もしかしたら、Linux という名前を知らなくても Ubuntu なら知っているという人が出てきそうなほど知名度と人気の高い Linux ディストリビューション(以降ディストロ)のひとつ。
Linux を使っている人には今更感はあるだろうけれども、あえてここで改めて Ubuntu を紹介したい。
Ubuntu というオペレーティング・システム
Linux を知っている人なら、もうお腹いっぱいかもしれないが、ご存知ない方にざっくり Ubuntu の特徴を言うと Debian ベースの「とにかく Linux 初心者に優しい」Linux のひとつ。
そもそもこのディストロ名も、南アフリカのズールー語で「他者への思いやり(他者に対する人間性)」という意味を持つ言葉だという。
そしてプロジェクトの開発目標も「誰にでも使いやすいOS」を提供するというもの。
名は体を表すというか何というか、名前から開発する姿勢まで初心者向きという感じを強く受ける。
さらに開発のロードマップも、他のディストロに比べ非常に明確なのも特徴。
リリースは、毎年 4 月と 10 月にに行われ、2 年間隔で長期サポート版 (LTS: Long Term Support ) がリリースされる。
コレは開発をサポートするカノニカルという企業の存在が大きい。
カノニカル ( Canonical Ltd. )はイギリスに本社を置く Ubuntu の支援と開発援助を行い、 Ubuntu 創立者のマーク・シャトルワースという人が設立した Ubuntu のための企業といえる。
これらの背景がともない公式・非公式のいずれの派生物にも、ローエンドからハイエンドまでインストールするマシンに合わせて選べるほど、数多くののディストロが存在する。
公式派生
- Edubuntu …教育用にカスタマイズされたもの。
- Kubuntu …デスクトップ環境を KDE に置き換えたもの。
- Lubuntu …デスクトップ環境を LXDE に置き換えた、軽量なディストロ。
- Ubuntu Budgie …デスクトップ環境を Budgie に置き換えたもの。
- Ubuntu Kylin …中国向けに開発されたもの。
- Ubuntu MATE …デスクトップ環境を MATE に置き換えた、比較的軽量なディストロ。
- Ubuntu Studio …デスクトップ環境を Xfce に置き換えた、クリエーター向けのディストロ。
- Xubuntu …デスクトップ環境を Xfce に置き換えた、比較的軽量なディストロ。
など。
非公式派生
- elementary OS …独自のデスクトップ環境 Pantheon を採用したディストロ。
- Fluxbuntu …デスクトップ環境に Fluxbox を採用した、派生ディストロの中で最も軽量なディストロ。
- LinuxBean …デスクトップ環境に LXDE を採用し、LiveCD の再構築ができる、初心者にも優しい軽量ディストロ。
- Linux Mint …全体的なデザインやソフトウェア環境を変更し、マルチメディア関連のコーデックを充実させたディストロ。本家 Ubuntu を超える人気ぶり。
- Peppermint …デスクトップ環境に LXDE を採用した Web アプリとの連携が強い軽量ディストロ。
- Puppy Linux …デスクトップ環境に JWM や Openbox といった軽量なものを採用し、バージョン 5.x から Ubuntu ベースがリリースされている軽量ディストロ。
- Zorin OS …デスクトップ環境に Xfce を採用した Windows 風のインターフェイスを提供するディストロ。
など。
もちろん、これら以外にも世界中に多数の派生ディストロが存在する。
Ubuntu の概要
- ベース: Debian
- アーキテクチャ: x86_64, ARM
- デスクトップ環境: GNOME, Unity
- パッケージ形式: DEB
- パッケージ管理: dpkg
- アップデート: APT
主なソフトウェア
- ブラウザ: Firefox
- メール: Thunderbird
- オフィス: LibreOffice
- マルチメディア: ビデオ
プリインストールされているソフトウェアは必要最低限しかインストールされていないが、リポジトリ(データの貯蔵庫)には、非常にたくさんのソフトウェアが用意されている。
ソフトウェアを追加する場合には「 Ubuntu ソフトウェア」を使う。
Ubuntu をインストールするのに推奨のスペックは?
- CPU: 2 GHz デュアルコアプロセッサ以上
- RAM: 2 GB 以上
- DISK: 25 GB 以上の空き領域
- モニタ: 1024 × 768 以上の解像度
Website → https://www.ubuntu.com/
個人的な意見ですが、
個人的にも、導入のハードルが低いディストロだと思う。
プリインストールしたソフトウェアだったり、コーデック関連だったり、ちょこちょこトラブルがあったりっもしたが、使いやすさを追求しての事だと僕は解釈している。
Ubuntu が登場したころは Linux 界隈の活動が非常に活発で、たくさんのディストロが生まれたころだけれども、その中でこれだけの派生を生んだディストロは他に類を見ない。
また一時期、Ubuntu をオペレーティング・システムとして正式に採用した PC ( DELL とかね)も発売されていたこともあるくらい。
書店でも、Linux 関連で真っ先に名前が目に飛び込んでくるのも Ubuntu だ。
なぜこれだけ知名度が上がったのか、さまざまな資料や書籍を読んで思ったのは、Ubuntu がちゃんと機能する Debian だったからだと感じる。
というのも、Debian 自体もよいディストロだと思うが、Ubuntu 登場以前の導入のハードルを考えると初心者は身構えてしまう。
無機質で機械的なインターフェイスに馴染めなかったユーザーも少なくないと思う。
それを解決した Ubuntu の功績は大きいと思うし、だからこそ影響力もあったのだと感じる。
久しぶりに素の Ubuntu をじっくり触ってみるとする。
ということで、次回は Ubuntu インストールの記事を予定。
Website → https://www.ubuntu.com/