世界的な半導体不足によって、入手困難になっている大人気のシングルボードコンピュータ Raspberry Pi ですが、コンピュータなのに御存知の通り基盤むき出しです。
プロセッサをはじめとして何から何までむき出しです。
本来であればコンピュータはデリケートなもの。
静電気や物理的な損傷、水や埃などから保護する必要があります。
そこでケースを使うわけですが、アナタはただのつまらないケースで満足ですか?
ワクワクするケースとかいかがですか?
今回はど派手なゲーミング PC 風の Raspberry Pi 4 向けケース、SunFounder の Pironman を紹介します!
これ、テンション爆上がりですよ!
SunFounder
Pironman の紹介をする前に、ちょっとだけ SunFounder の紹介もしておきます。
以前、Raspberry Pi をタブレットにするキット RasPad 3 を紹介したことがございますが、RasPad もこの SunFounder の製品です。
RasPad でもおわかりになるかと思いますが、SunFounder は Raspberry Pi や Arduino のキット、オープンソースロボットなどの製品を使用した STEAM 教育に重点を置いた企業です。
とてもワクワクする製品を提供しています。
そして、今回紹介するのが Raspberry Pi 4 向けのゲーミング PC 風ケース Pironman です!
Pironman とは?
この Pironman は、そこらへんのケースとはひと味もふた味も違います。
まずは何と言っても、その見た目。
アルミニウムの本体で Raspberry Pi をしっかりと保護するとともに、RGB ライトをふんだんにあしらった電飾と、それを際立たせる透明なアクリルサイドパネル、中にそびえる大型の冷却ファンの姿は、まさにゲーミング PC と呼ぶにふさわしい様相でございます。
そしてこの Pironman 、見た目だけではございません。
ケースの中にそびえるタワー クーラーは、室温 25°C で 100% の負荷がかかった Raspberry Pi の CPU 温度を 39°C までに冷却できます。
また Raspberry Pi の CPU 使用率、温度、ディスク使用率、IP アドレス、RAM 使用率などは 0.96 インチ OLED ディスプレイで一目瞭然。
オンボード USB から M.2 SSD を管理する TRIM をサポート。
つまりは M.2 SSD からの起動をサポートいたします。
取り付けられている RGB ファン、GPIO のコントロールももちろんでき、しかも人気の LED ストリップ「WS2812」アドレス指定可能な 16 個の RGB LED も彩りを添えます。
ピン名ラベルが付いた外部 GPIO エクステンダーによって、これまでの Raspberry Pi と同様に開発が続けられるのも特徴のひとつ。
おっと、電源ボタンも忘れてはいけませんね。
電源についても、電源ボタンでただ電源の入り切りが便利になるだけでなく、電源ステータスメモリによって電源ステータスを記憶し、事故などによる電源遮断後に自動的に起動するという機能もございます。
さらにさらに、Kodi や Volumio などのマルチメディア センター用 IR レシーバーまであるという、ただのケースにとどまらない機能性でございます。
見た目だけでない実力のあるケースです。
開封と組み立て
Pironman が届くと、意外とコンパクトな箱ですが…、中身が思いのほかギッシリ詰まっていました。
そう、Pironman は組み立てキットです!
そういえば、RasPad も組み立てキットでしたね。
組み立てるところにも意味があるというものです。
我々世代には組み立てキットと聞くといても立ってもいられない人って多くないですか?(コダシマ調べ)
てか、ネジや細かい部品に合わせて、なにやら基盤のようなものまでございます。
そこそこ手応えがありそうですね。
説明書は英語表記なのですが、図説されているので英語が苦手なコダシマでも何とかなりました。
ってことで、組み立て開始でございます!
例の基盤みたいなのがメインパーツのようでございます。
コレにあれこれ取り付けていく感じです。
組み立てている途中で思い出しましたが、そういえば工具も付属していました。
この工具、使い勝手は正直なところ良くはありませんが、自分で工具を持っていない方でも組み立てることができます。
でも、このドライバーは磁石がないので、使いにくくて仕方ないです。
部品の数はそこそこ多くても、組み立て自体はそこまで面倒なことはありません。
基本はリボンケーブルコネクタやピンを差し込む程度の作業なので、難しくは無いはずです。
難しくは無いはずです…。
難しくは…。
少しずつ組み上がってくると、ワクワクしますね。
※完成まで1時間ほどかかりましたが…。
もうコレだけで、テンション上がりますが、ここからです!
