近年、通信速度やクラウドサービスといったインターネット環境が充実し、ブラウザ上でできることが増えたため、OS やソフトウェアに依存しなくてもできる作業が増えましたよね。

例えば、ブラウザ版の Microsoft 365 なんかも、かなり高機能になり、出来ることがだいぶ多くなりました。

それ、Linux でも出来ます! Windows じゃなくても出来ること

最近では出来ないことのほうが少ないのではないでしょうか?

というか、AI 界隈で話題になっている Microsoft のオフィスで使えると言われる Copilot Pro は、現状ブラウザ版でしか使うことが出来ません。(今後はわかりませんが)

また、オフィススイートといえば無料で使える Google のオンラインアプリも知られてますよね。

これらは、むしろブラウザでないと使えないというものです。

また、ブラウザ上でグラフィックスから動画コンテンツまで編集できるサービスとして Canva が知られています。

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https://www.canva.com/

こちらのサービスも、やはり対応するブラウザさえあれば利用することができます。

クリエイティブソフトウェア大手の Adobe でも、同様のサービス Adobe Express が提供されています。(2014年5月に Adobe Voice として始まったのがスタート)

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https://www.adobe.com/jp/express/

いずれも機能制限はあるものの無料で始められ、これらのサービスが使えるだけでも、だいぶできることが多いのではないでしょうか?

つまり現在では、Windows だろうが macOS だろうが ChromeOS だろうが、もちろん Linux だろうが、インターネット環境の進歩に伴い、対応するブラウザさえあれば、できることが多くなったというわけです。

しかもどの環境でも、使い方は同じですからね。

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そういった面を見ると、むしろブラウザ版のほうが良かったりすることもあるでしょう。

ココらへんの作業であれば OS に拘る必要がなくなるわけです。

なので Windows でしか使えないわけでもなければ、逆に Linux でなくても良いわけです。

そう言ってしまうと、身もふたもないですが、これはあくまでもブラウザ上で、これらのサービスがスムーズに動作してくれればの話です。

ここから、Linux のメリットが発揮されます。

Linux だからできること?

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最近の PC は、とても高性能になり、それに伴ってソフトウェアも便利で高機能になりました。

が、実は Windows 11 も、システム要件、特に必要なプロセッサとメモリ容量だけを見れば思ったよりも軽量と言われる部類かもしれません。

こちらは Microsoft で公表されている Windows 11 をインストールするために必要なシステム要件です。

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  • プロセッサ:1 ギガヘルツ (GHz) 以上で 2 コア以上の64 ビット互換プロセッサまたは System on a Chip (SoC)。
  • メモリ:4 ギガバイト (GB)。
  • ストレージ:64 GB 以上の記憶装置

注: 詳細は下記の「Windows 11 を最新状態に維持するために必要な空き領域についての詳細情報」をご覧ください。

ここだけ見れば、そこまで高いスペックではないかと思います。

が、ここからがちょっと問題。

  • システム ファームウェア:UEFI、セキュア ブート対応。
  • TPM:トラステッド プラットフォーム モジュール (TPM) バージョン 2.0。

ココらへんが、足切りと呼ばれるところ。

結構な数のハードウェアが Windows 11 の対象外となります。

ちなみにグラフィックス関連はこんな感じ。

  • グラフィックス カード:DirectX 12 以上 (WDDM 2.0 ドライバー) に対応。
  • ディスプレイ:対角サイズ 9 インチ以上で 8 ビット カラーの高解像度 (720p) ディスプレイ。

さらに、インターネット接続と個人向けの Microsoft アカウントが初期設定時に必要となります。

このアカウント周りには賛否のあるところですよね。

「便利になる」と捉えたら良いのか、「縛られてる」と捉えたら良いのか…、難しいところです。

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ちなみに Apple の macOS の場合、それぞれのモデルは識別されており、製品にもよって異なりますが発売から概ね5年から10年を迎えるハードウェアは、順次 OS のアップデートできなくなります。

macOS は、基本的に Apple 製品を専用とした OS であり、ユーザーエクスペリエンスを重視するのが Apple なので、OS がアップデートできなくなったら買い替えどきという意味になります。

