Linux も BSD も、いろいろあるけれど、結局はどれも似たりよったりで「同じに見えるなぁ」とか思っていませんか?
もうちょっと他と違う OS に触れてみたいと思うマニア魂をもつそんなあなたにおすすめしたいのが BeOS 互換の「Haiku」です。
はじめに。
結論:実用性よりロマンを求めるひと向け OS です。
![Linux? BSD? いえ、”Haiku” です。あの BeOS の忘れ形見(?) BeOS の再構築を目指すオープンソースオペレーティングシステム。](https://i0.wp.com/pc-freedom.net/wp-content/uploads/2021/07/7b94d868a8b24617adcf989d9c5a8762.png?resize=800%2C450&ssl=1)
Haiku プロジェクトは、2021年7月25日に最新リリースとなる R1 / beta3 を公開しました。
この Haiku は、米国に本部を置く IEEE が定めた UNIX 系 OS の標準化規格 POSIX との互換性がありながら、 Linux でも BSD でもない OS です。
正直なところ現状で実用性はありませんが、ロマンやノスタルジーを楽しむには十分な OS です。
そんな Haiku を見ていきたいと思います。
BeOS について。
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まず、Haiku を語る上で外すことができないのが BeOS です。
BeOS を開発していた Be 社は、過去に次期 Mac OS (現在の macOS や iOS の基になる OS)の採用で NeXT 社の NeXTSTEP と競合しましたが、敗れてしまった結果、幻の OS となりました。
BeOS は、発表当時「メディア OS」と謳われ、マルチメディアを扱うことに長けていました。
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また当時 PowrPC で動いていた Mac OS よりも高速で動作したため、一部メディアでは「PowerPC の真価を発揮した」と高く評価されていました。
しかし、結果として次期 Mac OS として選ばれたのは NeXTSTEP だったため、当時のコダシマは「結局はジョブスかぃ」なんて思ったものでした。
ですが、実は BeOS は、開発にお金と時間がかかりすぎていたのが敗因。
買収の際に Apple 側で 5000万ドルの提示に対し、Be社はなんと 3億ドルを提示。
そのくせ開発が始まって6年経っても未完成のままという状況。
Mac に搭載したときのコストやら、OS の開発のコストやらを試算した結果、Apple は NeXTSTEP (正確には OPENSTEP )を選び、スティーブ・ジョブスごと NeXT を買収ました。
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※結局は Be のときよりも高くなったらしいです…。
それからの Be 社は業績も伸び悩み、Intel プラットフォーム進出などあれこれ試みるも、2001年に Be 社の知的資産は旧 Palm 社(現ACCESS Systems日本のソフトウェアメーカー)に売却され、Be 社は解散しました。
過去のブログ記事で BeOS について触れているものがあるので、そちらも合わせて読んでいただければと思います。
Haiku プロジェクト。
![Linux? BSD? いえ、”Haiku” です。あの BeOS の忘れ形見(?) BeOS の再構築を目指すオープンソースオペレーティングシステム。](https://i0.wp.com/pc-freedom.net/wp-content/uploads/2021/07/6c40db807be5b11b32f265f26813fdd8.png?resize=800%2C450&ssl=1)
そんな BeOS ですが、熱狂的なファンが多くいたため、いくつかのオープンソースプロジェクトが BeOS の再構築を試みていました。
その生き残りが「Haiku プロジェクト」です。
もともとは OpenBeOS として始まりましたが、商標などの都合でプロジェクト名を Haiku に変更しています。
Haiku はその名の通り俳句から来ています。
旧 Be 社には親日家のエンジニアが多かったようで、Haiku プロジェクトもそうなのかな?と思いましたが、由来はちょっと違ったようです。
BeOS の標準 Web ブラウザであった NetPositive のエラーメッセージが英語版の俳句だったため、そこからプロジェクトの名前を「Haiku」としたようです。
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日本の俳句のルールと英語の俳句のルールが違うので、コダシマにはよくわかりません…。
でもやっぱり親日家が多いのでしょう。
日本語のサポートページも存在しています。
![](https://i0.wp.com/pc-freedom.net/wp-content/uploads/2021/07/fabe4b44fb1b5c6972e1a2cc68d480a1.png?resize=800%2C450&ssl=1)
で、Linux でも BSD でもないと紹介しましたが、この Haiku のカーネルは NewOS というマイクロカーネルを採用したオープンソースのオペレーティングシステムカーネルです。
![Linux? BSD? いえ、”Haiku” です。あの BeOS の忘れ形見(?) BeOS の再構築を目指すオープンソースオペレーティングシステム。](https://i0.wp.com/pc-freedom.net/wp-content/uploads/2021/07/df9d643e1567d221dd74c42948fc25af.png?resize=800%2C450&ssl=1)
他で使われているのを知らないので、おそらく実質的に Haiku 専用のカーネルでしょう。
ダウンロードとインストール。
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Haiku のダウンロードは、トップページのボタンからダウンロードページへ移動することができます。
32bit と 64bit が用意されていて、ミラーサイトもたくさんあります。
トレントファイルも用意されているので、ミラーとかよくわからない人はトレントファイルが良いかもしれませんね。
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Haiku のインストールについてはいくつかのパターンが紹介されています。
今回は USB メモリをインストールメディアとして、32bit PC にインストールしてみたいと思います。
USB メモリへの書き込みに推奨されているのは BalenaEtcher です。
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DD モードでの書き込みが必須のようですね。
サイトにはターミナルを使った DD モードでの書き込み方法が紹介されています。
興味のある方はチャレンジしてみてください。
インストールメディアから起動させると、インストーラーが起動します。
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表示については日本語翻訳されている部分が多く、初めてでもおそらく大丈夫でしょう。
お試しも出来ますが、今回はそのままインストールします。
Haiku をインストールするためには Be ファイルシステムでフォーマットされたストレージが必要とのこと。
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現在 Be ファイルシステムの OS は Haiku ぐらいなものなので、だいたいは弾かれてしまうことでしょう。
任意のストレージをフォーマットしてインストールします。
イロイロと書かれているので、ちょっと戸惑いますが、インストールメディアじゃないストレージを削除すれば良いです。
インストールは驚くほど早く終わりました。
インストールの段階で、ユーザーの設定やロケールの設定などありません。
かと言ってインストール後に設定することも、今のところはありません。
もともと BeOS がパーソナル向けだったためなのか、セキュリティ関連の開発を後回しにしているのか詳しいことは定かではありません。
何れにせよ、32bit で HDD の古い PC でもサクッと起動してくれるのには正直驚きました。
システム言語は日本語になっています。
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様々なフォーマットなども日本向けになっていますが、タイムゾーンの設定は変更しました。
また、これだけ日本語化されていますが、残念ながら現状で日本語入力することが出来ません。残念。
アプリケーション。
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ぶっちゃけ Linux や BSD で定番のアプリが殆どありません。
馴染みのないものばかりで、正直戸惑います。
でもブラウザの名前は BeOS の標準ブラウザだった NetPositive なので、なんとか見つけることが出来ました。
これだけでもちょっと動かしてみましょう。
こういったときにチェックしやすいのは Youtube の視聴です。
マシンスペックや通信環境、メディアコードやサウンドドライバなどなど、いちどに様々なことがわかります。
ということで、Youtube を視聴してみました。
まず驚いたのが、音が出たこと!
