モバイルモニター
古来より、人々は「持ち運びやすさ」や「コンパクトさ」に強い憧れを抱いてきました。(あくまで私個人の見解ですが)その想いは、歴史の中で幾度も形を変えながら現れています。
例えば、ゲーム機の進化を見てみましょう。
初期のゲーム&ウォッチから始まり、ゲームボーイ、ゲームギア、ワンダースワン、PSP と続き、そして今日の Nintendo Switch に至るまで… Steam Deck もまた、その流れの一端を担っているかもしれません。

この一連の進化は、コンパクトさへの憧れが生み出した素晴らしいデバイス群と言えるでしょう。同じ流れはコンピュータの世界にも広がり、ノート PC やミニ PC がその証拠となっています。もちろん、モニターの分野でもその傾向は見逃せません。ただ、過去にも小型のモニターが数多く登場しましたが、必ずしもユーザーが求める性能を備えていたわけではありませんでした。
実は、以前から疑問に感じていたことがあります。
たとえば、10 インチ程度のタブレットは 1920×1080 というフル HD 以上の解像度を実現しているのに対し、ポータブルモニターとなると WXGA(1280×720)や、場合によっては XGA(1024×768)といった低めの解像度が多かったのです。

特に、Raspberry Pi などの SBC 向けとして提供されているモニターではその傾向が顕著でしたし、コダシマがこれまでレビューしてきた製品も同様でした。当時はそれが当たり前だと考えていましたが、スマートフォンという小さなデバイスでさえフル HD 以上の解像度を持つ今、なぜポータブルモニターだけが同じ水準に達していないのか、疑問を感じるようになりました。
14 インチの 4K モニターが既に実現しているのに、10 インチでフルHDが実現できない理由は見当たらないからです。

技術的な問題はなさそうなのに、製品としては市場にあまり見かけなかったのは、単に需要の問題だったのかもしれません。
しかし、最近では状況が変わりつつあります。
以前は 15 インチ前後が主流だったポータブルモニターも、今では 18 インチの大型モデルや、逆に 10 インチ程度のコンパクトなモデルなど、幅広いラインナップが登場し始めています。これまでのサイズの小さなモニターは一般的な液晶パネルを流用していたためか、サイズが小さくなるほど解像度が低くなってしまったのかもしれません。

ところが、スマートフォンやタブレットの高密度ディスプレイが普及したことで、その技術がポータブルモニターにも応用できるようになったように感じています。結果として、小型でもフル HD 以上の解像度を持つポータブルモニターが市場に現れ始めたのです。
コダシマ的にワクワクしてしまいます!

ということで、今回はそんなポータブルモニターの中から Intehill T10PA をご紹介します。Intehill のポータブルモニターは、以前も取り上げたことがあるほどクオリティの高いブランドです。
Intehill T10PA

それでは早速、Intehill T10PA を見ていきましょう。
このモニターは、ライブ配信で既に何度もご覧いただいた方もいらっしゃると思いますが、ここで改めて、きちんと紹介していきます。このコ、小さいけどなかなかやるんですよ。
コンパクトで高い耐久性

まず最も注目すべきは、その持ち運びやすさです。ポータブルモニターは「持ち運ぶ」ことが前提。つまり、小さくて軽いことが大きな魅力となります。
小さくて軽いのは正義です。
サイズと素材

まず、サイズですが、T10PA の本体サイズは幅233mm × 高さ165mm × 厚さ10mm、画面サイズは 10.5 インチです。本体はCNC加工された高硬度アルミ製で、高級感あふれるデザイン。画面は強化ガラスで保護されており、耐久性も申し分ありません。
そして重量について、情報では揺らぎがあったので実測してみると 644g でした。サイズが、サイズだけに、ちょっとズッシリ感じるかもしれませんね。

