ほとんど知られていませんが Red hat や Oracle などのエンタープライズ・クオリティの 32 ビット版オペレーティング・システムがあることを、皆さまはご存知でしょうか?
今回はそんなオペレーティング・システムを 32 ビットのネットブックにインストールしてみました。
果たしてどのようなオペレーティング・システムなのでしょうか?
ぜひぜひ最後までお付き合いいただければと存じます。
それでは早速行ってみましょう!
Mageia とは?
その正体は、ギリシャ語で「魔術」や「妖術」、「魔法」や「手品」といったような意味がある、Mageia (マギア) という名前の Linux をベースとした無料のオペレーティング・システムです。
Mageia は、以前に存在した Mandriva Linux というディストリビューションから派生したものでございます。
また Mageia は、サーバーの世界ではデータベースの MySQL を MariaDB に置き換えた最初の Linux ディストリビューションとしても知られています。
ちなみに最初のバージョンは、2011 年 6 月に Mageia 1 という名前でリリースされております。
この Mageia は、2010 年に Mandriva S.A. の元従業員や Mandriva コミュニティの開発者・ユーザー・支持者からなるグループによって、Mandriva Linux から派生して作成されましたが、その経緯は 2010 年 9 月 2 日、Mandriva の子会社である Edge IT がパリにある「Tribunal de commerce (商事裁判所)」による清算手続きを受け、2010 年 9 月 17 日までにすべての資産が売却され、従業員が解雇されると、その翌日の 9 月 18 日、元従業員のうち、Mandriva Linux の開発と保守を担当していた人たちとコミュニティのメンバーが、Mageia の創設を発表しました。
同時に Mageia は Mandriva Linux の開発者・ユーザー・従業員からなるコミュニティの、多くのメンバーに支持されることも発表されました。
早い話が、倒産した Mandriva で開発していた Linux をベースに、もともとの開発者などが集まってコミュニティベースで開発される Linux として生まれ変わったというところでございます。
で、この Mageia は、現在も 32 ビット版の開発が続けられている Linux のひとつでもあります。
リリースについて
Mageia は 9 ヶ月サイクルでリリースされるよう計画されており、各リリースは 18 ヶ月間または、次のリリースが公開された後の最低 3 ヶ月間のうち、いずれか長い方の期間サポートされております。
2023 年 5 月現在の最新版はバージョン 8 で、通常のリリース計画どおりであれば 2022 年 8 月 31 日で 18 ヶ月間のサポートは終了の予定でしたが、まだバージョン 9 が公開されていないため、バージョン 8 は、まだサポート期間内となります。
ちなみにバージョン 9 は現在ベータ版が提供されています。
ベータ版でも 32 ビットが残っているので、32 ビットパソコンでも Mageia 9 が使えると見て良いでしょう。
ダウンロードとインストール
Mageia は、公式サイトからダウンロードできます。
ダウンロードの方法も丁寧に紹介されているので、内容に沿ってダウンロードすれば問題ないと存じます。
イメージファイルの提供方法は
- クラシックインストール
- ライブメディア
- ネットワークインストール
が用意されており、それぞれにサポートされるアーキテクチャ(32 ビットなのか 64 ビットなのか)を選ぶようになっています。
アーキテクチャを選択すると
- BitTorrent
- ダイレクトリンク
のいずれかを選びます。
希望する方法をクリックすると詳細ページに移動し、詳しい情報を知ることができます。
この画面が表示された後に、自動的にダウンロードが始まりますが、ダウンロードが始まらない場合には、リンクをクリックしてください。
ちなみに、個人的によく使うライブメディアでは、
- Plasma デスクトップ
- GNOME デスクトップ
- Xfce デスクトップ
のいずれかを選ぶことができますが、Plasma デスクトップと GNOME デスクトップはサポートされるアーキテクチャは 64 ビットのみとなっております。
32 ビットを希望する場合には、残念ながら Xfce デスクトップ一択でございます。
ネットワークインストールの場合には、
- フリーソフトウェア CD
- 非フリーなファームウェア入りの CD
を選ぶようになっており、アーキテクチャは 32 ビットと 64 ビットの両方が用意されております。
32 ビットの場合は、パッケージでもすでにサポートが終了しているものも少なくないので非フリーなファームウェア入り CD の方が良いかな?とは思います。
デスクトップ環境について
ライブメディアは 3 種類ですが、Mageiaは、その他にもいろいろなデスクトップ環境を使うことができます。
Mandriva Linux がそうだったように、KDE Plasma がメインで最も人気のあるものですが、インストール時には、ライブメディアと同じように Plasma デスクトップ、 GNOME デスクトップ、Xfce デスクトップが選べる他、LXDE、LXQt、Cinnamon、MATE、Enlightenment など、他のデスクトップ環境も利用できます。
しかも多言語対応なので、当たり前のように日本語対応しております。
32 ビット版でのライブメディアは Xfce デスクトップのみですが、インストールを行う際には 64 ビット版と同じように、さまざまなデスクトップ環境を選ぶことができます。
マシンスペックと相談しなければいけないところではございますが、古い 32 ビットパソコンで Plasma や GNOME が使えるとなると、ちょっとワクワクして来ません?
というか、最近の Plasma は意外と軽快に動作してくれるので、案外いい感じかもしれませんよ。
ちなみにより軽量な環境として IceWM も用意されております。
Xfce でも厳しくなったパソコンであれば IceWM を選んでみるのも良いかと存じます。
また Mageia では、MCC = Mageia Control Center という独自ツールを使ってさまざまな設定をすることができます。
デスクトップ環境の設定もできるので、興味を持たれた方はぜひ試してみてください。
インストールメディアの作成について
それと、インストールメディアを作成する場合に、さまざまなツールを使うかと思いますが、DD モードが推奨されております。
そのため、Rufus を利用される場合には ISO モードではなく、DD モードを選択するようにしましょう。
試しに何度か ISO モードで書き込んでみましたが、起動しないことがありました。
やっぱり初めから DD モードで書き込むのが良いでしょう。
※ UNetbootin はサポートされておりません。
パッケージ管理について
Magea で提供されているパッケージは Red Hat 社が開発した RPM 形式で配布されています。
そのため、以前の Mandriva Linux は Red Hat 系と呼ばれることもあったとか、なかったとか…。
何れにせよ、パッケージの追加は、先程の MCC で管理することができるため、Linux 初心者でも簡単に必要なソフトウェアをインストールすることができます。
コマンド操作に不安がある方でも安心です。
Mageia のまとめ
今回は 32 ビット Linux の一つとして、パソコンユーザーのほとんどの人が知らない Mageia という Linux ディストリビューションを紹介いたしました。
日本語もサポートされていますが、日本語での情報がとても少ないです。
コダシマも Mageia 7 をレビューして以来、Mageia を紹介していませんでしたが、個人的には初心者向け Linux だと思っています。
もともと企業が開発していた Linux をベースとしていることもあり、Web サイトをはじめ ディストリビューション自体も非常に細部まで作り込まれた、完成度のとても高い Linux ディストリビューションです。
しかも、まだ普通に 32 ビットパソコンをサポートしているため、マシンスペックが許す限り、愛用のパソコンを使い続けることができます。
Mageia の URL は、動画概要欄に貼ってありますので、是非チェックしてみてください!
使うか使わないかは、あなた次第です!
おまけ
初心者向け Linux は頭文字 M です。
コレがコダシマが押す頭文字 M トップ 3 でございます。
いずれのディストリビューションもワークステーションとしてとても使いやすいですよ!