古い富士通のノートPC に Linux や BSD をインストールすると、サウンドドライバがうまく当たらず不具合を起こすことが多いのですが、この Haiku は問題なく音が出ました。
デバイスドライバの多くが FreeBSD などからの移植らしいのですが、ちょっとびっくりしました。
ドキュメントを読むと Wi-Fi とかも結構行けそうな感じですが、手持ちの USB 接続のアダプタではうまくいきませんでした。残念。
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Bluetooth とかも対応らしいので、あとでそこら辺りもちゃんとしたマシンでテストしてみたいと思います。
ちなみに、起動しているアプリケーションは画面右上から順に並んでいきます。
4:3のアスペクト比だと結構狭くなる感じがします。
パッケージ管理。
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知っているパッケージをインストール出来ないものかと思ったので、パッケージを追加してみます。
Haiku でのパッケージ管理は「HaikuDepot」という管理システムが使われています。
HaikuDepot はソフトウェアの依存関係を追跡しコンパイルしてくれます。
HaikuDepot でチェックしてみても、やっぱり Linux や BSD で定番のアプリがなかなか見つけられません。
それでも KTorrent や Krita など Qt ベースのアプリを見つけることが出来ました。
また VLC や Scribus もありましたが、GIMP や Inkscape などは見つけられませんでした。
どうしても必要な場合には自力でビルドするしかなさそうです。
コダシマはスキルが無いのでやりませんが…。
ちなみに HaikuDepot を使ってアプリをインストールしてみようと思い、とりあえず「Otter Browser」のインストールを試みました。
![Linux? BSD? いえ、”Haiku” です。あの BeOS の忘れ形見(?) BeOS の再構築を目指すオープンソースオペレーティングシステム。](https://i0.wp.com/pc-freedom.net/wp-content/uploads/2021/07/b7ed9cd15dad9de0b7eac7a9e176571c.png?resize=800%2C450&ssl=1)
時間がかかりながらもパッケージのダウンロードが進んでいましたが、残りあと3つというところで微動だにしなくなりました。
どうも Qt ツールキットの何かみたいなのですが30分以上も動かなくなってしまったので、途中で断念しました。残念。
てか、システム自体がフリーズしていたので、仕方なく強制終了しました…。
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フリーズの原因がリポジトリにあったのか、ネットワークにあったのか、それともシステムに問題があったのかはわかりません。
現状では謎ですが、あとで気が向いたら調べていみたいと思います。
今回のまとめ。
![Linux? BSD? いえ、”Haiku” です。あの BeOS の忘れ形見(?) BeOS の再構築を目指すオープンソースオペレーティングシステム。](https://i0.wp.com/pc-freedom.net/wp-content/uploads/2021/07/1100fcf5870966350f8f6d9183842e98.png?resize=800%2C450&ssl=1)
ということで今回は、過去に存在した BeOS というマルチメディア OS の再構築を目指した Haiku を紹介しました。
Linux でも BSD でもありませんが POSIX 互換のある NewOS をカーネルとしている珍しい OS です。
ご覧いただいたように、現状では日本語入力が出来なかったり、インストールできるパッケージが限られていたりと、あれこれ不足はありますが、BeOS を知っている世代には懐かしく、また BeOS を知らない世代には一風変わった OS に見えるのではないでしょうか?
Haiku プロジェクトも OpenBeOS から数えると今年の8月で20年になります。
未だ正式リリースされていない OS ですが、それでも消滅することなく開発が続けられています。
アルファ版からベータ版までおよそ6年かかっており、ベータ2から今回のベータ3まで20ヶ月かかっています。
ベータ版は4まで予定されているようですが、アルファ3からアルファ4までも1年ちょっとかかっているので、ベータ4も同様に来年くらいに発表になるのではないかと見ています。
さて、正式リリースはいつになることやら….。
いずれにせよ、実用性よりも、そのなんとも言えない魅力で人々を魅了し続ける Haiku 。
はやく正式リリースされることを待ち望んでいるので、プロジェクトに寄付したいと思います。