これは Apple の品質のコントロール手法といったところでしょうか。

ココらへんは汎用性の高い OS の Windows よりも、はっきりとした足切りが行われています。

とはいえ、OS はあくまでも基本ソフトウェアなので、先程 Windows 11 のハードウェア要件を見た通り、セキュリティとかアカウント面を脇に置いとくと、実質的にシステムが必要とするハードウェア要件は、それほど高いものではありません。

高い性能を求めるのは、ソフトウェアのほうです。

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「ユーザーエクスペリエンス」の名の下に、ソフトウェアがどんどん高い性能を求めるようになっているため、PC の動作がすぐに重たく感じるようになります。

まぁ、ソフトウェアにしろハードウェアにしろ、メーカーもビジネスですからね。

新しいものを買ってもらわないと困るわけです。

で、手を変え品を変え売る方法を考えるわけです。

しかしながら、多少古くなったとはいえ、ハードウェアの基本性能が高くなった分、スペック的にはまだまだ使えるのも事実です。

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OS のサポートが切れてもハードウェア的には現役だったりするもんです。

ウィルス感染などのセキュリティ面を考慮し、サポートの切れた OS であってもオフラインで使い続けるのもありですが、ここまでお話した通り、時代はやっぱりインターネット接続が一般的です。

やはり何かのタイミングでオンラインが使いたくなるのも致し方ありません。

そこで、注目するのが、Linux です。

Linux の出番

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Linux は、ディストリビューションと呼ばれるさまざまな種類がありますが、もとがオープンソフトウェアの OS なので、無償で自由に使えます。

また Linux が求めるハードウェア要件も低いです。

しかも日々、セキュリティアップデートも行われています。

とはいえ、こういった言葉が並ぶと、専門性が高いように思われる方も少なくないと思いますが、デスクトップ環境も充実し、「Linux = コマンド」というイメージも、だいぶ変わってきました。

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書類作成だったり、Web ブラウジングといったような、一般的な用途で使う場合には、コマンドを知らなくても十分使えます。

(「OS のインストールは初心者向けじゃない」という言葉は聞こえません)

というか、Linux がコマンドの申し子のように言われますが、Windows も macOS もコマンドは存在しますし、コマンドじゃないとできないこともあります。

そして、Linux 入門とかでよく紹介されるコマンドは、マウス操作とかするよりも楽だし簡単だよ!ってことで紹介される場合も少なくありません。

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そもそも、PC にキーボードという入力デバイスがあるのに、それを使わないとか言うのもおかしな話だとコダシマは思うわけです。

そのくせ、書類作成はするんですよね?

「コマンド=Not 初心者」というのは、「自転車はバランス感覚に優れた人が乗るものだから初心者向けじゃァない!」なんて言っているようにしか聞こえません。

何事も、はじめの一歩を踏み出さない限り、いつまで経っても何もできないです。

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ある日突然、すべてができるようになるなんてチートなことは物語だけの話。

「0」にどんな数字を掛けても「0」は「0」。

とりあえず「0⇒1」にすることが重要です。

まず、やってみないことには始まりません。

なんだかスイッチが入ってしまいましたが、いずれにせよ「古い PC に、最新の Linux を入れて使ってみましょう」ということでございます。

重要なソフトウェア「ウェブブラウザ」

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たとえ Windows 11 で足切りされたハードウェアであっても、最新のセキュリティで守られた Linux であれば、ブラウザ経由のアプリ使用も安心です。

Linux をデスクトップ OS として使う場合に困ることがあるとすれば、オフライン環境で使う場合の「対応するソフトウェア」です。

世の中に広く知られている Microsft の Office やクリエイティブ界隈の Adobe のソフトウェアを筆頭として、各種ソフトウェアには Linux 版というものが「ほぼ」ありません。

