こんにちは、皆さん!なんちゃってエンジニアリング PC-FREEDOM のコダシマです。今回もご覧いただき、ありがとうございます。このブログではコンピュータ界隈やテクノロジー界隈の話題、Linux や Android といったオープンソースの OS、スマホやミニ PC、シングルボードコンピュータなどの話題を広く扱っております。
最近は、お陰様で忙しくしており、企業案件どころか、動画もブログも更新自体がままならくなってしまいました。
企業様からもたくさんオファーも頂いているのですが、ことごとくお断りしている状況でございます。その中でもお断りしなかった製品があります。今回は、コンパクトでパワフルな Androidタブレット、Alldocube iPlay 60 mini Proをレビューします。
これまで、たくさんのタブレットをレビューしてきて来ましたが「ぶっちゃけ、どれも代わり映えしないなぁ」と思うようになっておりました。にもかかわらず、今回はなぜ、オファーを断らなかったのか…。
このレビューを見終わったあとに、その理由がおわかりいただけるかと思います。およそ2週間ほど実際に使ったレビューになります。それでは早速見ていきましょう。
タブレット
実機レビューの前に、少しだけタブレットについて整理しておきたいと思います。
「タブレット」と言えば 10〜11インチくらいのサイズが一般的だと思われます。その理由は、世界で最も普及したタブレットである iPad が登場した際、9.7インチ、およそ10インチだったからに他ならないとコダシマは考えています。
こだわりにこだわり抜いたスティーブ・ジョブズの判断だったことでしょう。実際に使いやすさもあるのは間違いないです。なので、そのあとに続くタブレットも、この周辺の大きさになったとしても不思議ではありません。
そんな中、Nexus7など、一回り小さなタブレットも登場してきました。より手帳のサイズに近いタブレットは、特にビジネスシーンで存在感を発揮していました。
例えば、コダシマの知る範囲だけでも、お会いしたことのある各社の営業の方、コンサルタント、ライターさんなどは、iPad mini をはじめとしたコンパクトサイズのタブレットを使っているところを度々見かけました。
例えば先日のこと。最新の iPad mini を使っている姿を見かけ、ガジェット好きの血がうずいてしまい、思わず話しかけたとある旅行会社の女性の添乗員の方。その方に mini を選んだ理由を伺ってみると…
「手が小さいので、このくらいのサイズが丁度いいんです。そして、サイズが小さいと、軽くて持ち運びにも良いので選びました」とのこと。
どちらかというと、手の大きめなコダシマには思いも寄らない回答でした。しかしながら、このような理由を含め、一定の評価を受け続けるコンパクトサイズのタブレットです。
スマートフォンの大型化により、一時はその姿を見かけなくなることもありましたが、やはり根強い需要があるのは事実で、その証拠に、タブレットのフラッグシップとも言える、先ほども話題に挙げた Apple iPad では、 iPad mini がパワーアップしながらリリースされ続けています。最近のモデルは Apple Pencil も使えるほど進化しています。
また、Amazon の Fire HD タブレットも 7〜8インチサイズのモデルを販売し続けています。
そんなコンパクトサイズのタブレットが使われるのは、個人的にはビジネスの現場のほうが多いように感じます。※あくまでも個人の主観です。
そうなると、それほど派手なスペックは必要なくなるわけで、コンパクトタブレットの市場を見てみても、各メーカーは比較的価格重視のローエンドモデルを提供している傾向が強く感じられます。まぁ、Fire タブレットに毛が生えた程度の、エンタメコンテンツ消費タブレットとすれば十分な性能でしょうが、必要最低限の性能しかないように感じられます。
メーカー側もそれをわかった上での価格設定かなぁ?とも感じたりもします。
それなら、あくまでも主観ですが、安価でローエンドモデルなら Fire タブレットでも十分じゃね?っと思ってしまうところはあります。実際に、価格と品質のバランスで言ったら、業界トップクラスなのは間違いありません。
ただ、Fire タブレットに搭載されている OS は純正の Android とは異なり、様々な制限があったり余計な(?)広告等があるため、そこを鑑みると、やはりローエンドといえど Fire タブレット以外の選択肢の必要性はあると思います。
しかしローエンドモデルだと、今度は性能に制限されてしまいます。早い段階で限界を感じてしまう可能性も、決して低くありません。
ですが、性能を求めると現状を見る限り、選択肢はほぼ iPad mini に限られてしまい、iPad mini を選ぶとなると、なかなかのお値段になります。
性能的には文句はありませんが、iPad mini までの性能はいらないし、そこまでお金はかけられないと思われる方もおられるはず。なぜならコダシマもその一人だからです。
