買い替え時?
ThinkPad シリーズのキーボードは Fn キーが外側にあるので、なんとなく使いにくくて好きじゃないです。個人的には Ctrl キーが外側にある方が良いです。が、以前に SSD もメモリもない格安ジャンクの ThinkPad を見つけて、それに手を加えると、なかなか愛着がわき、いろいろな Linux を、とっかえひっかえインストールして使っています。

ここ数ヶ月は openSUSE Tumbleweed で落ち着いています。
で、その使っている ThinkPad は X1 シリーズの中の、通称 Yoga スタイルとも呼ばれる、360度回転ヒンジを備えた 2-in-1 モデル。2016年2月に発売された初代の X1 Yoga です。
パタパタするのが、いい感じです。しかもタッチディスプレイです。

実際にはそんなにタッチしないですが、ディスプレイの角度が自由なのは好きです。
ですが近頃、もともと弱っていたバッテリーがさらに弱くなり、アダプターを外すと使えないやつになりつつあります。あんまり外に持ち出すことはないですが、全く持ち出すことがないワケではないので、電源の確保が難しそうだと、ドキドキします。
ちなみに、この X1 Yoga に搭載されているのは Intel® Core™ i5-6200U です。決して悪いプロセッサではありませんよね。まだまだ使い勝手はありそうですが、バッテリーのことがあると、新しくて省電力なものに買い替えたりしてみようかな?とも思ったりします。
最新のマシンでは、同等のパフォーマンスで、さらに電力消費が少ないものが提供されています。
ってことで、今回はこの X1 Yoga のようなマシンを紹介いたします。
FreeBook N150

今回紹介するのは、省電力設計の Intel N150 搭載のパタパタするノート PC 。実は前々から気になっていた、CHUWI の最新版 FreeBook です。FREE つながりで気になっていたわけです。
加えて、FreeBook はタッチディスプレイです。感覚的には X1 Yoga の雰囲気そのままです。
まぁ、それはそれとして、最近のコダシマは Intel の N シリーズに興味津々です。

というのも N シリーズのプロセッサは、いわゆる省電力設計。10年くらい前の中〜上位プロセッサと同等以上の性能を持つようになった上に、それでいて電力消費が、さらに抑えられたからにほかなりません。簡単な普段遣い、たとえば文章とか資料を作成するとか、インターネットを閲覧するとか、動画を見るとか、それくらいの使い方であれば全く問題がない性能になりました。しかも電力消費が少ないとか、めちゃくちゃモバイル向きです。
同じバッテリー容量だったら、当然、電力消費が少ないほうが長く使えるわけですからね。そんな感じで、動画編集とかゴリゴリのゲームとかをしないのであれば、N プロセッサでもいいじゃん!と思うのであります。そんなこんなで、N プロセッサを積んでいるミニ PC やノート PC に興味津々だったわけです。
ってなことで、FreeBook のレビューに入りたいのですが、その前に、ちょっと整理しておきたいことがありますので、そちらを先に片付けておきましょう。
TDP について理解しよう

CPU の性能の中で TDP の数値を参考にすることがあると思います。省電力を謳うモデルではよく見かける数字ですからね。しかし最近、あんまり TDP を強調すると、誤解が生じることを痛感したので、今回はその TDP をもう一度しっかり確認してみましょう。
TDP は「Thermal Design Power」の略で、日本語では「熱設計電力」と訳されます。少し難しい名前ですが、簡単に言うと、「この CPU が最も頑張ってるときに出る熱を、どれくらい冷ませる仕組みが必要か」の目安になる数値です。CPU だったり(GPU のときもあります)が、動作時における理論上の最大負荷時に発生する熱量の目安をワット(W)で示したものですが、単位が電力と同じワット(W)なので、混乱してしまいます。
ここで重要なのは、TDP が「消費電力そのもの」ではないということです。TDP は、あくまでも熱量のことです。CPU が発生する熱を効率的に排出するために、PC メーカーや自作 PC ユーザーが、その CPU の冷却にどれくらいの装置が必要なのかを判断するための指標として用いられます。

