皆さんは、ASUS VivoBook E200HA が手元にあったらいかがいたしますか?
これは 11.6 インチという小型のモバイルノートパソコンなのですが、Windows 11 にもできませんし 2GB の RAM と 32GB のストレージはどちらもオンボードで、しかも増設することができません。
- Model: ASUS VivoBook E20HA
- CPU: Intel Atom x5-Z8300 (Cherry Trail) 1.44GHz/4コア
- RAM: 2GB DDR3L PC3-12800
- Storage: 32GB eMMC
そんな VivoBook が手元にございます。だいぶ前に思わずヤフオクで落札してしまっていたものですが、今回はこれを何とかしようと思います。
で、ASUS と言えば Chromebook 、Chromebook と言えば ASUS ですよね!※誰が言った?ということで、今回はこの、VivoBook E200HA を Chromebook 化をしてみます。
そこで登場するのが ChromeOS Flex です。
ChromeOS Flex は、あなたの古い PC を新しい Chromebook に変えることができるオペレーティングシステムです。古くなった Windows や Mac にインストールでき、ChromeOS の多くの機能と利点を利用することができます。
しかし、純正の ChromeOS とはいくつか違いがあるので、それらの違いを理解することで、ChromeOS Flex があなたのデバイスで、どのように使うことができるのかがよく理解できるでしょう。
と言ったところで、始めましょう!
ChromeOS Flex とは?
今回紹介するのは、あなたの古い PC を、新しい Chromebook へと変えることができるオペレーティングシステム、ChromeOS Flex の紹介です。
では、今さら説明の必要もないかもしれませんが、念の為に ChromeOS Flex について説明しましょう。
ChromeOS Flex は、以前存在したアメリカのテクノロジー企業 Neverware が、古い PC を新型並みに蘇らせるサービスを提供するとして 2015 年 2 月に Google が提供するオープンソース OS である Chromium OS をベースとして構築した CloudReady がはじまりです。
この Neverware と CloudReady は、2020 年 12 月 15 日に Google の Chrome OS のチームに加わり、2022 年 7 月 15 日に ChromeOS Flex の安定版を一般公開し、現在に至ります。
このように Google のもとで開発が続けられている ChromeOS Flex は、Windows や Mac などにインストールすることができます。これにより、あなたのデバイスは ChromeOS の多くの機能と利点を使うことができるようになります。
ChromeOS Flex の最大の利点は、古い PC を新しい Chromebook のように変えることができる点です。軽快に動作する ChromeOS Fles によって、PC のパフォーマンスが大幅に向上し、古いデバイスに新たな生命を吹き込むことができます。
また、ChromeOS Flex はセキュリティも重視しています。ユーザーデータは自動的に暗号化され、安全に保管されます。
しかし、ChromeOS Flex は ChromeOS とはいくつか違いがあります。
例えば、ChromeOS Flex は、BIOS ファームウェアや UEFI ファームウェアの更新に非対応で、全てのデバイスが TPM に対応しているわけではなく、Android アプリや Google Play はサポートしていないなどの違いがあります。
もう少し詳しく説明すると次のとおりです。
セキュリティ
ChromeOS Flex デバイスには Google セキュリティチップが搭載されていないため、ChromeOS の「Verified Boot (確認付きブート)」の手順は利用できません。しかし、ChromeOS Flex のブートローダー機能は Windows と同じブートセキュリティが維持されるため、UEFI セキュアブートに対応できます。インストールの際にもセキュアブートを有効にしたままで問題ありません。
サポートするVMとアプリ
ChromeOS Flex は Android アプリや Google Play をサポートしていません。また、Parallels Desktop を使用する Windows 仮想マシン (VM) の実行もサポートしていません。
ハードウェアのサポートとパフォーマンス
ChromeOS Flex は Intel または AMD プロセッサを搭載したほとんどのパソコンで実行できますが、ARM アーキテクチャはサポートしていません。また、ChromeOS Flex をインストールするとパフォーマンス、電力性能、信頼性が向上しますが、ChromeOS デバイスと同等のパフォーマンスが保証されるわけではありません。
管理
ChromeOS Flex では、多数の Android 端末を一括で設定するための機能である「ゼロタッチ登録」はサポートされていません。また、ChromeOS Flex デバイスは自動再登録をサポートしていません。
といったように、主にこれらのような違いがあります。
もっと詳しく知りたい方は、ぜひ ChromeOS Flex ヘルプをご参照ください。
それでは、次に具体的なインストールプロセスについて見ていきましょう。
