ぶっちゃけ、KDE neon って Kubuntu と変わらないんじゃないか。
KDE neon を取り上げる前のコダシマは、正直そう思っていました。どちらも Ubuntu がベースで、デスクトップは KDE Plasma。エディションの並び方まで似ていて、画面を並べても見分けがつきません。実際、「同じじゃないの?」と言われることも多いディストリビューションです。
ところが違いを調べていくうちに、知らなかったことがイロイロ出てきました。見た目はほぼ一緒でも、作られた目的が違うんですね。
この記事は、PC-FREEDOM のライブ配信「Saturday Night FREEDOM」で KDE neon を VirtualBox にインストールしながら話した内容を、配信後に調べ直した情報と合わせてまとめたものです。
結論:違いは「どこを最新にするか」
先に結論です。
KDE neon は、OS の土台は Ubuntu LTS のまま、KDE Plasma と KDE のアプリだけを次々に新しくしていく Linux です。一方の Kubuntu は、Ubuntu 本体のリリースに合わせて、OS とデスクトップをセットで更新していきます。
つまり、OS のベースを新しく保ちたいなら Kubuntu、デスクトップ環境を新しく保ちたいなら KDE neon。KDE がとにかく好きで、Plasma の新機能をいち早く触りたい人にはたまらない一方、そうでもない人には Kubuntu との差を感じにくいかもしれません。
Kubuntu の創設者が始めたプロジェクト
そもそも KDE neon は誰が作ったのか。
調べてみると、KDE neon は Kubuntu の創設者である Jonathan Riddell 氏が、Kubuntu を離れたあとに発表したプロジェクトでした。それが開発のきっかけになったのかどうか、ココらへんはちょっとモヤっとしているのですが、少なくとも「Kubuntu を長年作ってきた人たちが中心になっている」のは確かです。
見た目や雰囲気が Kubuntu とそっくりなのは、ある意味当然なんですね。作っている人の系譜が同じなので、どうしても似てしまう。
ただし KDE neon は、KDE の「唯一の公式ディストリビューション」ではありません。公式 FAQ でも、KDE は多くのディストリビューションと協力することを大切にしていて、KDE neon はそのひとつだと説明しています。
Kubuntu との違いは更新の仕組みにある
両者の違いを表にすると、こんな感じです。
| 項目 | KDE neon | Kubuntu |
|---|---|---|
| ベース | Ubuntu LTS のみ | Ubuntu の通常版と LTS |
| OS の土台の更新 | 約 2 年ごと(次の LTS に乗り換え) | 年 2 回(4 月と 10 月) |
| KDE Plasma の更新 | 正式リリースが出るたびに届く | 基本的には各リリースの版を使い続ける |
| 重視していること | 最新のデスクトップ環境 | Ubuntu との統合と安定性 |
KDE neon は、あくまで OS のベースを Ubuntu にしているだけ。そのうえで、Plasma の新機能を積極的にどんどん入れてきます。デスクトップ環境に関しては、Kubuntu の方が安定性重視、KDE neon は多少の不安定さを受け入れてでも最新版、という立ち位置です。
ちなみに、Kubuntu のリリース直後は、搭載される Plasma が KDE neon とほぼ同じになるタイミングもあるのではないか、とボクは思っています。差がはっきり出るのは、Kubuntu のリリースから時間が経ったころでしょう。
普段は家のパソコンでなんとなく使っている、という人にとっては「結局一緒じゃないの?」と感じるかもしれません。違いが効いてくるのは、Linux や OSS を追いかけている人の方です。
エディションは User Edition を選べば OK
ダウンロードページには複数のエディションが並んでいますが、普段使いなら User Edition を選べば問題ありません。ほかに Testing Edition や、開発版の Unstable Edition もありますが、これらは新機能の検証や不具合報告のための版です。
VirtualBox にインストールしてみた

今回は画面を見てもらいやすいように、実機ではなく VirtualBox にインストールしました。
インストール中、スワップの設定画面で「ファイルにスワップ」という選択肢が少し気になりましたが、今回はそのまま進めています。
ただ、仮想環境だとやっぱりまだ重たく感じる場面が多かったですね。インストールにもそれなりに時間がかかりました。仮想環境の重さは KDE neon 自体の重さとは別の話なので、ココは割り引いて考えてください。
インストール後のデスクトップは、まさに「これぞ KDE」という内容です。意外とソフトウェアが入っておらず、KDE プロジェクトで作られたアプリが中心の構成になっています。足りないアプリは、あとから自分で追加していく前提ですね。
Plasma は重い? むしろ軽い部類だと思う
配信中、「Plasma って重いイメージがある」というコメントをいただきました。
ボクも以前はそう思っていました。ところが、Plasma 4 から 5 になったあたりから、急に軽くなった印象があります。無駄なコードを削って最適化されたんでしょうね。今では、見た目の割に軽量の部類に入るのではないか、というのがコダシマの感覚です。
シングルボードコンピューター向けにも Plasma で動く OS があるくらいなので、少なくとも「Plasma=重い」というイメージは、もう当てはまらないと思います。
気になったところ:Wayland と、仕事っぽいレイアウト