それと VESA マウンタに対応している点も見逃せません。
多機能モニター

T10PA の魅力は、コンパクトさだけに留まりません。
直感的な操作

10 点マルチタッチ対応なので、キーボードやマウスなしで、ピンチズームやスクロールなどのタッチ操作ができます。もちろん OS による制約はありますが、指先での直感的な操作ができます。
接続端子

そして、接続に関しても特徴的です。
フル機能の USB Type-C ポートを2つ搭載し、映像入力やPCへの給電が可能です。ここはありがちですが、注目すべきは HDMI 端子。標準サイズの HDMI ポートを装備しており、一般的なポータブルモニターで採用されがちなミニサイズの HDMI に頼る必要がありません。わざわざミニサイズの HDMI ケーブルを用意する必要がないってことです。
これって、地味にありがたいですよね。
また、接続自体、ドライバー不要のプラグ&プレイ対応で、内蔵スピーカーと 3.5mm のオーディオジャックも完備。裏面には、メニューボタンと音量・明るさ調整用のプラス・マイナスボタンが配置されています。

サイズは小さくても、モニタとしての機能をしっかり搭載しています。
卓越した画質

とは言え、外見が良くても、肝心の画質が良くなければ意味がありません。T10PA は、10.5 インチながらも非常に高い画質を実現しています。コダシマ的にはここが最も重要なポイントだと思っています。
高解像度と画面比率

解像度は 1920×1280 というフル HD 以上の WUXGA 解像度、画素密度 219ppi 、ちょっと珍しい3:2の画面比率を採用しています。画素密度の ppi は 1インチあたりの画素数で、数値が大きくなるほど滑らかで精細な表示ができます。15 インチクラスのモニターだと画素密度は 140-150ppi くらいなので、数値で見ても画面の細かさがわかりますね。
優れた表示性能

画素密度が高いのもそうですが、パネルには IPS パネルを採用しており 178 度の広い視野角、コントラスト比 1500:1、明るさ 420nit、sRGB100% の広い色域に加え、Freesync や HDR 対応と、これまでの 10 インチクラスでは見たことのないスペックが揃っています。
ここらへんのスペックを見てみると、一般的なモニターとしても遜色ない、クリアで鮮やかな映像表現を実現しているのがわかります。

ただ、大きさが大きさだけに、使い方としてはサブモニターでしかないと思いますが、これだけコンパクトで持ち運びしやすいモニターは、これまでレビューしたことがなかったので、めちゃくちゃ満足しています。
今回のまとめ

今回は、ポータブルモニターの中でも 10.5 インチとコンパクトな Intehill T10PA を紹介いたしましたが、いかがでしたでしょうか?
Intehill T10PA のスペックをおさらいすると、サイズは幅233mm × 高さ165mm × 厚さ10mmとスリムで、重量 644g。Type-C の USB ポート×2 と、フルサイズの HDMI ポート ×1 搭載なので、接続で困ることはほぼ皆無でしょう。
画面も IPS パネルが採用されているので、きれいで視野角も広く、何と言っても 10.5 インチながら、フル HD 解像度が実現されています。さらにスピーカーも内蔵されており、3.5mm オーディオジャックもあるので、音声出力もできます。

サイズは小さくてもしっかりと使えるモニターなのは間違いありません。
サイズの点と、タッチ操作ができる点を考慮すると、今どきのレジパネルみたいな、手元用の拡張端末のような使い方のイメージが強いですが、一方でスピーカー内臓なので、エンタメ的な使い方にもよさそうです。

サイズや機能的に、2-in-1 とか、タブレット PC に少し似ていても、あくまでもモニターなので、違った使い方になるのは間違いありませんね。小さいってだけでもワクワクするのに、これだけしっかりしたモニターだと、持ち歩くだけで楽しくなってしまうのは、コダシマだけではないはずです。
いずれにせよ、ぜひご自身の目でもチェックしてみてください。
といったところで、今回も最後までお付き合いいただきありがとうございます。
PC-FREEDOMのコダシマでした。