まぁ「ほぼ」と表現した通り、 3DCGで知られる Blender など一部例外はありますが、いわゆる各業界のデファクトスタンダードと呼ばれるソフトウェアの多くで Linux 版がなく使えないというのが現状です。

それ、Linux でも出来ます! Windows じゃなくても出来ること
https://www.blender.jp/

それらに代わるソフトウェアはありますが、使いにくかったり、機能が足りなかったりと、今ひとつ力が及ばないところもあったりするのも事実です。

そこで、ブラウザ経由で使えるアプリを使うわけです。

とはいえ、ブラウザ版の場合、実際には簡易版だったり一部機能制限があったりします。

もしかしたら、代替ソフトウェアのほうが高機能という場合もあったりしますが、それ以上にデファクトスタンダードの「知っている使い方」で、「知っているフォーマット」が使えるというのは、大きな安心感と言えるでしょう。

それと、ちょっと補足しておくと、今やウェブブラウザのデファクトスタンダードでもある Google Chrome は、Linux 版も存在しています。

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Google Chrome は、もともと Chromium というウェブブラウザのオープンソースプロジェクトから生まれたソフトウェアなので、もちろん Linux でも使えます。

というか今の世の中、PC はもちろん、スマホやタブレットなどに搭載される iOS や Android といったモバイル  OS でも、ウェブブラウザを搭載しています。

むしろモバイルデバイスの方こそが、ウェブブラウザを必要としているかと思います。

つまり OS という OS で、ウェブブラウザが存在し、同時にそれくらい、今のコンピュータではウェブブラウザが重要視されているわけです。

そして、その環境の充実に伴って、ウェブブラウザ上で使えるアプリが増えるのも不思議な話ではありません。

ちなみに、ブラウザがどれくらいのスペックで動作するのかを確認してみると、やはり必要とするハードウェアのスペックはそれほど高くありません。

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https://support.google.com/chrome/a/answer/7100626?hl=ja

Chrome で公開されているハードウェアに関する情報は

「Intel Pentium 4 以降のプロセッサ(SSE3 対応)」のみです。

Firefox の場合にはもう少し詳しい情報がありました。

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  • 1GHz 以上のプロセッサ
  • 1GB 以上の RAM (これは 32-bit 版のもので 64-bit 版の場合には 2GB 以上の RAM が必要)
  • 500MB 以上のストレージスペース

これらを見ると、比較的最近のマシンであれば、全く問題のないシステム要件です。

ちなみに Chrome はすでに 64-bit 版のみで 32-bit 版は提供されていませんが、Firefox であれば 32-bit 版もあります。

ですが、最近のブラウザで動作するアプリは 64-bit版 ベースが多いため、32-bit 版のブラウザでは使えないこともあるので注意が必要です。 

てか、Pentium 4 といえば 64-bit プロセッサとはいえ、すでに 20 年以上も前のプロセッサです。

20 年前のマシンでも 64-bit であれば、ウェブブラウザが使え、そのブラウザ上で最新のアプリが動くというわけです。

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ってことで、Pentium 4 搭載機で検証してみたかったのですが、手持ちがなかったので、とりあえず Core 2 Duo のマシンで、Microsoft 365 や Canva を使ってみました。

しかも OS は ChromeOS Flex です。

ちなみに、ChromeOS Flex のインストールに必要なハードウェア要件はこちら。

画面が狭いのが少々つらいですが、思った以上に動作は快適です。

ただし最低限、ストレージは SSD が必須です。

HDD だと、残念ながらこうはいきませんので、HDD だった場合は交換しましょう。

古いマシンの場合、余計に電気代がかかってしまうところにも気を配る必要はあるかと思いますが、愛着のあるマシンを使い続けるのも良いものです。

(旧車ならぬ旧マシン愛好家)

 もはや 32-bit はオフラインのみ?

