皆さま、ご機嫌いかがですか?コダシマです。今回は MinisForum さまの製品を紹介します。Mini PC の筆頭メーカーとも呼べる、MinisForum さまですが、マザーボードも提供していることをご存知でしょうか?もちろん、ご存知ですよね。
先日、 MINISFORUM さまは、Core i9-13900HX 搭載の Mini-ITX マザーボード「AR900i」を発売しました。価格は 89,590 円。出荷は 12 月 28 日から。というネットニュースをチェック…する前に、実は直接 MinisForum さまからご連絡を頂いておりました。
ってことで、今回は発売前のサンプル品ですが、MINISFORUM AR900i の実機レビューをいたします。
MINISFORUM AR900i のプロセッサ性能
ぶっちゃけ、Ryzen 好きの身としては、Ryzen 7 7745HX 搭載の BD770i のオファーを期待したのですが…
まぁ、 UM780 XTX をレビューさせてもらったので、次は Intel プロセッサという感じですかね。
この AR900i マザーボードは、最新のモバイル向けのハイエンドプロセッサである第 13 世代 Core i9-13900HX を採用。この CPU は、最大クロック 5.4GHz の P-core (Performance-core: 高性能コア) を 8 コアと、最大クロック 3.90GHz の E-core (Efficient-core32: 効率コア) を 16 コアの合計 24 コア / 32 スレッドという、一昔前のサーバーレベルのコア数です。プロセッサの仕様によると、ベースパワーは 55W ですが、最大ターボパワーは 157W に至るプロセッサです。
AR900i はリリースで「120mm ファンとカスタム CPU ヒートシンクにより、安定して 100W の動作が可能」と明言しており、先立って発売された「BD770i」も 100W の性能をだしているので、間違いないと思われます。また、このプロセッサには GPU が内蔵されていますが、最大周波数 1.65GHz で動作する UHD Graphics ということで、まぁ…、ぶっちゃけおまけですね。とは言え、8K および 3 画面出力に対応しているので、ただのおまけとしてしまうのももったいない気もします。
でもまぁ、基本的に AR900i はマザーボードであり、PCI Express のスロットもあるため、外部 GPU の使用を前提としているものなので、十分と言えば十分でしょう。外部 GPU にトラブルがあった時などに、内蔵グラフィックスがあるってぇのは心強いですよね。
MINISFORUM AR900i の冷却システム
ハイパフォーマンスのプロセッサといえば、発熱問題は避けては通れません。この MINISFORUM AR900i に搭載されている、Core i9-13900HX といったら、その発熱量も相当なものだと思われます。その熱を効果的に制御するために、AR900i には特別に設計されたカスタム CPU ヒートシンクが採用されています。
このヒートシンクは、プロセッサーからの熱を効率的に分散させ、120mm の大型ファン (ファン規格:12025ファン) がこれを冷却します。この組み合わせにより、長時間にわたって最高のパフォーマンスを発揮し続けることができます。
が、冷却ファンは付属していませんので、別途用意する必要があります。
また、CPU 側の SSD には SSD クーラーも用意されています。
これらの冷却ファンの速度は、BIOS を通じて調整することができるので、使用する環境に応じて、冷却性能とノイズの最適なバランスを見つけることができます。
MINISFORUM AR900i のメモリ性能
次に AR900i のメモリについて見ていきましょう。メモリは最新の DDR5-5600 対応の SO-DIMMで、最大 96GB まで増設ができます。メモリ周波数は最大 5,600MHz ですが、コレは 48GB (24GB ×2枚) 以下に限ります。64GB (32GB ×2枚) や、最大の 96GB (48GB ×2枚) の場合には、メモリ周波数の最大値は 5,200MHz になります。
とはいえ、爆速ですねぇ。
特に高度なビデオ編集、3D レンダリング、ゲームプレイなど、メモリ集中型のアプリケーションにおいて、その真価を発揮することができるでしょう。
MINISFORUM AR900i の拡張性
次は MINISFORUM AR900i の拡張性について焦点を当てます。このマザーボードは、将来のニーズにも対応するために、多彩な拡張オプションを提供しています。
まず、このマザーボードには、4 つの M.2 2280 スロットが搭載されています。加えて、これらのスロットは PCIe 4.0 x4 をサポートしており、超高速なデータ転送を実現します。
しかも RAID 対応です。