そんなにハードなゲームはしないけれども、ある程度はスムーズに動いてほしい。でも iPad mini までの性能はいらないという場合、なかなかお値段的にもスペック的にも丁度よいものが少ないのが現実です。サイズ的に丁度良くても、スペック的に、お値段的に合わないと元も子もありません。
そんな、悪く言えば中途半端、良く言えば間のニーズをカバーするスペックを実現するのが MediaTek Helio G99 というプロセッサです。突然、プロセッサの話を持ち出しましたが、iPlay 60 mini Pro を語る上で、ここが重要なポイントです。まずは、この MediaTek Helio G99 について詳しく見ていきましょう。
MediaTek Helio G99 (MT6789)
Helio G99 の開発元である MediaTek は、主にスマートフォンやタブレット向けプロセッサの開発で知られる台湾の半導体メーカーです。
Fire タブレットや Chromebook などに搭載されるプロセッサの多くは MediaTek が提供するものです。その中の、Helio G99 (MT6789) は、2022年に発表されたスマートフォン向けのプロセッサです。2024年現在、MediaTek の開発主体は Demensity (MT68xx番台) となっているため、前世代のプロセッサとなります。
しかし、巷での評価は比較的高く安価なスマートフォンやタブレット界隈では、一つの基準となっていると言っても過言ではありません。そんな Helio G99 プロセッサの特徴をピックアップすると…
CPU は、ARMv8.2-A をベースとし、高い演算処理能力を持ち 2.2GHz で動作する Cortex-A76 ×2コアと、電力効率に優れ 2.0GHz で動作する Cortex-A55 ×6コアのオクタコアの CPUです。
この組み合わせにより、処理能力と消費電力のバランスがとても良いプロセッサになっています。
グラフィックス性能はミドルクラスの第2世代 Valhall ベースの GPU Arm Mali-G57 MC2 を搭載しています。
※ちなみにこの世代の Mali シリーズは最上位に G77、ミドルクラスに G57、エントリークラスで G31 が用意されています。
すでに第3世代の Valhall ベース GPU が登場している現在、さらに言えばミドルクラスの GPU となるため、そこまで高いグラフィックス性能とは呼べません。
といった感じで、ひと世代前の SoC で、べらぼうに高性能というわけではありませんが、この Helio G99 を搭載したデバイスは、いまだに評価が高いです。
この高い評価の理由、ベンチマークスコアをチェックして理解できました。Android 環境で、良くも悪くも最も知られるベンチマークソフト AnTuTu の数値をもとに、その評価を見てみましょう。
AnTuTu の評価
AntTuTu では、CPU・GPU・メモリ・UX の項目ごとに数値を計測し、それぞれの数値結果を積み上げてトータルのスコアを出しています。
総合スコアで「50万ポイント」くらいが一つの基準の境目になっています。ゲームをメインで考える場合には、最低限50万ポイント以上の総合スコアが必要とされており、これ以下のスコアのモデルはゲームに不向きとされます。
実は Helio G99 の場合、残念ながら総合スコアが50万ポイントに達していません。
特に、ゲーム性能で重要となる GPU スコアは6万ポイント台とミドルレンジのなかでも中程度、中の中くらいの性能なので、ゲーム性能が長けている訳では有りません。ですが、CPU 性能と操作の快適性を表す UX スコアは、それぞれ10万ポイントを超えています。
どういうことかというと、特に UX スコアは、10万ポイントを超えると一般的に快適とされるレベルになり、Helio G99 はこの大台を突破しています。つまり Helio G99 はミッドレンジの SoC ながら、CPU 性能は比較的高く、操作性も良好。ただし、ゲーム性能を左右する GPU 性能は中の中くらいの性能なのでゲーム性能はそれほど高くないということです。とはいえ、これだけのスペックです。一般的なゲームは軽快に動いてくれます。
同世代の Snapdragonで言えば Snapdragon 695 がライバルとされ、現在の世代で言えば Snapdragon 4 Gen 2 とよく似た CPU/GPU 性能といえます。(※Snapdragon はすでに Gen 3 が登場したっぽいですね…)
そんな Helio G99は、コストパフォーマンスも高く、先ほどライバルとして名前を上げた Snapdragon 695 が約3〜4万円台の製品に搭載されることが多い中にあって、Helio G99 は1.5万円〜3万円以下のモデルで多く搭載されています。最近では2万円付近の価格のモデルで見かけることが多くなりました。
このように、 Helio G99 は、そこそこの性能を持ちながら手頃な価格のが欲しいコダシマのようなニーズを持ったユーザーにはバッチリハマるプロセッサということはおわかりいただけたでしょうか?
