安価でサクサク動作する PC として、知名度も人気も高くなった Chromebook ですが、そんな Chromebook を「買おうかな?」「どうしようかな?」と思っている方、まずはこの記事を読んでいただきたいと思います。
米 Google は2022年7月15日(現地時間)、「Chrome OS Flex」の安定版を一般公開しました。
Chrome OS Flex は企業や学校向けに無償公開されており、古くなった Windows マシンなどにインストールし Chromebook として再利用することができます。
すでにガジェット好きのみなさんがレビューしていますが、コダシマも Chrome OS Flex の安定版を試してみることにしました。
Chrome OS Flex とは?
Chrome OS Flex は、Chromebook に搭載されている Chrome OS と同様に、動作が速く、管理も簡単、かつセキュアなクラウドファーストのオペレーティング システムとして、Windows マシンだった PC や Mac で試してみることができます。
しかも簡単にチーム全体に導入できるほか、クラウド ファーストの OS をひとまず試してみたい場合にも最適です。
もうちょっと詳しく Chrome OS Flex についてお話すると、Chrome OS Flex は、米 Neverware が2015年に Chrome OS のオープンソース版である Chromium OS をベースに Google と協力して開発していた「CloudReady」がはじまりとなります。
CloudReady は学校にある古い PC を Chromebook 並みのパフォーマンスで動作できるようにと開発がはじまりました。
Neverware は 2011年に、教育に熱い情熱を注ぐ CEO ジョナサン・ヘフターさんと教育に詳しい関係者によって設立されたため、発表当時は特に教育関連で注目を集めていました。
- Entrepreneur – The Technology That Could Save Schools Thousands
- CNN Business – He’s keeping old school computers alive
その教育に詳しい関係者とは、教育におけるテクノロジーの進歩に専念するメンバーベースの組織 TCEA で、その TCEA が毎年行っているカンファレンスのなかで、2015年にテキサス州で開催されたカンファレンスにおいて Neverware は、企業の全国進出を示す目的で CloudReady をお披露目し、教育関連のブロガーに一週間取り上げられました。
TCEA – https://tcea.org/
という背景から Chrome OS Flex は、そもそも教育関連を目的として開発されていたことが覗えます。
その後、 Neverware と CloudReady は 2020年12月15日に Google に買収され、Chrome OS チームに加わり現在に至ります。
元々が、学校にある古い PC の再生を目的として開発されていたため、通常の Chrome OS が Google が公認したハードウェアである Chromebook または Chromebox でのみ動作するのに対して、Chrome OS Flex は幅広いハードウェアで動作します。
ただし、快適な環境を確保するため、動作要件が定められています。
その動作要件は次のとおりです。
chromeOS Flex の動作要件
- CPU: x86_64 (x64) アーキテクチャに対応する Intel 製または AMD 製のもの
- RAM: 4GB 以上
- Storage: 16GB 以上(USB ブートによるトライアル時は不要)
- other: USB メモリからのブート機能
Chrome OS Flex ヘルプ – https://support.google.com/chromeosflex#topic=11618314
2010年以前に登場したハードウェアでは満足に動作しない可能性があるようですが、それ以降のデバイスであれば概ね問題はありません。
ただし、Intel 製 CPU に統合されている GPU のうち Intel GMA 500、600、3600 および 3650 は Chrome OS Flex のパフォーマンスの条件を満たしておらず、推奨されていませんのでご注意ください。
認定モデルリスト – https://support.google.com/chromeosflex/answer/11513094
ということで、またまた前置きが長くなりましたが、 Chrome OS Flex を古い PC にインストールしてみます。
Chrome OS Flex のインストール。
Chrome OS Flex を使用するのに必要なのは2つ。
USB インストーラーを作成するデバイスと、USB ドライブ(USB メモリ)です。
USB インストーラーを作成するデバイスは、最新バージョンの Chrome ブラウザを搭載した Chrome OS デバイス、Windows デバイス、Mac デバイスのいずれか。
残念ながら Linux には未対応です。
USB ドライブは、8GB 以上のもので、SanDisk などの一部の USB ドライブは、インストーラーとして機能しないことがあるようなので、手元にある USB ドライブが正しく動作しない場合には、「既知の問題」をチェックしてみてください。
でも今回、あえて SanDisk の USB ドライブで試してみました。
また、8GB と表記されている USB ドライブでも、実際には 7GB ちょっとしか容量がない場合もあるので、容量は 16GB のものが間違いありません。
ちなみに、当然ですが USB ドライブ内のすべてのデータは消去されますのでご注意ください。
Chrome OS Flex ヘルプ – https://support.google.com/chromeosflex#topic=11618314
USB インストーラーを作成する。
ではまず、USB インストーラーを作成するデバイスの設定を行っていきましょう。
使用するデバイスは Chrome OS Flex のインストール先となるデバイスでなくとも構いません。
ステップ1
Chromebook リカバリーユーティリティをインストールする。