ChromeOS Flex をインストール
それでは、ChromeOS Flex をインストールしましょう。
ChromeOS Flex を使用するのに必要なのは USB インストーラーを作成するためのデバイスと、 USB ドライブだけです。設定は手順に沿って操作するだけで、わずか数分で完了します。
インストールステップはざっくり2ステップ。
以上です。
もう少し詳しく見ていきましょう。
ステップ1では
- ChromeOS Flex のイメージを使用して USB インストーラを作成。
- USB インストーラを使用してデバイスを起動。
ステップ2では
- デバイスに ChromeOS Flex をインストール、または ChromeOS Flex を一時的に実行。
- ChromeOS Flex デバイスを設定して登録。
を行います。
では早速ステップ1から取り掛かりましょう。
ステップ①:ChromeOS Flex USB ドライブを作成
まず、USB インストーラーを作成するデバイスですが、「リカバリユーティリティ」を使う場合と、使わない場合があります。
リカバリユーティリティを使う場合は Chrome OS デバイス、Windows デバイス、Mac デバイスのいずれかになります。残念ながら Chrome ブラウザを使っていても Linux デバイスは対象外になります。
ですが、リカバリユーティリティを使わない場合は、Chrome ブラウザが必要ないためすべてのデバイスでインストールできます。
今回はまずリカバリユーティリティを使った方法を紹介します。
①-1: Chromebook リカバリ ユーティリティをインストールする
- ChromeOS、Windows、Mac デバイスで、Chrome ブラウザを開きます。
- Chrome ウェブストアにアクセスします。
- 右上にある [Chrome に追加] をクリックします。
- メッセージが表示されたら、[拡張機能を追加] をクリックします。
Chromebook リカバリ ユーティリティは、Chrome ブラウザの拡張機能になりました。
①-2: Chrome リカバリ ユーティリティ拡張機能がオンになっていることを確認する
- Chrome ブラウザ ウィンドウの右上にある [拡張機能] 次へ [拡張機能を管理] をクリックします。
- [Chromebook リカバリ ユーティリティ] の横にあるスイッチを右に動かします。
(省略可)[詳細] をクリックして、スイッチを右に切り替えることもできます。 - Chromebook リカバリ ユーティリティの拡張機能をオンにしたら、ブラウザの拡張機能パネルでこの拡張機能をクリックしてポップアップを開きます。
拡張機能はこのパズルのピースのようなアイコンから確認できます。
では、次にインストーラーを作成するための USB メモリを準備しましょう。
①-3: USB インストーラをビルドする
- Chrome ブラウザで Chrome リカバリ ユーティリティ拡張機能を起動します。
- [始める] をクリックします。
- [リストからモデルを選択] をクリックします。
- [メーカーを選択] で、[Google ChromeOS Flex] を探してクリックします。
- [製品を選択] で、[ChromeOS Flex] を探してクリックします。
- [続行] をクリックします。
- メッセージが表示されたら、USB ドライブをセットします。
- プルダウン メニューから USB ドライブを選択します。
- [続行] をクリックします。
- [今すぐ作成] をクリックします。
注: プロセス中、Chrome リカバリ ユーティリティに異常の割合が表示されますが、通常の動作です。 - リカバリ メディアの作成完了を示すメッセージが表示されたら、デバイスから USB ドライブを取り外します。
これでUSB インストーラーの準備ができました。
ちなみに、リカバリユーティリティ使わない場合は、ChromeOS Flex のヘルプのページに最新の ChromeOS Fles インストーラーイメージのリンクがあるので、そこからイメージをダウンロードし、Rufus などのサードパーティーユーティリティや Linux の dd コマンドで書き込むことができます。
今回はリカバリユーティリティの使い方をメインにしていましたので、この程度の説明です。あしからず。
ダウンロードリンクhttps://dl.google.com/chromeos-flex/images/latest.bin.zip
ステップ②:ChromeOS Flex をインストール
USB インストーラーが作成できたら、次に ChromeOS Flex をインストールするデバイスを用意します。このデバイスは Intel または AMD の x86-64 互換デバイスで、最低でも 4GB の RAM と 16GB の内部ストレージが必要です。
が、実は今回のこの VivoBook はデバイスの最小要件を満たしていないんですよね。
デバイスの最小要件:
- アーキテクチャ: Intel または AMD x86 の 64 ビット互換デバイス
- RAM: 4 GB
- 内部ストレージ: 16 GB
- USB ドライブからの起動をサポート
- BIOS: すべての管理者権限 – 問題が発生した場合、管理者は ChromeOS Flex USB インストーラから起動して BIOS で設定する必要があります。
- プロセッサとグラフィック: 2010 年より前に製造されたコンポーネントは、動作が不安定になる可能性があります。
