさもあるので、軽量 Linux を探している人は試してみるのも面白いと思う。

Bodhi Linux に興味を持ったアナタは、下の URL を今すぐクリック!
ダウンロードする▶https://www.bodhilinux.com/download/