- Chrome に Chromebook リカバリーユーティリティをインストールします。
- Chrome OS、Windows、Mac デバイスで、Chrome ブラウザ 開きます。
- Chrome ウェブストアにアクセスします。
- 右上にある [Chrome に追加] をクリックします。
- メッセージが表示されたら、[拡張機能を追加] をクリックします。
コレで Chromebook リカバリ ユーティリティは、Chrome ブラウザの拡張機能になりました。
ステップ 2
Chrome リカバリ ユーティリティ拡張機能がオンになっていることを確認する。
- Chrome ブラウザ ウィンドウの右上にある [拡張機能] 次の操作 [拡張機能を管理] をクリックします。
- [Chromebook リカバリ ユーティリティ] の横にあるスイッチを右に動かします。
(省略可)[詳細] をクリックして、スイッチを右に切り替えることもできます。 - Chromebook リカバリ ユーティリティ拡張機能をオンにしたら、ブラウザの拡張機能パネルでこの拡張機能をクリックしてポップアップを開きます。
ステップ 3
USB インストーラをビルドする
リカバリーユティリティを使って USB インストーラーをビルドします。
- Chrome ブラウザで Chrome リカバリ ユーティリティ拡張機能を起動します。
- [始める] をクリックします。
- [リストからモデルを選択] をクリックします。
- [メーカーを選択] で、[Google Chrome OS Flex] を探してクリックします。
- [製品を選択] で、[Chrome OS Flex] をクリックします。
- [続行] をクリックします。
- メッセージが表示されたら、USB ドライブを挿入します。
- プルダウン メニューから USB ドライブを選択します。
- [続行] をクリックします。
- [今すぐ作成] をクリックします。
- リカバリ メディアの作成完了を示すメッセージが表示されたら、デバイスから USB ドライブを取り外します。
コレで USB インストーラーが出来上がりました。
USB インストーラーを使用してデバイスを起動する。
作成した USB インストーラを使用して、Chrome OS Flex を実行するデバイスを起動します。
大体のデバイスでは問題がないのですが、デバイス固有の注意事項がいくつかあるので、インストールを始める前に認定モデルリストをチェックし、インストール手順を確認しておくことをおすすめします。
今回インストールする PC は Windows Vista 世代のマシンです。
FUJITSU FMV-A8280
- CPU: Intel Core 2 Duo T9550
- RAM: 4GB
- Storage: 128GB SSD
まぁまぁ動くくらいのスペックではないでしょうか?
インストールは特別難しいことはありません。
USB インストーラーから起動させ、画面の指示に従って設定するだけです。
インストールには20分ほどかかるような表示がありますが、実際には今回の環境で設定を含め5分ほどで終わりました。
早速使ってみましょう。
ちょっとだけ使ってみた。
初回起動時には、改めて表示言語の設定とキーボードの設定が必要です。
今回の PC は、有線 LAN を使ってインターネットに接続していたため設定は省かれましたが、Wi-Fi の設定なども含まれます。
やっぱり画面の指示に従うだけなので、特別難しいことはないでしょう。
ちょっと気になったのは、ユーザー設定について。
最近紹介した Android タブレットで「キッズスペース」という、いわゆるペアレントコントロールと、マルチユーザー管理を一緒にしたような機能があることを紹介しましたが、どうやら Chrome OS Flex にも、それに近い機能があるようです。
今回は、コダシマの時間の都合上スルーしますが、機会があればコチラもチェックしてみたいともいます。
設定は「Chrome デバイスの同期」、
「ChromeOS Fex のハードウェアデータの収集」同意確認、
「Google アシスタント」の使用確認、
「スマートフォンに接続」、
っという具合に設定が続きます。
これらの設定内容を見ていくと、Android デバイスとの連携が以前よりも強化されたイメージがあります。
ってことで、設定が完了しました。
以前使った状態がそのまま展開されました。
ココらへんの同期機能は素晴らしいですね。
んで、個人的に気になったのが Linux 環境をインストールできるようになったことです。
でも、途中でエラーが出ました。
このスペックのマシンだからですかね?
BIOS の設定ですかね?
後でほかのでも試してみます。
それより何より、動画視聴もしてみましたが、このマシンでも1080pの動画を快適に視聴することができました。
しかも再生速度を上げても、カクつくことはありませんでした。
また、Google Docs も軽く使ってみましたが、普通にドキュメント作成をする程度であれば何ら問題ありません。
むしろ快適です。
このマシンが Windows Vista 世代のものと言うことを忘れてしまいそうな快適さです。
Chrome OS Flex のまとめ。
今回は安定版の公開された Chrome OS Flex を古い PC にインストールしてみました。
Windows Vista 世代の古い PC でも、現役で使える快適さです。
Chrome OS は使い方を選ぶ OS と言われがちですが、動画視聴やドキュメントの作成といった用途がメインであれば、何ら困ることはないかと思います。
また、Chrome OS と Chrome OS Flex の違いは、Android アプリが使えるかどうか。
それ以外は、ほぼほぼ同一のものと言って過言ではないでしょう。
確かに Android アプリが使えると、使えるシーンの幅は広がるかとも思いますが、そもそもの開発コンセプトを考慮すると、Android アプリを動作させることに、そこまで重点を置いていないように思われます。
とは言え、今後開発が進むにつれ、さまざまな機能が追加されることでしょうから、将来的にはわかりませんね。
そんな Chrome OS Flex、もしもご自宅に、ホコリを被っている PC があるのであれば、試して見る価値はあるかと思います。