で、この丁度よいスペックのプロセッサを搭載したコンパクト Android タブレット、それが ALLDOCUBE iPlay 60 mini Pro というわけです。
ALLDOCUBE iPlay 60 mini Pro
ようやくここからが、iPlay 60 mini Pro の紹介です。iPlay 60 Mini Pro は、今説明した Helio G99 を搭載し、シームレスなパフォーマンス(デバイスやソフトウェアがスムーズに動作し、フリーズや遅延することなく、ユーザー体験を維持すること)を実現するために設計された、8.4インチの薄型でパワフルなミニタブレットです。
もちろんパワフルなプロセッサだけでなく、鮮やかなディスプレイ、ジャイロスコープセンサー、6,050mAh のバッテリー、顔認識機能、デュアルスピーカーを搭載しています。
また、OS には最新の Android 14 をベースとした Alldocube OS 3.0 を搭載し、より直感的な操作やユーザー体験を実現します。
外観
デザインを見てみましょう。片手で持てる 8.4 インチサイズ (202.7mm×126mm)、薄さ 7.9mm、重量 310g (実測値は 320g でした)、高級アルミニウム合金製です。横位置にした際には左右に位置するよう配置されたデュアルスピーカーがエンターテインメントの没入感を高めてくれます。3.5mm オーディオジャックはありませんので、ヘッドフォンやイヤフォンを利用する場合には注意が必要です。
背面にはライトも設置されています。技適も OK です。
ディスプレイ
iPlay 60 mini Pro の 8.4 インチ、インセル IPS スクリーンは10点マルチタッチ、 1920 × 1200 ピクセル、270 PPI 解像度で、超薄型ベゼルにより画面占有率 85% を実現しています。8.4インチでありながら迫力のある画面を楽しむことができます。
実際、コダシマが普段メインで使っているスマートフォンは 6.4 インチなので、随分と大きく感じます。
画面の最大輝度は 350nit です。一般的に 300nit 以上の輝度があれば、屋内での閲覧では問題がないとされているので、十分の明るさです。が、日差しの強い夏の屋外では、見づらさを感じてしまうかもしれません。
バッテリー
バッテリーは 6,050mAh の大容量で、1日中使っても十分対応できます。動画再生やウェブブラウジング、ゲームプレイを長時間楽しむことができます。平均的に 500mAh 前後で動作するようなのですが、ゲームをプレイすると800~900mAh を消費していました。そこで使用可能時間を 900mAh の電力消費で計算してみると…
ちなみに 500mAh だと、およそ12時間の連続使用ができる計算です。
また PD18W の急速充電にも対応しているため、ゼロから充電した場合、理論上最短で約1時間15分で充電が完了することになります。ただし、実際の使用可能時間や充電時間は、充電効率やバッテリーの状態などによって異なる場合があることはご理解ください。
カメラ
カメラについては、メーカーでもそれほど力を入れている様子はなく、公式サイトでもさらっとしか紹介されていませんでした。フロントカメラは 5MP、リアカメラは 13MP で、ビデオ通話や日常の撮影ができ、資料イメージとして問題ない品質です。OS 純正のカメラアプリも最低限の機能しかありませんので、作り込む作品向けではないことは付け加えておきましょう。
ネットワーク
デュアル SIM 4G LTE 対応です。ドコモ回線のデータ SIM (具体的には IIJmio でした)を入れて使いましたが、問題なく使えました。
実際にはでっかい電話にすることができる、音声通話もできるタブレットなので、必要に応じて使ってみるのも良いでしょう。
Alldocube OS 3.0
Android 14 ベースの Alldocube OS 3.0 は Dock バーや、直感的なジェスチャー操作をはじめとして、再設計されたコントロールセンターやフローティングウィンドウ、スマートサイドバーが特徴的です。