一方で、気になる点もあります。
ひとつは Wayland まわりです。配信当時、コダシマの手元では NVIDIA 環境で Plasma が結構クラッシュしていました。Wayland との相性が良くなかったのか、正直よくわかっていません。そもそも Wayland 自体がまだ発展途上という面もあって、Fedora や Ubuntu もだいぶ Wayland 寄りになってきたとはいえ、歴史の差を感じる部分です。
もうひとつは、完全に個人的な好みの話です。Plasma の初期レイアウトは、Windows 10 あたりの雰囲気がまんま残っています。コダシマは職場では Microsoft 漬け、家では Linux という生活で、OS で気分を切り替えているところがあるんですね。なので Windows っぽい画面だと、家にいるのに仕事をしている気分になってしまうんです。
もちろんこれは Plasma の欠点ではなく、Windows から乗り換える人にとってはむしろ安心材料でしょう。それに Plasma は「設定できない項目はない」と言われるほど細かく調整できるので、レイアウトは自分好みに作り変えられます。
アプリの入れ方と更新は Discover が基本

KDE neon は Ubuntu 系なので、apt コマンドも普通に使えます。
ただ調べてみると、apt で更新やインストールをしたときに、依存関係の都合で必要なパッケージが入らず、更新が中途半端になることがあるようです。そのため公式 FAQ では、更新には Plasma Discover のアップデーターを使うことを推奨しています。ターミナルから更新したい場合は、Discover と同じ仕組みを使う次のコマンドが案内されています。
pkcon refresh
pkcon update
また、KDE 以外の一般的なアプリについては、Flatpak や Snap が中心になります。Ubuntu の通常リポジトリの版は時間が経つと古くなるためです。パッケージの選択肢という意味では、素の Ubuntu よりちょっと狭まっている印象を受けました。
KDE Connect は「スキャナ代わり」で真価を発揮した
システム設定を眺めていて、これは紹介しておかなきゃ、と思ったのが KDE Connect です。
KDE Connect を使うと、Android スマホと PC を連携できます。スマホを PC のタッチパッド代わりにしたり、データを送り合ったりと、できることはイロイロあります。ちなみに、KDE Connect は KDE neon 専用ではなく、ほかの OS にも用意されています。
ただ正直に言うと、コダシマは結局あまり使いませんでした。面白い機能ではあるものの、「どうしても必要か」と聞かれると、そこまでではなかったんです。
唯一、めちゃくちゃ便利だったのが、本をスマホで撮影して PC に取り込む使い方です。スキャナを用意して、デバイスドライバーで苦労するくらいなら、スマホで撮って KDE Connect で送った方が早い。Linux でスキャナの認識に悩んだことがある人には、試す価値がある使い方だと思います。
日本語入力は最初に設定が必要
インストール直後の状態では、日本語入力はすぐには使えません。最初にひと手間かける必要があります。
コダシマが確認した方法は、Fcitx 5 と Mozc を追加するものです。
sudo apt install fcitx5 fcitx5-mozc
インストール後、システム設定の仮想キーボードの項目で Fcitx 5 を選び、入力メソッドに Mozc を追加します。手順は、ほかの KDE Plasma 環境と大きくは変わりません。
配信後に調べ直したこと(2026 年 10 月時点)
配信のあとで状況が変わった点もあるので、補足しておきます。
まず土台の Ubuntu です。2026 年 10 月 25 日付の User Edition の ISO も、引き続き Ubuntu 24.04 LTS がベースでした。Ubuntu 26.04 LTS はすでに公開されていますが、KDE neon の乗り換えはまだです。前回の 22.04 から 24.04 への乗り換えは 2024 年 10 月だったので、新しい LTS が出てもすぐに乗り換わるわけではない、と考えておくと良さそうです。
もうひとつ大きいのが、2026 年 10 月 14 日に公開された Plasma 6.8 で、X11 セッションが廃止され、Wayland のみになったことです。X11 用のアプリは XWayland 経由で引き続き動きます。KDE neon の User Edition はすでに 6.8 系を配信しているので、Wayland で不具合が出ても、X11 セッションに逃げるという選択肢はなくなりました。
配信で話した NVIDIA と Wayland の相性問題を考えると、ココは見逃せないポイントです。NVIDIA の GPU を使っている人は、事前に Wayland での動作を確かめておくことをおすすめします。
KDE neon が向いている人
まとめると、KDE neon が向いているのはこんな人です。
- KDE Plasma の新機能を、正式リリースされたらすぐに使いたい人
- Kubuntu の Plasma の更新が遅いと感じている人
- 更新による変化を楽しめて、トラブルが起きたら調べて直せる人
逆に、更新のたびに見た目や挙動が変わってほしくない人や、仕事用の PC を安定重視で使いたい人には、Kubuntu の方が選びやすいでしょう。
KDE neon のいちばんのメリットは、最新の Plasma 環境が使えること。ぶっちゃけ、それに尽きると思います。KDE がとにかく好きなら迷わず KDE neon を、Plasma にそこまでこだわりがないなら、まずは Kubuntu から触ってみるのがちょうどいいはずです。
ライブ配信のアーカイブ
VirtualBox へのインストールの様子や、チャットでいただいた Plasma の軽さ・Wayland の話題は、アーカイブで見られます。後半では、同じ回で紹介したもうひとつのディストリビューションも取り上げています。
