2016年5月10日、世界で最も注目されているニュースの続報が入りました。
パナマ文書21万の法人と株主名が公開されたのです。
世界を揺るがす大スキャンダルなのに…
日本ではそれほど大きく扱われておらず、なんだか「遠くの国で起こったニュース」で、その中にたまたま日本企業の名前とか、日本人の名前があったくらいの認識でしかない方も少なくないと思います。
参考:朝日新聞「パナマ文書」の衝撃
まず、「パナマ文書」とは何かを簡単に説明します。
パナマ文書と呼ばれる情報は、パナマにある法律事務所「モサック・フォンセカ」によって1970年から作成された、総数1,150万件にものぼる一連の機密文書のことを言います。
この文書の中には21万4,000社の企業の株主・取締役などの情報を含む詳細な情報が含まれており、そのデータ数は合計で2.6TBにも及びます。
2015年に匿名でドイツの新聞社「南ドイツ新聞」とワシントンD.C.にある国際調査報道ジャーナリスト連合(ICIJ)に送られました。
参考:Wikipedia パナマ文書
この文書についての報道が2016年4月3日、149件の文書とともに発表され世界を騒がせました。そして、関連企業・個人リストの一部追加で20万社を超える法人情報が公開されました。
新聞やテレビではそれほど大きく取り上げられていないパナマ文書ですが、インターネット上ではパナマ文書の重大性を訴える記事が見られます。
Gigazinより
こちらのサイトでは、パナマ文書の内容についてより詳しく解説していました。
歩叶コラムより
知れば知るほどコトの重大さがわかるニュースです。
キーワードはタックス・ヘイヴン
筆者は当初その出どころのため、コンピュータのハッキング(セキュリティ的な問題)かと認識していたパナマ文書ですが、上記の通り問題は全く別なところにありました。
パナマ文書を読み解くうえで知っておかなければいけないキーワードが「タックス・ヘイヴン(租税回避地)」です。タックス・ヘイヴンとは非常に低い税率、あるいは税金ゼロという税制を定めた国 や地域のことであり、タックス・ヘイヴン自体を使うことは多くの場合「合法」です。
世界中の企業や個人がそこにペーパーカンパニーを設立し、自国で得た利益を送金することで、利益に対する税金を回避する(節税と呼んで良いのでしょうか?)仕組みです。問題が全くないわけではないのですが、仕組み自体は違法性がないというのがポイントです。
では何が問題なのでしょうか?
問題は「そのお金が誰のものであるか外からはよく見えない」という仕組みです。
そのお金が誰のもので、どこから来たのか、どこへ行くのかが見えないために追跡が難しくなり、税金調査が進まないほか、犯罪組織が不正に得た利益を浄化するために行う「マネー・ロンダリング(資金洗浄)」の温床になってしまいます。
つまり、この仕組みを不正に利用して税金逃れや、資金隠し、マネー・ロンダリングが行われることが問題なのです。ここまで知ると、ただの税金対策というわけにはいかなくなってきます。ほぼブラックなグレーです。
パナマ文書は個人レベルで各国の財政界のトップや富裕層が、濃いグレーな方法で節税を行っていたことを世に知らしめたわけです。
結果的に、報道にある通りアイスランドの首相は退陣に追いやられました。
参考:ロイター アイスランド首相が辞任、「パナマ文書」の資産隠し疑惑で
その他、ロシアのウラジミール・プーチン大統領、中国の習近平国家主席の義理の兄弟、イギリスのデーヴィッド・キャメロン首相の亡き父などの名前も挙がっています。
様々なしがらみで日本のメディアの報道も鵜呑みにはできません。ですが、今回のリスト公開で世界はどうなってゆくのでしょうか?
参考:LITERA パナマ文書公開でさらに日本人の名前!ホリエモンなど富裕層の「普通の節税」「合法」キャンペーンに騙されるな
筆者は何もできないワーキング・プアですが、できる限り世界で起こっていることを知っておきたいと思います。
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パナマ文書 : 「タックスヘイブン狩り」の衝撃が世界と日本を襲う |