さらに、PCIe スロットは、最新規格の 5.0 x16 を採用し、Nvidia RTX4090 や AMD RX 7900 XTX をサポートします。実際にデモンストレーションしたいのですが…、コダシマのお財布はカツカツなので…、お察しください。
何れにせよ、これらの技術により、AR900i は高い拡張性を持ち、高速データ転送と優れたストレージ性能を実現します。
インターフェースと接続性
次に、AR900i のインターフェースと接続性に注目しましょう。まず、映像出力について。
このマザーボードには、HDMI 2.0 ポートと DisplayPort 1.4 が搭載されており、映像出力にも対応した USB 3.2 Gen2 Type-C によって、高解像度 8K の 3 画面出力をサポートします。また、複数の USB 3.2 Gen1 、USB 2.0 の Type-Aポートがあり、様々な周辺機器の接続に対応しています。3.5mm のオーディオジャック (Line in, Line Out, MIC) もサポート。
更に、内蔵された AX210 ワイヤレスネットワークカードにより、WiFi6E と Bluetooth 5.3 をサポートしています。2.5G RJ45 ネットワークポート (いわゆる Ethernet ) も装備されており、有線接続でも高速なデータ転送を実現します。
これらの接続性によって、オンラインゲーム、大容量ファイルのダウンロード、ストリーミングなど、あらゆるシーンでの最適な環境を提供してくれます。
MINISFORUM AR900i のパフォーマンス
お待たせしました、ここから AR900i のパフォーマンスをチェックしましょう。
まず、事前に PassMark で、プロセッサの比較をしてみました。比較対象は、コダシマ家にある自作の 2 台 (Core i5-9400F, Ryzen 5 5600G) と、先日レビューした UM780 XTX に搭載されていた Ryzen 7 7840HS、それと別のメーカーのミニ PC に搭載されていた Core i9-13900H とを比較してみました。
PassMark
うん。もう、シンプルに CPU 性能だけだと、自作の2台に搭載されている CPU は、勝ち目ないですね。これはかなりのハイスコアが期待できそうですね。
ってことで、当座のパーツを集めて起動させました。
今回使用したパーツ
PerformanceTest
まず、PassMark で提供している PerformanceTest にてスコアを比較してみました。
もう、CPU のスコアがぶっちぎりです!ってか、同じ Core i9-13900 でも、H と HX ってこんなに差があるもんなんですね。シングルコアのスコアで Ryzen 7 と同等だったので、シンプルにコア数とスレッド数の多いほうが強いという感じですね。グラフィックス性能は、やはりというべき結果。自作の2台には外部 GPU が搭載されているためのスコアなので、それに伴ってトータルのスコアが引き上げられています。
- 自作1号機 GPU: GeForce GTX 1660Ti
- 自作2号機 GPU: Radeon RX 660
またメモリに関しても、用意したメモリがコダシマの予算の都合で 4,800MHz のものだったため、フルポテンシャルを出すことが出来ませんでした。ディスクも同様に、PCIe 3.0 の SSD だったのでやっぱり、不完全燃焼ですね。
UM780 XTX の中身を借りて計測すればよかったかもしれませんね…。
Cinebench R23
Cinebench での計測では、マルチコアのスコアが目立ちます。シングルコアのスコアは PassMark と同様に Ryzen 7 のスコアとよく似ていますので、やはりシンプルにコア数とスレッド数の違いの結果ですね。
Geekbench 6
Geekbench でも Cinebench とほぼ同様の結果です。一応グラフィックス性能も…と思ってチェックしましたが、OpenCLのみで Vulkan は非対応でした。
まぁ、すでにグラフィックス性能は外部 GPU におまかせする気まんまんなので、ここは割愛いたします。
んで、参考程度ですが、気になっていたプロセッサの発熱を HWMonitor にて計測してみました。その結果、Cinebench でマルチコアのスコアを計測しているときに P-core で最高値となる 82度、 E-Core 73度を計測し、その後は平均的に 40〜50 度で動作していました。
ケースに入れていない状態なので、エアフローも何もありませんが、それを加味しても Geekbench での計測の際には 40度前後で動作していたので、空冷でも全然いけそうな感じでした。
ということで、CPU 性能はめちゃくちゃ高いことがわかりました。オンボード CPU のマザーボードではありますが、性能の高さは間違いないですね。ってことは、パーツさえ揃えられれば、モンスターマシンが出来上がるってことですね!