つまり、PC を設計する際、CPU がどれくらいの熱を出すかを想定し、その熱を処理できる冷却装置を用意するように、冷却装置メーカーに提示する数値、と考えるとわかりやすいかもしれません。自作 PC ユーザーなんかは、適切な容量の電源ユニットを選ぶ際の目安にもなるというわけです。まとめると、TDPは「冷却に必要な熱の目安」のため、厳密には「実際に使う電気の量」の消費電力とは異なることを理解しておきましょう。
とはいえ、発生する熱量と消費電力には相関関係があるため、TDP が高い CPU は、一般的に消費電力も高くなる傾向があります。いっぱい食べたら、いっぱい動ける。いっぱい動けば、いっぱい熱くなるみたいな感じですね。

さらに言えば、熱量が少なければ、ファンレスだったり、シンプルな冷却システムで済んだりするため冷却に関わる電力も少なくなるのは間違いないですね。なので、TDP が低いプロセッサが電力消費が少ないというのも、イコールではないものの、遠からずというわけです。ちなみに N150 が実際に動作する場合、15W程度の電力が消費されます。
実機レビュー

さて、前置きが長くなりましたが、FreeBook N150 を見ていきましょう。
まずはスペック。
| 項目 | 詳細 |
|---|---|
| CPU | Intel Twin Lake N150(0.8GHz ~ 3.6GHz、4コア4スレッド) |
| GPU | Intel UHD Graphics for 12th Gen(24EU、1GHz) |
| ディスプレイ | 13.4 インチ タッチ対応 IPS ディスプレイ |
| 解像度 | 2520×1680 (2.5K) |
| アスペクト比 | 3:2 (sRGB カバー率 100%) |
| 最大輝度 | 300nit |
| タッチ/ペン対応 | 10点マルチタッチ/スタイラスペン(Microsoft Pen Protocol 対応、1024 筆圧レベル) |
| メモリ | LPDDR5 16GB |
| ストレージ | PCIe SSD 512GB (最大 1TB まで拡張可能) |
| OS | Windows 11 Home |
| バッテリー | 38Wh (7.6V/5000mAh)/約6~8時間駆動 |
| サイズ | 約 301.4 x 224.3 x 18.4 (H) mm/最薄部 9mm |
| 重量 | 約1360g |
| カメラ | フロント:100 万画素 (1.0MP) |
| スピーカー | 8Ω/1W × 4基 |
| キーボード | バックライト付き US 配列キーボード (キーピッチ19mm、キーストローク0.8mm) |
| Wi-Fi | Wi-Fi 6 (802.11ax1) |
| Bluetooth | Bluetooth 5.2 |
| インターフェース | フル機能 Type-C ×2 (PD 充電、USB 3.0、映像・音声・ネットワーク)、USB 2.0 対応 Type-C ×1、3.5mm ヘッドホンジャック |
FreeBook の特徴
360°回転ディスプレイ

もちろん、いろいろな特徴が当然ありますが、この FreeBook のいちばんの特徴はやっぱり 360°回転ディスプレイでしょう。テントモードやタブレットモードなど、様々なスタイルで利用できるYoga スタイルの 2-in-1 設計です。まぁ、個人的にそこまでテントスタイルとか使うことって少ないですが、角度の自由なモニターは使い勝手が良いのは間違いないです。
で、これを支える技術が耐久性に優れた「精密ギアヒンジ」。スムーズで安定したモード切り替えを実現し、20 万回以上の折り畳みに耐える耐久性があるとのこと。加えて、筐体は航空機構造の建設にも使われる「6061 アルミニウム合金」が使われているので、高級感も感じられ耐久性も確かに高そうに感じます。
ちなみに比較した X1 Yoga は軽さを売りにしていたこともあり、筐体は樹脂製。そのため X1 のほうが一回り大きいにもかかわらず、重さはほぼ変わりありません。
で、このヒンジが支えているディスプレイは 2.5K の高解像度だけでなく、タッチとスタイラスペンに対応しています。CHUWI では、タブレットモデル Hi10 シリーズがあり、それに対応したスタイラスペン HiPen が提供されています。最新版は HiPen H7 。

Microsoft の MPP プロトコルに対応し、1024 段階の筆圧レベル、パームリジェクション、超低遅延を実現しています。なので、この HiPen H7 は MPP 対応の、他の PC にも使うことができます。グレーのカラーリングが高級感を感じさせます。
HiPen H3 も手元にあるのですが、H3 は充電式のペンでした。