iPlay 60 mini Pro には実装されていませんが、フルバージョンの Alldocube OS 3.0 では「PCモード」がサポートされており、mini ではその機能の一部が反映されているものになります。ちなみにフルバージョンの Alldocube OS 3.0 は iPlay 60 Pad Pro に実装されており、Windows や Chrome OS のようなデスクトップ体験ができるようになります。
また、顔認証によるロック解除やメモリの拡張などの機能も搭載されています。ポップな雰囲気のインターフェースではありますが、個人的にはなかなか良いと思いました。
しかしながら、この OS には賛否があり、Amazon のレビューでは否定的な意見が少なくないのも事実です。
特にタッチ操作が効かなくなることがあるようです。
幸いにもコダシマはまだ遭遇していませんが、もしかしたら OS のカスタマイズによる弊害なのかも???と思っていますが、正確なところは定かではありません。
Widevine DRM L1 対応
一般的な動画配信サービス、特に有料のものではコンテンツを保護するために DRM という技術を使っています。
Widevine DRM とは、Google が提供する DRM のエコシステムのことであり、世の中の数多くある動画配信サービスで利用されてます。Android は標準で搭載されているため、Android 端末= Widevine DRM サポート端末になります。
Widevine DRM では3つのセキュリティレベルがあり、L1 が最も高品質なコンテンツを楽しむことができます。しかしながら一部サービス、特に Netflix では Widevine L1 であっても、高品質再生ができないという場合があります。
厳密には不明ですが、Netflix のプランなどによるところもあるらしいので、Netflix で高品質再生ができるかも注目される点になっています。今回の iPlay 60 mini Pro では Netflix でも L1 が確認され Full HD でのコンテンツ再生が可能になっています。
ココらへんにこだわる方にも良い一台ではないでしょうか?
ALLDOCUBE iPlay 60 mini Pro のまとめ
以上が Alldocube iPlay 60 mini Pro のレビューでしたが、いかがでしたでしょうか?
コンパクトでちょうどよい性能のタブレットを探している方には、おすすめです。とはいえ、Alldocube は中国企業と言うこともあり、あまり良いイメージを持たれない方もおられることでしょう。
また、ガジェット好きにはそこそこ名前の知られているブランドかと思いますが、まだまだご存じない方のほうが多いのかもしれません。さらに、Amazon で販売されている Alldocube の製品をサクラチェッカーに通してみるとサクラ度がとても高いのも事実。
加えて、低評価をチェックすると主にタッチ不良についてとても多く投稿されていました。1-2週間ほどでタッチ不良を起こす方もあれば、半年ほど使えていた方までまちまちです。OS の説明で触れたとおり、もしかしたらカスタマイズの弊害かもしれません。
ちなみに、これまでレビューした中国系企業のタブレットでも、何度かタッチ不良やデバイスの不具合に遭遇しました。あくまでも、個人的な統計ですが、新品であってもおよそ2-3割の確率で不良品に当たる可能性があります。※2.5割ってところ?
日本の企業では考えられない品質管理ではありますが、現在の、特に価格訴求の製品を投入している中国企業においては、高い品質管理を求めるのは難しい気がします。※人件費とかコスト面とか…
それでも、Amazon などでは意外と返品対応や交換などは対応が早かったりするので、ちょっとでもおかしいと感じたときには問い合わせてみるのが良いかと思います。まれに、カスタマーサポートまで対応が悪いこともないわけではないですが、その時は運が悪かったと思うほかなさそうです…
っとまぁ、ネガティブなことも言いましたが、改めて総括すると…
これらは十分に選ぶ理由になると思います。Amazon や楽天市場でより詳しい情報をチェックすることができますので、ぜひチェックしてみてください。
といったところで、今回のレビューは以上となります。今回のレビューがあなたのお役になれば幸いです。
エンジニアじゃない、普通の一般人がエンジニア気分に浸る、なんちゃってエンジニアリング、PC-FREEDOM のコダシマでした。