Pironman の外観
組み立てが終わったら、いよいよ電源投入!といきたいところでございますが、一休みして外観をチェックいたしましょう。
インターフェースへのアクセスもほぼそのままです。
唯一使えなくなるインターフェースはディスプレイコネクターなのですが、公式のタッチディスプレイを接続するだけだと思われます。
用途が限定されているため、問題はないでしょう。
それよりも 電子工作では必須の GPIO は、より使いやすくなっています。
センサーやモーターなどを GPIO に接続して制御するのですが、側面の下部に GPIO が引き出されています。
ケースに入れたままでも GPIO が問題なく使用可能です。
というか、パネルに GPIO の各名称が記載されているので、とてもわかり易くなっています。
電子工作が捗るのは間違いないでしょう。
カメラモジュールのケーブルを通す溝もあるので、カメラも取り付けられますが…。
後から取り付けるのは、ちょっとめんどくさそうですね。
セットアップ
さてそろそろ電源を入れたいのですが、OS が無いとはじまりません。
おまけに、冒頭で紹介したさまざまな機能は、OS への追加設定があって初めて実現するものでございます。
ってことで、初期設定と参りましょう。
まず、Raspberry Pi の OS といえば、その名もズバリ Raspberry Pi OS ですね。
デフォルトの OS なので、追加設定のためのプログラムも当然用意されています。
Pironman のドキュメントには対象となる OS の一覧もございますので、合わせてチェックしておくと良いでしょう。
で、電源を接続して、OS を起動させるのですが、ちょっと注意。
もともとの Raspberry Pi の電源につないでももちろん動きます。
でも、もう、おかわりかとも存じますが RGB ライトをチカらせるには、ケースの電源に繋げなければいけません。
はい、ここだけは注意しておきましょう。
兎にも角にも、OS を準備してセットアップと参りましょう。
OS が起動したらドキュメントを参考に設定していきましょう。
設定方法を見ると、どうやら GitHub で提供されているプログラムのようですね。
プログラムのインストールというと、なんだか難しそうにも聞こえますが、設定は全てコピペでいけます。
んで、このプログラムのインストールが終わると…
これはカッコいい!!!
このままでも十分かっこいいのですが、より細かく自分好みに設定することができます。
今度は設定をいじってみましょう。
LEDの設定
Pironman のいちばんの特徴である LED は、色や点灯パターンなど、いろいろと変更できます。
設定ファイルを直接編集することもできますが、ひとつづつコマンドで設定していくこともできます。
- LED のオン・オフ
- 色の変更
- 点灯モード(パターン)の変更
- 変化スピードの変更
いくつかやってみましょう。
色の変更
まずは色の変更をしてみましょう。
pironman -rc [カラーコード]
はい、PC-FREEDOM のイメージカラー(#FFCC00)にしてみました。
色は 16 進数のカラーコードで指定することができます。
Adobe Photoshop や Illustrator などでも色味を確認できますが、カラーコードを扱っているサイトもございますので、そちらを使うのもありですね。
お好みの色をお試しあれ!
RGB の色見本に
原色大辞典 – https://www.colordic.org/
点灯モード(パターン)の変更
pironman -rs [点灯モード]
点灯モードは breath / leap / flow / raise_up / colorful の5種類です。
お好みのモードで光らせましょう。
どれも特徴的で良いですね!
OLED ディスプレイの表示内容
目を引くといえば OLED ディスプレイに表示されているインフォメーションも外すことができませんね。
提供されているこのプログラムでは、残念ながら表示内容の変更はできませんが、表示されている内容について紹介しておきましょう。
表示されている内容は次の通りです。
- CPU使用率
- CPU温度
- IPアドレス
- RAM(メモリ)の使用状況
- ROM(microSDなど)の使用状況
カッコいいですが、初期設定だと 60 秒で消えてしまいます。
こちらも時間を伸ばしたり常時点灯させるなどの設定変更ができます。
表示されているのがカッコいいので、常時点灯させておきましょう。
pironman -al on
RGB LED 冷却ファン
ゲーミング PC を彷彿とさせるのが RGB LED を搭載した (Raspberry Pi では) 大型の冷却ファンもそのひとつ。
冒頭で紹介した通り、メーカーは「室温 25°C で 100% の負荷がかかった Raspberry Pi の CPU 温度を 39°C までに冷却できます」としています。
果たして本当なのでしょうか?
この冷却ファンは CPU の温度に応じて動作が制御されており、初期設定では 50℃ に設定されております。
しきい値より 2℃ 低くなるとファンが止まります。
ということで 48℃ まで下がるとファンが停止いたします。
個人的にはもうちょっと動いているところが見たいので、設定温度を変更してみましょう。
pironman で設定する場合
pironman -f 40
これで CPU 温度が 40°C まで上がるとファンが動作します。
でも、意外とすぐ止まります。
この冷却ファンってとても冷却効果が高いんですよね。
ファンの冷却性能についてきちんと検証されている記事がありましたので、こちらを参考にさせていただきました。
そぞらブログ様より、記事の一部を引用させていただきました。
CPU使用率 | 30%前後 |
室内温度 | 18℃ |
テスト方法 | ファンの運転温度を20℃に変更 2分後に50℃に戻す |
ファンを 2 分間運転すると、CPU 温度は 45℃ から 38℃ と 7℃ も低下します。
ただし、ファンの音は大きいので、人によってはうるさいと感じることもあるかと思われます。
静粛性を重視するのか冷却性を重視するのか、お好みで調整するのが良いでしょう。
他にもさまざまな設定ができますので、お求めの際はぜひお試しくださいませ。
Pironman のまとめ
今回は Raspberry Pi 4 向けのケース Pironman をレビューいたしました。
はい、カッコいいの一言に尽きます。
ケースとしては高額なうえ、ファンの音も決して小さくはありませんが、とてもよく冷える冷却ファンです。
そして、とにかく特徴的なド派手な見た目としっかりした作り、ちゃんと機能する電源ボタンと、CPU の状態をひと目で確認できる OLED モニター、より使いやすくなる GPIO ピンと、ダメ押しで M.2 SSD が取り付けられるという組み立てキットに、ワクワクしない Raspberry Pi ファンはいないのではないでしょうか?
高機能でド派手な Raspberry Pi 用の組み立てケースキット Pironman 。
買うか買わないかは、アナタ次第です。