H7 は電池式(AAAA / 単6電池)になっており、使い始めは絶縁シールを剥がさないといけません。

あとは使うだけです。
クリエイティブな作業や文書作成にも使えますね。うん。 2-in-1 ですね。

ってなことで、FreeBook の名前が語る通り、ずいぶんと自由度の高い使い方ができるノート PC
注意点として、キーボードが US 配列一択なので、使い慣れていない人にとっては、少々厄介かもしれません。まぁ、慣れと設定の問題ですが気をつける点ではあると思います。

また、CHUWI Easy Care というソフトウェアがプリインストールされています。

管理者権限での実行が必要なこのソフトは、わかりやすく言えば CPU-Z をグラフィカルにしたイメージのソフトウェアで、ハードウェアの情報を確認することができるものです。ストレージの使用量なども確認することができるので、たまに覗いてみるのも良さそうです。
PC-FREEDOM タイム!
PC-FREEDOM タイムとは、分解してみたり Linux をインストールしてみたり、いろいろしてみる時間です。FreeBook を深掘りしてみましょう。
ライセンスチェック

まず、インストールされている Windows のライセンスキーをチェックしてみました。
wmic path softwarelicensingservice get OA3xOriginalProductKey
うん。OEM キーですね。
FreeBook の分解

次は、SSD を差し替えて Linux をインストールしてみたいと思います。
まずは FreeBook を分解してみましょう。
ネジをみてみると、どこかのネジがシールで封印されているかと思います。

この封印が剥がれているとサポート対象外になったりするので、ご自身で分解する際にはご注意ください。ってことで、ネジを外していきます。
ゴム足の下にネジが隠されています。分解するときは気をつけましょう。

これですんなり。
SSD はアルミみたいなのに包まれていました。

ぱっと見てみると、メモリスロットが見当たりません。厚さのことを考えると、どうやらオンボードではないでしょうか?今回、ちょっとこの黒いシートを剥がす勇気がなかったので、とりあえず、SSD の差し替えをして Linux をインストールしてみたいと思います。
Linux のインストール
Type-C の USB メモリーを持ち合わせていないため、USB ハブ経由で、インストールメディアからインストールしてみます。
まず、X1 Yoga で最近良く使っている openSUSE Tumbleweed を試してみます。

ん???GRUB の様子がおかしいです。

ゆっくり時間があればいろいろ調べてみたいと思いますが、今回はすんなり使えるのが理想なので、大定番の Ubuntu をインストールしてみることにします。
Ubuntu は大丈夫でした。

よくトラブルのある Wi-Fi 周りとかも問題ありません。ちゃんとインターネットにもアクセスできました。
openSUSE も大丈夫そうだと思ったんですけれどね。
現状で FreeBook に合う Linux といったら、 Ubuntu が良さそうですね。
ほかにも試す機会があれば、X とかで共有したいと思います。(未定)
openSUSE の起動について、インストール後に BIOS の設定を変える必要がありました。「FIXD BOOT ORDER Priorities」の設定で openSUSE を #1 に設定することで起動しました。
今回のまとめ

ということで今回は、CHUWI の FreeBook N150 をじっくり触ってみました。
見た目はスッキリ、機能はしっかり、そしてお値段も控えめ。なにより、パタパタ動くこのヒンジと、スタイラスペンも使える高解像度のタッチディスプレイが自由度をグッと広げてくれます。搭載された N150 は、日常使いに十分なパフォーマンスを持ちつつ、バッテリーの持ちも良好。古い世代の Core i5 に慣れていたコダシマからすると、「ちょうどいい性能」が手に入る、そんな印象です。

Linux との相性も、Ubuntu なら文句なしの安定感。多少の設定が必要な場面もあるかと思いますが、Linux マシンとしてのポテンシャルも感じました。もちろん、万人向けとは言えない部分もあります。US 配列のキーボードや、拡張性の限界は人によっては気になるかもしれません。でも、カスタマイズの余地があって、タッチもできて、Linux も入る。この価格帯でこの自由度なら、かなり面白い選択肢だと思います。

「ちょうど良い 2-in-1 」をお探しの方、そんなあなたにピッタリの一台かもしれません。
といったところで、今回のレビューは以上となります。今回も最後までご覧いただき本当にありがとうございます。