注: Intel GMA 500、600、3600、3650 のグラフィック ハードウェアは、ChromeOS Flex のパフォーマンス基準を満たしていません。
それでもまぁ、全く動かないということは無いと思うのでやれるだけやってみます。
②-1:インストールの準備
デバイスが準備できたら、USB インストーラーからデバイスを起動します。
今回の VivoBook には Windows 10 がインストールされていたので、今回はここから起動させてみましょう。
まず、先に ChromeOS Flex の USB インストーラーをセットしておきます。
セットアップ画面の表示
- セットアップ画面を表示させるには、Windows の「設定」→「更新とセキュリティ」→「回復」→「今すぐ再起動」をクリックします。
- 「オプションの選択」が表示されたら「トラブルシューティング」を選択します。
- 「トラブルシューティング」では「詳細オプション」を選択します。
- 「詳細オプション」では「UEFI ファームウェアの設定」を選択します。
- あとは再起動します。
セットアップ画面が表示されたら、USB インストーラーから起動させます。
ロゴが表示され、しばらくするとシステムが起動します。
ChromeOS Flex にはライブブート オプションが用意されており、ChromeOS Flex をインストールすることなく、USB デバイスから直接 OS を実行できます。ライブブートではデバイスの現在のデータと OS を保持でき、インストールする前に ChromeOS Flex をテストできます。まずは正しく動作するか試してみてからインストールすることをおすすめします。
が、今回はさっさとインストールしてしまいます。
②-2:ChromeOS Flex のインストール
- [ChromeOS Flex へようこそ] 画面で [始める] をクリックします。※この USB インストーラーはすでに一度起動させているので、日本語になっていますが、初期設定では英語になっているため、先に言語とキーボードの変更をおすすめします。
- [ChromeOS Flex のご利用開始] 画面で、[ChromeOS Flex をインストール] をクリックします。
- データの消去に関する画面上の警告をよくご確認ください。
- [ChromeOS Flex をインストール] をクリックします。
- インストールが完了すると、画面にメッセージが表示されます。デバイスの電源が自動的にオフになります。
- デバイスの電源が完全にオフの状態で USB インストーラを取り外します。※映像ではそのままですが、BIOS などの設定によっては再び USB インストーラーから起動してしまうこともあるため取り外しをおすすめします。
インストールが完了したら、PC を再起動します。これで VivoBook は Chromebok として生まれ変わりました。そして、同じ手順を踏んだあなたの PC も新たな ChromeOS Flex デバイスとして生まれ変わっているはずです。
では次に、ChromeOS Flex の使い方について見ていきましょう。
ChromeOS Flex の使用感
それでは、インストールが完了した ChromeOS Flex が実際にどのように動作するのかちょっと見てみましょう。
まず、このデスクトップ画面をご覧ください。シンプルで使いやすいデザインが特徴です。ChromeOS Flex には、Google Chrome ブラウザや各種のウェブアプリが標準で搭載されています。これらのアプリは高速に起動し、スムーズに動作します。
また、ChromeOS Flex はクラウドベースのシステムなので、データは自動的にクラウドに保存されます。これにより、どのデバイスからでもあなたのデータにアクセスすることが可能です。
さらに、ChromeOS Flex はセキュリティも重視しています。ユーザーデータは自動的に暗号化され、安全に保管されます。
これらの特徴により、ChromeOS Flex は高速で使いやすく、安全なオペレーティングシステムと言えるでしょう。
最小要件を満たしていない VivoBook でも、意外と大丈夫そうだなぁ、と思いましたが、なんと問題発見。
それは、音が出ないです…。
んー、残念。どうやらサウンドデバイスが認識されていないようです。なかなか良さそうでしたが、VivoBook には他の OS をインストールしてみましょう。
とりあえず、今回は ChromeOS Flex のインストールの仕方を紹介したというところで締めたいと思います。
ChromeOS Flex のまとめ
それでは、今回の ChromeOS Flex について振り返ってみましょう。
ChromeOS Flex をインストールすることで、あなたの古い PC は新しい Chromebook として生まれ変わることができます。
インストールステップはざっくり2ステップ。
以上です。
Chrome OS と ChromeOS Flex でいくつか違いはありますが、Chrome OS のほとんどの機能が使えるため、これまで眠っていた PC に新たな生命を吹き込むことができます。
ということで、ご自宅に暇を持て余している PC があれば、ぜひ ChromeOS Flex をインストールしてみてください!
でも最低限、最小要件以上のものが良いですよ!
おまけ
この VivoBook、今回の ChromeOS Flex では満足できる結果ではなかったため、他の OS を選んでみます。そこで選んだのが peppermintOS です。
※近日公開予定?