MINISFORUM AR900i のまとめ
今回は MinisForum AR900i を紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか?
すべてにおいて最新の技術が使われ、パフォーマンスもトップクラス。BD770i よりも価格は 24,000 円近く高いですが、CPU コア数やパフォーマンス、M.2 スロットが 2 基増えたことなどを考慮すると妥当な価格ではないでしょうか?
性能と拡張性の両方を、みちみちの Mini-ITX フォームファクタで実現したいユーザーには良いですね。おすすめです。コダシマ的にも、GPU を追加してメイン PC の差し替えとして考えておりますが、これだけのストレージも搭載でき、RAID にも対応、パフォーマンスも高いとなると、サーバーとしても抜群に使い勝手が良いマザーボードではないかと思います。
Youtube の方では詳しく触れませんでしたが、Debian 12 もインストールしてみました。Linux の場合、あまり新しい技術に偏ったハードウェアだと、正しく動作しないものも見られます。とくにワイヤレスネットワーク周りでのトラブルが多いのですが、AR900i では問題なく動作してくれました。しかも、とてもキビキビ動いてくれるので、とても気持ちいいです。
なんやかんやで、自作 PC でも CPU を差し替える頻度が少ないコダシマは、オンボード CPU のマザーボードでも全然ありだと思いますが、皆さまはいかがでしょうか?
MINISFORUM AR900i のスペック
モデル | AR900i/650i ITX マザーボード |
CPU | Intel® Core™ i9-13900HX (24 コア/32 スレッド 、L3キャッシュ合計36MB、最大ブースト・クロック5.4GHz) |
チップセット | Intel® HM770 |
グラフィック | Intel® UHD Graphics for 13th Gen Intel® Processors(グラフィックス周波数1.65 GHz/1.55 GHz) |
メモリ | DDR5 デュアルチャンネル (SODIMM スロット×2、合計最大96GBまで) |
ストレージ | M.2 2280 PCIe4.0 SSD Slots×4 PCIe 5.0 X16 connector ×1 |
ワイヤレス接続性 | M.2 2230 WIFI サポート(Wi-Fi6E , BT5.3) |
イーサネット | 2500Mbps LAN ×1 |
ビデオ出力 | HDMI2.0 (4K@60Hz)×1;DisplayPort1.4 (8K@60Hz)×1;USB-C (4K@60Hz)×1 |
オーディオ出力 | HDMI2.0 ×1;DisplayPort1.4 ×1;USB-C ×1;Line Out ×1 |
規格 | Mini-ITX 规格(170x170x1.6 mm) |
USB 接続ポート | USB3.2 Gen2 Type-C Port ×1(Alt DP) USB3.2 Gen1 Type-A Port ×2 USB2.0 Type-A Port ×2 |
I/O | 4-pin CPU Fan header ×1, 4-pin System Fan header ×2, 4-pin SSD Fan header ×1, USB 3.2 Gen 1 header ×1, Front Panel Audio header ×1, System Panel header ×1 |