ココ最近は、スマートフォンのカスタム ROM について紹介してきました。
ですが、カスタム ROM のインストールについては「ついで程度」にしか説明していませんでしたので、今回は Nexus5 を題材に、改めてカスタム ROM のインストールについて説明する、カスタム ROM 初心者に向けた記事になってます。
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はじめに。
もうすっかり古い機種になってしまった Nexus5 ですが、Google 公式デバイスということもあり、まだまだ人気です。
Android のバージョンは 6 までとなっていますが、カスタム ROM を使って Android 11 にしようというのが今回の試みです。
手順としては
- 環境の準備
- 必要なファイルのダウンロード
- ファイルのインストール
です。
それでは、いってみましょう。
始める前の注意です。
可能な限り調べたのですが、間違った内容が含まれているかもしれません。
もしも、この動画を参考にして作業した結果、スマートフォンが使用不可になったり、その他なにかしらの不利益があなたに生じたとしても一切責任は負えませんので、もし参考にする場合は完全に自己責任でお願いします。
もちろん、メーカー保証も一切ありません。
今回は Nexus5 を使ってカスタム ROM のインストールの仕方を説明しますが、機種によって作業手順の若干の違いはあるものの基本的な流れは同じなので、古いデバイスの再生に役立てて見てください。
メリットとデメリット。
カスタム ROM の記事では何度もそのメリットとデメリットについてお話していますが、今回も改めてカスタム ROM のメリットとデメリットをお話します。
メリット
- 最新の OS を試すことができる。
- 日本語未対応の機種でも日本語化できる。
- OS を変えることができる。
ココらへんがカスタム ROM を導入するメリットであり理由でもあります。
デメリット
- メーカー公式のアップデートや公式の保証が無くなる。
- 失敗すると文鎮化する。
- アンロックするのでセキュリティが低下する。
で、今回 Nexus5 を選んだのは、このデメリットを軽減する意味もあります。
どういうことかというと、特に文鎮化の回避です。
まず Nexus5 は、そもそもいちばん最初にあげた、メーカー公式のアップデートと保証がすでに切れています。
それをどうにかしてやろうというのがカスタム ROM の目的。
そして文鎮化の回避ですが、Google 公式デバイスの Nexus シリーズと Pixel シリーズは、出荷状態に戻すことができる「Factory Image」を手に入れることができます。
万が一やらかしてしまって、どうにもならなくなったとき、物理的な問題でなければ大体なんとかなります。
※ただし、出荷状態に戻すのでユーザーデータは消えてしまいます。
デバイスと OS とがオープンソースとなっているので、腕を磨いて独自のカスタム ROM の開発も面白そうですよね。
で、いろいろいじくり回したあとは、ちゃんと OEM ロックし直すと、ほらデメリットなくなってませんか?
ということで、カスタム ROM を実践してみましょう。
やってみよう!カスタム ROM
コダシマの場合、カスタム ROM のために中古の Nexus5 を手に入れました。
そのため、必要なデータなどはない状態で始めるので、もしも必要なデータがあるデバイスでカスタム ROM をやってみようと思うのであれば、予めデータのバックアップは取っておいてください。
今回バックアップについては割愛しますので、必要であれば調べてみてください。すぐ出てくると思います。
PC側の準備: adb, fastboot のインストール
最初に PC 側の準備をしておきましょう。
adb と fastboot のインストールです。
コダシマの場合、基本的には Linux 環境下で作業しますが、 Windows でも作業できます。
Android Studio のユーザーガイドにセットアップ方法が紹介されているのでチェックしてみてください。
分からなかったらググって見てください。
今回は Linux でのセットアップを紹介します。
Linux であればどれでも大体大丈夫ですが、その中でも Debian 系、特に Ubuntu 系がおすすめです。
他の Linux でも最低限の環境は整いますが、Ubuntu 系での情報が豊富なのと開発関連のパッケージも豊富なので、将来的にカスタム ROM のビルドやアプリの開発などを目指す場合にも環境が整えやすいと思います。
必要なパッケージを今回は GUI 環境でインストールします。
GUI のパッケージ管理は、やっぱり Synaptic ですね。
fastboot で検索すると必要な
- adb
- fastboot
がヒットします。
これらをインストール指定すると、依存関係にある必要なパッケージもインストールされます。
ヒットしたパッケージとその依存関係にあるパッケージをインストールするだけで、必要最低限の環境は整います。
ということで、まずは PC 側の準備ができました。
adbサービスが正しく動作するよう、念のため再起動しておきましょう。
スマホ側の準備: OEM ロック解除
スマートフォン側での準備も必要です。
まずはデバイスのシステムにアクセスするためには Bootloader の OEM ロックの解除が必要になります。
ちなみに Bootloader のロックを解除すると出荷状態に戻ります。
先にもお伝えしたとおり、必要であれば事前にバックアップを取っておいてください。
Nexus5 の場合、「設定」>「端末情報」>「ビルド番号」を7回タップ。
すると「開発者向けオプション」が有効化されます。
今度はこの「開発者向けオプション」のなかの「USBデバッグ」を有効化します。
この状態で adb 環境を準備した PC の接続します。
PC 側で
$ adb reboot bootloader
を実行するか。
電源を落とした状態で「電源」+「音量小」を同時に押して Bootloader を起動させます。
お腹を開いたドロイドくんが表示されたら PC 側で
$ fastboot oem unlock
を実行します。
すると Nexus5 側では「Unlock bootloader?」という、英文だけの画面が表示されます。
英文の内容は割愛しますが Bootloader 解除についてです。
この画面ではタップでの操作ができません。
ロックを解除する場合には、音量ボタンで選択して、電源ボタンで決定です。
「Yes」に合わせて電源ボタンを押してください。
