今回は、リモートワークを Chrome リモートデスクトップでやれば最強じゃね?という内容でお話していきたいと思います。
今回、解説の便宜上ノート PC だろうがデスクトップ PC だろうが Chrome OS または Chromium OS 搭載機を Chromebook と定義します。
また Web ブラウザの Google Chrome および Chromium を、単に「ブラウザ」と呼びます。
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前回は、Android アプリが使えない Chromium OS (CloudReady) に、フリーソフトウェアをインストールしてできることを増やしてみようという内容をアップしました。
しかしながら、Linux (ベータ版) という仮想環境を使ってソフトウェアを動作させるため、マシンスペックもそこそこ必要になる上、そもそもの機能がベータ版ということで、いささか不安定なものでした。
それなら、もうちょっと安定して使える環境が無いかということで紹介するのが今回の内容です。
Chrome リモートデスクトップ。
結論:Google Chrome の拡張機能 「Chrome リモートデスクトップ」を使えば、自宅や職場の環境をまるごとリモート操作できます。
つまり、Google Chrome をインストールしているホストマシンであれば、リモートでアクセスしてイロイロできるため
スペックの低い Chromebook でも問題ないんじゃないのかな?ということです。
利用条件。
実際に Chrome リモートデスクトップを使えば、Chromebook でも Microsoft Office や Adobe のソフトも使えてしまうのですが、それを実現するにはいくつか条件があります。
以上のような条件が必要になります。
前回の動画のように1台で完結する内容ではないので、すでに Chromebook をサブマシンとして使っている方、もしくはこれから Chromebook の購入、それとも製作?を検討している方が対象となるかと思います。
では早速、設定をしてみましょう。
Chrome リモートデスクトップの設定。
- 「パソコンにアクセス」
- 「画面を共有」
という2種類の使い方があります。
「パソコンにアクセス」は PIN を使って、離れた場所から自分のパソコンに安全にアクセスすることができます。
「画面の共有」では専用のアクセスコードを使って、画面を共有してリアルタイムで共同作業したり、別のパソコンを接続してリモート サポートを受けたり提供したりできます。
これらの機能を使うためには、ホスト側になる PC とゲスト側になる Chromebook の両方で設定が必要です。
これが、めちゃ簡単なので環境がある方は試してみてください。
パソコンにアクセス
「パソコンにアクセス」はリモートアクセスとして表示されるようになります。
こちらは PIN を使って手軽にアクセスする方法です。
ほとんどの場合は、この方法で十分だと思います。
ホスト側の設定。
まずはホスト側になる PC の設定です。
Windows や macOS 、 Linux でもホストマシンとして設定することが出来ます。
やり方は、
- パソコンでブラウザを開きます。
- アドレスバーに「remotedesktop.google.com/access」と入力するか、「Chrome リモート」で検索してアクセスします。
- 「リモート アクセスの設定」 で矢印ボタン「ダウンロード ページ」をクリックします。
- 画面の手順に沿って、Chrome リモート デスクトップをダウンロードしてインストールします。
Chrome リモートデスクトップのアプリインストールの案内もブラウザ右下に表示されます。
アプリをインストールしておくと、ホストマシンにアクセスするとき、ホストマシンでブラウザが起動していなくてもリモートアクセスできるので便利です。
で、ホストマシンの設定によって異なりますが、Chrome リモートデスクトップにアクセスを許可するためのパスワード入力が必要になることがあります。
また「設定」で、セキュリティ設定の変更を求められることもあるので、指示に従って設定してみてください。
おまけに Linux で Chrome リモートデスクトップを利用する際にはちょっとだけ設定が異なるので、それは後ほど紹介します。
あ、拡張機能をピン留めしておくと、使いやすくなります。
アクセス設定。
ここからゲスト側のマシンを、ホストマシンにリモートアクセスできるよう許可するための設定を行います。
アクセスが許可されたユーザーは、ホストマシンにフルアクセスできるようになります。(スゴイね!)