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で、32-bit マシンです。

32-bit マシンでも Linux を使おうと思えば、まだまだ使えますが、ついに Linux の老舗 Debian においても、時期は未定ですが 32-bit 版の開発終了が発表されました。

それ、Linux でも出来ます! Windows じゃなくても出来ること
https://lists.debian.org/debian-devel-announce/2023/12/msg00003.html

近い将来ということなので、いま時点ではまだ 32-bit 版の Debian を使うことができますが、ついに余命宣告された印象をうけます。

で、ココまでの流れで、ウェブブラウザ経由で利用するアプリについて言うと、多くのサービスで 32-bit 版のブラウザでは使うことができません。

仮に、アクセスできたとしても、使えると言えるレベルには程遠い環境です。

そのため、オンライン環境だけで利用する場合には、実用性に欠けることもあります。

たとえばチームで書類作成するときなど、最近ではデータの管理をクラウドで行い、編集はブラウザアプリを使うというような、オンライン環境で完結する場合も見られます。

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32-bit 環境の場合、そうもいかなくなるので、オフライン環境も併用する必要があります。

ブラウザ自体は使うことができるのですが、それらのサービスに仮にアクセスできたとしても、今言ったように激遅でまるで使いものになりません。

なので、編集作業などはダウンロードして使うアプリケーションが基本となります。

先ほど、オープンソースのソフトウェアは、使いにくかったり、機能が足りなかったりと、今ひとつ力が及ばないところもあったりするのも事実ですというお話をしましたが…。

ちゃんと使えば、結構なことができます。

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動画編集や開発といったような、パワーが必要なことには期待できませんが、書類作成や簡単な画像編集であれば結構使えます。

Microsoft のオフィスだったり、Adobe のソフトなどの、知っているソフトウェアと、機能が同じ、もしくは似ているものであっても、メニューに表示される名前とかの表現や使い方が微妙に違ってわかりにくいことも多いのですが、実は探せば似たような機能があることがわかります。

オープンソースとはいえ、比較的メジャーなものは、インターネットで検索すると、けっこう細かい使い方も知ることができるので、使い方に迷ったときに、ちゃちゃっと検索すると、ほぼなんとかなります。

それ、Linux でも出来ます! Windows じゃなくても出来ること

そんな環境に馴染んでしまうと、ソフトウェアにお金を払う感覚が無くなってしまうかもしれません。

何れにせよ、オフラインであれば 32-bit マシンでも十分に使えるものとなります。

また、いまだ 32-bit 環境で使えるブラウザもある Linux なので、基本はオフラインで作業し、共有の際にオンラインにするといった使い方を検討することができます。

最新のセキュリティサポートが行われる環境も、近い将来に終了しますが、オンラインとオフラインを使い分けることで、32-bit マシンだって最新環境を使い続けることができるわけであります。

それを実現するのが Linux という OS です。

今回のまとめ

それ、Linux でも出来ます! Windows じゃなくても出来ること

今回は Linux で「できること」についての動画を作るつもりでしたが、実際には OS にこだわらなくても済むような環境になってきているなぁという動画になった気がします。

ちなみに 32-bit 版のマシンについて Linux を推していましたが、32-bit 版の残っている Windows 10 のサポート終了は、2025年10月14日までです。という声も聞こえそうで、一言添えておくと、別に無理して Linux でなくとも、ギリギリまで Windows 10 の環境で 32-bit のオープンソースソフトウェアとかを使うのも、一つの方法としてありだと思います。

それを否定する理由は何もありません。

まぁ、強いて言うなら、今回はあくまでも「旧マシン」を愛でる方法のひとつに Linux を提案したというトコロでございました。

なにか言うのであれば、Windows のサポート切れのタイミングで、毎度 Linux が注目され、着実にユーザー数が増えているのも事実です。

OS については宗教戦争と例えられることもありますが、みんな違ってみんな良いという、日本人が本来持つ価値観で、それぞれの得手不得手を理解し、それぞれにあった環境で好きなものを使うというのが健全なのではないかと言うところで締めたいと思います。