SSD の種類と接続規格
今回は SSD のスピードに注目して、「PCIe 3.0と4.0って何が違う?」「どれくらい速くなる?」といった疑問を解消していきましょう。それでは早速、 SSD の種類と接続規格から。
Amazon とかの SSD の商品名をみると…
「NVMe PCIe 4.0 M.2」
みたいな、または
「NVMe PCIe Gen3×4 M.2」
みたいな表記をみたことがあるかと思います。この表記を分解すると…
- NVMe ⇒インターフェース規格
- PCIe ⇒データ通信の規格
- M.2 ⇒接続スロットの形状の規格
以上のようになります。
これらの規格はセットで表記されている事が多いので、ここらへんもひとつずつ確認しておきましょう。
NVMe

まずインターフェースですが、SSD には主に「SATA 接続」と「NVMe 接続」の2つのタイプがあります。
接続方式 | 説明 | 特徴 |
SATA(AHCI) | 従来の HDD でも使われていた方式 | 安価・速度はやや遅め(500MB/s前後) |
NVMe(PCIe) | SSD 専用の高速通信に対応した方式 | 高速(最大7,000MB/s以上も可能)現在の主流 |
SATA 接続の SSD は、「AHCI」という HDD 時代の古い規格を使っていました。
ですが、それだと SSD のポテンシャルが活かせない!という問題があり、そこで SSD 専用の新しい通信方式として登場したのが「NVMe」です。
NVMe は Non-Volatile Memory Express(ノンボラタイル・メモリ・エクスプレス)の略で、簡単に言うと、SSD の性能を最大限に引き出すための、超高速な通信のルール(プロトコル)です。つまり NVMe は、PCIe という通信規格を使って、ストレージの圧倒的な高速化を実現している規格というわけです。
PCIe

で、その PCIe ですが Peripheral Component Interconnect Express の略で、高速なデータ通信を行うための拡張バスや拡張スロットの接続規格です。マザーボード上のスロットに直接差し込んで使用するもので、SSD はもちろん、グラフィックスカードやキャプチャーカード、ワイヤレスカードなどのタイムラグの発生を抑えたい周辺機器を接続する際に使用します。SSD は、当然タイムラグを抑えたいところですからね。
PCIe の転送速度は、複数のレーンを束ねて高速化できる点も特長です。これは「部品同士の通信通路」と考えると理解しやすいです。その通路の本数のことを「レーン(lane)」と呼びます。簡単に言えば、レーンは「データが通る道路の本数」みたいなものです。

PCIe の速度は、これらの1レーンあたりの転送速度 × レーン数 = 最大帯域幅(通信速度)となります。
つまり、レーン数が多ければ一度に流せるデータが増えるため、通信速度が早くなるというわけです。しかしながら、この表にあるように、NVMe は x4 接続が一般的になります。x8 とか x16 とかでの接続にはなりません。まぁ、物理的なサイズも小さいですからね。当然と言えば当然だと思います。
で、PCIe は世代が進むと、もちろん1レーンあたりの速度も上がります。ココらへんについて、後ほどまたお話したいと思います。
M.2

そして M.2 。
M.2(エムドットツー)は、PC に取り付ける拡張カードの形状(フォームファクター)の一つです。M.2 にはいくつかサイズがありますが、よく使われるのは「M.2 2280(幅22mm × 長さ80mm)」というサイズです。最近の PC ではほとんどこれですね。察しの良い方はお分かりだと思いますが、4桁の数字はサイズを表しています。
また M.2 の差込口には「Bキー」「Mキー」「B+Mキー」の切れ目の違う種類があり、どのキータイプかによって対応するデバイスが変わるため、この辺も意識しておくとよいでしょう。

ご覧の通り、M.2 には NVMe だけでなく SATA 接続も存在します。安価な PC などでは SATA 接続の M.2 が使われていることも結構あります。高速な NVMe SSD を使いたいなら、「Mキー」のスロットが必要になります。
ということで、ここまでをまとめると…
規格 | 内容 | 補足 |
NVMe | SSD専用の高速通信プロトコル | M.2 × PCIeで真価を発揮 |
PCIe | データ通信の規格 | M.2や他の部品でも使われる |
M.2 | 接続スロットの形 | 速度や性能とは直接関係ない |
それぞれの規格は、これらのようになります。
PCIe 3.0 と 4.0 の違い