- 名前の設定をします。自分がわかれば何でもいいです。
- ホストマシンが Windows や macOS であれば、6桁以上のPINを設定します。
- 「起動」ボタンをクリックすると、自動的に設定が行われ一覧に表示されます。
名前の下に表示されているステータスが「オンライン」と表示されていれば、準備完了です。
ゲスト側の設定。
次は設定したホストに、ゲスト側から接続する方法です。
- Chromebook 上でブラウザを開きます。
- アドレスバーに「remotedesktop.google.com/access」と入力してアクセスするか、
ブラウザの Chrome リモートデスクトップの拡張機能のアイコンをクリックします。 - 「リモートのデバイス」に表示されている中から、アクセスしたいホストマシンをクリックします。
- 設定している PIN を入力します。
これでホストマシンをリモートで操作することができるようになりました。
動作確認。
設定したホストマシンにはディスプレイを2台接続しているので、初期状態ではこのように2画面並んで表示されます。
「セッションのオプション」では、画面表示などの設定を行うことが出来ます。
例えば「全画面表示」のチェックを外すと、ブラウザ上でリモートされているのがわかります。
また2画面を同時に表示していると、小さすぎて読めない!ため、ディスプレイを1台ずつ表示させることも出来ます。
どれくらいのタイムラグが有るか比べてみましたが、ほぼリアルタイムで操作することが出来ます。
並べて見て、はじめてズレがあるのがわかるくらいです。
実際にゲスト側だけで操作してみると、タイムラグをほぼ感じることはありません。
ですが、どちらかのネットワークの速度が低下すると、おかしな挙動になったりしました。
なのでゲームとか、一瞬の動作が重要になる使い方では、リモートだと厳しいでしょうね。
リモート セッションを停止する場合、タブを閉じてセッションを停止するか、「オプション」にある「切断」を選択して終了することができます。
画面の共有
こちらは、「リモートサポート」と表示されるようになります。
先程のリモートアクセスの場合には、
ホストとゲストが同じ Google アカウントであれば、PIN を入力するだけでアクセスすることが出来ました。
ですが、違うアカウントでアクセスする場合などは、リモートサポートの機能で代用することができます。
リモートサポートは遠隔地でサポートすることを前提としているため、ホスト側で専用のアクセスコードを生成し、ゲスト側で入力することでアクセスできるようにする仕組みです。
そのためこの方法では、その都度アクセスコードを生成する必要があるため、ホスト側でもゲスト側でも人が操作する必要があります。
ホスト側の設定。
アクセスコードを使ってリモートする場合のやり方は、
- パソコンでブラウザを開きます。
- アドレスバーに「remotedesktop.google.com/support」と入力するか、拡張機能のアイコンをクリックします。
- 初めて設定する場合は、「サポートを受ける」 で矢印ボタン「ダウンロード ページ」をクリックします。
- 画面の手順に沿って、Chrome リモート デスクトップをダウンロードしてインストールします。
- 「この画面を共有」で「+コードを生成」をクリックします。
- 生成されたコードをゲスト側に伝えます。
※ここからゲスト側の操作が必要になります。
■ゲスト側- Chromebook 上でブラウザを開きます。
- アドレスバーに「remotedesktop.google.com/support」と入力するか、拡張機能のアイコンをクリックします。
- 「別のパソコンに接続」のアクセスコードの欄にホスト側から何かしらの方法で受け取ったコードを入力して「選択」をクリックします。
- ゲスト側でコードが正しく入力されると、そのユーザーのメールアドレスが記載されたダイアログが表示されるので、アクセスを許可する場合は「共有」を選択します。
■ゲスト側- ホスト側で「共有」してもらえると、ホストマシンにアクセスできるようになります。
で、生成されたアクセスコードは 1 回限り有効です。
動作確認。
「リモートアクセス」と見た目も、できることも似ていますが、表示するディスプレイが選択できないため、見づらくて仕方ありません。
まぁ、そもそもサポートを目的としているので、用途が違いますね。
ちなみにリモートアクセス中は、リモートアクセスを続けるかどうか確認するメッセージが 30 分ごとに表示されます。
Linux もリモートアクセス。
Linux をホストにすることも出来ます。
その場合の設定は、 Windows のものと少し違います。
Google Chrome ヘルプページに詳しく書かれていますので、それを参考に作業してみました。
- パソコンで Chrome を開きます。
- アドレスバーに「remotedesktop.google.com/access」と入力するか、拡張機能のアイコンをクリックします。
- 「リモート アクセスの設定」 で矢印ボタン「ダウンロード ページ」をクリックします。
- 画面の手順に沿って、Chrome リモート デスクトップをダウンロードしてインストールします。
ここは Windows のと一緒ですね。