画面が切り替わり、画面下に表示されている「Lock State」が「unlocked」と表示されていれば Bootloader のアンロック完了です。
ただし、メーカーよってアンロック方法が異なります。
専用のコードが必要だったりするところもあるので、アンロックの方法は各メーカーで調べてみてください。
必要なファイルのダウンロード。
必要なファイルは事前にダウンロードしていてももちろん大丈夫です。
今回 Nexus5 に Android 11 をインストールするのですが、それに必要なファイルは
- カスタムリカバリー= TWRP
- リパーティション= hh_repartition to 2go.zip
- カスタムROM= LineageOS 18.1 (Unofficial)
- Googleアプリ= Open GApps
ダウンロードしてから、それぞれを順にインストールしながら説明ていきます。
ファイルのインストール。
まずカスタム ROM の導入を簡単にしてくれる、カスタムリカバリーの TWRP (Team Win Recovery Project) をインストールします。
PC 側でパッケージのあるディレクトリで端末を開くか、ターミナル上でイメージデータのあるディレクトリまで移動してコマンドを実行します。
$ fastboot flash recovery [ダウンロードした TWRP ].img
すぐに終わるので、コマンドプロンプトが表示されたら音量ボタンで「Recovery mode」まで進め、電源ボタンで決定します。
これで、Factory Image でもカスタム ROM でもインストールしやすくなりました。
実は Nexus5 の場合、初期状態のままのパーティションサイズだと LineageOS をインストールすることはできてもOpenGApps がインストールできません。
やってみると「Error 70」という、システムエリア容量不足のエラーが出ます。
なのでパーティションをリサイズする必要があります。
以前はシステムパーティションを 1.5GB に拡張していたようですが、現在では 2GB に拡張するのが主流のようです。
ここで使う「hh_repartition to 2go.zip」を Nexus5 に転送しましょう。
コマンドで操作する場合は
$ adb push hh_repartition to 2go.zip /sdcard/
ファイルが Nexus5 に転送できたらインストールします。
TWRP の「Install」をタップし、先ほど転送した「hh_repartition to 2go.zip」をタップ、画面下に表示されている「Swipe to confirm flash」をスワイプしてインストール。
インストールが終わったら、[Advanced] > [Terminal]で表示されるターミナルに
# modify
と入力すると、パーティションのリサイズが始まります。
リサイズが完了して再起動するまでジッと待ちましょう。
TWRP が起動したら LineageOS と OpenGApps を Nexus5 に転送します。
転送が完了したら、先程のように TWRP の「Install」をタップし、転送した LineageOS をタップ。
画面が切り替わり、インストール一歩手前の画面になります。
「Add more zips」をタップし、 OpenGApps のファイルをタップします。
これで、 LineageOS と OpenGApps をインストールする準備ができました。
あとは画面下の「Swipe to confirm flash」をスワイプしてインストールを実行します。
インストールが終わったら、ホーム画面に戻り、メニュー一覧にある「Reboot」をタップし、表示された一覧の中から「System」をタップして Nexus5 を起動させます。
インストール直後に表示される「Reboot System」のボタンでも再起動はされますが、なんかうまく起動しなくなったりすることが多い気がするので、コチラでやっています。
初回起動設定。
インストールが成功していれば、起動するはずですが、初回起動時はそこそこ時間がかかります。
今回は初期設定が始まるまでおよそ5分ほどかかりました。
OpenGApps をインストールするとカスタム ROM であっても、普通の Android のセットアップと変わりありません。
今回の LineageOS の場合、終わりの方で独自のセットアップがいくつかありました。
他もそんな感じです。
OpenGApps をインストールしない場合、通常の Android とは似ているもののそれぞれのカスタム ROM の独自のセットアップが始まります。
あとから OpenGApps をインストールすると、初期設定が終わっていても、またイチから Android のセットアップが始まります。
別々にインストールすると、余計に手間がかかってしまうので、Google Play ストアなどを使うのであれば、いっぺんにインストールしたほうが良いかと思います。
何にせよ Android 6 で止まっていた Nexus5 を、最新の Android 11 へアップデートすることができました。
まとめ。
ということで、今回の動画のまとめです。
今回は古い Nexus5 を最新の Android 11 へアップデートしました。
手順としては
- 環境の準備
- 必要なファイルのダウンロード
- ファイルのインストール
です。
必要なファイルは
- カスタムリカバリー= twrp-3.5.0_9-0-hammerhead.img
- リパーティション= hh_repartition to 2go.zip
- カスタムROM= lineage-18.1-20210207-UNOFFICIAL-hammerhead-signed.zip
- Googleアプリ= open_gapps-arm-11.0-pico-20210130-TEST.zip
でした。
Nexus5 の場合には、パーティションをリサイズする作業とかもありましたが、基本的にはファイルのインストールを楽にするカスタムリカバリーを導入して、インストールしたいカスタム ROM や GApps を転送してインストールするという流れです。
んで、万が一うまく行かなくてもとに戻したい時にも、このカスタムリカバーリーは役に立ちます。
Factry Image をダウンロードして、今回のカスタム ROM 導入の手順と同様に Factry Image をインストールすれば出荷状態に戻ります。
何度もやってみて手順を覚えてしまうと、案外らくにカスタム ROM をインストールすることができるようになります。
興味のある方はチャレンジしてみみてはいかがでしょうか。