さて、ここが今回のキモとなるでしょう。もう一度、PCIe について詳しく見ていきます。
最近は PCIe 5.0 がリリースされ、対応しているマザーボードも市場に出てきましたが、まだまだ高価なため、これからの規格のように感じます。なので現状では、市場の中心は事実上、PCIe 3.0 や 4.0 と言えるでしょう。
そんな PCIe 3.0 と 4.0 の大きな違いは、データの転送速度。倍近く違います。
というか理論上、各世代の PCIe は、前世代の2倍の速度で設計されています。PCIe 3.0 が最大 3,500MB/s に対して、PCIe 4.0 は最大 7,000MB/s になります。(わかりやすいように、ザックリとした値です。厳密にはちょっと異なります。)動画編集やゲームのロード時間など、作業効率がガッツリ変わってきます。
また、PCIe 3.0 と PCIe 4.0 は下位互換性と上位互換性の両方を備えています。
PCIe 3.0 の SSD を PCIe 4.0 のマザーボードに挿しても OK ですし、逆に、PCIe 4.0 の SSD も、PCIe 3.0 のマザーボードでも使えます。

ただ、相互に互換性はあるものの、速度は遅い方に制限される事(3.0 の速度が上限)をご理解ください。
高速な SSD のメリット

それでは、実際に速い SSD を使うと何が変わるのでしょうか?
いちばんイメージしやすいところだと、PC が数秒で起動したりするようになりますが、もう少し具体的な違いを見てみましょう。例えば、ネットサーフィン・動画視聴・書類作成などの普段使いの場合、実は違いをほとんど感じることは無いでしょう。PCIe 3.0 と 4.0 だと、どちらでも快適です。
次に、ゲームのロード時間や大容量のファイルコピーの場合。ココらへんになると違いが感じられるようになるでしょう。PCIe 4.0 だと、ゲームのロードが一瞬で終わったりして速いと感じることが出てきます。サイズの大きいゲームのダウンロードも案外早く終わったりしてくれます。
そして、動画編集・3D レンダリング・AI 処理などになってくると、速度の違いが体感できてくるはずです。動画の書き出しや、大容量ファイルの移動もサクサクなので、作業効率に影響することもあります。

つまり、高速の SSD を使うことで、時間の節約、そしてストレスフリーな環境を手に入れることができます。
コダシマ自身、PC のパーツはそこまでガチガチにスペックを追うタイプではないんですが、SSD は比較的速いものを選びがちです。規格が対応しているという前提はありますが、その中で速さを求めると、毎日のちょっとした起動やファイル操作のストレスが無くなるんですよね。
1回の待ち時間がたとえ5秒でも、それが1日に何十回もあると、それがボディーブローみたいに効いてきます。
それと、PC がサクサク動くと、何より「気持ちいい」ってのがありますね。キビキビ動いてくれるってのは作業のやる気にも直結してたりします。
ORICO O7000

結局、一番使うストレージが快適だと、毎日の PC 作業が楽しくなるんですよね。
ということで、ココで NVMe PCIe 4.0 M.2 の SSD を紹介しましょう。
ORICO O7000のスペック
今回は「ORICO O7000」について紹介します。ORICO の SSD は、以前「爆速 Ivy Brige」の動画で J10 というスタンダードモデルを紹介いたしました。
J10 は PCIe 3.0 でしたが、今回紹介する O7000 は PCIe 4.0 対応の上位製品になります。なので、読み込み速度は最大 7,000MB/s、書き込みは 6,700MB/s に達し、非常に高速です。

さらに、ヒートシンクが同梱されていて、放熱性もバッチリです。
コスパの高さ
有名ブランドの SSD と比べると、ORICO はややマイナーかもしれませんが、ストレージ周りのサプライヤーとして Amazon では比較的知名度のあるブランドです。性能的には引けを取らず、それでいて価格は安く、タイムセールやクーポンなどで更にお得に手に入れることができます。コスパを重視したい人には、かなり魅力的な選択肢です。
ベンチマークチェック
とは言え、使い物にならなければ意味がありません。この O7000 の実力を見てみるべく、実際にベンチマークを計測してみました。

結果は、カタログスペックに近いスコアがしっかり出ています。読み込みも書き込みも速く、PCIe 4.0 対応マザーボードと組み合わせれば、性能を最大限引き出せそうですね。きっとアナタも、快適環境を手に入れることができるでしょう。
今回のまとめ
ということで、今回は SSD の種類と接続規格についてと、おすすめの SSD ORICO O7000 を詳しく見てみましたが、いかがでしたでしょうか?
SSD を選ぶときは、接続方式だけでなく、PCIe の世代や速度にも注目すると良いでしょう。
また、紹介した ORICO O7000 ですが、良い数字が出てましたね。性能・冷却・価格のバランスが良く、申し分ない SSD だと思います。コダシマは ORICO の SSD が、すっかり気に入ったので、SATA のやつから何から一通り使ってます。

といった感じで、今回は以上となります。
なんちゃってエンジニアリング PC-FREEDOM のコダシマでした。