で、Linux 用の設定が終わる前の表示はこんな感じです。
ここから仮想デスクトップ セッションのカスタマイズを行います。
今回は Ubuntu にて設定してみました。
- /usr/share/xsessions/ で、使用中のデスクトップ環境の .desktop ファイルを探します。ファイルには「Exec=」で始まる行があり、セッションの開始に必要なコマンドが含まれています。
- ホーム ディレクトリに「.chrome-remote-desktop-session」というファイルを作成し、「exec /etc/X11/Xsession ‘<YOUR_EXEC_COMMAND>’」を含めます。
- <YOUR_EXEC_COMMAND> の部分を .desktop ファイルの末尾にあるコマンドに置き換えます。
- 「$HOME/.chrome-remote-desktop-session」というファイルを保存します。変更内容は、次回 Chrome リモート デスクトップ ホストを再起動したときから適用されます。
- 仮想デスクトップ セッションが作成され、Chrome リモート デスクトップの起動時に .chrome-remote-desktop-session が開始されます。
こんな感じで Linux もホストマシンとして設定することが出来ました。
仮想デスクトップでの実行のため、Windows のときとちょっと雰囲気は違いますが、ホストマシンの機能を使うことが出来ます。
でも、ベータ版らしく(どこかにそんな表記がありましたが、見失いました)、いちばん最初の表示が崩れるのが気になります。
また、ホストにした Linux ディストリビューションによっては、正しく起動しなくなる場合があります。
ディストリビューションに問題があったのか、デスクトップ環境に問題があったのか、原因は特定できていませんが、MATE エディションの Linux Mint をホストにしたときは良かったのですが、Ubuntu (GNOME デスクトップ)をホストにしたときは、なんだかおかしくなり、最終的に Ubuntu を再インストールしました。
でも、X window system に問題が発生したのは間違いないと思っています。
よくわかりませんが()
なので環境を再構築して、今度はリモートアクセスではなく「リモートサポート」の機能を使ってみました。
コチラは問題なく動いてくれました。
Ubuntu の場合には、リモートアクセスより、リモートサポートのほうが良さそうですが、一人で遠隔操作をするには、ぶっちゃけ無理があります。
正直、コレだとあんまり実用的ではないですね。
まとめ。
ということで、今回のまとめです。
Google Chrome の拡張機能 「Chrome リモートデスクトップ」を使えば、他のパソコンにあるアプリケーションやファイルにアクセスすることができます。
リモートアクセスするためのソフトウェアは、他にもたくさんありますが Chromebook 発売10周年ということで、Chromebook を中心に紹介しました。
この機能の発表当初は、タイムラグがひどく正直使い物にならない感じがしていました。
実際、しばらく使っていませんでしたが、Chromebook の使いみちを模索しているときに、久しぶりに使い始めてみるとかなり実用的になったと思いました。
ただし、この環境にはいくつかの条件があります。
ホストになる PC の電源が常に入っていて、なおかつインターネット接続していなければいけません。
当然 Chromebook 側もインターネット接続されていなければいけません。
電源をつけっぱなしでいるので電気代もかさむうえ、場合によってはホスト側の物理的なセキュリティというか、誰かに勝手にいじられたりしてしまう可能性なども考えられます。
Chromebook 側も常にオンライン状態を確保していなければいけません。
当たり前ですが、インターネット接続が途切れてしまうと全く役に立ちません。
ここらへんは、ダウンロードしたソフトウェアのほうが強いですね。
そんないくつか気をつけなければいけないデメリットもありますが、ゲスト側のマシンスペックに依存せず、ローエンドの Chromebook のようなマシンでも Adobe Premire Pro のようなソフトウェアを操作する事ができます。
また画面解像度が HD 表示しかできない Chromebook でも、ホストの画面解像度を仮想的に再現できるのもありがたいです。
ちょっと見づらいですがね。
出先でも自宅の環境(または職場の環境)を、そっくりそのまま使えるのは感動します。
ちなみに、何気なく撮影していましたが CloudReady などの Chromium OS でも、もちろん使えます。
設定がとても簡単なうえ、Chromebook はもちろん Android 端末や iOS 端末でも、また他のリモートデスクトップツールではサポートされていない Linux でも使うことが出来きます。
現状だと Linux をホストにするのは向いていませんが、ゲスト側で使う分には問題ありません。
いくつかの注意点はありますが、とても利用できる範囲が広いので、条件が整っている方や興味のある方は試してみてはいかがでしょうか?
でもまぁ、個人的には同じことをするなら Chromebook ではなく
Linux マシンを使うかなー。