Fire Max 11
Amazon の Fire タブレットといえば、低価格のコンテンツ消費タブレットとして知られています。
が、今回の Fire Max 11 は少し異なる印象を受けました。
というのも、最も安価な単体でも3万4980円からで、フルセットとなるとセット価格で5万2980円と、今までの Fire タブレットでは見たことがない価格だったからです。
コスパの高いタブレットとして呼び声高い Fire タブレットが、ここまでの価格になるのはただごとではないでしょう。
事前情報をたよりに Fire Max 11 について調べてみました。
まずはプロセッサ。
調べた結果 Fire Max 11 に搭載されるプロセッサは、おそらく MediaTek Genio 700 (MT8390) ではないかと見ています。Mediatek MT8188J という Chromebook 向けのプロセッサとのこと。
https://www.mediatek.tw/products/aiot/mediatek-genio-700
理由として、これまでの Fire タブレットでは、その多くが MediaTek 社のプロセッサを採用しており、Fire Max 11 でも MediaTek 社のプロセッサを採用する可能性がとても高いからです。
また仕様の「コアプロセッサ – 2x Arm Cortex-A78 (最大2.2GHz)、6x Arm Cortex A55 (最大2GHz)」に該当するものを探してみましたが、MediaTek Genio 700 の可能性が最も有力です。
スペック的には同社の Dimensity 900 の可能性もありますが、こちらは 2021年5月13日に発表された 5G ネットワーク対応プロセッサのため、タブレット向けというよりはスマートフォン向けのプロセッサと考えられます。
https://www.mediatek.jp/products/smartphones-2/mediatek-dimensity-900
Fire Max 11 の仕様には、そこらへんの記載がないため Dimensity 900 の可能性は低いでしょう。
一方の MediaTek Genio 700 は、2023年1月2日に発表されたスマートホームやインタラクティブリテールといった応答性の高いエッジコンピューティング、高度なマルチメディア機能を得意とするプラットフォームで、2023年第2四半期より販売開始されました。
https://corp.mediatek.jp/news-events/press-releases/mediatek-expands-iot-platform-with-genio-700-for-industrial-and-smart-home-products
https://www.mediatek.jp/products/internet-of-things/genio-iot
で、5月末現在で搭載されているデバイスは、まだ見当たりません。
MediaTek が Genio シリーズのデビューを、ボリュームある Amazon Fire タブレットの市場で行うというのも十分考えられます。
Amazon と MediaTek の Win-Win
そんな MediaTek Genio 700 は、2.2GHz で動作する Arm Cortex-A78 ×2コアと 2.0GHz で動作する Arm Cortex-A55 ×6コアを搭載したオクタコアチップセットであり、TSMC の 6nm プロセス「N6」を用いたものです。
ざっくり言えば、とにかくメチャクチャ微細化されたプロセッサということです。
ちなみに微細化によって得られるメリットは、集積度が向上し、面積当たりの計算処理性能が上がるため、動作速度が向上し、より高性能な半導体素子を実現することができます。
また、トランジスタ1個あたりの製造コストの削減や、消費電力の低減といったメリットもあります。
また、AI (人工知能) アクセラレーターは 4.0TOPS となっています。
https://www.arm.com/ja/products/silicon-ip-cpu/cortex-a/cortex-a78
https://www.arm.com/ja/products/silicon-ip-cpu/cortex-a/cortex-a55
この AI アクセラレーターとは、AI (人工知能) アプリケーション、特に人工ニューラルネットワーク、回帰型ニューラルネットワーク、マシンビジョン、機械学習を高速化するために設計された特殊なハードウェアアクセラレータの一つです。
TOPSとは、1秒あたりのトランジスタ演算数を表す単位で、4.0TOPSとは1秒あたり4兆回の演算が可能であることを示します。
この Genio 700 が搭載された場合の GPU は Arm Mali-G57 MC3 になります。
https://www.arm.com/ja/products/silicon-ip-multimedia/gpu/mali-g57
Arm Mali-G57 MC3 は、ARM ベースのプロセッサ向け統合型中間レンジグラフィックスカードであり、2020年中頃に MediaTek Dimensity 800U で初めて導入されています。
Mali-G57 は、新しい Valhall アーキテクチャに基づいており、メインストリームの電話機向けに設計されています。
ちなみに Mali-G57 MC3 の MC3 は、3 つのクラスターが使われていることを表しています。
クラスターとは、コンピューターの処理能力を向上させるために、複数のプロセッサを1つのシステムに統合する方法です。
といった、このプロセッサの性能がどれくらいなのか気になるところなので、スペックの似ている Dimensity 900 を参考に Genio 700 の AnTuTu (v9) のスコアを予想してみると、およそ 470,000 点くらいといったところではないでしょうか?
現行の Dimensity 900 搭載機からすると RAM があまり多くない感じがするので 450,000 点くらいかもしれませんが、それでもこのスコアからすると、かなり快適な部類のタブレットと思われます。
AnTuTu v9 の目安
非常に快適(ゲームも超快適) | 500,000~ |
とても快適(ゲームも快適) | 350,000~ |
快適(軽量ゲームなら快適) | 250,000~ |
普通(アプリは問題なく動作する) | 150,000~ |
低い(アプリが重い) | 100,000~ |
ちなみに Tensor G2 搭載の Pixel 7 の AnTuTu スコアはおよそ75万点程度ですので、Pixel Tablet もそれくらいにはなることでしょう。
Tensor G2 に比べれば見劣りしますが、それでもなかなかのスコアです。
重ためなゲームもけっこう軽快に動きそうな気がしますね。
で、プロセッサの話ばかりしてしまいましたが、ストレージは 64GB または 128GB (おそらく UFS 2.x) から選択でき、メモリは 4GB (おそらく LPDDR4x)、画面解像度は 2000×1200 で 213ppi、アスペクト比は 5:3 (およそ16:10)、最大輝度は不明ですが、Fire Max 11 も USI 2.0 タッチペンに対応します。
このスペックを見比べてみると、Fire Max 11 は Pixel Tablet の廉価版とも言えるなかなかのスペックです。
とはいえ、Fire タブレットは Google Play をサポートしていないため、Android 向けアプリの一部は利用することができないデメリットはあります。
でも、そんな制限をもろともしないスペックを見ると、購買意欲が高まるユーザーは少なくないでしょう。
総括すると、コダシマ的に Pixel Tablet はぼちぼち、Fire Max 11 はバカ売れしそうな予感がします。
早速、予約!と思ったのですが、3月からたくさんお金を使っていたので、もう買えるだけのお金がなく、まだどちらも予約してません。
コダシマが手に入れるとすれば、早くても6月末、遅ければ7月中旬くらいにしかならないでしょう…
とりあえず、この動画があなたのタブレット選びの参考になれば幸いです。